田舎の不動産売却を徹底解説!4つの売却方法と成功させるコツ

相続などで田舎の土地や家を取得した場合、使い道がないため、売ってしまおうと考える方もいるでしょう。固定資産税など維持費がかかるのも売却を検討するひとつの要因です。
田舎の不動産は価値が低く、賃貸や売却で利益を得るのは難しい傾向があります。しかし、ポイントをいくつか押さえておくことで、売却が可能です。
本記事では、田舎の不動産を売却するのが困難な理由と売却する方法を紹介します。
もくじ
田舎の不動産売却が難しい理由
田舎の不動産がなぜ売却できないか、その理由を探ってみましょう。
居住するニーズが少ない
地方の人口過疎化を改善する動きがあるものの、まだまだ田舎に居住するというニーズは少ないのが現状です。
田舎は生活するのに必要となる施設や店舗の数が少ないことから、都会の生活に慣れた層からは敬遠されがちです。再開発によりエリア一体が発展する可能性があるといえど、少子高齢化が進む日本においてそのような場所は限られます。
そのため、都心へ人口が集中するのに対して、田舎で人口が急激に減少する過疎化が問題視されています。
総務省の「令和2年度版 過疎対策の現況」によると、総人口に対する過疎地域の人口の割合は、以下のように推移しています。
年 | 過疎地域人口割合(%) | 前回比 |
---|---|---|
1980 | 14.0 | – |
1985 | 13.3 | -0.7 |
1990 | 12.4 | -0.9 |
1995 | 11.7 | -0.7 |
2000 | 11.1 | -0.6 |
2005 | 10.5 | -0.6 |
2010 | 9.7 | -0.8 |
2015 | 9.0 | -0.7 |
2020 | 8.2 | -0.8 |
ここからは、田舎の人口減少が続いていることがわかります。
しかし、最近では副業やリモートワークが当たり前になり、場所にとらわれない働き方をする方が増えています。今後、環境のよい田舎に住みたい方は増えるかもしれません。
建物が建てられない可能性がある
市街化調整区域内の土地の場合、土地の利用に制限がかかる可能性があります。
日本には、国土の活用方針を定める都市計画法というものがあります。都市計画法では、国土を以下のような区域に分けています。
- 市街化区域
- 積極的に街づくりを進める
- 市街化調整区域
- 農地や山林を守る
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
田舎の土地は市街化調整区域のエリア内であることが多く、小規模の開発行為であっても地方自治体などからの許可が必要です。
開発行為とは、建築物の建築や特定工作物の建設のために以下を行うことを指します。
- 区画の変更
- 道路・水路などを新設・拡幅・付替え・廃止する行為
- 形状の変更
- 切土や盛土など、造成のために土地の形状を変える行為
- 性質の変更
- 農地から宅地への変更など、建築物を建築するための敷地に変更する行為
これらの規制の存在により、市街化調整区域内の土地は買い手が付きにくい傾向にあります。
田舎の不動産を売却する方法
では、田舎の不動産はどうすれば売却できるのでしょうか。
リノベーションをして売る
不動産を売却するにあたり、建物の見栄えをよくすることは重要です。
建物が老朽化して見栄えが悪いことが原因で売却できない場合は、リノベーションを検討しましょう。
ただし、リノベーションしたからといって、その分売却価格が上がるというわけではありません。あまりに老朽化している建物の場合は、リノベーションにかかった費用が売却金で回収できず、損してしまう可能性があります。
不動産会社と相談し、リノベーションを行うとしても最低限の内容に収めておきましょう。
更地にして売る
建物の老朽化が進んでいる場合は、撤去し更地にすることで売却できる可能性があります。なお、木造の戸建て住宅を撤去する場合、約150万円の費用がかかります。
購入を検討している人が現行の建物を不要としている場合、建物は邪魔でしかありません。売却前に撤去する、もしくは「建物撤去は売主が負担」という触れこみで販売することも可能です。
ただし、建物を撤去すると固定資産税が高くなる可能性があります。
土地にかかる固定資産税には特例があり、人が居住するための建物の敷地として利用されている土地については、以下のとおり税金が軽減されています。
- 小規模住宅用地(住宅やアパートなどの敷地で200㎡以下の部分)
- 固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に軽減
- 一般住宅用地(住宅やアパートなどの敷地で200㎡を超える部分)
- 固定資産税が3分の1、都市計画税が3分の2に軽減
もし200㎡の土地にこの特例が適用されていた場合、建物を撤去することで固定資産税が6倍になる可能性があります。
建物の撤去については固定資産税の現状を把握してから判断しましょう。
空き家バンクに登録する
地方自治体によっては、空き家バンクを活用するのもおすすめです。
空き家バンクとは、地方自治体がその県内にある空き家の物件情報をホームページ上などで提供する仕組みです。
掲載されているのは不動産会社での売却が困難なものばかりで、価格も低い傾向にあります。しかし、その分そういった田舎の土地を探している方にとっては貴重な情報源です。
ひとりでも多くの方に物件情報を目にしてもらうために、不動産会社への依頼と並行しながら空き家バンクへ登録するのもよいでしょう。
売れない場合は損切り覚悟で低価格で売却する
どうしても売れない場合は、安値で手放すことも覚悟しておきましょう。
不動産を保有するには、以下のようなコストが発生します。
- 毎年発生する固定資産税
- 建物の修繕費用
- 雑草の整備費用
- 相続時の相続税
今後活用する予定がないということであれば、そういったコストの発生を抑えるために、低価格で早めに売却するという選択肢も必要です。
活用する予定がなく、費用ばかり発生する不動産は“負動産”とも呼ばれます。負動産は富を減らす一因ともなる負債ですので、損切りするという観点を持つようにしましょう。
農地・山林売却の注意点
売却を検討している不動産が、農地や山林の場合は、売却する際に注意するポイントがいくつかあります。
農地の売却
農地は、国の食料自給率の確保などを目的として、農地法によって売買や活用に制限がかけられます。
そのため、農地を売却するには、基本的に農業委員会に許可を受ける必要があります。
農地を売却する方法は、以下の2パターンがあります。
- 農地のままで売る
- 宅地に転用して売る
農地のままで売る場合、買主は農業従事者などである必要があります。そのため、宅地に転用してから売却すると、買主の選択肢が広がります。
どちらのケースも手続きが複雑なため、詳しくは「農地の売却方法を徹底解説。農地を宅地にして売る手続きは?」を参考にしてください。
山林の売却
山林は、通常の土地や農地などと性質が異なるため、買主も限られています。
また、山林には以下4つの分類があります。
- 都市近郊林地
- 農村林地
- 林業本場林地
- 山村奥地林地
市街地の近くにある都市近郊林地であれば、活用の幅が広いためニーズが高く、ほかの山林に比べて売りやすい傾向にあります。一方で、山村奥地林地などは整備もされていないため、活用が難しく、売れにくいでしょう。
売却する際は、まずは山林の売買を専門に取り扱っている民間サイトや、一括査定サイトのリビンマッチなどを確認してみましょう。また、地方公共団体にある森林組合に相談するのもよいでしょう。
詳しくは「山林の売却方法をわかりやすく解説!取引相場や売買の流れ、税金などの費用は?」を参考にしてください。
依頼先の探し方に工夫が必要
農地や山林の売却は、そもそも扱っている不動産会社が限られています。そのため、1社1社問い合わせて確認する手間や時間がかかります。
また、時間をかけて見つけた会社だとしても、販売実績がなかったり、営業力がなかったり、なかなか売れないという事態になるおそれもあります。
一括査定サイトの「リビンマッチ」なら、そういった手間を省いて効率よく優良な依頼先を探せます。一度の手間で複数社に査定依頼ができるため、そのなかから信頼できる不動産会社を選べばよいだけです。
田舎の不動産売却を成功させるコツ
田舎の不動産を売却するときのコツを説明します。
最初に土地の要件を確認する
まずは、所有している土地の要件を確認しましょう。
市街化調整区域内にある土地でも、開発許可がすでに下りている土地もあります。そういった土地であれば建物を建てることが可能なため、売却しやすいです。
また、既に宅地として建物が建っている土地に、以前と同じ用途で土地の形質を変更することなく建物を建てる場合は、開発許可が不要な場合があります。
不動産会社に売却の査定を依頼すれば、要件も整理して価格査定を行ってくれます。要件整理も含めて、まずは相談してみることから始めましょう。
土地にあった売却計画を立てる
田舎の土地であれば、その土地ならではの売却計画を立てることが重要です。
土地の用途としては住宅や店舗などが主流ですが、そういった用途は都会の方が需要を見込めます。
反対に、広大な敷地を必要とする用途は、田舎の方が需要を見込めます。たとえば、以下のような活用方法があります。
- 農地
- 太陽光発電の設備
- 工場
- 老人ホーム
不動産会社にどういった活用方法が考えられるかを聞きながら、自らの土地がどういった用途の需要が高いか仮説を立てましょう。その仮説に合った会社へ仲介を依頼すると、売却がスムーズにできます。
田舎の不動産に強い不動産会社に複数依頼する
不動産会社は、それぞれ扱うのが得意な物件の種別や地域などが違います。
田舎の不動産を売却することが不得意な会社に依頼してしまうと、ほかの物件を優先されるリスクがあります。そうすると、購入希望者の目に留まる可能性が低くなります。
売却の仲介は必ず複数社に依頼しましょう。そのためには、不動産会社とは複数社と契約できる一般媒介契約を結び、並行して依頼することがおすすめです。
特に、田舎の不動産に強い地域密着型の不動産会社には必ず依頼しましょう。
一括査定サイトのリビンマッチを利用する
複数社に依頼するときは、まず一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。
リビンマッチは、簡単な物件情報などを入力するだけで、対応可能な複数の不動産会社に査定依頼ができます。そのため売却が非常に難しい田舎の不動産でも、的確なアドバイスをくれるような自分にぴったりの不動産会社が見つかる可能性が高いです。
知識や経験が乏しい一般の方が、ひとりで売却計画を練るのには限界があります。焦って失敗する前に、まずは無料のリビンマッチを活用しましょう。
田舎の不動産売却に関するよくある質問
- 田舎の土地や家は売れない?
- 田舎の不動産は居住するニーズが少なく、市街化調整区域内で土地に制限がかかる場合もあり、売却しにくい傾向があります。しかし、ポイントを押さえることで売却は可能です。
- 田舎の不動産を売るコツは?
- 田舎の不動産に強い地域密着型の不動産会社に売却を依頼しましょう。また、リノベーションや更地にすることも選択肢のひとつです。