不動産がインフレ対策になる?世界中でインフレが進む理由や売却の是非について
2024年現在、世界中で物価上昇が続きインフレ傾向が高まっている中、インフレに強い資産として不動産が注目を集めています。
不動産はなぜインフレに強いのでしょうか。
この記事では、インフレが進む理由と不動産がインフレ対策になる理由や売却の是非について解説します。
もくじ
日本でインフレが進む理由
そもそもインフレとは、インフレーション(Inflation)の略で、物価が上昇し続けお金の価値が下落する状態のことです。
たとえば、これまで100円で買えていたものが200円に値上がりしたとします。
同じものを買うために2倍のお金が必要になるため、お金の価値が半分になっているということです。
インフレになってしまうと、それまでと同じ生活を続けていくためには、より多くのお金が必要になり、生活に大きな影響をおよぼします。
2024年は、世界的にインフレが加速する中、日本も例外ではありません。日本でインフレが進む理由について、解説します。
石油などエネルギー資源の値上がり
2024年4月30日時点におけるガソリンの小売価格は、1リットルあたり174.7円です。(参考:経済産業省資源エネルギー庁「石油製品価格調査」)
新型コロナウイルスによる景気後退やロシアへの経済制裁などが原因となり、原油価格は上昇を続けており、今後も高い水準で続くことが見込まれています。
石油や天然ガスといったエネルギー資源の値上がりは、物価の上昇を引き起こします。
たとえば、石油価格や天然ガスの価格が上昇することで、発電コストが上昇し電力価格も上昇します。電力価格の上昇は、電気を大量に消費する生産メーカーなどに大きな影響を与えるでしょう。
エネルギー資源を直接の動力にする産業だけではなく、その影響はさまざまなものに波及し、身の回りのものの値上がりにつながります。
国債の発行
新型コロナウイルスの影響を要因として、行き過ぎた量的緩和が問題となっています。
量的緩和とは、市場に大量のお金を投入することです。
市場に出回るお金の量が増えることから、お金の価値が減少していくことは想像できます。
なお、アメリカは2024年に入り、利上げを実施していますが、これと同時にQT(Quantitative Tightening)を進めています。
QTとは「量的引き締め」のことで、債券を償還させるなどして、大量に投入したお金の回収をしてくものというものです。
アメリカだけでなく、世界各国でこうしたインフレ対策が行われています。
ちなみに、日本は日本銀行が国債を多く保有していることからこうした対策ができないとされており、世界の流れと逆行し、異次元の金融緩和を継続しています。
円安
円安はインフレと深い関係性があります。
インフレでお金の価値が下がることで、円安に進みやすくなります。
日本は、多くの資源を輸入に頼っているため、円安が進むことで輸入材料などのコストが上がり、さらに物価が上昇してしまいます。
円安については、先ほどの世界各国の利上げ対策と日本の利上げ対策の違いから、今後さらに進行していくものと考えられています。
アメリカをはじめとした他国は利上げをしていきますが、日本は金融緩和を維持しています。
こうなると、日本円より米ドルなど金利の高い国にお金を預けたほうが多くの利息を得られます。
このため、円を売って米ドルなど金利の高い通貨を買う動きが加速していくと見られています。日本は今後しばらく、過去に類を見ない円安とインフレに悩まされる可能性があるといえます。
不動産がインフレ・円安対策になる3つの理由
不動産はインフレに強い資産といわれ、インフレや円安対策として検討している方も増えている傾向があります。
不動産がインフレに強い資産といわれている理由について解説します。
実物資産はインフレに強い
インフレではお金の価値が下落します。
そのため、現金や有価証券はインフレに弱い資産といえるでしょう。
反対に、現物資産はお金の価値の下落に影響を受けにくく、インフレに強い資産といわれています。
現物資産とは、金や骨とう品などが該当し、不動産も現物資産となります。お金や有価証券は、国などの発行元の信用によって価格が上下するものです。
対して、現物は「もの」自体に価値があるため、インフレ対策として一定割合保有することが有効とされています。
また、不動産投資の場合、物価の上昇に伴い家賃も上昇していくという特徴からもインフレ時に有効といえます。
借金が有利になる
インフレになると、お金の価値が下落するため借金も有利になるといわれています。
不動産投資では、ローンを組んで不動産を購入しますが、このローンもインフレ時に有利な借金に該当します。
仮に、2,000万円のローンを組んだ場合、返済するのは2,000万円ですが、インフレによってお金の価値が半分になれば、実質的なローンの価値も1,000万円に半減するというわけです。
ただし、変動金利の場合は、金利が上昇すると返済額も高くなるため、注意が必要です。
円安で海外投資家が日本の不動産を購入する
円安が進むことにより、海外投資家から見れば日本の不動産が割安になるため、投資対象として人気が高まります。
特に、首都圏のマンションなど人気エリアでの海外投資家による不動産購入が進む可能性があり、不動産価格の上昇の要因となる可能性があります。
インフレが続く中、不動産は売却すべき?有効な資金の使い方
インフレ時には物価が上昇するため、不動産の資産価値も上昇し高値での売却が狙えます。そのため、売却を検討するのは当然のことといえます。
ここでは、売却して得た資金の有効活用法と、より高値で売却できる方法について解説します。
売却時期より売却後の資金の使い方が重要
不動産売却を検討している場合、「いつ売るか」ではなく「売った資金をどうするか」が重要です。
今後、日本のインフレが進む可能性は高いためインフレ対策が必要になるでしょう。また、年金問題にあるように老後資金への備えも重要です。
インフレ時に預貯金だけを蓄えていると、お金の価値が減少することから老後資金が苦しいものになる可能性もあります。
将来に備えるためにも、売却で得た資金をどのように運用して効率よく増やしていけるかを考えておくことが重要です。
売却して得た資金のおすすめの使い方
売却した資金の運用方法としては以下のような方法がおすすめです。
- ドル建ての資産に換える
- すぐに不動産を購入する
インフレ・円安が進む中で有効な資産運用として「ドル建て」や「不動産購入」があります。
アメリカの経済成長率は過去十数年間右肩上がりで、今後も成長が見込まれる市場です。日本円だけで資産を所有するのではなく、一部をドル建てで貯蓄することやアメリカ株・海外不動産へ投資することをおすすめします。
また、先述したように不動産はインフレに強い資産ともいえるので、資産運用でのリスクヘッジとして一定割合保有しておくことが有効です。
ただし、変動金利で購入するとインフレ時に金利も上昇してしまうため、固定金利での購入を検討することをおすすめします。
不動産を売却するなら一括査定がおすすめ
不動産を少しでも高値で売却を狙うなら、複数の不動産会社に査定することをおすすめします。
特にインフレ時は、資産価値の変動がしやすいタイミングといえるため、できるだけ多くの不動産会社に依頼して査定額を比較することが重要です。
とはいえ、複数の不動産会社に査定依頼を出すだけでも手間と時間が掛かります。そのような場合は、一括査定を活用することをおすすめします。
一括査定であれば、簡単な入力だけで複数の不動産会社の査定結果を入手できるので、相場の把握などにも役立つでしょう。
インフレと不動産の関係について理解した方は、まず不動産査定からスタートしてみましょう。
インフレに関するよくある質問
- 不動産はインフレ対策になるの?
- 不動産のような現物資産はお金の価値の下落に影響を受けにくく、インフレに強い資産といわれています。
- 不動産の売却資金の有効活用法は?
- ドル建ての資産に換える、新しい不動産を購入するなどが有効です。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
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