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内縁関係の相手に財産分与をする方法。対象になる財産やリスク回避の対策

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内縁関係の相手に財産分与をする方法。対象になる財産やリスク回避の対策

夫婦が離婚をするときは、財産分与で2人が協力して築いた財産を清算します。財産分与は、婚姻関係を結んだ夫婦だけでなく、内縁関係のカップルも対象です。

しかし、内縁関係は婚姻関係と異なり、戸籍上に記載が何もないため、財産分与をするときはいくつか注意点があります。内縁関係の解消にともなう財産分与では、どのような点に注意すべきか確認しておきましょう。

内縁関係でも財産分与ができる

内縁関係を解消する際は、財産分与をして持っている財産を2人で分け合います。分与する財産の割合は、二分の一ずつが原則です。これは、婚姻関係を結んだ夫婦が財産分与をするときの割合と変わりません。

財産分与を請求できるのは、内縁関係を解消した日から2年間です。2年が経過してから財産分与を請求しても、相手が任意で応じない限り、財産を受け取ることができません。 そのため、財産分与は、必ず期限内に行いましょう。

財産分与の方法は当事者の話し合いで決めるのが基本

財産分与は、当事者の話し合いで解決するのが基本です。財産の種類が多い場合は、所有する財産を一覧にした「財産目録」などを作成して、どのように分け合うかを決めていきます。

財産の配分が決まり、お互いに合意したら財産分与をします。「当事者だけでは条件がまとまらない」「相手と顔を合わせたくない」という場合には、弁護士への依頼も検討しましょう。 弁護士が代理人となり、財産分与の交渉を相手と進めてくれます。

話し合いで解決しなければ調停を申し立てる

財産分与の話し合いで内縁関係の相手と条件が合わなくて進展しない場合は、「内縁関係円満調整調停」を裁判所に申し立てます。 「内縁関係円満調整調停」とは、当事者の間に調停委員と裁判官が入り、内縁関係に関する問題の解決に向けたサポートをする制度です。

財産分与ができず、内縁関係が解消できない場合は、内縁関係円満調整調停をすることで解決できる可能性があります。

なお、内縁関係円満調整調停を申し立てるには、内縁関係があったことの証明が必要です

内縁関係の相手が死亡すると財産分与はできない

内縁関係の相手が死亡した場合は、財産分与ができません。財産分与は、離婚や内縁関係を解消するときに行われるもので、死別したときは相続になるためです。内縁関係の間の財産は、相続人へと引き継がれます。

事実婚や内縁関係の夫婦は、お互いに相続権が認められていないため、相続人になれません。そのため、内縁関係の相手が死亡すると、財産を受け取れなくなります

ただし、内縁関係の相手に財産分与を請求済みで、協議中に死亡した場合は相続人へ財産分与を請求できます。

なお、内縁関係の相手が死亡した場合は「遺言書を作成しておく」「特別縁故者を申し立てる」という2つの方法で遺産の相続が可能です。

それぞれの方法は、関連記事をご確認ください。

内縁関係が認められるための条件

内縁関係の解消にともなう財産分与を内縁関係円満調整調停で解決する場合、内縁関係があったことを証明する必要があります。 内縁関係には、法的な定めがありません。内縁関係を結んだときも解消するときも、戸籍上に何も変化がないため、事実を集めて証明しなければ内縁関係があったことが誰にもわからないからです。

内縁関係を証明するための条件には次のものが挙げられます。

  • 生計を一にする共同生活を営んでいる
  • 共同生活の期間が3年以上ある
  • 当事者間で婚姻の意思がある
  • 周囲の人が当事者を夫婦として認知している
  • 結婚式を挙げている
  • 知人や友人に妻や夫として紹介している
  • 子がいて父親が認知している
  • 住民票の続柄に「妻(未届)」「夫(未届)」の記載がある
  • 当事者の一方が、もう一方の健康保険の扶養に入っている

これをすれば内縁関係が証明できるというものはないため、該当する項目を一つでも増やすことが大切です。とくに内縁関係が証明しやすい項目は「お互いに婚姻の意思がある」「共同生活を営んでいる」の2つです。

お互いに婚姻の意思がある

内縁関係があったことを証明するために大事なのが、当事者の婚姻の意思です。 たとえば、結婚式を挙げていて夫婦の誓いをしていることや、知人や友人に妻や夫として紹介しているなどが当てはまります。当事者だけでなく、周囲の人からも婚姻の意思があったことを認識されていることが重要です。

婚姻の意思がなく一緒に居ただけでは、カップルが付き合っている状態と変わらないため、内縁関係と認められる可能性は低くなります。

共同生活を営んでいる

内縁関係を証明するには、共同生活を営んでいることも重要です。 共同生活とは、生計を一にしている、健康保険の扶養に入っているなど、婚姻関係を結んでいる夫婦と同じように生活していることが基準になります。住民票が同じ住所で、ただ一緒に暮らしているだけでは内縁関係を証明することは難しいです。

また、共同生活の期間は、3年以上あれば内縁関係を証明できる可能性が高くなります。ただし、夫婦として共同生活を営んでいることが大切なため、住んでいる期間は重要視されません

財産分与の対象となる資産

財産分与をするときに、対象となる代表的な財産には次のものがあります。

  • 預貯金
  • 株式証券
  • 債券
  • 不動産
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金
  • 年金
  • 自動車
  • 家具
  • 家電

財産分与では、財産の名義人は関係ありません。名義人が相手の財産であっても、財産分与の対象になります。また、夫婦のどちらか一方の収入のみで形成された財産であっても、内縁関係を結んでいる期間に築いた財産であれば、財産分与の対象です。

なお、財産の種類に定義はないため、ゴルフクラブやゲーム機、書籍、食器なども財産分与できます。

「特有財産」は財産分与の対象にならない

夫婦の財産には、「共有財産」と「特有財産」の2種類があり、財産分与の対象になるのは共有財産のみです。 共有財産とは、夫婦が内縁関係を結んでいる期間のなかで、築いた財産のことをいいます。

財産がどちらの収入で築かれたのかは関係ないため、仮に妻側が専業主婦で収入がゼロであっても財産分与では二分の一ずつ分け合います。 一方、夫婦の協力なしで築いた財産が特有財産です。内縁関係を結ぶ前や解消したあとに築いた財産が該当します。

ただし、内縁関係を結ぶ前から持っていた財産だったとしても、内縁関係を結んでいる期間中にローンの返済やメンテナンスにかかる費用を支払った場合は、その分が共有財産になる可能性が高いです。

また、内縁関係を結んでいる期間中に親族から相続したり贈与されたりした財産は、夫婦の協力とは関係なく築かれた財産になるため、特有財産になります。

<共有財産>
内縁関係を結んでいる期間に形成された財産。夫婦のどちらか一方の収入で形成されていても、夫婦が協力して築いた財産となるため、財産分与の際に原則として二分の一ずつ分け合う。
<特有財産>
夫婦の協力とは関係なく築いた財産のことで財産分与には含まれない。内縁関係を結ぶ前、解消した後、期間に関係なく相続や贈与された財産が対象。

特有財産は証明できないと財産分与の対象になる

特有財産は、入手した経緯を説明や証明できなければ共有財産となり、財産分与の対象になるため注意が必要です。特有財産のあり方については、法律によって次のように定められています。

(夫婦間における財産の帰属)

第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。 2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

e-GOV法令検索「民法」

内縁関係を結んでいる期間中に親族から現金を相続した場合、それが相続したものであることを証明できなければ、共有財産となり財産分与の対象となります

財産隠しの場合の対策

財産分与では「財産隠し」をして逃れようとすることは珍しくありません。財産分与の対象になるのは、話し合いで配分が決まった財産だけです。

把握してない財産は財産分与されないため、受け取る財産が少なくなります。 相手の財産隠しが疑われる場合や、相手の財産を正確にしたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、弁護士会照会制度を利用することで、相手が持っている財産を正確に把握できるからです。 弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件の調査に必要な証拠や資料を収集しやすくする制度です。

たとえば、弁護士会照会を受けた金融機関は、対象の人の口座番号、残高、取引履歴などを開示します。そのため、財産隠しをしても、弁護士会照会を利用すれば把握できるのです。

財産分与の条件は公正証書に必ず残しておく

財産分与で決まった条件は、必ず公正証書に残しておきましょう。公正証書とは、国内の公証役場で作成される公文書のことをいいます。 公正証書には、証明力や執行力があります。

仮に財産分与の条件が守られなかった場合でも、「強制執行認諾条項」を定めておくことで、裁判所を通さなくても給与や口座の差し押さえなどの「強制執行」をして回収することができるのです。 財産分与で取り決めた条件を残しておく場合の形式に定めはなく、チラシの裏にメモ程度で書いても、口約束だけであっても有効になります。

しかし、約束が守られなかった場合、相手に裁判所への申し立てをする必要があります。時間や手間がかかるだけでなく、口約束で定めた条件を裁判で証明するのは簡単なことではありません。 財産分与は、金額が大きくなる傾向があるため、確実に受け取るためにも公正証書で残しておきましょう。

なお、公正証書は、当事者のみで協議をした場合に必要です。財産分与の条件が調停で決まった場合は、調停調書に記録されるため、公正証書の作成は不要です。

不動産の財産分与

財産分与のなかで、トラブルにつながりやすい財産が不動産です。不動産は金額が高額になりやすいため、慎重に進める必要があります。 不動産を財産分与する場合、次の方法があります。

  • 売却して現金化する
  • 住み続ける方がもう一方に財産を渡す

それぞれの方法について確認しておきましょう。

売却して現金化する

不動産を財産分与するときにシンプルな方法が、売却をして現金化することです。不動産はそのままの状態で二分の一に分けるのは大変ですが、売却して現金化すれば、分けやすくなります。 不動産の売却価格は不動産会社によって金額が大きく変わります。そのため、必ず複数社に査定を依頼して比較することが大切です。

ローンが残っている不動産の財産分与

売却価格よりも住宅ローンの残債が多い、いわゆるアンダーローンの不動産は、抵当権が設定されているため売却することはできません。 持ち家がオーバーローンの場合、住宅ローンの残債から売却代金を差し引いて、差額を自己資金で補填できれば、売却可能です。

たとえば、持ち家の売却価格が1,500万円で住宅ローンの残債が1,800万円だった場合、300万円を預貯金で補填すれば売却できます。 補填できる預貯金がない場合、無担保ローンを利用して売却する方法もあります。

無担保ローンは、住宅ローンよりも金利が高い傾向がありますが、住宅ローンよりも毎月の返済額を減らせる可能性があります

ローンが残っている不動産の売却は関連記事もご確認ください

持ち家に住み続けるなら相当額を支払う

内縁関係を解消した後も、持ち家に住み続ける場合、夫婦のうち住み続けるほうが相手に財産分与の相当額を渡します。 たとえば、持ち家の査定が1,000万円だった場合、住み続ける方が、相手に500万円を渡します。

不動産の財産分与については、関連記事もご確認ください

持ち家の価値を査定してみる

内縁関係の解消で不動産を財産分与するときは、どれくらいの価値があるのかを最初に知ることが大切です。そのため、財産分与の対象となる不動産があれば、まずは不動産会社に相談しておきましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼して会社を比較することで、より正確な査定価格を確認できます。査定を複数の不動産会社に依頼するときは、「リビンマッチ」を使うと簡単です。

質問に答えていくチャット形式なので、スムーズに入力できます。あとは不動産会社から査定の連絡が届くのを待つだけです。 財産分与で受け取れる金額を増やすためにも、リビンマッチを利用してみましょう。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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