【マンション査定】シミュレーション査定や一括査定、どれがいい?
2013年ころからのマンション価格高騰に伴って、マンション売却を検討する人が増えています。マンションを売却する前は、まず売却査定を受けます。売却査定は不動産会社によるものとAIによるシミュレーション査定の2つがあります。
このふたつはどのように使い分ければよいのでしょうか。マンションの売却査定について詳しく解説します。
もくじ
マンション価格の高騰
日本のマンション価格は、2013年から上昇を続けています。
東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」によると、2022年の首都圏における中古マンションの成約価格は4,276万円、2013年の2,598万円から1.6倍以上の値上がりです。また、不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向」によると新築マンションの平均価格は、2023年7月には9,940万円で、昨年同月比の50%以上の上昇です。
マンション価格が高騰している主な理由は、低金利政策や建築資材の価格高騰などが挙げられます。このような状況下で、買ったときよりも高く売れるマンションも珍しくなく、売りに出す人が増えています。
マンション売却を検討したらまずは売却査定
マンション売却を検討する際には、売却価格を決める必要がありますが、相場が分からなければ決めることが難しいです。
そこで、まずは不動産会社にマンションの査定を依頼し、マンションの市場価値を調べる必要があります。売却する意向が決まっていない場合でも査定依頼は可能です。査定価格をもとに売却の可否を決めてもいいですし、数年後の売却のための査定でも問題はありません。
そして、注意したいのが「査定価格」=「売却価格」でないことです。査定価格はあくまでも成約できるであろう価格です。査定価格で必ず売却できると思って売却活動を進めていくと、資金計画がくるってしまうおそれがあるため、注意してください。
AIによるシミュレーション査定が可能
マンションを査定する際に、AIを使ったシミュレーション査定を利用する売主が多いですが、AIによる査定で十分なのでしょうか。
AIによるシミュレーション査定の仕組みとメリット、効果的な使い方について解説します。
AIによるシミュレーション査定の仕組み
AI査定はマンションの情報を入力するだけで査定価格が表示される仕組みで、パソコンやスマートフォンで気軽に利用することが可能です。
売主がAI査定のサイトに情報を入力すると、不動産ポータルサイトや過去の成約事例をベースにAIが査定価格を計算し、画面上に表示します。そのため、数秒で査定価格がわかることもあり、非常に便利なシステムといえます。
なお、AI査定に入力が必要となる情報は次のとおりです。あらかじめ調べておく必要があります。
- マンション名
- 所在地
- 専有面積
- 階数
メリット
AI査定のメリットはスピーディーな査定価格の表示だけでなく、営業担当が査定価格の算出に関与していないという点もあげられます。
マンションの査定を複数の不動産会社に依頼した場合、対応した担当者がさまざまな手法を使って査定価格を算出します。そのため、不動産会社によって査定価格にばらつきがあり、売主は平均値をイメージする手間がかかってしまいます。
さらに、高く売れる印象を売主に与え、販売委託をもらおうとする営業担当もいるため、参考にできない査定価格になってしまうこともあります。
その点、AI査定は人的な都合やミスが一切なく、マンションの資産価値を平準化した数値を査定価格として算出してくれます。つまり営業担当の思惑やスキルに左右されない査定を希望する売主にとって、AI査定はおすすめといえます。
効率的な使い方
AI査定の効率的な使い方として、「不動産会社に相談する前に利用する」のがおすすめです。
AI査定はネット上に公開されているデータを使い、中央値となる案件をベースに査定価格を算出します。つまり、特定の理由で高く売れた案件や、早く売るためにわざと安くした理由は、計算に含まれないことになります。
一方、不動産会社に査定を依頼した場合、各社が持つ独自の査定や事情を考慮した査定価格となります。
そのため、AI査定を先に実施することで各社の査定価格を精査することができ、不動産会社を選ぶ際の判断材料にすることが可能です。
一括査定サイトを利用して不動産会社に査定依頼する
一括査定サイトは情報を一度入力するだけで複数の不動産会社に相談ができるサイトです。不動産会社を比較検討できるため、対応がよくない不動産会社を選択肢から外せます。
また、担当者の多くは売却専門担当、もしくは責任者です。そのため、納得のいく査定価格と査定根拠を各社から受けられる可能性が高いです。
査定の結果、マンションを売却しない場合は、売却しない旨を伝えればしつこく営業されることもありません。一括査定サイトの利用はすべて無料となっているため、不動産査定をする方法としておすすめです。
一括査定サイトを利用する際の注意点
一括査定サイトの利用にあたっては、いくつか注意点があります。マンション売却を成功させるための重要なポイントになるため、しっかり押さえておきましょう。
入力内容はできるだけ正確に
一括査定サイトで最初に入力する内容は、査定地や依頼者の連絡先など、個人情報に関わる部分が多いです。そのため、特定できないように「東京都渋谷区」で記入をやめる売主もいますが、すべての情報を正確に入力しましょう。
そもそも、マンションの査定は号室がわからなければ、正確な査定ができません。また、最後まで入力されていない案件は冷やかしだと扱われ、いつまで経っても査定結果の連絡が来ないということもあり得ます。
不動産会社の担当者は、常に多くの売却案件を抱えて忙しいため、冷やかしの可能性がある案件は後回しにします。このようなことにならないよう、入力内容は可能な限り正確に入力するようにしましょう。
不動産会社からの電話を受ける準備
一括査定サイトの査定方法はAIではなく、実際に不動産会社の担当者に査定依頼をするため、必ず電話かメールで連絡があることを知っておきましょう。
知らない電話番号だからといって出なかったり迷惑メールに自動振り分けされていたりすると、売却できる機会を失うことにもなります。正確な査定価格と売却方法を知るためにも、一括査定サイト登録直後は必ず不動産会社からの電話、もしくはメールに対応しましょう。
可能であれば訪問査定を受ける
正確な査定価格を知るためには、訪問査定を受けるとよいでしょう。マンション査定には、取引事例などのデータから売却価格を査定する「机上査定」と実際に訪問を受けて査定する「訪問査定」があります。
せっかく査定をするのに、机上査定だけで終えてしまうのはもったいないです。訪問査定のほうが精度の高い査定結果を受け取れます。また、実際に販売する際のアピールポイントや注意点についても把握できます。
たとえば「チャレンジ価格」「売却適正価格」「買取価格」など、査定価格にもとづいた売却価格の提示を受けることも可能です。
- チャレンジ価格
- 買主が見つかる可能性は低くなるが、相場より高く設定した売却価格
- 売却適正価格
- 該当マンションに適正であろうと思われる売却価格
- 買取価格
- 市場に売り出すのではなく、不動産会社に直接買ってもらう場合の売却価格
売却価格だけでなく、売却に関する周辺知識を得ることで満足度の高いマンション売却が目指せます。このように査定だけでなく、売却を進めるための具体的な価格や方法を知りたい場合に、訪問査定は効果的だといえるでしょう。
査定を受けるための準備は何が必要?
マンションの査定を受けるために、売主が準備すべきものはあるのでしょうか。必要となる書類や心構えについて紹介します。
必要書類を準備する
不動産会社の査定を受ける際、売主が用意する必要書類は次のようになります。紛失しているかどうかの確認をするためにも、査定前にチェックしましょう。
必ず準備する書類 | 可能なら準備したほうがよい書類 |
---|---|
|
|
特に、査定の依頼者が子や兄弟などとマンションの売主ではない場合は、売却に至る経緯や詳細がわからないこともあります。そのような場合であっても、必要書類があれば売却の経緯や詳細がある程度予測でき、査定ができます。
また、登記識別情報通知は紛失した場合、数万〜数十万円の費用が発生するため、必ず確認しておきましょう。
不動産に関する情報をまとめる
不動産に関する書類以外にも、町内会のルールなど書類ではわからないような決まりごとがあれば忘れずに伝えましょう。
特に周辺で起きた事件や事故、近隣トラブルは、のちに大きなトラブルに発展するケースもあります。調停や裁判になることもあり得るため、細かなことでも担当者に伝えましょう。
いくらでいつまでに売却したいかを決めておく
不動産会社の担当者が注目する主なポイントは以下の2つです。事前に検討しておくことで話がスムーズに進みます。
- いくらで売りたいのか
- いつまでに売りたいのか
たとえば、売主が1日でも早くマンションを売りたいのであれば、販売計画を綿密に練るより、すぐにでも売り出したほうがよいでしょう。反対に少しでも高く売りたいのであれば、販売時期をずらしたり軽微なリフォームを検討したりする必要があります。
このように、売主の意向によって売却計画の内容が決まるため、事前に希望価格と期間を家族で話し合い、決めておきましょう。
注意!高額査定はゴールではない!
マンションの査定価格が高額だったとしても、その価格で売れるとは限りません。高額の査定を目指すのではなく、成約がゴールであるという意識を持っておきましょう。
査定価格=売れる価格ではない
マンションの売却価格は、不動産会社が提示する査定価格と相場価格の2種類の価格を参考にして設定します。
査定価格は、査定をもとに不動産会社が売れると判断した価格です。相場価格は周辺の取引実績をもとに、市場で売れると予測される価格のことです。マンションの査定価格が高額でも、相場価格によっては実際の売却価格が下がることがあるので注意しましょう。
このように、査定価格と相場価格、そして売却価格はすべて別物だということを知っておくことは重要です。
- 査定価格
- 査定をもとに不動産会社が売れると判断した価格
- 相場価格
- 周辺の取引実績をもとに市場で売れると予測される価格
- 売却価格
- 実際に取引される価格
根拠のない査定価格は危険!
不動産会社の中には、マンションの査定価格を故意に高く提示する会社があります。宅地建物取引業法では査定価格を提示する際に、根拠を説明する義務があります。
そのため、根拠もなく「私の経験では」や「大体このくらい」という言い回しで納得させようとする不動産会社は、売却のノウハウが少なかったり営業トークであったりする可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。
一方、査定価格の根拠を、売主が理解できるようにわかりやすく説明できる不動産会社は、信頼できると判断してよいでしょう。
訪問査定時の立ち振る舞いをチェック!
信頼できる不動産会社を判断するには、気遣いや立ち振る舞いを見ることが大切です。売却経験が豊富な不動産会社ほど、売主の信頼とマンションを大切にするためです。
たとえば、マンションの訪問査定の際、売却経験が豊富な不動産会社であれば、担当者が玄関先で手の消毒を行ったり白手袋を装着したりします。
細かな点に気づける担当者を見つけることが、マンション売却を成功させるコツといえるでしょう。
関連記事
- マンション売却
- マンション査定時は何を準備する?査定額だけで不動産会社を選ぶのは危険!
- マンション査定は何社に依頼する?3社以上がおすすめの理由
- 【無料】投資用ワンルームマンションの査定|売りどきや査定項目も解説
- 購入したばかりのマンションは査定依頼できる?マンション相場を自分で調べる方法
- マンション査定で見られるポイントを徹底解説【宅建士執筆】
- マンションの訪問査定とは?メリットや押さえるべきポイントを解説
- マンションの査定価格は階数に影響されやすい!その理由や階層ごとの価格差
- オンラインによるマンション査定!種類ごとの利点・欠点とやり方紹介
- マンション査定を登録不要で受ける|AI?匿名査定?どれがいいの?
- マンション査定の注意点は?タイミング別、気をつけること9選
- マンションの査定で賃貸と売却を決める、判断のポイント
- マンションの査定額と売却額!その違いとは?価格を算出する方法も解説
- マンション査定の依頼方法と調査方法!戸建てとの違いをわかりやすく解説
- マンション買取の査定方法と評価を上げる4つのポイント
- マンション査定に必要な書類は7種類!取得方法と費用についても解説
- 「マンションの査定だけ」でも大丈夫?売却せずに依頼するときの注意点
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
老後の住まい (24) 離婚と財産分与 (21) 離婚と住宅ローン (17) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 離婚と家 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚準備 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) マンションか戸建てか (2) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて