離婚時に適正な財産分与を受ける方法は?損をしないための注意点も解説
「財産分与で損をしたくない」「すべての財産が、財産分与の対象なの?」といった悩みを持っていませんか?
財産分与は、離婚した後の生活を立て直すために必要な手続きのひとつです。
しかし、財産分与をしたことがなければ、どのような財産が対象になるのか、適正な割合がどれくらいなのかなどわからない方が多いのではないでしょうか。
そこで、離婚時の財産分与について、概要や種類、対象となる財産などを詳しく解説します。
もくじ
財産分与とは
財産分与とは、結婚してから夫婦が協力して築いた財産を、離婚する際に平等に分割することをいいます。
財産分与の割合は、原則として夫婦で2分の1ずつが一般的です。これは、一方が専業主婦であったり、夫婦間で収入の差があったりする場合でも、公平な財産の分割が基本的なルールとなっているためです。ただし、双方の合意がある場合には、割合を自由に変更できます。
財産分与を受け取るには?
財産分与は、当事者のどちらかが請求しない限り行われません。
つまり、財産分与を受けたい場合は、自分から請求する必要があります。請求を忘れてしまうと、本来受けられるはずの財産分与を受けられなくなる可能性があります。
財産分与の請求は、トラブルを避けるために書面で行うことをおすすめします。財産の内容や希望する分与の割合などは、請求書に明確に記載しましょう。
財産分与の請求方法がわからない場合や、相手方との話し合いがまとまらない場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士のアドバイスを受けながら、それぞれの状況に合わせて適切な方法を選択できます。
財産分与には請求期限がある?
財産分与には、離婚成立から2年以内に請求するという期限が設けられています。一般的には、離婚協議のときに財産分与の条件を決めておき、離婚成立後に財産分与を行うケースが多いでしょう。
しかし、離婚の際に財産分与について取り決めをしなかった場合でも、離婚後に請求できます。ただし、請求できるのは離婚成立日から2年以内に限られているため、注意が必要です。もしこの期間を過ぎてしまうと、原則として財産分与を請求する権利は消滅してしまいます。
2年という期間は、意外と短いものです。離婚後の生活に追われるうちに、請求期限を過ぎてしまうケースも少なくありません。財産分与を受ける権利を守るためにも、忘れずに請求することが大切です。
財産分与には種類がある?
財産分与は、大きく3つの種類に分けられます。
それぞれ目的や対象となる財産が異なるため、自分のケースに合わせて財産分与の種類を選ぶ必要があります。
清算的財産分与
清算的財産分与とは、夫婦が結婚中に協力して築いた財産を、離婚後に公平に分ける制度です。
結婚している間に夫婦で家を買ったり、貯金をしたりした場合、それらは2人の共同の財産と考えられます。離婚するときに、夫婦でどのように分けるのかを決めて公平に分配します。
扶養的財産分与
扶養的財産分与とは、離婚後に経済的に不利な立場に置かれる配偶者の生活を保障するための制度です。
一般的に、結婚生活において一方の配偶者が家事や育児に専念し、キャリアを犠牲にしていた場合、離婚後の経済的自立が困難となる場合があります。
このような状況下で、経済的に恵まれた配偶者が、他方の配偶者に対して離婚後の生活を支援するために、自身の財産の一部を分与するのが扶養的財産分与です。この分与により、経済的に不利な立場の配偶者は、離婚後の生活をより安定して送れます。
慰謝料的財産分与
慰謝料的財産分与とは、離婚時の財産分与において、離婚の原因となった配偶者の行為に対する慰謝料の意味合いを含めて、より多くの財産を相手方に分与することを指します。
離婚の原因が、配偶者の不貞行為や暴力行為など、婚姻関係を破綻させた一方的な有責行為にある場合、その有責配偶者に対して慰謝料を請求できる場合があります。しかし、慰謝料の支払いを受けるには、別途訴訟を提起する必要があり、時間と費用がかかります。
そこで、離婚時の財産分与において、慰謝料に相当する額を上乗せして分与することで、実質的に慰謝料の支払いを受けたのと同じ効果を得ることができます。これが慰謝料的財産分与です。
財産はすべて財産分与の対象になる?
夫婦の財産は、共有財産と特有財産の2種類に分けられます。
財産によって財産分与には含まれない場合もあるため、確認しておきましょう。
財産分与の対象となるもの(共有財産)
財産分与の対象となるのは、「共有財産」と呼ばれるものです。共有財産とは、夫婦が協力して取得・形成した財産のことを指しています。
具体的には、以下のようなものが該当します。
- 不動産
- 現金、預貯金
- 経済的価値があるもの
- 生命保険の解約返戻金
- 退職金
- 年金
詳しく見ていきましょう。
不動産
夫婦が共同で購入した自宅や投資用物件などの不動産は、財産分与の対象となります。
離婚後も不動産を共有する場合は、使用方法や維持費の負担について、細かい取り決めが必要です。書面で合意しておくことでトラブルを避けられます。
現金、預貯金
夫婦が共同で管理していた口座の預貯金や、婚姻期間中に蓄えた現金などは財産分与の対象です。
また、対象となる預貯金は、離婚時点の残高だけでなく、離婚前に引き出された金額も含まれます。離婚を見越して一方が預貯金を不当に引き出した場合、その金額も分与の対象となります。
経済的価値があるもの
婚姻中に購入した車、貴金属、美術品など、経済的価値のあるものも分与の対象です。
貴金属や美術品は、専門家による鑑定評価を受けることで、適正な分与額を決定できます。ただし、これらの財産は市場価値が変動しやすいため、評価のタイミングに注意が必要です。
生命保険の解約返戻金
生命保険の解約返戻金も、受取人が誰であるかに関わらず財産分与の対象です。具体的には、解約返戻金が発生する保険が該当します。
掛け捨て型の保険のような、解約返戻金がない場合は対象となりません。また、保険料の払込期間が短い場合や、保険に加入してから日が浅い場合は、解約返戻金が少額となることがあります。
一方、生命保険を維持することが夫婦双方にとってメリットがある場合もあります。子育て中の夫婦の場合、生命保険は将来の教育資金の備えとなるでしょう。このような場合は、保険を解約せず、受取人を子供に変更するなどの調整を取ることも可能です。
退職金
退職金も、財産分与の対象となる財産の一つです。
一般的に、夫婦の一方が受け取った退職金は、その個人の財産として扱われます。しかし、退職金は、結婚生活を営んでいる間に行われた労働の対価として支払われるものでもあります。つまり、結婚生活が退職金の取得に貢献していると認められる場合には、その退職金の一部または全部が財産分与の対象となるのです。
たとえば、夫婦の一方が専業主婦(夫)として家事や育児に専念し、もう一方の配偶者がキャリアを積んで退職金を得た場合、その退職金は、夫婦両方の協力によって得られたものと考えられます。このような場合、退職金は夫婦の共有財産とみなされ、財産分与の対象になります。
退職金が財産分与の対象になるかどうかは、夫婦の状況によって異なります。結婚生活の長さ、夫婦各自の職業、家事・育児への貢献度などを総合的に判断して決まります。
年金
夫婦が婚姻期間中に積み立てた年金は、原則として夫婦の共同財産として扱われます。したがって、離婚時の財産分与においては、年金を分割するケースが一般的です。
ただし、国民年金は分割されないため、他の財産や金銭を多く支払うなどして調整する必要があるでしょう。
財産分与の対象にならないもの(特有財産)
財産分与の対象とならない財産は、「特有財産」と呼ばれます。
特有財産には、夫婦の一方が、結婚する前から所有していたもの、結婚期間中に親族から贈与や相続を受けたものなどが該当します。夫婦で協力して財産を築いたものではないため、相手と分与する必要はありません。ただし、特有財産と証明できなければ、財産分与の対象になってしまうことがあるので注意しましょう。
まずは、共有財産と特有財産を明確に区別して把握することが重要です。その上で、共有財産について、適切な分与方法を検討をする必要があります。
借金やマイナスの財産について
マイナスの財産についても財産分与の対象となる場合があります。
夫婦で協力して借りたお金、例えば住宅ローンや事業資金などは、離婚する際には分割が必要です。
マイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合は、残った負債は財産分与の対象とはなりません。一方、夫婦どちらかの個人的な借金や連帯保証人の借金は、原則として借金を抱えている本人が返済責任を負います。ただし、これらの借金が夫婦の共同生活のために使われたことが明らかな場合は、例外的に財産分与の対象となることもあります。
財産分与で少しでも多くの財産を受け取るには?
財産分与で少しでも多くの財産を受け取るためには、次の2つの方法があります。
- すべての財産を明確にする
- 不動産の財産分与では一括査定サイトを利用する
それぞれの方法について確認しておきましょう。
すべての財産を明確にする
少しでも多くの財産を受け取るためには、まずはすべての財産を明確に把握することが大切です。財産分与の対象となる財産の全容を把握していなければ、適切な分与割合を主張できません。
財産に漏れがあると、その分、財産分与の割合が減ってしまいます。
財産を多く受け取るには「財産の内容をなるべく把握する」ことに尽きると言っても過言ではないでしょう。
相手がどのような財産を持っているか把握できない場合は、弁護士会照会を利用することをおすすめします。
弁護士会照会とは、弁護士が依頼者の権利を守るために、銀行や官公庁などの第三者に対して、依頼者の財産や収入に関する情報の提供を求める制度です。
具体的には、以下のような情報の開示を求められます。
- 銀行口座の取引履歴や残高
- 不動産の登記簿謄本
- 税務署に提出された確定申告書
- 年金の支給額や加入状況
- 勤務先からの収入や在職状況
これらの情報は、通常であれば個人のプライバシーに関わるため、簡単に開示されることはありません。しかし、弁護士会照会を利用できれば、正当な理由に基づいて情報の提供を求められるようになります。
財産分与の交渉においては、相手方の財産状況を正確に把握することが重要です。隠し財産がある場合などには、弁護士会照会が有効な手段となります。
不動産の財産分与では一括査定サイトを利用する
不動産を財産分与する際、売却したお金を夫婦で分け合う方法があります。つまり、家が高く売れれば、それだけ受け取れる財産分与の金額が多くなります。
しかし、不動産の価値を適切に評価することは簡単なことではありません。特に、離婚という感情的な状況下では、冷静な判断が難しくなるケースもあるでしょう。そこで、一括査定サイトの利用がおすすめです。
一括査定サイトとは、複数の不動産会社から同時に査定を受けられるサービスのことです。1回の申し込みで、多くの不動産会社から売却価格の提示を受けられるため、不動産の適正価格を把握できます。
また、査定結果を比較して、最も高い価格を提示した不動産会社に売却を依頼すれば、より多くの財産分与を受けられる可能性が高まります。
「なるべく高く売って、多くの財産を受け取りたい!」という方であれば、完全無料で利用できる一括査定サイト「リビンマッチ」が便利です。査定を依頼するだけでも、売却価格の相場がわかるため、財産分与の交渉に役立ちます。
まとめ
この記事では、適正な財産分与を受ける方法を紹介しました。
共有財産だけではなく、各自の個人財産を正しくリストアップすることで、財産分与で受け取れる金額がグッと増える可能性があります。
特に不動産のような高価な財産の場合は、あらかじめ一括査定サイト「リビンマッチ」を利用して市場価値を正しく把握できれば、損をすることなく財産分与を進めることができるでしょう。
ぜひ査定額を比較して、適正な財産分与を受け取るための交渉材料にしてみてください。
2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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