土地活用における駐車場経営について徹底解説!儲からないって本当?

駐車場経営は、リスクが低い土地活用のひとつです。一方で、「アパート経営などと比べて儲からないのでは?」と懸念している人もいるでしょう。
収益性や需要など、土地活用における駐車場経営について徹底的に解説します。
また、駐車場の種類によって、収益性や運用のしやすさなどが異なります。それぞれのメリットとデメリットを比較して、自分に合ったものを選びましょう。
もくじ
土地活用で駐車場経営は儲からない?
結論からいうと、駐車場経営はほかの土地活用と比較すると、ローリスク・ローリターンであるといえます。アパート経営のように収益性は高くありませんが、リスクを抑えて土地活用ができます。
若者の車離れや人口減少などの不安要素から、駐車場経営が儲からないと考えている人もいるでしょうが、需要がある地域では十分な収益が見込めます。
駐車場の需要
需要と供給を考えるうえで参考になるのが、以下の2つです。
- 自動車の保有台数
- 駐車場の整備状況
自動車の保有台数
一般財団法人 自動車検査登録情報協会が公表している「自動車保有台数」によると、2023年3月末時点の自動車保有台数は、約8,245万台です。
2011年の自動車保有台数は約7,866万台のため、12年間で約379万台増えています。このことから、駐車場の需要が増えていると考えられるでしょう。
駐車場の整備状況
国土交通省が公表している「自動車駐車場年報 令和4年度版(2022年)」によると、2021年3月末時点における駐車場台数は約552万台です。
2012年の駐車場台数は約473万台のため、9年間で約79万台増えています。
自動車保有台数だけでなく、駐車場の供給数も増えており、安定した需要がある状況だといえるでしょう。
駐車場経営の収益性
駐車場経営で得られる利益は、毎月の賃料収入から固定資産税や管理会社に支払う管理手数料を引いた金額です。
確定申告をする際は、利益に対して所得税と住民税が課せられますが、ほかの資産や給与所得と合算して税金を算出します。また、固定資産税は土地の形状や地域によって軽減税率などが適用されます。
ここでは、駐車場経営の収益性を確認するために、税金や借入金の返済を加味しない条件で収支をシミュレーションし、アパート経営の場合と比較してみましょう。
駐車場経営の前提条件
- アスファルト駐車場
- 台数:10台
- 賃料:3万5,479円
- 管理手数料:賃料の5%
アパート経営の前提条件
- 3階建ての木造アパート
- 世帯:1K 12世帯
- 賃料:10万2,000円
- 管理手数料:賃料の5%
なお、それぞれの賃料は東京都新宿区の平均的な数値を想定しています。
駐車場経営(単位:円) | アパート経営(単位:円) | |
---|---|---|
賃料収入(満車・満室時) | 35万4,790 | 122万4,000 |
管理手数料 | -1万7,739 | -6万1,200 |
月間の利益 | 33万7,051 | 116万2,800 |
年間の利益 | 404万4,612 | 1,395万3,600 |
上記から、収益性の観点でいえばアパート経営が有利だとわかるでしょう。
ただし、設備の維持管理費や、退去のタイミングではリフォーム費用がかかります。また、経年劣化による賃料下落などのリスクがあるため、注意が必要です。
一方で駐車場経営は、収益性は低いものの低リスクで始められる土地活用である点は、メリットとして挙げられます。
駐車場経営の種類と特徴
駐車場には大きく分けると月極駐車場とコインパーキングの2種類があり、さらに詳細に分けると以下のとおりです。
- アスファルト月極駐車場
- 砂利月極駐車場
- 立体駐車場
- アスファルトコインパーキング
- 砂利コインパーキング
土地活用で駐車場経営を検討する際に知っておきたい、メリットとデメリットを紹介します。
アスファルト月極駐車場

アスファルト月極駐車場
駐車場経営の中でも管理手数料が安く、雑草除去費用や砂利の継ぎ足しが不要なため、収益性が高いのが特徴です。
メリット
アスファルト月極駐車場として土地を活用するメリットは、以下の3つです。
- メンテナンス費用が安い
- 1台あたりの賃料が高い
- 砂利駐車場と比べて近隣問題が少ない
管理の手間が少なく、ほかの種類と比較すると高い収入が見込める可能性があります。
デメリット
アスファルト月極駐車場として土地を活用するデメリットは、以下の3つです。
- アスファルトの整備費用などの初期費用がかかる
- 転用時にアスファルトの解体が必要になる
- 売却時に砂利駐車場より安くなる
アスファルト造成費用がかかるため、ほかの種類と比較すると難易度が高いといえます。
砂利月極駐車場

砂利月極駐車場
砂利月極駐車場は、初期費用を抑えられて、転用しやすいのが特徴です。そのため、売却を検討する際に売却価格が高くなる可能性があります。
メリット
砂利月極駐車場として土地を活用するメリットは、以下の3つです。
- 初期費用が抑えられる
- 転用がしやすい
- 高く売却できる可能性がある
砂利を造成するだけで駐車場経営を始められるため、ほかの種類と比較すると難易度が低く、将来の活用方針が決まっていない人におすすめです。
デメリット
砂利月極駐車場として土地を活用するデメリットは、以下の3つです。
- 維持費が高く、雑草の除去や水たまりができた場合に砂利を補充する必要がある
- 砂利が道路に出てしまうため、近隣からクレームが来るおそれがある
- 1台あたりの賃料がアスファルト月極駐車場に比べて安い
初期費用が抑えられる反面、維持管理費がほかの種類と比較して高くなるケースが多いです。
立体駐車場

立体駐車場
立体駐車場は、駅前の商業地などで有効な駐車場経営です。ただし、初期費用と転用する際の撤去費用がかかるため、慎重に判断しましょう。
メリット
立体駐車場として土地を活用するメリットは、以下の2つです。
- 立体にすることで駐車台数が増えるため、収益性が高い
- 減価償却の対象となるため、所得税対策になる
減価償却とは、建物や設備などで年数が経過して減った価値を加味して計上する会計上の手続きのことです。
事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。
課税対象の所得から減価償却費として差し引けるため、所得税を抑えられます。
立体駐車場にすることで、駐車スペースを多く確保できるだけでなく、節税効果も得られるのです。
デメリット
立体駐車場として土地を活用するデメリットは、以下の3つです。
- 初期費用がかかる
- 転用が難しい
- 近隣に駐車場が新たに整備された場合、空車リスクが高くなる
多額の初期費用がかかるため、空車リスクを考慮した立地で経営をしないと、思うように収入が得られず、初期費用を回収できないおそれがあります。
アスファルトコインパーキング

アスファルトコインパーキング
月極駐車場と比べて、アスファルト舗装費用を運営会社が負担してくれる場合があるため、初期費用を抑えられる可能性があります。
基本的には維持管理も運営元が行ってくれるため、手間がかからないのが特徴です。
メリット
アスファルトコインパーキングとして土地を活用するメリットは、以下の3つです。
- 土地を一括で貸し出すため収入が安定する
- 管理の手間がかからない
- 場所によっては月極駐車場より高い収入が得られる
運営会社に土地を一括貸しするケースがほとんどのため、管理の手間がかかりません。稼働率に関係なく収入が安定して得られるのもメリットです。
また、駅前や飲食店街の近くなどでは一時的な駐車需要が見込めるため、月極駐車場よりも需要が高い可能性があります。
デメリット
アスファルトコインパーキングとして土地を活用するデメリットは、以下の2つです。
- 月極駐車場に比べて賃料が安くなることが多い
- 2年縛りなどの契約条件がつけられることがある
運営会社に一括で土地を貸すと契約条件をつけられることが多いため、解約時に違約金が発生する場合があります。
砂利コインパーキング
砂利コインパーキングは、車をロックするフラップや、出入り口のゲートがありません。チケット発券機を設置すれば経営できるため、初期費用が安いのが特徴です。
メリット
砂利コインパーキングとして土地を活用するメリットは、以下の3つです。
- 初期費用が安い
- 郊外でも経営できる可能性が高い
- 転用しやすい
アスファルトコインパーキングよりも広い地域で経営できるのが特徴です。
また、土地を砂利コインパーキング以外の方法で使いたいと考えた際に、フラップや出入り口の撤去などの手間がかからないため、転用がしやすいのもメリットといえるでしょう。
デメリット
砂利コインパーキングとして土地を活用するデメリットは、以下の2つです。
- 1台あたりの賃料が安い傾向にある
- 不正駐車のリスクが高い
ほかの種類と比較して、1台あたりの収入が安くなる可能性が高いです。
また、フラップやゲートがないため、不正駐車をされる可能性が高いのはデメリットといえるでしょう。
まとめ:駐車場経営の比較一覧表
以下は、それぞれの駐車場経営を比較した表です。
アスファルト月極駐車場 | 砂利月極駐車場 | 立体駐車場 | アスファルトコインパーキング | 砂利コインパーキング | |
---|---|---|---|---|---|
収益性 | ○ | △ | ◎ | ○ | △ |
運用のしやすさ | △ | ◎ | × | △ | ○ |
維持費 | ○ | △ | △ | ◎ | ◎ |
管理の手間 | ○ | △ | ○ | ◎ | ◎ |
土地活用で駐車場経営を始めるときのポイント
土地活用で駐車場経営を始めるときのポイントは、以下の3つです。
- 土地を駐車場にするための費用を準備する
- 土地の広さや条件から駐車場の形態などを決める
- 必ず複数社のプランを比較する
経営を成功させるには、入念な事前準備が欠かせません。
土地を駐車場にするための費用を準備する
駐車場経営を始めるために必要な費用は、以下のとおりです。
- 既存建物がある場合の解体費用
- アスファルト整備費用や砂利整備費用
- 車止め設置費用
- 区画線の整備費用
- 隣地境界線のブロック塀などの造成費用
土地を駐車場にするための費用は数百万円以上かかることがあり、土地の形状や接道条件などによって価格は変動します。また、依頼先によっても価格に差があるため、複数の会社に見積もりを依頼して比較するのがおすすめです。
種類によっては、運営会社が費用を負担してくれるケースもあります。
土地の広さや条件から駐車場の形態などを決める
一般的に、1台あたりの車室の面積は12.5㎡必要とされています。ただし、前面道路との位置関係によっては、車路が必要になるため注意が必要です。
台数ごとに必要な土地面積の目安は以下のとおりです。
台数 | 車路なし(単位:㎡) | 車路あり(単位:㎡) |
---|---|---|
5台 | 62.5 | 125 |
10台 | 125 | 250 |
20台 | 250 | 375 |
50台 | 625 | 937.5 |
このように、土地の広さや条件から、向いている駐車場の形態がある程度決まります。
必ず複数社のプランを比較する
駐車場経営には多くの種類があり、土地の形状や立地によって、収益性や造成費用などが異なります。
また、土地によってはほかの活用方法が向いている可能性もあります。
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複数のプランからそれぞれのメリットやデメリットを考慮したうえで、自身の予算に合わせてどの種類を選択するか検討しましょう。