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不動産コンサルティングって何?

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不動産コンサルティングって何?

不動産会社の中には、ただ単に物件の購入や売却、賃貸探し等を取り扱っているだけではなく、相続の問題などに専門的に携わっている企業が数多くあります。企業のHPを見ていても「不動産コンサルティング事業」という言葉をよく目にするようになりました。

では「不動産コンサルティング」とはどういったものなのでしょか?不動産会社にはどんなことを相談できるのか?

また、安心して相談できる不動産会社を見極めるポイントはどういった部分なのか。有限会社アイホーム 早川代表に実例を交えながらお話を伺いました。

不動産コンサルティングとは

―――― 不動産コンサルティングという言葉をよく耳にするようになりました。具体的にはどういったものなのでしょうか?

不動産コンサルティングと広く銘打っても、その範囲の広さから専門性が問われるものであり、依頼企業に何のコンサルティング能力があるかというところで大きく違います。

  • 「有効活用」・・・遊休地に建物を立てて利用したり、土地を売却してマンションへ買い換えるというようなコンサルティング。
  • 「相続関係」・・・相続税の減税が受けられるかどうか、「相続税対策」「相続(分割)対策」のようなコンサルティング。
  • 「賃貸経営」・・・空室リスクの大きいようなマンションの、改修計画をたて稼働率を上げるためのコンサルティング。
  • 「管理業務」・・・建物の維持管理業務を伴うコンサルティング。上記のように、「不動産コンサルティング」は非常に多岐に渡っています。

それぞれの企業には実績の差と得手不得手がありますから、これら全てに完璧に対応できるということはほとんどないと思います。

―――― 不動産コンサルティング業というのは一般的な不動産業、宅地建物取引などとは関係ないのですか?

はい。仲介業、建設業、分譲業などとコンサルティング業は別な業種です。
中には「不動産コンサルティング」という言葉を使ってお客様を誘導し、自社の不動産業に結び付けるような企業もいることは確かですが、本来のコンサルティング業は、他の業種との結びつけるためにやるのではなく、それ自体でフィーを受けられる仕事をしています。

例えば地方の不動産の取引をやる場合、不動産コンサルティング業者は「脳みそ役」をやり、実際の取引は地元の不動産会社に依頼してスムーズに話を進めるようにサポートします。

同じ仲介業を事業にしているとしても、自社の手数料収入を優先せずに優良な仕事をしてもらえる他社へ依頼することで、円滑な取引を進めるように考えるのが本来の不動産コンサルティングです。

―――― なるほど、自社の不動産業に強く結び付けず、あくまでも「脳みそ役」であると。

有限会社アイホーム 早川代表01

有限会社アイホーム 早川代表01

そうです。不動産コンサルティングを本業でやってらっしゃる方の中には、宅建業の免許を持たない企業もあります。宅建業免許を持ってしまうとポジションの違いを明確にできないからでしょうね。

あくまで「脳みそ役」としてコンサルティング契約をして、安心安全な取引を計画的に進めることができるということです。仲介業や建設業などを営む企業にコンサルティングを依頼するならば、ちゃんと本業とセパレートして考えているかが重要です。

そういったコンサルティングと、不動産会社だから専門知識に関する相談に応じる業務をコンサルティングとするのとでは大きな違いがあります。

―――― それぞれの分野別にコンサルティングを任せた方が良いのですか?

はい。企業それぞれで特化している分野はどこなのか。コンサルティングとしてやれるものは何なのかをよく吟味するべきだと思います。

例えば、弊社は相続関連のコンサルティングに特化していますが、お客様が「遊休地にマンション建てたいです」といった建築のコンサルティングを依頼されても、資産組替のように資金に関することくらいしか応えられません。

なぜなら設計のノウハウや、建築コストを削減するためのアドバイス、監理・監修をどの工務店に、電機会社にどんなものを分離発注すれば良いものができるのか。後々のメンテナンスをしていくのに支障がないか、先々30年後まで考えてローンはどういったモノが良いのか。といったことはそれ専門のコンサルティング能力がなければできません。

不動産会社の探し方

―――― では、専門的な知識に乏しい一般のお客様が、安心して相談できる不動産会社を見つけるには、どういった部分をポイントに探せばいいと思いますか?

まず、その分野の実績があるかどうかが重要です。先ほどの建築のコンサルティングにしても、建築会社であったり、建築士の資格があってもできるというわけではありません。その分野でどれぐらいの実績があるのかを見るのはとても大事なことです。

また、例えば税務が出てきたときは、その専門分野に強い税理士がすぐに相談に参加してくれたり、法務が出てきたときは、同様な案件をいくつも一緒に解決してきた弁護士がいるように「専門家パワーチーム」で動いているところは、一般の方が安心できる企業だと思います。

もちろん弁護士や税理士の中でも専門分野が分かれますが、一定の実績がある企業は、これまでに連携した士業としっかりとしたネットワークを持っているはずであり、そういった専門家を常に使える環境があるかも重要です。

―――― なるほど。企業を選ぶときに1社にだけに絞るべきなのですか?

有限会社アイホーム 早川代表02

有限会社アイホーム 早川代表02

いいえ、当初の相談は1社だけに決めず複数社へ相談し、入口の提案や説明を聞きながら、ご自分と企業スタンスや担当者との相性をみた方が良いと思います。

具体的な数はないですが、一つの案件に対して2、3社。いろんな意見が出てくると思いますが、話がどんどん進行してしまってから相談先を変えることはできないので、はじめの2回くらいは、セカンドオピニオンを聞くつもりで数社の意見を聞きながら進む方向を決めた方が良いでしょう。

―――― コンサルティングに任せてしまったら、全部丸投げにしてしまう方も多いと思いますが。

お客様によってそれぞれですが、そういう方であっても計画の軸がぶれないようにしっかりとコミュニケーションをとって、どんな目的でそれを勧めているかということを、きちんと見なおして説明し、先を見通した提案ができる会社を選ぶべきですね。

ただ、受け手としても短い期間でお客様の真意を聞くことは困難です。
徐々に話をしていく中で案件の「芯の部分」はどういうことで、安心でハッピーな答えは何なのかを共に話し合って導き出していくことが重要ですね。

―――― 短期間で結論を求めない方が良いですか?

最初から決めつけて「こうやった方が良いですよ」と言ってくるところはまずやめた方が良いと思います。即答はあり得ないと考えてほしいですね。不動産コンサルティングはそんなに簡単なものではありません。

たとえ確認したい書類が1日で揃ったとしても、データや書類だけでは相談者の希望や理想や不安、ご家族の意見やその本心を見抜くことは不可能です。

それらは、お客様とのコミュニケーションのなかで「私はこう思っているけれども、旦那は違うみたい」や「子供たちはそれぞれで意見が違う」といった話を聞きながら、仮定を踏まえていくつかの選択肢を出していく。
そうやっていくつもの選択肢が広がっていくような本幹を示す提案でなければいけません。

結論を急かして、不動産会社が自社の仕事になるように「売りましょう」「今欲しい人がいます」と利己的に提案するのはコンサルティングではありません。

不動産の相続に関するコンサルティング

―――― では、早川様はどういったことが専門でコンサルティングをしているのですか?

弊社の場合は「相続関係」に対するコンサルティングがメインです。ひとえに「相続」といっても範囲が多岐に渡ります。「節税」もあれば「相続対策」などもそうですね。

例えば、相続対策と呼ばれるものは「納税対策」「分割対策」「節税対策」という3つに分けることができます。そしてこのそれぞれに対してコンサルティングをしていくのです。

  • 「納税対策」・・・相続税が発生したときに、どうやって納税資金を確保するか。
  • 「分割対策」・・・不動産資産などを誰にどうやって分けるかをとりきめる。
  • 「節税対策」・・・いかに相続税の納税額を下げるか。

―――― 不動産に関する相続ではどういったことがトラブルになりやすいのですか?

それは「不動産の共有」ですね。これは相続のプロは必ず言います。同世代の方で不動産を共有すると、売りたい方と売りたくない方が出てきます。そういったときに親族間でもめてしまうんですね。

皆さんが勘違いされがちですが、そういった共有財産は全員の合意がなくても売却することが可能です。
誰かが反対しても「共有物分割請求権」という権利が共有者全員に認められています。

そもそも民法の作りというのは、単一のものは単一の所有者であることが一番安定しているという考え方です(一物一権主義)。ですから共有物は、いつでも共有物の分割請求という申し立てを裁判所に行うことができます。

どんな財産も結果的には分割して分けるのですが、土地や家といった不動産は均等に分けることがとても困難ですよね。
不動産の場合には、他の共有者が持分を買い取るか、全部を競売で売却して(お金に換えて)分割します。

―――― なるほど。共有された不動産を分けるときに問題が起こりやすいと。

そうです。不動産の共有は、その共有者の数だけ

  • 「持分をお金に換えたい」
  • 「自分の使う土地だけ分けてくれ」

という権利を持っていると言えます。

例えば不動産に共有者がいて、その共有者の1人がどうしても資金が必要だとなった場合。どうやって分けるかといった分け方や、そこに住んでいる他の共有者がいらっしゃった場合などは特にもめる可能性があります。

―――― そういった複雑な問題解決のための相続コンサルティングなんですね?

事前対策では、資産が共有しないで分割できるように、価値のバランスや資産の形を調整したりします。
例えば遠方に嫁がれた娘が相続する場合、実家近くの不動産を相続するよりも、それらを目の届くところのアパートに買い替えて持っておけば、家賃収入や老後の安定に繋がりますよ、といったアドバイスですね。

実際の事例を用いた解説

―――― では、具体的にどういった相談が相続コンサルティングに寄せられるのでしょうか。早川様が実際に取り扱われた事例をご紹介します。

有限会社アイホーム

有限会社アイホーム

事例

6億円程の価値のビルを3人の兄妹が共有で持っていた。
長男の主張が強く通る兄妹で、稼業やビルの管理などを長男が全部やっていた。
ビルの家賃収入は、二男や長女には十分に支払われず、長男が継いだ会社の経営に充てられていた。
そんな状況下、長女からビルを売却したいという相談が。
もちろん長男は反対したが、その矢先に長男が亡くなってしまった。
すると今度は二男が権利を強く主張し、管理などを全て二男がやるという流れに。

―――― 上記の事例で早川様はどういった対応をされたのですか?

二男様が権利を主張されてから半年ほどかけて説得していって、結果的に売却という依頼者の希望の流れになりました。もちろんそのときには、弁護士や税理士とも連携しました。

―――― 一番大変だったことは何でしたか?

一番大変だったのはビルの価格の決め方でした。ビルを売りたくない二男様は6億円ぐらいの物件を「7億5,000万円・8億円なら売っても良い」と強く主張されていました。そういった無理で利己的な主張を徐々に現実的なものに変えていく過程ですね。

―――― 結果的にどうやって価格が決まったのですか?

最終的には「価格を決める決め方」を「決める」という会議を開き、1人2社ずつ見積りを依頼し、それぞれの会社から出てきた査定額の平均値・平均額を最低入札額として、入札方式で買い手を決めるようにしました。

―――― なるほど、「価格を決める決め方」を「決める」ところから始めたんですね。

どうやったら皆が納得するかを導き出すことが重要でした。
もしも、そこで私が「弊社の査定価格でやりましょう」と自分の手数料利益のために取引を独占しようとしていたら、売却できなかったと思います。「決め方を決める」ところから膝を合わせてみんなで話をしていったので、上手くいった事例ですね。

弁護士とコンサルタントの違い

―――― 弁護士とも連携したと仰っていましたが、こういった相談を弁護士に相談することはできないのですか?

可能なことは可能です。しかし、弁護士に相談した場合と不動産(相続)コンサルティングに相談した場合とでは、結果は大きく違うと思います。

弁護士は依頼者の利益を守るという立場での代理人ですし、法律家として法律を駆使する仕事なので、長期間をかけて権利者の意見を調整することはできないでしょう。
このケースでは、一定の交渉をして進展しなければ共有物の分割請求を行って依頼者の持分を換価します。

一方相続コンサルティングは、その人たちの最終的な着地点を見つけることが仕事です。
つまり販売価格はいくらが良いか・権利がどれだけあるのかは問題ではありません。 親族の皆が納得できるゴールへ行くには何が必要かを見つけ出すというところで着目点が違うのです。

事例の件では共有物分割請求をしても、現物を分割できず、共有者のだれも他の持分を買い取る資力がない状態でしたので、最終的には競売になる可能性があります。
そうなってしまうと、通常の売却価格からみて大きな損失となってしまいます。だからこそ初めのうちに、皆が会って決められるうちは、なるべく弁護士を立てずに話し合って決めませんか?という提案をします。

法律なので行く先は決まっています。
でも、そこに辿りついてしまったらみんな面白くありませんよね?

私が皆様の知恵袋になってアイデアを出しますから、皆で決めて行きましょうという提案をします。

―――― 相続問題に関して、相続アドバイザーとして一言お願いします。

相続の相談というのは、トラブルになってから来る方が非常に多いです。
もしも前段階でいろいろ事前対策をしていればトラブルにならずに済んだケースが沢山あります。

なかなか生前に亡くなる話を先にしたくないでしょうけど、事後になったら私たち専門家ができることは、とても限られてしまいます。
例え最高裁の裁判長でも法定相続分に1円の差も付けられません。

その遺産分割のバランスを取れるのは、生前の対策しかないのです。

いずれ必ず訪れる相続を専門家と一緒にゆっくりと考えて行きましょう。

―――― ありがとうございました。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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