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- 地上げとは?地上げ屋のやり方や背景をわかりやすく解説
最近は聞くことの少なくなった言葉に「地上げ」があります。土地の売買が活発だったバブル景気の時期に、不動産会社が土地を買い集めたことで注目を集めました。
地上げには怖いイメージがありますが、不動産会社にとってはごく普通の業務です。
最近では、地価の下落傾向が収まり、都心部では地価の上昇がみられます。そのため、再び地上げをする不動産会社も多くなり、身近な言葉として聞く機会が増えるかもしれません。
本記事では、地上げの概要や具体的な手口を解説します。また、土地売却における地上げとの関係も紹介します。
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もくじ
地上げとは、不動産会社などが土地を買い付けることです。
地上げに怖いイメージを抱いている人もいるでしょう。地上げの概要やその背景を解説します。
地上げという言葉がよく知られるようになったのは、1986年12月~1991年2月ごろまでのバブル景気のときです。
全国の都市で地価が上昇し、土地を仕入れて転売することで大きな利益を生み出すことができるようになり、誰もが不動産の価格は必ず上がるという「土地神話」を信じ込みました。
そのため土地を売るつもりのない所有者に対して、土地を売らせようとする働きかけが強くなりました。ときには、借地に建てた住宅が壊されるなど、強引な手法もみられるようになりました。
地上げの怖いイメージは、こうやって作られました。
しかし、地上げの本来の意味は、土地を買い集めることです。たとえば、住宅用地として分譲する目的で、まとまった土地の所有者と交渉を行い、買い取ることなどをいいます。
「地上げ屋」や「地上げ業者」という看板をかかげて、地上げビジネスを行う不動産会社は少ないです。しかし、地上げそのものは不動産会社にとって重要な仕事のひとつです。
不動産には、以下のようにさまざまな権利があります。
不動産売買では、これらの権利を調整して、継続する権利や消滅する権利を明確にします。それにより、権利を譲渡する人と譲受する人が、トラブルなく適正な取引ができるようにする必要があります。
これらは、宅地建物取引業法が規定する業務です。宅地建物取引業者である不動産会社は許可を受けて、取引する当事者の代理や媒介をします。
したがって宅地建物取引業者であれば、依頼を受けて地上げ業務を行うことはごく自然なことです。宅地建物取引業者自らが、事業開拓のために行う地上げもあります。
バブル景気のころに、有名な不動産ビッグプロジェクトがありました。約17年の歳月を要した六本木ヒルズです。ここでも、地上げといえる過程を経て開発が行われました。
六本木ヒルズ森タワー
六本木ヒルズは、本社ビルの建替えを計画していたテレビ朝日が、東京都港区に相談し「周辺の土地を含めた再開発」を示唆されたことが始まりといわれています。
再開発地区には関係する町内会が4つあり、一般の住民は500世帯にものぼります。合意形成ができないと、区域を一体とした再開発ができません。そのため、住民の合意形成までに10数年かかっています。
大口の地権者であったテレビ朝日とデベロッパーである森ビルの担当者は、地元住民への呼びかけを始めます。
しかし、このころすでに地上げという言葉が知られるようになっていました。そのため担当者は、地元住民から地上げ屋とレッテルを貼られ、厳しい反応を受けたそうです。
再開発事業は、住民の土地所有権を建替えするマンションの所有権に変換するものです。土地の購入をすすめるものではありませんが、一種の地上げといえます。
参照:森ビル株式会社「六本木ヒルズ:開発経緯詳細」
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地上げには、いくつかの種類があります。
それぞれどのような方法なのかみていきましょう。
工場や倉庫、店舗、事務所などは立地条件を重視します。建設希望エリアに売地が存在しない場合でも、空き地や未利用建物が建つ土地があるようなケースがあります。
このような場合に、土地所有者を調べて売ってもらうよう交渉することは、地上げに該当します。
また、下記のようなケースも同じ種類の地上げといえるでしょう。
土地の所有者と、その土地の上に建つ建物の所有者が異なる場合があります。
ひとつの土地に対して、上記2つの権利が存在します。権利者が異なると、権利の移動は難しくなります。
借地権には地上権と賃借権の2種類ありますが、一般的に設定される賃借権は、権利移動に地主(底地権者)の承諾が必要です。また、土地を売却しようとしても、賃借権の付いた底地の売買相場価格は非常に低いです。
そこで、底地権と借地権を所有権として一体化することで、通常の土地として売買できます。
これらも地上げの一種といえます。当事者が直接交渉できない場合は、不動産会社に依頼します。
また、不動産会社が借地人と地主の両方と交渉して買い取り、所有権を一体化する方法も地上げに該当します。
借地人がひとりではなく、下記のような場合、権利関係が非常に複雑です。
このようなケースでは、ひとつのまとまった土地として活用することが難しいです。
そのため、時間をかけてそれぞれの地主と借地人の権利関係を調整しながら交渉することが必要です。
土地に対する権利だけでなく、建物が区分所有されている場合もあります。そうすると、交渉相手である借地人がさらに多くなるケースがあります。
権利関係が複雑になるほど、不動産会社は粘り強い交渉力と、権利関係を調整するノウハウや経験が必要です。不動産会社であれば、どの会社でも対応できるわけではありません。
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地上げは、不動産会社が行う通常の業務であり、「騙す・脅す」などの反社会的な行為ではありません。地上げを利用して、うまく土地の売却計画と組み合わせることができます。
ここでは土地の売却を検討する際に知っておきたい、地上げとの関わりについて解説します。
以下のようなケースでは、周辺や隣地を地上げして売却するほうが、有利な条件で取引できる可能性が高いです。
隣地の所有者と話し合いができる関係であれば、直接交渉で所有地を一体にして売却します。また、不動産会社に地上げを依頼して、一体にして売却する方法が考えられます。
このように、土地を高く売るためには、地上げを組み合わせた売却戦略が有効です。
しかし、周辺の土地を含めて一体の土地とするには、所有者自身が交渉することは難しいです。経験が豊富で、信用できる不動産会社に依頼しましょう。
売却予定はないものの所有している土地に「売りませんか?」と地上げの話があった場合を考えてみます。
不動産会社が地上げをする背景には、いくつかのケースがあります。
地上げはすでに述べたように、不動産会社にとってはごく普通の業務です。怪しいと感じたり大げさに警戒したりする必要はありません。
まず相場価格を確認して、地上げ価格が適正な金額かを検討しましょう。相場価格より下回っている場合は値段交渉をして、納得できる価格を提示してもらえるかを確認することが重要です。
もし地上げをしてきた不動産会社に不安を感じるのであれば、信頼できる不動産会社に媒介を依頼し、不動産会社同士で商談をまとめてもらうのが賢明です。
地上げに対応することも含め、不動産売却は信頼できる不動産会社に仲介を依頼するのが最善な方法です。
不動産会社は、土地や建物を売ったり買ったりする当事者になることもあれば、売りたい人と買いたい人の依頼により交渉する役割もあります。
地上げの活動もその一環で行われることです。不動産会社には、売りたい人と買いたい人双方の利益を守り、公正に取引を行うよう努力する社会的な責任があります。
しかし不動産会社を本当に信頼できるかどうかは、複数の不動産会社を比較して自身で判断する必要があります。
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