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土地だけ相続放棄はできない?対処法と手放すときの判断基準

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土地だけ相続放棄はできない?対処法と手放すときの判断基準

不要な土地を相続したくないと考える方は多いですが、相続放棄では土地だけを選んで放棄することはできず、その相続についてプラス・マイナスを含む権利義務を一切引き継がないことになります。

土地を相続する予定がある方向けに、基本的な相続放棄の考え方や判断基準、放棄できない場合の対処法について詳しく解説します。

土地だけを相続放棄することはできる?

土地を含めた相続そのものを放棄することはできますが、「土地だけ」など部分的な相続放棄はできません。なぜ土地だけを放棄できないのか、その理由と原則について把握していきましょう。

土地のみを相続放棄することはできない

そもそも相続放棄は「すべての財産を一括で放棄する」手続きのため、特定の財産だけを選んでの放棄はできません。相続放棄で特定の財産だけを選べない理由は、民法で相続が「包括承継」と定められているためです。

包括承継とは、亡くなった方の財産に関する権利や義務は、プラスのもの・マイナスのものすべてを相続人が引き継ぐことを意味します。この原則により、相続財産の中から「土地はいらないが、預貯金は欲しい」といったように、都合の良い財産だけを選んで相続することはできません。

相続放棄をする場合は、すべての財産を放棄するか、すべての財産を相続するかの二者択一となります。

参考:裁判所「相続の放棄の申述

ほかの相続人に土地を譲ることは可能

土地だけを手放したい場合、相続放棄とは別に「遺産分割協議」によって、ほかの相続人が土地を取得する方法があります。これは、相続人全員の話し合いによって、誰がどの財産を相続するかを決める話し合いです。

協議の結果、特定の相続人が土地を相続し、自分は他の財産を受け取る、あるいは何も相続しないといった内容で合意できれば、実質的に土地を手放すことが可能です。ただし、この方法は他の相続人全員の同意がなければ成立しません。

誰も土地の引き取りを望まない場合は、この方法で解決することは困難になるでしょう。

土地を相続放棄できない4つのケース

相続放棄には厳格なルールや期限があり、これを過ぎたり違反したりすると、放棄が認められない場合があります。以下では、相続放棄できない代表的なケースを紹介します。

相続の開始を知ってから3カ月以上が経過した

相続放棄は、「相続の開始を知った日から3カ月以内」と民法で厳密に定められています(民法915条)。原則として、期間内に相続放棄をしなければ「単純承認(=相続を受け入れた)」とみなされ、その後の相続放棄は難しくなります。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用:民法(明治二十九年法律第八十九号)「第九百十五条

特に注意すべきなのは、本人の過失や個人的な事情は基本的に考慮されない点です。「仕事が忙しくて家庭裁判所に行けなかった」「手続きを忘れていた」といった理由は、正当な理由として認められません。また、相続が開始した事実を知りながら、何の手続きもせずに3カ月を迎えた場合も同様です。

手続きに不備があったが、修正せず放置した

相続放棄の手続きは、家庭裁判所へ申述書を提出して終わりではありません。書類に不備があった場合は、家庭裁判所から補正や追加資料の提出を求められることがあります。

裁判所からの連絡を放置すると申述が却下されるおそれがあるため、速やかに対応してください。放置し続けてしまうと、最終的には「正式な申述がなかった」と判断され、申述を却下されるリスクがあります。

「書類を出したから大丈夫」と過信せず、裁判所からの確認通知や連絡にきちんと対応して、受理されたかどうかをきちんと確認することも大切です。家庭裁判所への申述が完了しないと、相続放棄ができなくなってしまうため、書類提出後も気を抜かず対応しましょう。

相続する土地の名義変更してしまった

不動産の相続放棄で、もっとも注意すべきなのが「相続財産の名義変更」です。自ら不動産の相続登記を行うと、相続財産を自己のものとして扱ったとして、単純承認に当たると判断される可能性があります。

たとえ「土地を売却するために一時的に名義を変えただけ」「親族に言われるがまま書類に判を押した」といった事情があっても、名義変更は所有者としての権利を行使したと判断されることがあるのです。維持費がかかる不動産を相続したくない場合は、名義変更の手続きには一切手をつけないようにしましょう。

良かれと思って登記を先に行ってしまうと、後から多額の借金が判明しても放棄できなくなるリスクがあります。自分の判断で動く前に、専門家に相談するなど慎重に対応することが求められます。

単純承認と判断される行為をしてしまった

相続放棄の意思があっても、相続財産に「手をつけた」と見なされる行動を取ると単純承認と判断され、相続放棄ができなくなる場合があります。

たとえば、被相続人の預金を自分のために使ったり、不動産を売却したりするなど、相続財産を処分すると単純承認と判断される可能性があるのです。見ささいな行動に思えても、法律上は重く扱われるため、「何をすると単純承認となるのか」をあらかじめ正確に理解しておくことが重要です。

参考:裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長

「相続放棄」と「相続後に手放す」のどちらを選ぶべき?

相続財産のなかに不要な土地がある場合、全ての財産を放棄する「相続放棄」か、一度相続した上で売却などを行う「相続後に手放す」かの判断が求められます。 選択の基準は、ほかに引き継ぎたいプラスの財産があるかどうかです。

また、売却が困難な土地の場合は、国庫に引き渡しを検討するなど出口戦略を考える必要があるため、スケジュールに余裕をもって判断することが大切です。

すべての財産を引き継がないなら相続放棄

特定の財産だけを選んで引き継ぐことはできないため、不要な土地を手放したいのであれば、預貯金なども含めたすべての遺産を放棄する必要があります。この際、注意すべきなのが「形見分け」の範囲です。

相続放棄を検討している間は、価値のある遺品を売却・換金したり、自分のものとして処分したりすることは避けましょう。形見分けが単純承認に当たるかどうかは、遺品の価値や行為の内容によって判断が分かれるため、価値のある品については自己判断で処分しないことが大切です。

一般的に、市場価値がほとんどない写真や手紙、使い古した衣類程度の持ち出しであれば形見分けとして認められる傾向にあります。相続放棄を確実に受理してもらうためには、家庭裁判所での手続きが完了するまで、被相続人の財産には手をつけないようにしましょう。

土地の価値がある場合は相続後に売却する

相続する財産の中に価値のある土地が含まれているのであれば、一度相続した後に売却して現金化する方法が有効です。相続後に売却を行うメリットとしては、土地という現物の資産を管理し続ける負担から解放され、最終的に現金として手元に資産を残せる点にあります。

特に都市部や再開発予定がある地域の土地など、市場価値が高い不動産であれば、売却代金で相続税や諸経費を十分にまかなうことも可能です。まずは不動産会社の査定を活用して、対象の土地にどれほどの価値があるのか、売却できる見込みがあるのかを把握します。

土地に価値があることが明確であれば、無理に相続放棄を考えるのではなく、相続後の売却による資産整理を計画的に進めるのが賢明です。

土地を相続放棄以外で手放す方法

相続した土地が遠方にあったり、維持管理に多大なコストがかかったりする場合、多くの人が検討するのが相続放棄です。しかし、相続放棄はすべての遺産を手放す手続きであり、預貯金など他の資産を引き継ぎたいのであれば、別の方法を使って土地を手放すことになります。

ここでは、相続放棄ができないケースにおいて、土地の所有権を円滑に手放すための具体的な方法を解説します。

3カ月を過ぎても相続放棄が認められる場合がある

相続放棄には原則として3カ月の期限がありますが、状況によっては「例外的に認められる」ケースも存在します。

たとえば、以下のような事情があれば、家庭裁判所に申述書と事情説明を提出することで、期限後でも相続放棄が受理される可能性があります。

  • 財産がないと思い込み、土地の存在に気づかなかった
  • 疎遠だった親族の死を、かなりあとになって知った
  • 相続人であることに本人が気づかなかった(戸籍が複雑など)

このように、「知らなかった」「気づかなかった」理由が合理的と判断されれば、裁判所が柔軟に対応してくれることもあります。3カ月を経過している場合は、弁護士などの専門家へ早めに相談しましょう。

不動産会社に依頼して土地を売却する

土地を所有することが負担になる場合、不動産会社を介した売却するのがおすすめです。「どうせ買い手がつかないだろう」と思い込んでいる土地であっても、専門家の視点で価値が見いだされるケースは珍しくありません。

まずは、複数の不動産会社へ査定を依頼し、市場の価値を把握することが重要です。その土地が「いくらで売れるのか」という具体的な見通しを立ててから、維持費や固定資産税を支払い続けるリスクと比較して売却を検討しましょう。

実際に、活用が難しいと思われていた山林や地方の原野であっても、隣地の所有者が買い増しを希望していたり、資材置き場としての需要があったりしたことで、早期売却に至る事例も存在します。自分一人で「売れない」と決めつけて放置せず、プロの意見を仰ぐことが負の資産を整理する第一歩です。

相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年4月27日より「相続土地国庫帰属制度」が開始しました。この制度は、相続または遺贈によって取得した不要な土地の所有権を、国に引き渡すことができる制度です。

利用するには、土地を相続したうえで法務局に承認申請を行います。建物がない更地であること、境界が明確であること、担保権が設定されていないことなど、引き取る際は厳しい要件が定められています。また、審査手数料のほか、承認された場合は10年分の土地管理費相当額として、負担金を納付する必要があります。

全国の法務局では、相続土地国庫帰属制度の相談を受け付けているため、不安点がある場合は担当者に質問してみましょう。

参考:法務局「相続土地国庫帰属制度について

隣地の所有者などへ譲渡・寄付する

売却が困難な土地であっても、隣地の所有者にとっては魅力的な土地の場合があります。隣地と一体化させることで、土地の形状が整い、建ぺい率や容積率の面で建築時の自由度が高まるなど、不動産としての価値が向上することがあるためです。

まずは法務局で登記事項証明書を取得し、隣地の所有者を特定したうえで、譲渡や寄付の交渉を検討してみましょう。 ただし、個人間での交渉は境界線の認識違いや契約内容を巡ってトラブルに発展するリスクが高いため、不動産会社や弁護士などの専門家を介して進めるのが確実です。

また、無償での寄付であっても、税金や所有権移転登記の費用などが生じる可能性があります。これらの費用をどちらが負担するのか、事前に明確な合意形成をしておくことも重要です。 隣地への譲渡が難しい場合でも、法人や自治体への寄付を検討してみるのも一つの方法です。

土地を相続放棄した後はどうなる?

相続放棄の手続きが家庭裁判所で受理されると、法的に相続権を失います。しかし、これで全ての責任から解放されるとわけではありません。他に相続人がいるかいないかによって、放棄後に負うべき義務が異なります。

相続放棄した土地がその後どうなるのか、また予期せぬ義務が残る可能性について正しく理解しておくことが大切です。

ほかの相続人がいれば相続権が移る

相続放棄をすると、その人は法的に「初めから相続人ではなかった」ものとして扱われます。その結果、ほかに同順位の相続人がいればその人たちが相続し、先順位の相続人が全員いない場合は、次順位の人が相続人となります。

具体的には、第一順位である子ども全員が相続放棄をした場合、相続権は第二順位である被相続人の父母や祖父母などの直系尊属に移ります。さらに、第二順位の相続人が全員放棄した、あるいは既に亡くなっている場合には、第三順位である兄弟姉妹、その代襲相続人である甥・姪へと権利が移動します。

ここで注意すべき点は、借金や未払金といったマイナスの財産もすべて次の順位の人へ引き継がれることです。何も知らせずに相続放棄を進めると、後順位の親族は身に覚えのない借金の督促を受けて混乱し、重大な親族間トラブルに発展するおそれがあります。

そのため、相続放棄の手続きを行う際は、あらかじめ次の順位にあたる親族に対して、放棄に至った事情や財産の状況を共有しておくことが大切です。相手が検討や準備を行えるよう配慮することが、トラブルを防ぐ鍵となります。

土地の保存義務が残る場合がある

相続放棄が認められれば、基本的に土地を引き継ぐ必要はありません。ただし、相続放棄をした時点でその土地や建物を実際に管理していた場合は、すぐに管理の責任がなくなるわけではないので注意が必要です。

次に土地を引き継ぐ相続人などへ渡すまで、土地や建物が荒れたり、周囲に危険を及ぼしたりしないように維持することなります。一方、相続放棄した時点でその土地を管理していなかった場合は、相続放棄したという理由だけで保存義務を負うわけではありません。

まとめ|土地の相続放棄では損を回避する選択をしよう

「相続放棄ができない」と知ったとき、多くの人が焦りや不安に駆られます。しかし、あきらめる必要はありません。実際には、状況に応じて以下のような対応策があります。

  • 相続の期限を過ぎていても、相続放棄が認められる場合がある
  • 放棄が却下されても、即時抗告によって不服を申し立てられる
  • 土地の価値を見極め、売却によって負担を現金に換える道もある
  • 借金や管理不能な土地には、債務整理など法的手段で対処できる

なかでも、「損をしない」ために重要なのは、土地の価値を正しく知ることです。「どうせ売れない」と思い込まず、まずは不動産の一括査定サイトでいまの土地の価値を確認してみましょう。相場の目安を知ることが、後悔しない判断につながります。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部アイコン リビンマッチ編集部

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