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土地の売却価格の正しい決め方は?後悔しない設定方法と相場の調べ方

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土地の売却価格の正しい決め方は?後悔しない設定方法と相場の調べ方

土地を売ろうと思ったとき、最初に悩むのが「いくらで売り出すべきか」という点です。安すぎると損をし、高すぎると売れ残ってしまい後悔につながります。

土地の売却価格には“正しい決め方”があります。相場の見極め方・査定額の扱い方・売り出し価格の適正ライン を押さえれば、迷わず適正価格を判断できるでしょう。

土地の売却価格を後悔なく決めるためのポイントと注意点を、短時間で理解できるように解説します。

土地の売却価格に「定価」はない!価格設定が重要な理由

土地には、決められた「定価」は存在しません。土地の場所・周辺環境・広さ・形状はすべて「一点モノ」であり、全く同じモノは存在しないためです。

さらに、売却時の不動産市場や売主と買主の事情も価格に影響します。

売却価格は売る側が自由に設定できますが、適切でない価格をつけてしまうと、売却活動の長期化や、最終的な手取りの減少を招いてしまいます。

適正価格が相場より高すぎると、買い手からの問い合わせが減少し、売れるまでの維持費用がかさみます。逆に低すぎる価格に設定すれば早期売却が期待できますが、本来ならもっと得られたはずの利益が手に入りません。

よりスムーズに土地を手放し、手取り額を最大化するには、適切な価格を設定することが重要です。

土地の価格相場を知るための5つの指標と調べ方

適正な売却価格に設定するには、自分の土地と似た特徴を持つ近隣の土地がいくらで売れているか調査しましょう。参考にすべきなのは、国や地方公共団体(自治体)が公表している以下5つの公的指標です。

  • 実勢価格
  • 公示価格(公示地価)
  • 基準地価(都道府県基準地標準価格)
  • 相続税路線価
  • 固定資産税評価額

ただし上記の指標では、周辺エリアの大まかな相場を知ることしかできません。実際の売却価格を決定する際は、土地ごとの個別の事情を加味する必要があります。

より売却時の価格に近い相場を知りたい方は、不動産会社の査定と組み合わせると適正な相場感がわかります。

実勢価格:実際に取引された価格【最重要】

実勢価格とは、実際に土地の売買が成立した際の成約価格のことです。市場で取引された価格そのもののため、売却価格を検討するうえで最も重要な指標といえます。

例えば、2,500万円で土地を売りに出したものの、買い手との交渉の結果2,000万円で売買が成立した場合は、2,000万円が実勢価格です。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、不動産を購入した人を対象とした『不動産取引アンケート調査』に基づき、取引時の価格データを3カ月ごとに公表しています。

また、現在売り出されている土地の価格を確認したいときは、SUUMOなどの大手不動産ポータルサイトが役立ちます。

ただし、取引件数の少ない地方部や近隣で取引がない場合、事例が古すぎる場合は実勢価格を調べられません。その場合、次に紹介する公示価格や基準地価を参考にすることで、価格を推測できます。

公示価格(公示地価):国が示す目安の土地価格

公示価格(公示地価)とは、国土交通省が毎年1月1日時点の「正常な価格」として公表する土地取引の指標です。

「正常な価格」とは、売り急ぎや買い急ぎといった特別な事情がなく、通常どおりの取引が行われた場合に成立するであろう価格のことです。つまり、売主・買主が対等な条件で取引した場合が、適正な価格の目安といえます。

主に公共事業の用地取得をする際の基準として用いられますが、国が公表しているため客観性が高く、一般的な不動産取引にも利用されています。

実勢価格と同様、公示価格も「不動産情報ライブラリ」で検索可能です。サイト上は「地価公示」と表示されますが、地価公示は一般的に公示価格とほぼ同じ意味で使用されます。ちなみに、公示価格は標準地のみの価格であり、近隣地域すべての土地の価格を示したものではありません。

実際に売却価格を決めるときは、標準地と形状や接道状況などを考慮して決定することが不可欠です。

基準地価(都道府県基準地標準価格):公示価格の補完

公示価格をカバーする役割を果たすのが、各都道府県が公表する基準地価(都道府県基準地標準価格)です。

対象範囲が公示価格と異なり、都市計画区域外も対象としています。公示価格と組み合わせることで、地域全体の価格基準をより正確に把握できます。

例えば公示価格で選定される標準地は、地価公示法の定めにより主に都市計画区域内の土地が中心です。

一方、地方部では都市計画区域外の土地も多く、公示価格だけでは十分に把握できないケースがあります。そのため、基準地価もあわせて確認することは相場を知るために有効な方法といえるでしょう。

また、公示価格は1月1日時点での調査なのに対し、基準地価は7月1日時点であることから、地価動向のトレンドを追ううえでも有用です。

基準地価は都道府県が公表していますが、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」から閲覧できます。

相続税路線価:相続税・贈与税の基準

相続税路線価は、主要な道路に面した土地1平方メートルあたりの価格のことで、国税庁が毎年1月1日時点のデータを公表しています。

一般には「路線価」と呼ばれることが多く、相続税や贈与税の計算に用いられます。実際の取引価格(実勢価格)とは異なる点には注意が必要です。

一般的に、相続税路線価は公示価格のおよそ80%を目安として考えられています。

相続税路線価は、国税庁のWebサイトで公開されている「路線価図・評価倍率表」から、誰でも無料で調べられます。

ただし、郊外の土地や農地などは路線価が設定されていない「倍率地域」とされ、「倍率方式」で評価額を算出する必要があります。

固定資産税評価額:固定資産税の基準

固定資産税評価額は、市区町村(東京23区の場合は都)が、固定資産税・都市計画税などの税金を計算する際に基準とする価格のことです。

税金の計算基準であるため一般的な取引価格(実勢価格)とは異なりますが、おおよその相場は以下の計算方法で求められます。

  • 公示地価の目安=固定資産税評価額 ÷ 0.7
  • 実勢価格の目安=(固定資産税評価額 ÷ 0.7) × 1.1~1.2

固定資産税評価額は、毎年4月〜6月頃に自治体から送られてくる納税通知書に同封された、「課税明細書」で確認できます。また、市区町村の窓口で固定資産課税台帳を閲覧することでもチェック可能です。

評価額の見直し(評価替え)は3年に一度しか行われないため、地価や市況が急激に変動した場合は、評価額と市場価格が乖離するケースがあるため気をつけましょう。

土地の「売り出し価格」を決める具体的な3ステップ

公的な5つの価格基準を紹介しましたが、これらはあくまでも個別の事情を考慮していないため、あくまで目安にすぎません。

そのため、実際に土地の売り出し価格を決定するときには、次の3ステップで進めてみてください。

  1. 複数の不動産会社に「査定」を依頼する
  2. スケジュール・売却目的から売却戦略を明確にする
  3. 値下げ・価格交渉を想定して「売り出し価格」を決定する

ステップ1:複数の不動産会社に「査定」を依頼する

不動産会社に査定を依頼すると、近隣での成約事例や市場予測などを元に、プロの目線から相場を算出してくれます。

地形や接道状況、周辺環境など土地固有の条件が細かく反映されるため、より正確な売却価格の予測が立てられます。

査定方法は、訪問を行わず土地のデータだけで査定する「机上査定」と、実際に現地を訪れる「訪問査定」の2種類です。

土地の査定方法:机上査定と訪問査定
土地の査定方法机上査定訪問査定
査定の仕方現地調査は行わず、住所や土地面積、近隣の過去の取引などのデータから査定担当者が実際に土地を訪れ、現地や周辺環境の状況を確認して査定
メリット
  • 早ければ当日には査定が完了する
  • オンラインで完結する
  • より正確な査定額を出せる
  • 担当者から価格の根拠を聞ける
デメリット
  • データのみのため査定精度が低い
  • 担当者と話せる機会がない
  • 査定結果が出るまでに時間がかかる
  • 査定の結果を聞くために日程調整が必要

どちらの査定も、多くの場合は無料で依頼を行えます。査定額を確認するときのポイントは、より客観的な相場を知るために、複数の不動産会社の査定結果を比較することです。

1社しか依頼しない場合、査定額が妥当なのかどうかを判断する材料がなく、適正な相場の把握が難しいでしょう。最低でも3社、可能であれば5社以上の査定を受けると、見落としや偏りをなくせます

複数の不動産会社に査定を依頼する際は、不動産の一括査定サイトを使うのがおすすめです。

基本情報をフォームに記載すれば、一度にまとめて査定を依頼できるため、入力の手間や探す時間が大幅に省けます。

最初は広くに机上査定を依頼し、信頼性の高い担当者に訪問査定をお願いすれば、効率的に相場を確認できるでしょう。

ステップ2:スケジュール・売却目的から売却戦略を明確にする

相場と比較してどの程度の価格を設定するかは、売買戦略のうえでも重要です。売却戦略を決めるには、まず 「いつまでに売りたいか」 と 「売却する目的」 を整理しましょう。この2つを明確にすることで自然と戦略の方向性が定まり、適切な価格の設定が可能になります。

早期に土地を現金化したい場合、多くの買い手が興味を持つように、相場価格かそれよりやや低い金額に設定するとよいでしょう。

逆に高く売りたい場合は、市場価格よりも多少高めに設定し、時間をかけて評価してくれる買い手を見つける方法が有効です。

売却戦略別の価格設定
売却戦略早く売りたい場合高く売りたい場合
価格設定相場価格か、相場より少し安めの金額相場より高めの金額
メリット売却期間の短縮なるべく高い売却額と手取り額
デメリット得られたはずの利益を失うリスク
    • 売却活動の長期化
    • 維持管理費の増加

例えば、マイホームの購入で買い替え資金を確保したい場合、なるべく早く現金化するために相場よりも多少低い価格にする必要があります。

一方、相続した土地などで急いで売却する理由がないときは、なるべく高く売れるように金額を設定したいところです。

売却戦略があいまいだと、買主との交渉姿勢も定まりません。期待通りの結果を得るためにも、正しい戦略と価格設定が不可欠です。

ステップ3:値下げ・価格交渉を想定して「売り出し価格」を決定する

売り出し価格は、買い手からの「値下げ交渉」が入ることを前提に設定しておくと安心です。

土地には「定価」がなく、買主側はなるべく安く買いたいと考えるため、値下げ交渉は一般的に行われています。100〜200万円程度の価格交渉もあることから、それを見込んだ価格設定にしておけば柔軟な対応が可能です。

値下げ交渉に備えて、土地が持っている「強み」と「弱み」を事前に把握し、不動産会社と共有しておくことも重要です。

強みを買い手にアピールできれば価格交渉を優位に進められ、弱みがあるときはあらかじめ価格に反映しておくことで、大幅な値下げを防ぎやすくなります

残置物の撤去・汚染調査など、解決可能な軽微なものであれば、価格への影響を抑えるために事前の対応も検討してみてください。

また、やや高めの金額に設定しても、そのままの金額で成約するケースもあります。交渉の余地を持たせておくことで、売買成立へ向けてスムーズな話し合いにつながります。

土地の売却価格設定で後悔しないための3つの注意点

土地売却で「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、注意が必要なポイントを抑えておきましょう。

  • 「高すぎる査定額」には注意
  • 値下げの「タイミング」と「回数」は慎重に決める
  • 諸費用を考慮した「手取り額」を必ず計算する

不動産会社の「高すぎる査定額」を鵜呑みにしない

土地の査定を依頼した際、他社と比べて突出して高い査定額を提示する不動産会社には注意が必要です。

他社と同じ成約事例や周辺相場を基にしているにもかかわらず、「高値で売れる可能性がある」として、10%以上高い価格を提示する不動産会社もあります。

相場よりも高すぎる価格設定にしてしまうと、売却活動の長期化や、最終的には大幅な値下げにつながってしまいます。

高すぎる査定額に惑わされないようにするには、次の2点を心がけてください。

  • 必ず複数の不動産会社に査定を依頼
  • 査定金額だけでなく、査定の根拠もチェック

複数社から売却価格の見積もりを出してもらえれば、不自然に高い価格を設定している不動産会社は相場から外れていると見抜けます。

高い査定額を出された場合は、算出した金額の根拠や販売戦略をチェックし、妥当かどうか確認しましょう。

値下げは「タイミング」と「回数」が命

買い手から反応がないときには値下げを行うのも戦略のひとつですが、短期間で何回も行ってしまうと、かえって不利になるおそれがあります。

基本的には頻繁な値引きはせず、買い手が目を引くような大きな価格変更を一度だけするのがおすすめです。

小規模な値下げを複数回行うと、価格を見ている買い手から「もっと値引きできるのでは」と、追加で値下げ交渉が行われるおそれがあります。

また、ポータルサイトでの金額検索にかかりやすくなるよう、キリの良い数字まで思い切って下げるのも効果的です。

値下げのタイミングとしては、売り出しから2〜3カ月たっても成約に至らない場合や、価格を理由に断られることが多いときなどが挙げられます。

東日本不動産流通機構によれば、首都圏の土地が登録されてから成約に至るまでの期間は、約80〜90日です。

首都圏の土地が登録されてから成約に至るまでの日数平均
年度土地の登録から成約までの日数
2022年度83.6日
2023年度79.0日
2024年度89.4日

引用:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)

土地の状況によっては平均以上に時間がかかる場合があります。売却活動をともに行う不動産会社と連携しつつ、市場の反応を見ながらタイミングと値下げ幅を検討してください。

最終的な「手取り額」を計算して価格を決める

土地の売却価格を設定する前に、仲介手数料や各種税金、その他の諸経費を差し引いた最終的な手取り額を必ず計算しましょう。売却した金額が高くても、諸費用が思ったよりもかさんでしまい、手残りが少なくなる可能性があるからです。

土地売却にかかる主な諸費用は以下のとおりです。

土地売却にかかる主な諸費用
主な諸費用内容
仲介手数料「(売却価格 × 3% + 6万円)+消費税」で算出※400万円超の売却の場合
印紙税売却価格に応じて変動
登記費用抵当権の抹消に必要な登録免許税や、司法書士に依頼した場合の報酬
譲渡所得税・住民税売却利益に対して、39.63%(所有期間が5年以内)もしくは20.315%(所有期間が5年以上)の税率※2037年まで復興特別所得税として所得税の2.1%が加算
その他費用測量費用やインフラ工事費、残置物撤去費用など

マイホームを建てていた土地や相続した土地を5年以上所有していた場合は、特例控除によって節税できる可能性があります。

売却時の具体的な手取り額については、シミュレーションを行ってくれる不動産会社もあるため、事前に相談してみるとよいでしょう。信頼できる不動産会社や担当者を効率よく探すには、不動産の一括査定サイトによる比較がおすすめです。

土地の価格は、国や地方公共団体が公表する指標を比較することで大まかな目安がつかめます。しかし、実際に売り出す価格を自分だけで判断することは難しいでしょう。複数の不動産会社に査定を依頼して比較すれば、適切な売却価格の基準が明確になり、後悔のない売却ができます。

リビンマッチでは、一度の入力で複数の不動産会社へ土地の査定依頼が可能です。手間をかけずに相場感をつかめるので、スムーズな売却計画を立てられます。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部アイコン リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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