土地の売却価格の決め方は?売り出し価格を設定する方法

土地の売り出し価格は、周辺の成約事例や不動産会社の査定価格を参考にして売主が決めます。つまり、査定価格をそのまま売り出し価格にするのではなく、売主の事情も含めてよく検討する必要があるのです。できるだけ高く売りたいのか、期限までに売りたいのかなどによって、適した売り出し価格は異なります。
相場より高すぎる価格では購入希望者が集まりにくく、安く設定しすぎると本来得られたかもしれない売却代金を逃すおそれがあります。また、土地の形状や接道状況なども価格に影響するポイントです。
この記事では、土地の売却価格を決める4つの手順と、土地を売り出すときの考え方、価格設定の注意点を解説します。
この記事でわかること
- 土地の査定価格・売り出し価格・成約価格の違い
- 土地の相場や査定価格から売り出し価格を決める4つの手順
- 高く売りたい・早く売りたい場合の価格設定と値下げの注意点
もくじ
土地の売却価格は誰がどうやって決める?
土地に定価はありません。売り出し価格は売主が設定し、実際の成約価格は購入希望者との交渉を経て決まります。価格を考えるときは、まず、査定価格、売り出し価格、成約価格を区別しましょう。
査定価格・売り出し価格・成約価格の違い
| 価格 | 意味 | 決め方 |
|---|---|---|
| 査定価格 | 不動産会社が算出する売却見込み価格 | 周辺の成約事例や土地の条件、市場動向などを参考に算出 |
| 売り出し価格 | 土地を販売するときに購入希望者へ提示する価格 | 査定価格や売却希望条件をもとに売主が決定 |
| 成約価格 | 売買契約で売主と買主が合意した価格 | 購入申込みや価格交渉などを経て決定 |
たとえば、査定価格が3,000万円の土地を3,150万円で売り出し、交渉の結果3,050万円で契約した場合、売り出し価格は3,150万円、成約価格は3,050万円です。査定価格は、成約価格を保証するものではありません。
売り出し価格は売主が決める
不動産会社は査定価格や販売方針などを提案しますが、いくらで売り出すかは最終的に売主が決めます。ただし、売主の希望する価格だけで売り出してしまうと、市場の需要とかけ離れた金額になるおそれがあります。
価格を高めにする場合は、購入希望者がその金額でも選ぶ理由があるかを確認しましょう。反対に、早く売りたいからといって、十分に相場を確認せず安く設定する必要もありません。
土地の売り出し価格を決める4つのステップ
土地の売り出し価格は、次の順序で考えると整理しやすくなります。
- 近隣の成約事例から相場を調べる
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 売却期限と必要な資金を確認する
- 売り出し価格と最低売却価格を決める
ステップ1:近隣の成約事例から相場を調べる
まずは、条件が近い土地が実際にいくらで取引されたかを調べます。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、地域や取引時期などを指定して土地の取引価格を確認できます。
価格を比較するときは、総額だけでなく1㎡あたりの単価に注目してください。土地面積が異なっていても比較しやすくなります。
相場を計算する例
近隣にある条件の近い土地の成約単価が20万円/㎡で、売却予定の土地が150㎡なら、20万円×150㎡=3,000万円が参考価格になります。
ただし、これは周辺の単価を当てはめただけの参考価格です。土地の形状、道路との接し方、建築上の制限などが違えば、同じ単価で売れるとは限りません。成約事例が少ない地域では、取引時期が古い事例しか見つからないこともあります。
不動産ポータルサイトで現在の売り出し価格を調べる方法もありますが、掲載価格は成約価格ではないため、区別して参考にしましょう。
ステップ2:複数の不動産会社に査定を依頼する
土地の価格は、周辺の取引価格だけでは判断できません。土地の形状や接道状況、周辺環境、建築上の制限などを踏まえるため、不動産会社の査定を受けます。
査定には、資料などをもとに算出する「机上査定」と、現地の状態を確認して行う「訪問査定」があります。売却を具体的に進める場合は、訪問査定を行って、条件を整理しておくとよいでしょう。
複数社の査定価格を比較する際は、金額だけでなく、なぜその価格で売れると判断したのか確認してください。価格に差がある場合は、その理由を説明してもらうことが大切です。
たとえば、ある会社は住宅を建てる個人向けの販売を想定し、別の会社は建売住宅用地としての需要を考慮していることがあります。想定する買主や販売方針が違えば、価格の見方が異なる場合もあります。
ステップ3:売却期限と必要な資金を確認する
土地の売り出し価格を決めるまえに、いつまでに売却したいのか、売却によっていくらの資金を確保したいのかを確認しましょう。
たとえば、住み替え先の購入資金に充てる場合は、必要な時期までに売却代金を受け取れるよう計画する必要があります。一方、売却を急ぐ理由がなければ、時間をかけて希望価格での売却を目指すことも可能です。
また、土地の売却では、仲介手数料や測量費などの費用がかかる場合があります。住宅ローンなどの借入れが残っていれば、その返済も考慮しなければなりません。売却代金がそのまま手元に残るわけではないため、必要な資金を確保できるか確認しておくことが大切です。
なお、売買契約が成立しても、その日に売却代金の全額を受け取れるわけではありません。資金が必要な期限から逆算し、不動産会社と売却スケジュールを相談しましょう。
ステップ4:売り出し価格と最低売却価格を決める
ここまでの情報をもとに、売り出し価格を設定します。あわせて、購入希望者から値下げ交渉を受けたときに、どこまで応じられるかという「最低売却価格」も考えておきましょう。
たとえば、不動産会社の査定価格が3,000万円だった場合でも、売却期限や市場の状況によって次のように判断が分かれます。
| 売主の状況 | 売り出し価格の例 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| 期限に余裕があり、土地に需要が見込める | 3,150万円 | 近隣の競合する物件をと比較し、やや高めの価格で試す |
| 価格と売却期間のバランスを重視 | 3,000万円 | 査定価格を目安に販売を始める |
| 売却期限を優先したい | 2,950万円 | 購入希望者から早く反響が得られるか、不動産会社と検討する |
※上記の金額は価格の考え方を示すための参考価格で、適切な上乗せ額や値下げ幅の基準ではありません
最低売却価格を考えるときは、必要な手取り額に加え、仲介手数料や測量費用などの諸費用、住宅ローン残高があればその返済額も確認します。売却代金から何を支払う必要があり、最終的にいくら残したいかを明確にしておくと、価格交渉の場面で判断しやすくなります。
ただし、希望する最低売却価格で買主が見つかるとは限りません。反響がない場合は、売却時期や売却方法も含めて検討する必要があります。
土地の売却価格に影響する条件
同じ地域、同じ広さでも、土地の価格が異なる場合があります。特に住宅用地として売却する場合は、建物を建てやすいか、追加費用がかからないかが価格に影響します。
| 条件 | 確認するポイント |
|---|---|
| 立地・周辺環境 | 駅や生活施設への距離、地域の住宅需要、周辺の用途 |
| 接道状況 | 接する道路の幅員・種類、接道の間口、建築基準法の制限 |
| 土地の形状・面積 | 整形地か不整形地か、間口・奥行き、敷地の使いやすさ |
| 建築上の制限 | 用途地域、建ぺい率・容積率、市街化調整区域などの制限 |
| 境界・測量 | 境界の確認状況、測量の有無、登記面積と実測面積の違い |
| 高低差・地盤 | 擁壁の状態、造成や地盤改良の必要性 |
| インフラ | 上下水道・ガスなどの整備状況、引き込み工事の必要性 |
たとえば、近隣の成約事例と同じ面積でも、前面道路が狭い土地や、擁壁の補修が必要な土地では、買主側に追加の費用や制約が生じることがあります。反対に、利用しやすい形状や良好な接道状況が価格面で評価される場合もあります。
こうした条件は、単純に「坪単価×土地面積」で計算しただけでは反映できません。特に境界や道路、建築の制限に不明点がある場合は、売り出し価格を決めるまえに不動産会社へ確認しましょう。
土地の価格相場を自分で調べる方法
売り出し価格を決めるためには、実際の取引価格を中心に、公的な地価の指標も参考にします。ただし、公的な評価額は、その土地が実際に売れる金額を示したものではありません。
実際に取引された土地の価格を調べる
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、不動産取引価格情報や成約価格情報を検索できます。取引価格情報には土地の面積や形状なども掲載されるため、周辺で条件が近い事例を探すときに役立ちます。
ただし、事例に記載された金額は、その取引が成立した時点の価格です。購入希望者の需要や周辺の競合物件は常に変化するため、古い事例をそのまま現在の相場とみなさないようにしましょう。
公示価格・路線価などを参考にする
近隣の取引事例が少ない場合や、地価の水準を別の角度から確認したい場合は、公的な指標も役立ちます。
| 指標 | 内容と確認先 |
|---|---|
| 実勢価格 | 実際の土地取引で成立した価格。国土交通省の不動産情報ライブラリなどで確認できる |
| 公示価格(公示地価) | 国が毎年1月1日時点の標準地の価格を公表。不動産情報ライブラリで確認できる |
| 基準地価 | 都道府県が毎年7月1日時点の基準地の価格を公表。不動産情報ライブラリで確認できる |
| 相続税路線価 | 相続税・贈与税の土地評価に使う道路ごとの価格。国税庁の路線価図などで確認できる |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税などの課税の基礎となる価格。納税通知書に同封される課税明細書などで確認できる |
公示価格や基準地価は地域の価格水準を知るうえで役立ちますが、個々の土地の売り出し価格とは異なります。また、相続税路線価や固定資産税評価額は税金を計算するための評価額です。
公的な評価額に一定の倍率を掛けるだけで、売却価格を決めるのは避けましょう。実際の取引価格は、需要や土地の個別条件によって変わります。
参考:国土交通省「不動産情報ライブラリ(地価の情報)」、国税庁「路線価図・評価倍率表」
土地の売却価格を決めるときの注意点
土地の売り出し価格は、高く設定すればよいというものではありません。売却期間や最終的な手取り額にも影響するため、次の点に注意しましょう。
高すぎる査定価格を鵜呑みにしない
複数の不動産会社から査定価格を提示されたとき、もっとも高い会社を選べば高く売れるとは限りません。査定価格は売却の見込みを示すもので、成約価格を約束するものではないためです。
他社より高い査定価格には、土地の需要や想定する買主など、合理的な理由がある場合もあります。金額の差だけで判断せず、価格の根拠と販売計画を確認することが重要です。
値下げを前提に高く売り出しすぎない
購入希望者から価格交渉が入ることはありますが、値下げを見込んで最初から大幅に高い価格を設定すると、比較対象から外されるおそれがあります。
売り出し価格を決める段階で、競合物件と比べてどのように見えるか、購入希望者が価格に納得できる根拠があるかを確認してください。値下げ交渉に備えることと、相場からかけ離れた価格で売り出すことは別です。
販売状況に合わせて価格を見直す
売り出し後に問い合わせが少ない場合、価格の見直しが必要なことがあります。ただし、反応がない原因は価格だけとは限りません。広告の内容や土地の情報の不足、地域の需要、競合物件の状況なども確認しましょう。
値下げは「売り出してから何か月」と一律に決めるのではなく、問い合わせや現地見学の状況、購入希望者から寄せられた意見などをもとに検討します。価格を変える理由と、次に見直す条件を不動産会社と共有しておくことが大切です。
諸費用を差し引いた手取り額を確認する
売却代金の全額が手元に残るわけではありません。仲介手数料などの諸費用や住宅ローン残高、売却によって生じる税金を確認して、必要な資金が確保できるか考えましょう。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に仲介を依頼して成約した場合の報酬。取引価格に応じた上限がある |
| 印紙税 | 紙の売買契約書を作成するときにかかる税金 |
| 測量・撤去などの費用 | 境界確認に伴う測量や、必要な残置物撤去などの費用 |
| 登記関係の費用 | 抵当権抹消などが必要な場合の登録免許税や司法書士報酬 |
| 譲渡所得にかかる税金 | 取得費・譲渡費用・適用できる特別控除などを考慮した課税譲渡所得に応じて発生 |
仲介手数料の上限は、取引価格が400万円を超える場合、原則として「売却価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額で計算できます。ただし、800万円以下の宅地・建物の仲介には、所定の条件のもとで税込33万円を上限とする特例があります。契約前に報酬額を確認しましょう。
譲渡所得にかかる税金は、売却代金そのものに税率を掛けるわけではありません。取得費や譲渡費用を差し引き、適用できる特例があれば考慮して計算します。特例の要件や税額が不明な場合は、税理士などに相談してください。
参考:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」、国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
土地の売却価格に関するよくある質問
- 査定価格より高い金額で売り出してもよいですか?
- 売主の判断で、査定価格より高い売り出し価格を設定することはできます。ただし、相場や土地の条件に見合わない価格では購入希望者が集まりにくくなります。高く設定する場合は、不動産会社に根拠と販売方針を確認しましょう。
- 不動産会社によって査定価格が違うのはなぜですか?
- 参考にした成約事例や土地の個別条件の評価、想定する買主、販売方針などが異なるためです。価格の高低だけでなく、算出根拠を比べて判断しましょう。
- 売り出した土地が売れないときは、いつ値下げすべきですか?
- すべての土地に共通する値下げ時期はありません。問い合わせの数、現地見学後の反応、競合物件の状況などを確認し、値下げ以外の改善策も含めて不動産会社と検討してください。
- 路線価や固定資産税評価額から売り出し価格を決められますか?
- 地域の価格水準を推測する補助資料にはなりますが、それだけで売り出し価格を決めることはおすすめできません。近隣の成約事例と土地の個別条件、不動産会社の査定価格をあわせて確認しましょう。
土地の売り出し価格は相場と売却条件を考慮して決めよう
土地の売り出し価格は、近隣の成約事例から相場を調べ、複数の不動産会社の査定価格を比較したうえで、売却期限や必要な資金に応じて決めます。査定価格がわかったら、その金額をそのまま採用するのではなく、なぜその価格で売り出すのかを説明できる状態にすることが大切です。
価格設定に迷った場合は、土地の条件に詳しい複数の不動産会社へ相談し、査定価格の根拠と販売方針を比較してみましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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