自宅を売って老人ホームに入る際の注意点|家はいつ売却する?

老人ホームに入ることを検討し、自宅を空ける場合に自宅は売却したほうがよいのでしょうか。それとも残しておいたほうがよいのでしょうか。また、売却する場合は老人ホームに入る前かあとのどちらがよいのでしょうか。
ここでは、老人ホームへ入る際に自宅を売る理由と売る際の注意点などについて紹介します。
リビンマッチのポイント
自宅を売って老人ホームに入る場合は、売却代金を入居費用や生活費に充てられる一方、売却のタイミングや税金、名義人の判断能力などに注意が必要です。特に、3,000万円特別控除には売却期限があり、親の判断能力が不十分な場合は成年後見制度の利用が必要になることもあります。入居後に自宅を空き家にすると維持費や管理の負担も生じるため、施設への入居と自宅の売却をあわせて計画しておくことが大切です。
老人ホームへ入る際に自宅を売った方がよい理由
老人ホームへ入る際は、自宅を売った方がよいといわれています。その主な理由を3つ紹介します。
売ったお金を老人ホームの費用に使える
家を売却する場合にも費用が発生します。一般的に、売却にかかる費用の目安は売却価格の約4〜6%と言われています。主に必要となる費用は下記のとおりです。
| 老人ホームの種類 | 初期費用の目安(円) | 月額費用の目安(円) |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム※1 | – | 5~15万 |
| 介護老人保健施設※2 | – | 5~15万 |
| グループホーム※3 | ~30万 | 10~20万 |
| 介護付き有料老人ホーム※4 | ~数千万 | 20~50万 |
| 住宅型有料老人ホーム※5 | ~数千万 | 10~50万 |
| 健康型有料老人ホーム※6 | ~数千万 | 10~50万 |
| サービス付き高齢者向け住宅※7 | ~30万 | 10~30万 |
| ケアハウス※8 | ~30万 | 5~20万 |
※2高齢者に対して介護やリハビリなどを提供して自宅復帰への支援を行う公的施設
※3少人数のユニットを組み、入居者同士で家事を分担して生活する民間施設
※4スタッフが常駐し、食事やトイレなどの身の回りの世話や介助サービスが受けられる民間施設
※5幅広い高齢者を受け入れ、生活の援助やレクリエーションなどのサービスが受けられる民間施設
※6自立した生活を送ることができる高齢者を対象とした民間施設
※7さまざまな生活支援を受けられるバリアフリー対応の民間賃貸住宅
※8自立した生活が困難な60歳以上の高齢者が対象の公的施設
高額になる場合は、ためてきた資金だけでは賄えない可能性があります。自宅を売ることで、それらの費用に売却金を充てることができます。
自宅を維持する管理費用の負担がなくなる
人が住まなくなった家でも管理費用の負担が発生します。
劣化によるメンテナンス費用
人が住まなくなった家は、人が住んでいる家より劣化が進みます。人がいないと換気ができず、室内では湿気が増えます。湿気っぽくなると、カビやダニ、細菌などの繁殖、シロアリが発生します。これによって、家の劣化が進みます。シロアリは木材を食べるため、被害が広がれば、建物が倒壊する危険性もあります。
このように、人が住まなくなった家は劣化が進み、場合によってはメンテナンス費用が高額になってしまいます。
固定資産税
住まなくなった家にも、毎年固定資産税と都市計画税がかかります。これらの税金は不動産の評価額によって税額が違います。仮に地価が上がった場合は請求額が高額になる可能性もあります。
倒壊などにより賠償責任を問われる可能性がなくなる
住んでいなければ、家の部分的な破損などに気づきにくいです。壊れた箇所の一部が通行人などの第三者に飛来して、ケガを負わせてしまうかもしれません。その場合は、被害者の治療費や入院費などの費用を支払う義務が発生します。
また、被害者が治療による通院や入院によって仕事を休むことになった場合は、休業損害などの賠償金の支払いが必要です。売らずに所有していると、こういった賠償責任を問われるおそれがあります。
自宅を売る際の注意点とは
老人ホームに入るために家を売る場合は、どのような注意点があるのでしょうか。注意点を理解し、後悔のない不動産売却を行いましょう。
資金が尽きないか十分に資金計画を立てる
老人ホームに入居する際には、自宅から老人ホームへの引っ越し費用、初期費用、月額費用が発生します。
厚生労働省が2021年7月30日に発表した「令和2年簡易生命表」によると、2020年の日本人の平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳で、ともに過去最高を更新しました。しかし、平均寿命はあくまで統計上の平均であり、自分が想定していたよりも長生きした場合などは途中で資金が尽きてしまう可能性もあります。十分に資金計画を立てた上で、自宅を売却することを検討しましょう。
老後の住み替えに潜むリスクについては「老後の住み替えに潜む罠とは?高齢者が陥りやすい4つのリスク」で詳しく紹介しています。
売却するにも費用がかかる
家を売る場合も、費用がかかります。相場は売却価格の約5〜10%といわれています。主に必要となる費用は下記のとおりです。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産取引を締結させてくれた不動産会社に支払う手数料です。売却価格が400万円以上の場合、仲介手数料の上限は以下の式で求められます。
印紙代
印紙は不動産売買契約書に貼ります。売却価格によって以下のように違います。
| 売却価格 | 印紙代(円) |
|---|---|
| 100万円を超え 500万円以下のもの | 1,000 |
| 500万円を超え1千万円以下のもの | 5,000 |
| 1千万円を超え5千万円以下のもの | 1万 |
| 5千万円を超え1億円以下のもの | 3万 |
登録免許税
売却する不動産に抵当権が設定されている場合は、売主側で抵当権抹消登記が必要になります。抵当権抹消登記の登録免許税のほか、司法書士に手続きを依頼する場合は司法書士報酬がかかります。
名義人の判断能力が不十分な場合は成年後見制度を検討する
自宅の名義人である親の判断能力が不十分だと、不動産の売却が難しくなります。家族でも本人名義の家を代わりに売却することができないためです。
認知症などで判断能力が不十分な場合は、成年後見制度の利用を検討しましょう。成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が十分でない人に代わって、成年後見人等が手続きなどの支援をできる制度のことです。ただし、本人の居住用不動産を売却する場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要です。
また、老人ホームへ入居したあとでも、それまで住んでいた自宅が居住用不動産に該当することがあるため注意してください。
成年後見制度の手続きには時間がかかることもあるため、親の判断能力に不安がある場合は、早めに今後の自宅の扱いについて家族で話し合っておくことが大切です。
売るタイミングは老人ホームに入る前?入ったあと?
老人ホームに入る際に自宅を売るタイミングはいつがよいのでしょうか。自身の状況と併せて確認しましょう。
3,000万円特別控除には売却期限がある
自宅を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、一定の要件を満たすことで「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を利用できます。これは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例で、それだけ税金を節約することが可能です。
老人ホームへ入居して自宅に住まなくなったあとでも、要件を満たしていれば特例を利用できる可能性があります。
ただし、住まなくなった自宅を売却する場合は、原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
そのため、老人ホームへの入居後に自宅を売却する場合は、特例を利用できる期限を確認したうえで売却時期を検討しましょう。なお、3,000万円特別控除には売却期限以外にも適用要件があります。
売却を先延ばしにすると建物が劣化するおそれがある
老人ホームへの入居後、自宅を空き家のまま長期間放置すると、建物の劣化が進むおそれがあります。
建物は築年数の経過や劣化によって評価が下がることがあります。また、人が住まなくなった家は換気や清掃、設備の点検などが行われにくくなり、適切に管理されていないと劣化が進みやすくなります。
将来的に自宅を売却する予定があるなら、そのまま長期間放置するのではなく、売却時期を早めに検討しておくとよいでしょう。
戻る可能性があるなら入る前には売らない
老人ホームへ入ることに大きな不安を持つ方も多いです。これまで自宅で暮らし、急に他人と共同生活をするとなってもうまく馴染めないという方もいます。
現在では在宅介護という選択肢もあります。子どもに勧められたから老人ホームに入ったが、やはり自宅に戻るというケースもあるでしょう。もし老人ホームでの生活に不安があるなら、生活に慣れるまでは売却せずに所有しておくのもよいでしょう。
家を売るか売らないかの判断方法については「家を売るか売らないの判断方法」で詳しく紹介しています。
一括査定サイトで少しでも高く売る
売るタイミングはいつであれ、少しでも高く売りたいと思うのは当然のことです。自宅を売るためには、まず不動産会社に査定を依頼します。
そこで注意したいのが不動産会社によって査定方法は異なり、査定額が違うという点です。少しでも高く売りたい場合は複数の不動産会者に査定をしてもらいましょう。
その際に便利なのが一括査定サイトのリビンマッチです。複数の不動産会社に一括して査定依頼を出せます。複数の不動産会社に査定を依頼すると、査定額だけでなく、査定の根拠や売却方針も比較できます。複数社の提案を比較し、自宅の売却を任せる不動産会社を検討しましょう。

大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
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