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土地を相続放棄できない4つのケース!損を防ぐ代替策と売却の選択肢

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土地を相続放棄できない4つのケース!損を防ぐ代替策と売却の選択肢

「相続放棄すれば不要な土地の負担から逃れられる」と思っていたのに、放棄できない!そんな予期せぬケースがあっては危機感を覚えてしまいます。

ところが、「放棄したくても放棄できない」やっかいなケースは多く存在します。放っておくと管理義務や固定資産税など、見えない負担がじわじわ襲ってくることも。

しかし、土地を相続放棄ができなくても、落ち込みすぎる必要はありません。まずは、今できるベストな対処法を知り、状況に合わせた行動を取ることが大切です。

土地を相続放棄できないケースは主に4つ

土地だけを相続放棄することは、原則として認められていません。また、相続放棄には厳格なルールや期限があり、これを過ぎたり違反したりすると、放棄が認められない場合があります。以下では、相続放棄できない代表的な4つのケースを紹介します。

相続の開始を知ってから3カ月以上が経過した

相続放棄は、「相続の開始を知った日から3カ月以内」と民法で厳密に定められています(民法915条)。この期間を過ぎると、法律上は自動的に「単純承認(=相続を受け入れた)」とみなされ、以後放棄の申し立てはできなくなります。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用:民法(明治二十九年法律第八十九号)「第九百十五条

たとえば、親の死を知っていながら何もせずに3カ月以上放置した場合や、放棄しようとしていたものの家庭裁判所に出向かず期限を過ぎてしまった場合は、期間を延長できません。

「忘れていた」「忙しかった」など本人の事情や過失は認められないため、相続が発生した事実を知った時点で速やかに手続きを進めることが重要です。

手続きに不備があったが、修正せず放置した

相続放棄の申述書を3カ月以内に提出していたとしても、必要な添付書類の不足や、記載ミスがあると申述が受理されません。

修正依頼や追加の必要書類を求められたにもかかわらず、放置し続けてしまうと、最終的には「正式な申述がなかった」と判断され、放棄の申述は無効となります。

「出したつもり」では意味がなく、裁判所からの確認通知や連絡にきちんと対応して、受理されたかどうかを自分で確認する必要があります。

家庭裁判所への申述が完了しないと、相続放棄できなくなってしまうため、書類提出後も気を抜かず対応しましょう。

土地だけの相続放棄

相続放棄は「すべての財産を一括で放棄する」手続きのため、特定の財産だけを選んでの放棄はできません。たとえば、実家を相続した場合、土地だけを切り離して放棄することは、原則として認められていない点に注意が必要です。

参考:裁判所「相続の放棄の申述

単純承認と見なされる行為をしてしまった

たとえ放棄の意思があっても、相続財産に「手をつけた」と見なされる行動を取ると、自動的に単純承認となり、相続放棄はできなくなります。

例えば、被相続人の預金を使ったり、不動産に住んだりすると、その時点で「相続を受け入れた」と判断されてしまいます。

このような行動は一見ささいに思えても、法律上は重く扱われるため、「何をすると単純承認となるのか」をあらかじめ正確に理解しておくことが重要です。

次章で、具体的な単純承認の事例を詳しく紹介します。

単純承認と見なされる7つの事例

相続放棄を希望していても、行動によっては法律上「相続を承認した」と見なされ、放棄そのものが認められなくなるおそれがあります。

以下はその代表的な事例です。「うっかり行なってしまう」ケースも多いため、事前によく確認しておきましょう。

相続財産の隠匿や消費があった

放棄を申し立てる前後を問わず、財産には一切手をつけないことが原則です。

民法921条により、「相続財産のすべてまたは一部を処分した場合は単純承認したとみなす」と定められています。

(法定単純承認)

第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

引用:民法(明治二十九年法律第八十九号)「第九百二十一条

相続放棄の申し立て前であっても、被相続人の財産を隠したり、勝手に使ってしまったりした場合、放棄は無効とされるおそれがあります。これは、財産を「自分のもの」として扱ったと見なされるためです。

たとえば、被相続人名義の預金を引き出して生活費に使った場合などが該当します。

被相続人の税金や借金を支払った

相続財産も債務も「一体のもの(被相続人の遺産)」であるため、善意でも一部でも支払う行為はNGです。

故人の固定資産税や借金を「親の名義だから」と思って支払ってしまうと、相続を承認したと判断されます。

相続放棄を予定していたのに支払いを済ませてしまった場合、放棄はほぼ不可能になります。

被相続人の売掛金を回収した

「預貯金や株券、不動産」も、「触れてはいけない財産」であることを忘れないようにしましょう。

故人が生前に得た売掛金や家賃などの収入を「もったいないから」と受け取ると、遺産を相続したと見なされます。たとえ小額であっても、経済的利益を受け取った時点で放棄は認められません。

遺産分割協議に参加した

放棄するなら遺産に関する協議には一切関わらず、距離を置く姿勢が重要です。

「相続放棄するつもりだけど、話し合いだけならいいか」と思って協議に出席すると、相続意思を示したと取られるおそれがあります。実際に署名や押印をしていなくても、内容の確認や同席が問題視されるケースもあります。

また、相続しない人が参加すると協議が無効となり、やり直しになるリスクもあるため、家族や親族にも迷惑をかけてしまうかもしれません。

遺品のほとんどを持ち帰った

「形見分け」だとしても、価値のあるものを持ち帰るのはNGです。

被相続人の家具、家電、宝石類などを「思い出の品だから」と引き取ると、財産の取得とみなされることがあります。特に、明らかに金銭的価値がある遺品(貴金属・骨董品など)を持ち帰るのはリスクが高いといえるでしょう。

不動産や株式を名義変更した

名義変更は、相続人として財産を受け取る意思を示す行為です。放棄の意思と矛盾するので絶対に避けましょう

名義変更は「所有者として手続きした」と見なされ、明確な単純承認の行為になります。たとえ、その不動産を売る意図がなくとも、相続放棄はできなくなるのです。登記変更だけでも、財産の管理や処分にかかわったことになるため、注意しましょう。

被相続人の携帯電話を解約した

どんな小さな手続きでも、「故人の資産に関わること」は慎重に行う必要があります。

一見、相続と無関係に思える行為であっても、契約解除は法律上「管理・処分行為」とみなされる場合があります。

特に、財産の一部が携帯電話の契約に紐づいていた場合(サブスクリプション・端末分割など)は要注意です。

土地を相続放棄できないときは、どうする?

「放棄できない」からといって、すぐに負債を抱えるとは限りません。以下のような対応で、負担を回避できる可能性があります。

期限を過ぎても「正当な理由」があれば認められることがある

相続放棄には原則として3カ月の期限がありますが、状況によっては「例外的に認められる」ケースも存在します。

たとえば、以下のような事情があれば、家庭裁判所に申述書と事情説明を提出することで、期限後でも相続放棄が受理される可能性があります。

  • 財産がないと思い込み、土地の存在に気づかなかった
  • 疎遠だった親族の死を、かなりあとになって知った
  • 相続人であることに本人が気づかなかった(戸籍が複雑など)

このように、「知らなかった」「気づかなかった」理由が合理的と判断されれば、裁判所が柔軟に対応してくれることもあります。

期間を過ぎてもあきらめずに、まずは事実関係を整理して、家庭裁判所に申述してみましょう。

却下されても「即時抗告そくじこうこく」で再審理を求められる

家庭裁判所で相続放棄が却下されても、諦めることはありません。その判断に不服がある場合は、2週間以内に申し立てる「即時抗告」という手続きを取ることで、再度審理をしてもらうことが可能です。

特に、以下のようなケースでは再審理で認められる可能性もあります。

  • 申述の却下理由が書類不備だった
  • 実情を適切に伝えられていなかった
  • 誤解や説明不足が裁判所の判断に影響していた

ただし、即時抗告の手続きは専門的な知識が求められるため、弁護士などの専門家のサポートを受けるのが賢明です。

「ダメだった」と思っても、法的に戦える道が残されている可能性をぜひ検討してください。

参考:裁判所「即時抗告

「売れない」と決めつけず、まず土地の価値を確認する

相続放棄ができない以上、その土地の管理・維持費などの負担をどう軽くするかがカギになります。そこで有効なのが、売却による現金化です。

たとえば以下のようなケースでも、実際に売却できた事例があります。

  • 自宅から離れた場所にあり、使う予定がない土地
  • 建物の老朽化が進み、管理が難しくなった土地
  • 固定資産税ばかりかかっている土地

一見、欠点が多いと感じられる土地でも市場価値があったり、再利用のニーズが隠れていたりと、見る人が見れば価値のある土地であることも大いにあります。

まずは、複数の不動産会社から査定を取り、「売れるかどうか」ではなく「いくらで売れるか」を把握することが、損失を回避するための第一歩です。

無料の不動産一括査定サイトを使えば、手間なく複数社の査定価格を比較できます。遠方の土地でもオンラインで査定依頼できるため、現地へ足を運ばずに手続きを進めることも可能です。

借金が絡むなら「債務整理」も視野に入れて判断を

相続した土地に「負の要素(借金や流動性の低さ)」があり、そもそもの売却が難しい土地だった場合、所有し続けると大きな負担につながるおそれがあります。

「このまま放っておいたらどうなるのか……」と不安を感じたら、債務整理という法的な救済手段を検討することも重要です。

たとえば、次のような状況に心当たりがある方は、債務整理も現実的な選択肢として検討する必要があるかもしれません。

  • 土地に抵当権や差押えが設定されている
  • 売却しても借金を完済できず、赤字になる
  • 固定資産税を滞納していて、延滞金が年々膨らんでいる

上記のようなケースでは、任意整理・個人再生・自己破産といった手段によって、負担の軽減や整理が可能になることがあります。

もちろん、債務整理は簡単な判断ではありません。状況によって手続きの内容や結果が大きく異なるため、一人で抱え込まず、法律の専門家(弁護士や司法書士)に相談することが不可欠です。

「破産かもしれない」と決めつける必要はありません。まずは、複数の不動産会社へ土地の価値を確認したうえで、赤字になる確率が高ければ、弁護士などの専門家に頼ってみてください。

自分だけで抱え込まず、「本当に売れないのか」「どこまで負担を減らせるか」を不動産会社などの専門家と一緒に確認してみましょう。一歩踏み出すことで、状況を変えられるチャンスが生まれます。

まとめ|相続放棄ができなくても、損を回避する方法はある

「相続放棄ができない」と知ったとき、多くの人が焦りや不安に駆られます。しかし、あきらめる必要はありません。実際には、状況に応じて以下のような対応策があります。

  • 相続の期限を過ぎていても、正当な理由があれば再申述できる場合がある
  • 放棄が却下されても、即時抗告によって再審理のチャンスがある
  • 土地の価値を見極め、売却によって負担を現金に換える道もある
  • 借金や管理不能な土地には、債務整理など法的手段で対処できる

なかでも、「損をしない」ために重要なのは、土地の価値を正しく知ることです。「どうせ売れない」と思い込まず、まずは無料の一括査定サイトで現実的な土地の価値を確認してみることが、後悔しない判断につながります。

大切なのは、「知らなかった」で終わらせないことです。あなたの状況に合った最善の選択肢を見つける第一歩として、まずは土地の価値を調べてみませんか。

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  • 相続予定の土地にどれくらいの価値があるかを知りたい
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この記事の編集者

リビンマッチ編集部アイコン リビンマッチ編集部

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