弁護士に依頼すべき不動産トラブルと費用について解説
弁護士は、示談交渉や訴訟対応など、法律問題におけるトラブル解決の専門家です。不動産をめぐるトラブルについても同様に、当事者間での解決が難しければ弁護士への依頼を検討すべきです。
しかし、弁護士に馴染みのない人は、「規模が小さくて相手にしてもらえないかもしれない」「高額な費用を請求されるかもしれない」といった不安があるかもしれません。
ここでは、弁護士に依頼すべき不動産トラブルの種類と、費用について解説します。
もくじ
弁護士が解決できる不動産トラブル
弁護士が解決できる不動産トラブルの例として、以下のものが挙げられます。
- 不動産の相続トラブル
- 賃貸物件のトラブル
- 不動産売買のトラブル
- 管理規約に関するトラブル
- リフォームに関するトラブル
- 隣人トラブル
不動産をめぐるトラブルの多くは、時間が経過すると解決が難しくなってしまいます。そのため、トラブルが起きた際には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
それぞれのトラブルについての具体的な内容を解説します。
不動産の相続トラブル
被相続人(亡くなった人)が不動産を所有していた場合、相続人に引き継がれます。相続人が複数いる場合、話し合いをして誰が相続するかを決めなければいけません。
しかし、相続人同士の話し合いがまとまらないことも多く、誰が不動産を相続するかで揉めてしまうことがあります。価値の高い不動産であれば、相続人同士で取り合いになり、反対に価値が低い不動産であれば押し付け合いになってしまうのです。
相続について相続人同士が話し合うことを遺産分割協議といい、遺産分割協議で解決が難しい場合は、調停、裁判とすすめていくことになります。
相続トラブルが長引けば、相続人同士の関係が悪化して修復が難しくなるおそれがあります。そのような状況にならないためにも、相続トラブルが起きたときは早めに弁護士に相談をしましょう。
なお、不動産の相続においては、遺産分割協議から弁護士に依頼できます。早めに依頼をしておくことで、早期解決につながる可能性があります。
賃貸物件のトラブル
賃貸物件のオーナーになると起こるのが、入居者とのトラブルです。なかでも、賃料不払いや規約違反などは、頻度が高いトラブルと言えるでしょう。入居者が要求に応じない場合、強制執行を行う必要があり、法的な対応が求められる場面もあります。
入居者が素直に応じない場合、精神的、肉体的な負担も大きくなります。しかし、弁護士に依頼をすれば、オーナーの代理人として、入居者との交渉や訴訟対応をおこなってくれます。
入居者を退去させるための強制執行をするには、先に訴訟を提起して判決を取得する必要があります。訴訟や強制執行の手続きは、専門的な知識がなければ対応が難しいです。
弁護士は、法律の専門家として、訴訟や強制執行の手続きをスムーズに進めてくれます。
不動産売買のトラブル
不動産売買については、売買契約や販売した不動産の欠陥をめぐるトラブルが起こりえます。欠陥住宅のトラブルについては、深刻な建築紛争に発展するケースもあるでしょう。
不動産売買のトラブルは、企業を相手にすることも多くなります。交渉や訴訟を進行するには、法律の専門知識に加えて、建築の専門知識が不可欠です。そのため、個人の力では十分な対応が難しいです。
しかし弁護士に依頼をすれば、買主や売主の代理人として、交渉や訴訟対応をおこないます。不動産売買のトラブルについても、法律の専門的知識を活かして、建築の専門家と連携するなどして、トラブルを解決に導きます。
管理規約に関するトラブル
集合住宅の住民が管理規約に違反してトラブルに発展するケースもあります。共有スペースの占拠や、騒音、ペットの飼育などは、デリケートな問題で当事者間での話し合いでは解決が難しいです。
弁護士は、法律的な観点から、損害賠償請求や住民の退去などの手続きをおこないます。管理者と住民や住民同士の話し合いでは解決が難しい問題も、弁護士が代理人となることで、解決できる可能性が高くなります。
リフォームに関するトラブル
リフォームについては、施工ミスやリフォーム代金不払いなどのトラブルが起こることがあります。たとえばリフォーム工事で不具合があり、内容が明らかに施工会社のミスであったとしても素直に認めるとは限りません。責任逃れをしたり、減額を要求してきたりと負担を減らすための交渉を持ちかけてくるかもしれません。
しかし、このようなリフォームに関するトラブルでも弁護士に依頼をすれば、当事者の代理人として、損害賠償請求や代金減額請求などの対応をおこないます。
工事がどこまで完成しているか、価格が適切であるかなどについては、建築の専門家の判断が必要なケースも多いです。訴訟に発展した場合には、弁護士だけでなく、建築の専門家も加わって手続きが進行します。
隣人トラブル
戸建て、マンション、アパートなど、物件の種類を問わずに起きるのが隣人トラブルです。
隣の部屋の住民同士、隣の住宅の住民同士などの隣人トラブルも不動産トラブルの一種と言えます。隣人トラブルは、口論や暴力事件にまで発展するケースもあります。
弁護士は、当事者同士の話し合いでは解決が難しい隣人トラブルについて、当事者の代理人となり、冷静に交渉を重ねることでトラブルを解決に導きます。
不動産トラブルの解決を弁護士に依頼する場合の注意点
不動産トラブルは、弁護士に依頼さえすれば必ず解決するというものではありません。不動産トラブルの解決を弁護士に依頼する場合には、次の2つの注意点を守るようにしてください。
- 早めに相談をする
- 不動産トラブルが得意な弁護士に依頼する
弁護士には、それぞれに得意不得意な分野があります。不動産トラブルを解決するには、不動産トラブルが得意な弁護士に早めに相談することが重要です。以下では、2つの注意点について詳しく解説します。
早めに相談をする
不動産トラブルは、時間が経過すると問題が大きくなるケースが多いです。たとえば、賃料の不払いが問題となるケースでは、時間が経過するごとに金額が大きくなるため解決が難しくなります。
相続トラブルについても、時間の経過で親族間の関係が悪化すると、弁護士が間に入っても、冷静な話し合いをするのが難しくなってしまいます。
不動産トラブルが解決する可能性を高くするには、トラブルが起きたら早めに弁護士に相談することが重要です。
不動産トラブルが得意な弁護士に依頼する
不動産トラブルを解決するには、法律の知識だけでなく、不動産の専門知識が必要な場面も多くあります。不動産トラブルの対応について経験の浅い弁護士に依頼すると、適切な対応をしてもらえない可能性があります。
不動産トラブルを解決するには、経験が重要です。不動産トラブルを弁護士に依頼する場合には、不動産トラブルを得意とする経験豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に不動産トラブルの解決を依頼した費用
弁護士の費用は、主に次の3つで構成されています。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
ここでは、弁護士に不動産トラブルの解決を依頼した場合の費用相場を解説します。
費用について不安のある方は、法テラスを利用すると相場よりも安い費用で弁護士に依頼できます。ただし、法テラスの無料相談を利用すると、不動産トラブルについて経験の少ない弁護士が担当となることもあるため、その点はご注意ください。
相談料
相談料は、正式に依頼する前の法律相談の際にかかる費用です。
不動産トラブルについての相談料の相場は、30分あたり5,000円ほどです。法律事務所によっては、法律相談は無料で対応しているところもあります。
弁護士に相談したとしても、必ず依頼する必要はありません。法律相談の際には、弁護士に依頼した場合の解決見込みや費用について確認しておくようにしましょう。
着手金
着手金は、弁護士に依頼したときに最初に支払う費用です。
着手金の相場は、10万円もしくは、トラブルとなっている金額の8%ほどです。たとえば、300万円のリフォーム代金の不払いが問題となっているケースでは、着手金の相場は24万円(300万円×8%)ほどとなります。
債務整理や慰謝料請求については、着手金を無料としている法律事務所も多くあります。しかし、不動産トラブルでは、着手金を無料としている法律事務所はほとんどありません。
報酬金
報酬金は、トラブルが解決したときに支払う費用です。
報酬金の相場は、トラブルの解決によって得られた利益の20%ほどです。たとえば、200万円の未払い賃料の回収に成功したケースでは、報酬金の相場は40万円ほどとなります。
不動産トラブルでは、トラブルとなっている金額を算定するのが難しい場合や、不動産の価格をそのまま算定すると金額が大きくなりすぎる場合があります。そのような場合には、法律事務所によって費用が大きく変動する可能性がありますので、費用についての説明は納得できるまで確認するようにしてください。
2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
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リビンマッチ編集部
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