投資マンションが売却できない。売れない理由6つと対策7つを紹介
投資マンションを購入したはよいものの、期待していたよりもインカムゲイン(家賃収入)が得られず売却してしまいたいという方、キャピタルゲイン(売却益)を期待して購入したのに売れずに困っている、という方はいらっしゃらないでしょうか。
実際、損切り(損失を小さくする)目的で投資マンションを売却する方は、一定数存在します。
本記事では、赤字で損をしないために投資マンションが売却できない理由と売りづらいときはどうしたらよいのか、売却するための対策を紹介します。
この記事の監修者
もくじ
投資マンションが売却できない理由
投資マンションが売却できない理由は、次のとおりです。
- サブリースである
- 売却相手が限られている
- オーバーローンである
- 価格が相場より高い
- 売却のタイミングが悪い
- 広告を出す不動産会社に問題がある
サブリースである
サブリースとは、オーナーが所有するマンションをサブリース会社が一括で借り上げて、入居者に転貸する運営方式のことです。オーナーは入居者の有無にかかわらず家賃を得られます。
サブリース契約は空室リスクがないメリットがありますが、満室時の家賃収入は相場より安くります。賃料相場が安くなると、売却価格によっては利回りが悪くなります。
投資マンションとして購入するには割高感を感じられるので、売却できない理由となります。 サブリースを解約する方法もありますが、借地借家法によりオーナー都合での解約は難しいのが現状です。生活維持のために売却が必要、といった正当事由が求められるためです。
監修者からのコメント
サブリース契約に関する売却相談は非常に多く寄せられています。昨今、サブリースに関する問題がは社会問題となりつつあることからり、サブリース新法(貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が改正されました。これにより、サブリースによる売却時のデメリットや問題点が浮き彫りになっています。
サブリース契約の解約後に売却できる価格は、場合によっては数百万円単位で変動することがあります。解約が難しいケースは多いものの、サブリース契約締結時における不動産会社の過失や適用要件を満たしていない場合などでは、契約書の内容だけで解約を諦める必要はありません。個別の状況に応じて専門家と相談することで、解約の可能性を探りましょう。
数百万円の価格変動があるなら解約が難しいと諦める前に、解約可能な条件を整え、専門家の助言を受けながら交渉を行うこともひとつの手段です。サブリース契約の解約に成功すれば、売却価格を大幅に向上させることが可能となる場合もあります。
なお、サブリースが解除できない場合、サブリース家賃そのもので利回りを上げる。つまり売買価格を下げるしかありません。
売却相手が限られている
近年は投資マンションを購入して年金代わりに収益を得たい、と考える人も増えていますが、まだまだ少数派です。投資マンションの場合、売却相手が不動産投資家などに限られてしまう点も売却しにくい理由といえるでしょう。
また、不動産投資家が投資マンションを購入する最大の目的は、利回りがよく資産価値が高い投資マンションを購入して利益を出すことです。
- 土地が有効活用できていない
- 利回りが悪い
- 資産価値が低い
上記のように条件が悪いマンションは手が出しにくいため、購入を控える方は多いでしょう。
監修者からのコメント
売却相手の選定や土地の有効活用、資産価値の低さなどの外的要因に対して工夫することが重要です。しかし、これらの要因は個別に対応するのが難しい場合があります。
そのため、利回りの改善に注力することが効果的です。具体的には、売却価格を下げることで利回りを高める方法や、収益性を向上させる方法があります。
収益性の向上に関しては、家賃収入を最大化することが鍵となります。たとえば、入退去のタイミングでできる限り高い家賃を設定する工夫をすることが求められます。また、空室時にはリフォーム代や広告費を節約しすぎないことも重要です。
これらのコストを削減しすぎると、家賃が下がり収益性が低下し、結果的に利回りが悪化して売却が難しくなるおそれがあります。したがって、適切な投資を行い、マンションの魅力を維持・向上させることが重要です。
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オーバーローンである
オーバーローンである場合もマンションを売却しにくい要因のひとつです。オーバーローンとは、マンションを売却してもローンの残債が完済できない状態を指します。
マンションを売却してもローンの残債が完済できないため、オーバーローンを解消するくらいの高額な売り出し価格を設定せざるを得ません。高額な投資マンションを買いたがる人は少ないため、オーバーローンである投資マンションは売りにくいでしょう。
価格が相場より高い
売れない理由の大きな要因として挙げられるのが、相場より売り出し価格が高いことです。売主であるオーナーは、少しでも高い金額で売却して収益を得たいと考えているでしょう。
しかし、買主である不動産投資家などは利回りが少しでも高くなるように、安い金額で購入したいと考えている方が大半です。売主の意向を大きく反映した、相場より高い金額で募集してしまうと買主のニーズに合わず、なかなか売却できないおそれがあります。
一般的にマンションなどの不動産は、築年数やエリアの相場を踏まえ、価格を決定します。相場があまりわからない場合や、前述した売主の意向が強い価格設定だと、売却できない原因となるでしょう。
築年数やエリア相場をきちんと把握したうえで適正な価格を算出し、売却する必要があります。適正な価格を算出するうえで、近年利用されているのが一括査定サイトです。一括査定サイトは、インターネット上で不動産に関する情報を入力すると、複数の不動産会社に査定をしてもらえるサービスです。
複数の査定結果を確認することで相場が把握でき、適正な売却価格を算出しやすくなります。相場より高い価格が理由で売却できないケースが多いので、不動産一括査定サイトなどを利用した価格設定が必要になるでしょう。
監修者からのコメント
昨今、不動産をお探しになる場合、購入希望者のお客様はインターネットなどで自由に情報収集できる状態にあります。したがって、周辺の物件相場や環境なども熟知している場合が多く、相場より高い物件には見向きもしない傾向にあります。
それでも少しでも高い価格での成約を目指すなら、チャレンジ価格をオススメします。あくまでもチャレンジであることから長期間、価格を据え置くことは望ましくありません。購入希望者より余計な詮索が入り、長期化するだけではなく、最終的に査定価格を割る成約も見受けられます。
よって、チャレンジ価格の設定は長くとも1~3カ月程度が妥当であり、お問合せ状況により、価格の見直しが必要です。
売却のタイミングが悪い
マンションなどの不動産売却は、売却しやすい時期と売却しにくい時期があります。マンションの売却は、引っ越しの時期が大きく影響します。
一般的に、引っ越しなどが多い2月や3月は入居が決まりやすいので比較的売却しやすい時期です。引っ越しが少ない5月や8月などは入居希望者が少ないため売却しにくくなります。売却しやすい時期を狙って募集を開始しましょう。
広告を出す不動産会社に問題がある
マンションを売却する際、一般的には不動産会社と売却に関する媒介契約を締結したうえで、仲介手数料を報酬に不動産会社に募集や契約のやり取りを任せます。
しかし、不動産会社が打ち出す広告がニーズに合っていない場合や、売却の実績が少なくスキルが足りない場合は、なかなか売却できません。マンションの売却において不動産会社の存在は大きく、依頼先によって売却が完了する時期は大きく異なります。
基本的に、不動産会社にマンション売却を任せる媒介契約は3カ月が契約期限です。3カ月が経過してもまったく売却できないため、別の不動産会社に依頼したらすぐに売却できた、といった事例もあることから、不動産会社の力が非常に重要なことがわかります。
依頼する不動産会社のスキルも売れない理由の要因となり得るでしょう。
監修者からのコメント
マンションが適正価格で売れない場合、以下の3つのポイントを確認することが重要です。
- 1.レインズに登録しているか
- レインズは、依頼している不動産会社に確認すればわかります。レインズへの登録は、専任媒介契約以上の場合、東日本不動産流通機構(REINS)への掲載が義務付けられており、確認することは容易です。
- 2.ネット媒体に広告掲載しているか
- どのネット媒体に掲載しているかを確認すれば、一般のユーザーでも把握できます。掲載されている媒体を複数確認することが重要です。
- 3.広告掲載は自社のみか、他社も掲載可能か
- 広告掲載が自社のみで行われているか、他社にも掲載を許可しているかを確認します。販売図面の帯に広告掲載の有無が記載されている場合が多く、掲載不可の場合は自社のみでの掲載となります。
もし、1.レインズに掲載されていない、2.広告掲載を自社他社問わず行っていないという状況で売れないのであれば、依頼している不動産会社を変更することを検討すべきです。また、広告掲載を行わない不動産会社も存在します。
買主が決まらない投資マンションを売却する方法
ここまでは、投資マンションの売却できない理由を6つ紹介しました。売却しにくい投資マンションでも工夫次第で売却できます。
ここからは、買主が決まらない投資マンションを売却する方法について詳しく解説します。
オーバーローンならアンダーローンにする
売却しにくい理由のひとつにオーバーローンである点を前述しました。オーバーローンである場合は所有を続けて、アンダーローンになったあとに売却する方法があります。
アンダーローンとは、不動産の売却代金でローンの残債が完済できる状態のことです。アンダーローンにすると適正価格で売却することが可能となり、売却しやすくなります。家賃収入が赤字でなければ、アンダーローンになるまで残債を払い続けたあとに、売却するとよいでしょう。
監修者からのコメント
投資用マンションの売却が難しい場合、現状の収支がマイナスまたはマイナス傾向であれば、アンダーローンになるまで待つという選択肢もあります。
しかし、売却代金でローンの残債が賄えない場合は、物件により自己資金を投入してでも売却検討すべき状況もあります。
購入時の価格や市場の状況によっては、アンダーローンの状態になるまで何年もかかることがあります。これを「塩漬け」と呼びます。収支がマイナスの状態が続くと、将来的にさらに損失が増えるリスクがあります。
したがって、損失を最小限に抑えるために、早期に損切りを行うことも戦略のひとつとして重要です。市場動向を見極めつつ、売却のタイミングを慎重に判断することが求められます。
空室を埋める
売却しようとしている投資マンションが空室の場合、不動産投資家が購入したとしても空室が埋まるまで家賃収入が入りません。そのため、購入希望者は空室が埋まるまで購入を控えてしまうケースが多いです。
空室が埋まった状態だと投資マンションを購入後、すぐに家賃収入が入りますので購入希望者も増え、売却しやすくなるでしょう。
監修者からのコメント
売却を見据え空室を埋める場合、リフォーム代や広告費を節約しすぎないことも重要です。これらのコストを削減しすぎると、家賃が下がり収益性が低下し、結果的に利回りが悪化して売却が難しくなるリスクもあります。
したがって、適切な投資を行い、家賃を相場または相場以上に設定することが重要です。
ホームステージングを実施する
ホームステージングとは、部屋をモデルルームのように演出し、より魅力的に見せる販売手法です。
日本ホームステージング協会の「ホームステージング白書2022」では、ホームステージングを導入している不動産会社や賃貸オーナーなどを対象に、実施後と実施前の効果を検証しています。
主な結果は次のとおりです。
実施前と実施後の比較 | 結果 |
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内覧者数 |
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内覧時間 |
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成約前の期間 |
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効果 |
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ホームステージングの実施件数(昨年と比較) |
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5万円未満~100万円以上まで費用には幅がありますが、基本的には5〜15万円未満で実施するケースが40%、15〜30万円未満が46%です。なかには無料でホームステージングを実施している不動産会社もありますので、まずは相談してみましょう。
外国人に売る
投資マンションが売却しにくい理由として、購入者が不動産投資家などに限られる点を前述しました。近年、日本国内の不動産売買市場において外国人投資家の購入が増えています。
「円安の影響を受けて不動産が安く購入できる」「海外の不動産に比べると利回りが高い」といった理由から、外国人投資家が好んで日本の不動産を購入しているのが現状です。
外国人投資家までターゲット層を広げると、購入希望者が増える可能性が高まります。
監修者からのコメント
投資用マンションにおいて、外国人投資家は出口戦略として無視できない存在です。
特に中国、台湾などの外国人は多く、東京エリアではターミナル駅や都心部といった海外の方でもわかる、名が知れたエリアに関心を強める傾向があります。
実際に取引する場合には、文化や慣習による違いからトラブルになるケースも多々あるので、留意することにも気をつける必要があります。
不動産会社を変える
投資マンションは、不動産会社のスキルによって売却できる時期が大きく異なります。売却する投資マンションの魅力を十分に反映した広告ではない場合や、募集広告を出している先が多くない場合などはなかなか売却できません。
一般的に投資マンションの売却を不動産会社に依頼する場合、媒介契約を締結し、3カ月間の契約期間があります。不動産会社の動きに満足できていない場合は、契約期間を過ぎた際に不動産会社を変更すると売却できることがありますので検討しましょう。
監修者からのコメント
不動産売買は会社によって、専門性が大きく異なります。
特に投資用マンションはニッチな領域なので、一般的な居住用マンションや戸建とは異なり、実績のある不動産会社でも投資用については、カバーしきれない分野があります。
不動産会社であれば売買自体は可能ですが、よりよい条件や納得した売却取引を求めるのであれば、専門的な会社、経験のある担当者に依頼をするのがおすすめです。
売却する時期を検討する
売却しにくい理由で述べましたが投資マンションなどは、入居が入りやすい時期に売却しやすい傾向にあります。2月や3月は入居の動きが多く、逆に4月や8月はあまり多くありません。
4月に売却しようとしても、空室が目立つ場合は入居が入らず、さらに売却しにくくなってしまいます。2月や3月に売却できるようにスケジュールを調整し売買市場に出すと、売却しやすくなるといえるでしょう。
高値売却より早期売却なら、不動産会社(法人)へ売る
赤字状態が続き、少しでも早く手放したいという方は、不動産会社へ買い取ってもらう方法もあります。
購入希望者を探す時間を省略できるため、すぐに現金化したい方におすすめですが、会社が利益を出すために相場の約7〜8割の価格になってしまうのがデメリットです。
監修者からのコメント
不動産会社の買取方法は主に2パターンあります。
- 1.直接不動産会社に買い取ってもらう場合
- 2.不動産仲介会社を通じて不動産会社に買い取ってもらう場合
どちらにもメリットデメリットはあります。
1.の場合には、直接買取なので仲介手数料は発生しません。2.の場合は仲介手数料が発生します。しかし、2.の場合は仲介会社にもよりますが、買取不動産会社のネットワークが強い仲介会社であれば、数社から数十社に買取査定を算出し、一番高い条件を提示してくれることがあります。
そのため、仲介手数料を支払ったとしても直接買取する場合よりも、手取り金額が高いことは十分あり得ます。
また、例外的に投資用マンションの場合では、買取する不動産会社のほうが、高いケースもあります。それは、相場以上で販売する力をもっている場合です。
投資用の販売を主体に事業している不動産会社が買取する場合、独自の販売戦略や販売後のサポートなども含めた付加価値で販売が可能です。
さらに、金融機関との提携や優遇した条件で販売するため、相場以上に高値で売却できるのです。
そのため投資用マンションでは、物件や会社にもよりますが、買取価格が高いケースもあります。しかし、居住用の「実需マンション」においては、基本的に相場の7~8割になります。
売却できないならリビンマッチを使おう
不動産の一括査定サイトであるリビンマッチでは、投資マンションの査定依頼が最短45秒でできます。大手から中小まで全国多数の不動産会社の中から、投資マンションの扱いに慣れている会社のみが査定をしてくれます。
完全無料ですので、ぜひリビンマッチを使って投資マンションの売却に強い会社に売却の手助けをしてもらいましょう。
投資マンションが売却できないときに、よくある質問
- 投資マンションが売却できない理由は?
- 「サブリースである」「売却相手が限られている」「オーバーローンである」「価格が相場より高い」「売却のタイミングが悪い」「広告を出す不動産会社に問題がある」といった理由が考えられます。
- 買主が決まらない投資マンションを売却する方法は?
- 「オーバーローンならアンダーローンにする」「マンションが空室の場合は、空室を埋める」「内覧はあるのに申し込みがないなら、ホームステージングを実施する」「外国人投資家に売る」「不動産会社を変える」「売却する時期を検討する」「高値売却より早期売却なら、不動産会社(法人)へ売る」といった方法があります。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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