リビン・テクノロジーズが20周年 リビン・テクノロジーズが20周年
東証上場 リビン・テクノロジーズ株式会社(東証グロース上場)が運営するサービスです  証券コード:4445

アパート一棟を売却するには? 売り時や売却相場を求める方法・不動産会社選びのポイントなどについて解説

更新日:
アパート一棟を売却するには? 売り時や売却相場を求める方法・不動産会社選びのポイントなどについて解説

アパート一棟を売却したい場合、重要なのがタイミングです。また、アパートをできるだけ高額で売却するには、家賃水準を保ちながら空室を減らすといった資産価値を高めるための工夫が必要です。アパートの売却実績が豊富な不動産会社を選べば、適切なアドバイスを受けられ売却がスムーズに進むでしょう。

本記事では、アパート一棟の売り時の見極め方や売却相場を求める方法、高く売却する方法などについて解説します。アパート一棟を売却する際の流れや、ローンが残っている場合の対処法、そして不動産会社選びのポイントなども合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

アパート一棟の売り時とは?

アパート一棟の売り時とは?

案内の風景

アパート一棟の売却は大きな決断です。一般的に売り時だといわれるタイミングは以下のとおりです。

  • 減価償却期間が終了したとき
  • デッドクロスが発生したとき
  • アパートが満室状態のとき
  • アパートの所有期間が5年を超えたとき
  • 土地や不動産の売却相場が上昇しているとき

ここからはそれぞれの詳細について、解説します。

減価償却期間が終了したとき

アパート一棟の売り時のひとつに、減価償却期間が終了したタイミングがあります。減価償却とは不動産をはじめとする資産の購入費用について、経費として一度で計上せず、分割して計上する会計処理のことです。減価償却の対象となるのは業務に使用されており、かつ時間の経過とともに劣化する資産です。

アパートの土地は年数が経っても古くならないため減価償却できません。一方、アパートの建物は減価償却の対象です。減価償却が認められるのは、対象となる資産の耐用年数が続く間です。耐用年数をすぎると、減価償却も終了します。

アパートにおいて減価償却の期間中は計上される経費が多いため、所得税の課税額を減らせてキャッシュフローに余裕ができやすい状態です。しかし減価償却が完了した後はデッドクロスという状態に陥ります。デッドクロスとは税金が増え、キャッシュフローがマイナスとなり、資金繰りが悪くなりやすい状態です。デッドクロスについて詳しくは次項で解説します。

減価償却期間が終了した際には、デッドクロスのリスクも踏まえ、アパート一棟を売却すべきか検討するとよいでしょう。

デッドクロスが発生したとき

借入金を元にアパートを経営する場合において、ローンの元本返済額が減価償却費よりも大きくなる時点をデッドクロスと呼びます。前述したとおり、減価償却費はすでに支払った経費を少しずつ計上するため、実際には現金が出ていかないにもかかわらず経費として扱えます。一方、ローンの元本返済はお金の貸し借りの結果であるため支出に該当しません。そのため実際には現金が出ていくにもかかわらず、経費には計上できないのです。

デッドクロスが発生すると計上される経費が減るため、会計上は利益が増えます。しかしあくまでも会計上の利益が増えるだけで、実際のキャッシュフローは変わりません。結果として実際の利益は増えない反面、所得税の負担だけが大きくなります。

所得税の負担が大きすぎると、会計上は利益が出ているのに資金繰りがうまくいかない、いわゆる黒字倒産に陥るリスクがあります。デッドクロスが起こるタイミングは、インターネット上のシミュレーションサービスなどを利用すれば確認可能です。デッドクロス発生のタイミングは、アパート一棟の売り時のひとつといえるでしょう。

アパートが満室状態のとき

アパート一棟が満室状態であれば資産価値が高くなり、売却するタイミングとして適しています。投資目的でアパートを所有している場合、最終的な目標は投資家に購入してもらうことです。空室が多いより、少しでも多くの入居者がいる状態のほうがアパートを高く買い取ってもらえます。

アパートの購入を検討する投資家は、できるだけ利回りがよいアパートを買いたいと考えています。満室状態のアパートなら多くの人から家賃を回収できるため多くの利益を確保可能です。また、満室状態のアパートは人気の高さがうかがえ、投資家からの印象がよくなるため需要が高まります。

アパートを満室状態にしたくても、入居者の入退去は予測が難しい面があります。もしもアパートが満室状態であるなら、売却を検討するのもおすすめです。ただし満室だという理由だけで売却を決めてしまわず、アパートの築年数や減価償却期間なども考慮した総合的な判断をするようにしましょう。

アパートの所有期間が5年を超えたとき

アパートの売却益にかかる所得税や住民税の課税率は、所有期間によって異なります。課税率が低くなるタイミングはアパートの所有期間が5年を超えた時点です。不動産の売却は所有期間が5年以下なら「短期譲渡」、5年を超えるなら「長期譲渡」と呼ばれます。それぞれの課税率は下記のとおりです。(※1~2)

  • 短期譲渡:39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%)
  • 長期譲渡:20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)

所有期間が5年を超えると、5年以下の場合と比べて課税率が約半分となります。税金の負担を大きく減らせるため、アパートを所有して5年以内のタイミングでは、特別な事情がない限りは売却せずに持っておくことがおすすめです。

※1 出典:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

※2 出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算

土地や不動産の売却相場が上昇しているとき

アパートの土地や不動産の相場価格が上昇している場合は売り時といえます。土地や不動産の価格は変動するため、公示地価や基準地価、路線価など公的機関が発表する指標を定期的にチェックしましょう。各指標の特徴は以下のとおりです。

各指標の特徴
指標 調査主体 発表時期
公示地価 国(国土交通省土地鑑定委員会) 毎年3月下旬
基準地価 都道府県 毎年9月下旬
路線価 国税庁 毎年7月1日

※2023年7月10日現在の情報です。

ただし、上記の価格は実勢価格(実際に売買された価格)とは異なります。土地の売却相場をつかむには、不動産会社の査定も役立つでしょう。

アパート一棟の売却相場を求める方法

アパート一棟の売却相場を求める方法のひとつに、収益還元法があります。ここからは収益還元法の計算式や計算方法、収益還元法以外での求め方についてそれぞれみていきましょう。

収益還元法の計算方法(直接還元法)

収益還元法とは将来的に期待できる利益を元に売却価格の目安を求める方法です。収益物件の査定にはいくつか方法がありますが、一般的に収益還元法が用いられます。また収益還元法の計算方法には、以下の2つのパターンがありこの項目では直接還元法について紹介します。

  • 直接還元法
  • DCF法

直接還元法の計算式は、以下のとおりです。

売却相場=年間純利益÷還元利回り

年間純利益=年間収入-年間経費

還元利回り(%)=年間純利益÷アパートの価格×100

還元利回りは不動産の収益性を表す利率であり、資産価値を評価する指標のひとつでもあります。還元利回りは正確な算出が難しいため、多くの場合では不動産会社が公表するデータを利用します。たとえば毎月の家賃収入が10万円、経費が1万円、還元利回りが5%の場合、計算式は以下のとおりです。

年間収入=10万円×12カ月=120万円

年間経費=1万円×12カ月=12万円

年間純利益=120万円-12万円=108万円

売却価格の目安=108万円÷5%=2,160万円

上記の計算式から不動産の売却価格の目安は、2,160万円であることが分かります。

収益還元法の計算式(DCF法)

ここからは収益還元法のもうひとつの計算方法である、DCF法について紹介します。DCFは「Discounted Cash Flow」の略称です。DCF法ではアパートを所有している間の純利益と将来的に生み出すことが予想される価格に基づいて不動産価格(売却価格)を算出します。DCF法の計算式は下記のとおりです。

不動産価格(売却価格)=年間純利益の現在価値の合計+将来的に生み出すことが予想される価格の現在価値

DCF法なら直接還元法よりも精度の高い売却価格を求められますが、複雑な計算を伴う点がデメリットです。DCF法で計算されたアパートの売却価格を知りたいなら、不動産会社に問い合わせてみるのもひとつの方法です。

収益還元法以外で求める方法

収益還元法以外でアパート一棟の売却相場を求める方法としては、原価法や取引事例比較法があります。それぞれについて解説します。

原価法

原価法は不動産の再調達価格に基づいて、対象不動産の試算価格を算出する方法です。再調達価格とは、同じアパートを再度調達するためにかかると予測される費用のことを指します。

再調達価格を算出するには、まずアパートの新築にかかる費用を算出します。次に実際のアパートの築年数に合わせた減価修正が必要です。原価法の計算式は以下のとおりです。

不動産価格(売却価格)=単価×総面積×残存年数÷耐用年数

残存年数とは耐用年数の残り期間を指し、耐用年数から築年数を引くことで求められます。またアパートの耐用年数は構造によって異なり、木造なら22年、鉄筋コンクリート造なら47年です。(※)

※出典:国税庁「耐用年数(建物/建物付属設備)

取引事例比較法

前述した収益還元法は収益物件の売却相場を目的に使われる方法です。一方で、取引事例比較法は居住目的のアパートを売却する際に利用されます。取引事例比較法では周辺の類似物件の取引実績から、アパートの売却相場を算出します。取引事例比較法の計算式は以下のとおりです。

比準価格=取引事例の価格×事情補正×時点修正×標準化補正×地域要因比較×個別要因比較

計算式のそれぞれの項目に関する内容は以下のとおりです。

  • 取引事例の価格:実際に成立した売却価格
  • 事情補正:特別な事情(買い急ぎ・売り急ぎなど)を考慮した数値
  • 時点修正:過去の取引時点と評価を行う時点が離れていた場合の変動を考慮した数値
  • 地域要因:地域の格差(道路状況・周辺環境など)に関する数値
  • 個別要因:個別的格差(土地の広さ・日当たりなど)に関する数値

簡易な例として、広さ100m²のアパートを売却したい場合を取り上げます。周辺で広さ50m²、かつ似た条件のアパートが100万円で売れていたとすると、取引事例比較法による計算は以下のとおりです。

不動産価格=100万円(50m²)×2=200万円(100m²)

売却したいアパートが取引事例と比較して2倍の広さなので、取引事例比較法では不動産価格も2倍になると考えます。

アパート一棟を高く売却するポイント

商談の風景

アパート一棟を高く売却するポイント

アパート一棟を高く売却するためには、いくつかポイントがあります。空室を減らしたり、家賃水準を保ったりすることは、アパートの資産価値を高める効果的な方法です。また、家賃の滞納問題が生じているなら解決しておきましょう。それぞれの詳細について解説します。

空室を減らす

前述したとおり満室状態のアパートなら利回りがよく、購入希望者からの印象も良好なので資産価値が高まりやすいです。反対に空室が多ければ家賃収入をあまり得られず、収益物件として魅力的ではありません。アパート一棟を高く売却したいなら、入居者を増やして空室を埋める必要があります。

入居者を集めるためには、購入希望者に住みたいと思わせる工夫をしましょう。たとえばアパートの部屋に家電や家具を備え付ければ入居してすぐに快適に暮らせるため、住みたいと感じる人が増える可能性があります。需要に合わせてリフォームやリノベーションをするのもひとつの手段です。また、管理会社が適切にアパートを宣伝・営業しているか、任せきりにせずチェックするようにしましょう。

家賃水準を保つ

空室を減らすことが、アパートの高額な売却につながると解説しましたが、そのために家賃を下げてしまえば、結果としてアパートの資産価値を下げてしまいます。アパート一棟の購入を検討する人は利回りを重視しています。利回りが高く大きな利益を上げられるアパートほど高い価格で売却可能です。

利回りを高くするには家賃の水準を保つ必要があります。入居者の経済的な負担を下げることで集客につなげたいなら家賃を下げるのではなく、引っ越し祝い金の支給やフリーレントなどを実施しましょう。フリーレントとは家賃が一定期間無料になるキャンペーンのようなものです。入居者はフリーレントによって一定期間無料でアパートに住め、無料期間が終われば通常の家賃を支払います。

家賃の滞納問題を解決しておく

家賃の滞納問題が生じているアパートは売れにくくなります。購入希望者がアパート一棟を購入する目的は、主に家賃収入です。入居者が家賃を支払わない場合、期待した収益が得られず損失発生につながります。家賃が支払われていない状況では、アパートの売却は難しいといえるでしょう。

そのため家賃の滞納が発生しているなら、早期に解決しなくてはなりません。支払いが遅れているだけであれば注意喚起といった対処で済む場合が多いでしょう。しかし、滞納が常態化していると、内容証明郵便による督促や強制退去などの大がかりな対処が必要です。

家賃の滞納問題を解決するには管理会社との連携が重要となります。入居者への対処は順を追って進めていく必要があるため、自己判断で対応せずまずは管理会社に相談しましょう。

アパート一棟を売却する方法

アパート一棟を売却する方法について、売却までの基本的な流れや期間の目安、必要書類についてそれぞれについて解説します。

売却するまでの基本的な流れ

アパート一棟を売却する基本的な流れは、以下のとおりです。

流れ1. アパート価格の査定

まずは不動産会社にアパート一棟の査定依頼を行いましょう。複数の不動産会社の査定を受け取れば、売り出したいアパートの売却相場も把握できます。

流れ2. 不動産会社選び

アパートの売却を成功させるには、売却活動の仲介を依頼する不動産会社の選定が重要です。不動産会社を比較するなら、不動産の一括査定サービスが役立ちます。

流れ3. 媒介契約

仲介を依頼する不動産会社と、媒介契約を締結します。媒介契約には、以下の3種類があります。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

それぞれの媒介契約にはメリット・デメリットがあるため、特徴を把握してより自分に適した契約を選択しましょう。

流れ4. 売却活動

不動産会社の売却活動によって購入希望者を探します。売却活動では適切な売り出し価格の設定や、売り出すアパートの強みをアピールすることが重要です。

流れ5. 売買契約

購入希望者が現れ、内覧や交渉を経て売買条件に合意できれば売買契約を締結します。契約時は原則として売主・買主・不動産会社が集まり、買主から売主に手付金が支払われます。契約内容についてはトラブルを防止するためにも、丁寧に確認するようにしましょう。

流れ6. アパートの引き渡し

買主と事前に合意した日程でアパートを引き渡します。

流れ7. 確定申告

アパートの売却によって利益が出た場合は、翌年の指定期間に確定申告をして所得税を納めてください。

アパート一棟を売却する期間の目安

アパート一棟の売却にかかる期間の目安は約3~6カ月といわれていますが、ケースバイケースです。半年をすぎてもなかなか売れないケースもあれば、売り出しから1カ月でスピーディに売れる場合もあるでしょう。

アパート一棟は通常の居住用の物件と異なり購入層が狭まるため、売却するには一定のノウハウが必要です。アパート一棟をスムーズに売却するためには、実績やノウハウがある不動産会社からのサポートを受けるようにしましょう。具体的には、賃貸アパートをはじめとした収益物件の実績が豊富な不動産会社に依頼するのがおすすめです。不動産の一括査定サービスを利用すれば、さまざまな不動産会社の中から実績のある不動産会社を手軽に見つけられるでしょう。

アパート一棟の売却に必要な書類

アパートを売却する際には、さまざまな書類が必要です。具体的には以下のとおりです。

アパート一棟の売却に必要な書類
必要な書類 詳細
売主の個人情報に関する書類
  • 身分証明書
  • 印鑑
  • 印鑑証明書
  • 通帳
  • 住民票
アパートの情報や権利関係に関する書類
  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 登記識別情報通知(権利証)
  • 地積測量図や境界確認書
  • 固定資産税納税通知書、または固定資産税評価証明書
  • アパートの図面(例:販売パンフレット)
  • 抵当権抹消登記の必要書類

なお、通常の物件と異なりアパート一棟の場合、上記の書類に加えて修繕履歴が分かる書類も用意しておくとスムーズです。今までの修繕について把握できれば、今後の修繕計画が立てやすく、費用の見積もりがしやすくなります。大規模な修繕だけでなく、部屋ごとの内装や設備などの細かい修繕内容についても確認できるようにしておくのがおすすめです。アパートの状態や管理状況が分かるだけでなく、アパートをきちんと管理していたことの証明となるため、購入希望者が購入を前向きに検討しやすいでしょう。

ローンが残っているアパート一棟を売却するには?

ローンが残っているアパート一棟を売却する場合、状況によっては手続きや資金の準備が必要です。ここからは売却価格がローン残債を上回っているケース、売却価格よりアパートローン残債が多いケースについてそれぞれ解説します。

売却価格がローン残債を上回っているケース

売却価格がローン残債を上回っているケースをアンダーローンと呼びます。売却価格がローン残債を上回っているなら、特に手続きも必要なくアパートを売却可能です。売却代金を受け取った後、ローンを完済すれば抵当権が抹消できるため、問題なくアパートを買主に引き渡せます。

なお、抵当権を抹消するにはローンを借り入れている金融機関から必要書類を受け取らなくてはなりません。アパートの売買契約が決まったら、金融機関に対して早めのタイミングで売却の事実や引き渡し日を連絡しておきましょう。

売却価格がローン残債を下回っているケース

売却価格がローン残債を下回っているケースをオーバーローンと呼びます。オーバーローンの状態では、たとえアパートを売却したとしてもローンを返しきれません。またアパートを買主に適切に引き渡すためには、ローンを完済しアパートに設定された抵当権を抹消する必要があります。

オーバーローンの状態でアパートを売却する方法のひとつは、売却代金で返済できない分のローンに自己資金を充てることです。自己資金を使ってもローンを完済できないなら、任意売却という選択肢もあります。

任意売却とは、オーバーローンの場合にローンを借り入れている金融機関の同意を得て不動産を売却する方法です。任意売却なら不動産を売却した際にローンを完済せずに済み、売却後にも計画的にローンを支払えます。ただし任意売却のためには金融機関と交渉し、同意を得なくてはなりません。

アパート一棟を売却する際に知っておきたい不動産会社選びのポイント

アパート一棟を売却する際は、不動産会社選びが重要なポイントです。不動産会社を選ぶ際には以下に挙げる点をチェックしましょう。

  • 査定価格が適切である
  • インターネット広告が充実している
  • 投資物件の実績が多い
  • コミュニケーションが取りやすい
  • 行政処分を受けていない
  • 宅地建物取引業の免許番号を確認する

それぞれについて解説します。

査定価格が適切である

アパート一棟の売却を検討する際、まずは不動産会社による査定価格のチェックをしましょう。売却活動では査定価格に基づいて売り出し価格を決め、売り出したいアパートの宣伝を行います。また、査定価格の根拠を確認すれば、不動産会社を選ぶ際の判断基準のひとつとなるでしょう。

なお、たとえ不動産会社が高い査定価格を提示したとしても、必ずしもその価格で売却できるわけではありません。不適切な査定価格を信じて売却活動を進めてしまうと、最終的にアパートが売れ残る原因となってしまいます。反対に低すぎる査定価格に基づいてアパートを売り出せば、売却相場よりも安く売却してしまい、本来ならば得られた利益分、損をしてしまいます。

査定価格の根拠について説得力ある説明ができる不動産会社であれば、売主としても納得の上でアパートの売り出し価格を設定でき、後悔のない売却活動を進められるでしょう。反対に査定価格の根拠について、分かりやすい説明ができない不動産会社なら、依頼するのを避けたほうがよいかもしれません。

インターネット広告が充実している

インターネット広告が充実している不動産会社に依頼することで、アパート一棟でも売却しやすくなる傾向があります。近年ではインターネットを利用して購入する不動産を探す人が増えています。インターネット広告が充実していて、オンラインでの売却活動に力を入れている不動産会社を選びましょう。

インターネットによる宣伝であれば地理的な制約がなく、場所や時間を問わず情報を届けられることもメリットです。特に、前述したようにアパート一棟は居住用の物件と異なり、購入希望者が少ない傾向にあります。購入希望者を見つけるためには、できるだけ多くの人の目にとまるよう、幅広くアプローチしていかなければなりません。不動産会社を選ぶ際は、どのような自社ホームページを運営しているのか、不動産ポータルサイトへの情報掲載には力を入れているかなどといった点をチェックしましょう。

投資物件の実績が多い

アパート一棟をはじめとする投資物件は、居住用物件の売却とは違ったノウハウが必要な場合もあります。不動産会社にはそれぞれ得意不得意があるため、投資物件の実績が多い会社を選びましょう。

不動産会社の実績については、まずは不動産会社のホームページを確認しましょう。また、不動産会社の担当者とやりとりできれば、過去の事例について詳しく聞けるでしょう。ただし不動産会社に一件ずつ問い合わせると、時間や手間がかかってしまいます。不動産の一括査定サービスを利用すれば、一度Webサイトでアパートの情報などを入力をするだけで複数社から査定を受けられやりとりもできるため、効率的に実績の確認が可能です。

コミュニケーションが取りやすい

不動産会社を選ぶ際は、担当者とコミュニケーションが取りやすいかどうかも重要なポイントです。レスポンスがスピーディで親身になって対応してくれる担当者であれば、売却活動がスムーズに進みやすくなります。担当者が不安や疑問に対して丁寧に答えてくれれば、不安を感じることなく売却活動を進められるでしょう。

前述したとおりアパート一棟の売却にはノウハウが必要なため、不動産会社からのアドバイスが大いに役立ちます。売却活動が行き詰まった際も適切な助言をくれる担当者がいれば、状況を打開しやすくなります。アパート一棟の売却活動に関しては売主に任せきりにせず、細かい点まで丁寧にサポートしてくれる不動産会社がおすすめです。

また礼儀正しく明るい担当者であれば、購入希望者からの印象もよくなりやすいです。担当者の対応や好感度も購入希望者の成約を左右する要因になります。コミュニケーションを円滑に進められ、信頼できる担当者であればスムーズに売却活動を行えるでしょう。

行政処分を受けていない

行政処分とは業務改善のための指示処分や業務停止処分、免許取消処分などの総称のことです。宅地建物取引業法に違反した宅地建物取引業者(不動産会社)は、国土交通大臣または都道府県知事によって行政処分を受けます。たとえば不動産売買において虚偽の説明をしていたり、法的な上限を超える仲介手数料を徴収したりするような不動産会社であれば、行政処分の対象となります。

アパート一棟を売却する際には、行政処分を受けていない不動産会社を選ばなくてはなりません。不動産会社の行政処分の履歴は「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」における「不動産の売買・管理」内にある「宅地建物取引業者」ページで確認できます。(※)また、各都道府県のWebサイトでも行政処分の受けた不動産会社の情報を公開しているケースもあるため確認してみるとよいでしょう。

ただし行政処分を受けた過去があっても現在は改善している不動産会社もあるため、履歴を確認する際は最新の情報や現在の対応なども合わせて確認するようにしてください。

※参考:国土交通省「国土交通省ネガティブ情報等検索システム

宅地建物取引業の免許番号を確認する

宅地建物取引業を営むには宅地建物取引業免許が必要です。また、不動産会社(宅地建物取引業者)は、宅地建物取引業免許を事務所に掲示する義務があります。宅地建物取引業の免許番号は、以下のような形式で表記されています。

  • 国土交通大臣免許 (X) □□□号
  • ○○県知事免許 (X)□□□号

括弧の中のXは、宅地建物取引業免許の更新回数を表す数字です。たとえばXの箇所に1と記載されていれば、免許の更新回数は1回だと分かります。宅地建物取引業免許は5年に1度更新されるので、不動産会社の営業年数の参考になるでしょう。

  • X=1:営業年数が5年未満
  • X=2:営業年数が10年未満
  • X=3:営業年数が15年未満

ただし1996年3月31日までは、宅地建物取引業免許の更新頻度が3年に1度であったため、上記の限りではありません。

営業年数が長いほど経験豊富な不動産会社だと想定しやすいですが、営業体質が古い可能性もゼロではありません。反対に、営業年数が短ければ経験不足であるリスクが考えられますが、更新回数に関係なく頼れる不動産会社も存在するため、あくまでひとつの参考として捉えておくのがおすすめです。

アパート一棟をなるべく早く売却したい場合

アパート一棟をなるべく早く売却したい場合は仲介による売却ではなく、アパートを不動産会社に直接買い取ってもらう買取を検討するのもひとつの方法です。不動産会社の買取であれば購入希望者を探す手間がなく、時間もかけず確実にアパートを売却できます。スピードを優先するなら仲介よりも買取が適しているでしょう。買取であれば仲介手数料が発生せず、すぐに現金を受け取れる点もメリットです。

ただし、買取では一般的に仲介と比較して売却価格は下がります。買取相場は通常の売却価格の約7割だといわれています。売却価格を重視したいのなら、買取ではなく仲介のほうがおすすめです。アパート一棟の売却では自分が何を優先するのか整理してから、売却方法を検討するようにしましょう。

まとめ

アパート一棟を売却する際には、売り時の見極めが重要です。またできるだけ正確な売却相場を知るためには、本記事で紹介した算出方法に関する知識が求められます。アパート一棟は居住用物件よりも購入希望者数は少ない傾向にあるため、ターゲットに沿った売却ノウハウが必要な場合もあります。不動産会社選びに力を入れれば、アパート一棟であってもより高く売却しやすくなるでしょう。

なお、不動産会社を決める上では複数社を比較検討することが重要です。不動産の価格比較のポータルサイト「リビンマッチ」なら最大6社の不動産会社に一括で査定依頼ができ、効率的にアパート一棟の売却に適した不動産会社を探せます。インターネット環境さえあれば24時間いつでも無料で利用できるため、不動産会社選びで迷っている場合はぜひ活用してみてください。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。

コンテンツの引用ルール

運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)

カテゴリー
不動産売却コラム

リビンマッチコラムを引用される際のルール

当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。

引用ルールについて

カテゴリー一覧

Copyright © Living Technologies Inc. All rights reserved.
ページトップへ