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不動産の共有持分とは?共有持分で起こりやすいトラブルの解決法も紹介

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不動産の共有持分とは?共有持分で起こりやすいトラブルの解決法も紹介

法定相続人が複数いる場合に、不動産を共有名義で相続登記する場合があります。しかし、不動産を複数の共有者で所有している状態では、さまざまな問題が発生します。共有持分について、管理方法やよくあるトラブルの解決方法を紹介します。

この記事の監修者

司法書士法人リーガル・デザイン
代表社員:細沼 昭久(ホソヌマ アキヒサ)
保有資格:司法書士・行政書士

弊社は2018年に司法書士・行政書士事務所として開業し、2021年に法人化いたしました。

弊社には中国やベトナムをはじめとする外国人スタッフが複数名在籍しており、日本のお客様のみならず海外からのお客様にも数多くご利用いただいております。

私たちはお客様のあらゆるニーズにお応えできるよう真摯に向き合い、お客様にとっての最善を法的な観点からご提案いたします。

会社ホームページ:司法書士法人リーガル・デザイン

共有持分について

共有持分の定義や、共有者が持つ権利を解説します。また、どういった場合に共有持分の状態になるか具体的にみていきましょう。

共有持分とは

複数の共有名義で所有している不動産を、「共有物」といいます。

「共有持分」とは、その共有物を所有している共有者の持つ所有権の割合のことです。

各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

民法第249条 e-Gov法令検索

共有者は、持分に応じて、対象の不動産を使用することが可能です。しかし、保存や維持のために行う修繕など、ほかの共有者からの合意が必要な場合があります。

共有物に対して認められている行為

不動産の共有者は、共有持分に応じた使用ができますが、具体的にどういう行為が認められているのでしょうか。

以下は、共有名義でできることをまとめた表です。

共有者からの合意が必要な行為
行為 共有者からの合意
使用・保存 単独で可能
管理 過半数の合意
処分・管理 全員の合意

使用・保存行為

共有物への居住や事務所として利用することが、使用行為に該当します。持分に関わらず、単独で使用することが可能です。

しかし実際は、使用する際に家賃をほかの共有者から請求されることも考えられます。事前に、共有者の中で話し合ってトラブルを避けましょう。

また、設備の故障や古くなった物の交換は、保存行為です。共有物の維持のために必要ならば、単独で行うことが認められています。

管理行為

管理行為とは、共有物を利用または改良することです。たとえば、以下のような場合がそれぞれあてはまります。

利用
三者に対して貸借する
改良
リフォームなどで共有物の性能を向上させる

管理行為に必要な合意は、共有者の過半数でなく、持分の過半数です。

つまり、過半数以上の持分をひとりが持っている場合は、単独で管理行為を行うことができます。

処分・変更行為

処分・変更は、共有物全体を売却することや取り壊すことです。共有者全員の合意がない状態で、締結した売買契約は無効です。

売却や取り壊しを検討する場合は、必ず共有者間で話し合い、全員からの合意を得ましょう。

共有持分が生じるケース

共有持分の状態は、以下の2つのケースで発生します。

  • 法定相続持分に応じて不動産を相続した
  • 共同で不動産を購入した

法定相続持分に応じて不動産を相続した

不動産を、分割せずに法定相続分に応じて相続すると、共有名義で登記し、共有持分の状態です。不動産を含めた遺産の分割は、遺言書または遺産分割協議書が必要です。

共同で不動産を購入した

不動産を夫婦や兄弟で、資金を出し合って購入すると、共有持分の状態です。それぞれが貯めた貯金を出し合って購入した共有不動産を、単独で登記すると、金銭を贈与したとみなされ、贈与税が発生することがあります。

共有持分の状態で起こりやすい問題

共有物の管理は、共有者が共同で行う必要があります。不動産の管理には、一定のコストがかかり、共有持分の状態では問題が複雑になることがあります。共有持分の状態で、起こりやすい問題を紹介します。

私道など不動産管理上の問題

保存行為は単独で行えますが、管理のために行う工事には、共有者の過半数の合意が必要です。

たとえば、近隣の方と共有している私道の舗装を修繕するための工事もあてはまります。共有している私道の管理を行うためにも、近隣の方とのコミュニケーションは欠かさないようにしましょう。

共有物は、「誰かが管理してくれる」という心理が働き、管理がずさんになってしまい、結果的に共有物を活かしきれないケースがあります。共有者の中で、管理のための話し合いをきちんと行い、不動産の価値を維持するように努めましょう。

維持費の問題

各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

民法第253条 e-Gov法令検索

民法の条文通り、共有物の管理にかかる固定資産税や都市計画税などの費用は、持分に応じて支払います。マンションの管理費、修繕積立金についても同じです。これらの費用は、共有持分の大きい人に対して一括で請求します。その後、共有者で持分に応じて精算しなくてはいけません。

共有者の中で、維持費を払わない人がいると、持分の大きい人が余分な出費が増えてしまいます。これらの費用を1年以上支払おうとしない共有者の持分について、相応の償金を持って持分を取得できます。

担保を設定する借り入れができない

共有物全体に対する抵当権の設定は、変更行為に該当するため、共有者全員の合意が必要です。なお、持分にのみ抵当権を設定することは、単独でできます。しかし、返済が滞った際に、競売にかけても買い手がつきにくいため、持分のみの抵当権の設定は難しいです。

相続によって共有持分がさらに細分化する

共有持分の不動産は、相続が発生するたびに所有者が増えていきます。共有者が亡くなると、その持分は法定相続人に引き継がれます。つまり、所有者が増え続けて、持分がさらに細かく分割されていくことになります。

たとえば、兄弟で共有している不動産が、それぞれの子どもたちに引き継がれると、さらに多くの持分に分けられることになります。このように相続が繰り返されると、将来的に不動産の管理や売却をするときに、意思決定が困難になるでしょう。

このような問題を防ぐために、共有者がまだ少ないうちに明確な合意形成を行い、適切な措置を講じる必要があります。

監修者からのコメント

不動産の共有では様々なトラブルが起こります。

たとえば、

  • 共有者の意見がまとまらず管理・売却ができない
  • 共有者が亡くなって権利関係がさらに複雑化する
  • 共有者の一部が行方不明になってしまう

などです。

これらのトラブルは当事者間での話し合いによる解決も可能ですが、話し合いそのものが困難なケースもあります。

また、権利関係において法的な手続が必要になるため、当事者間での解決が難しい場合は、司法書士などの専門家に相談してください。

共有持分の問題を解決する方法

共有持分の状態を解消するために、共有者は「分割請求権」を持っています。分割請求権を行使することで、共有物分割請求訴訟を申し立てることができます。共有物分割請求訴訟について、詳しくは下記コラムをご確認ください。

ただ、訴訟は1年近くかかることもあります。その間にも、不動産管理のための費用は発生します。時間をかけずに共有状態を解消する方法を解説します。

客観的な公平性を担保して協議を行う

共有者による協議での解決が、一番コストをかけずに済みます。共有者全員にとって、公平で客観的にも納得できる内容の分割協議書を作成して、円滑に協議を進めましょう。

不動産の価格については、不動産鑑定士に鑑定を依頼し、公平性を担保してもらいましょう。不動産を所有していることで得られる恩恵も少なからずあるため、共有者にとってメリットとなる方法を提案しましょう。

共有持分を売却する

協議に応じる姿勢がなく、時間をかけずに共有状態を解消したい場合、共有持分のみ売却することも可能です。自分の持分の売却について、ほかの共有者に合意を得る必要はありません。

しかし、共有持分は、所有権の一部です。そのため、第三者への売却は難しく、以下の方法が一般的です。

  • 共有持分を売却する
  • 単独名義にして売却する
  • ほかの共有名義人に売却する
  • 代行売却をする
  • 共有持分を分筆して売却する

共有持分を売却する

自分の共有持分だけであれば、所有者の判断だけで売却できます。しかし、共有持分だけの売却は、購入してくれる第三者はそうそう見つからないでしょう。そういったときは、不動産買取を行っている会社に依頼すると、自分の持分だけでも売却できることがあります。不動産会社が直接買い取るため、共有持分の売却に適しています。

単独名義にして売却する

共有名義の不動産を単独名義にすれば共有名義の問題を解決できるため、通常の不動産売却と同じ手続きで売ることが可能です。それには、共有者の理解と協力が不可欠です。共有者全員で話し合い、贈与、売却、放棄など、持分の移転方法を決めましょう。どの方法を選ぶにしても、法的な手続きが必要になるため、専門家への相談が必要です。

ほかの共有名義人に売却する

自分の共有持分をほかの共有者に売却するのも選択肢のひとつです。共有者同士が親しい関係や親類同士の場合は、特に有効な方法でしょう。共有者間の売買は、外部の第三者とのトラブルを避けられ、手続きもスムーズです。ただし、価格交渉や合意形成が必要で、意見の対立が解決を難しくするおそれがあります。

代行売却をする

多忙だったり、遠方に住んでいたり、離婚などで直接交渉が難しかったりする場合は、代行業者に依頼して売却する方法があります。代行業者は共有者全員の合意を取りつけ、不動産の売却まで担当してくれるので、さまざまな負担を軽減できるでしょう。ただし、代行業者への手数料や費用が発生するため、コスト面の考慮が必要です。

共有持分を分筆して売却する

共有持分の不動産が土地であれば、分筆で個々の土地に分割し、単独名義にして売却する方法があります。特に広大な土地を所有しているケースで有効です。分筆によりそれぞれの土地を独立して売却できます。ただし、分筆の手続きが必要になるほか、土地の形状や面積によっては市場価値が低下するリスクがあります。

共有持分に関するよくある質問

共有持分とは?
共有名義で登記している不動産の所有している割合を共有持分といいます。
共有持分は売却できるの?
共有持分のみを売却することは可能です。ただ、買主が見つかりにくく、共有持分の買取業者に買い取ってもらうことが一般的です。
堂下代表が共有持分について解説

堂下代表が共有持分について解説

堂下代表の一言

共有持分で不動産を保有している場合、問題が発生すること非常に多いです。

そうした問題が発生する原因は共有持分の全体を処分する際に共有持分者全員の承諾が必要となるためです。

例えば相続などで共有持分となってしまった建物などの場合、自身の共有持分を処分したくても一方の権利者がその建物に住んでおり、処分の承諾が取れないなどがあります。

自己の共有持分のみ売却すること可能なのですが、買手が見つからなかったり、買手が見つかっても市場価格を大幅に下回る金額でしか売却することできません。

また昨今では夫婦共有で保有していた住宅などを離婚のため手放そうと動いても共有持分者が感情的になってしまい、一向に処分が進まず、売却に長く時間がかかり、金融機関への返済などでももめてしまい、最悪のケース、双方が破産するというケースもあります。こうした事を考えるとできる限り共有持分で保有すること避けた方が良いと思います。

リビンマッチ編集部より

堂下代表の例のように、他の権利者が住んでいる不動産の場合などは、簡単に不動産を手放すことは難しいケースがほとんどです。

そういった共有名義の不動産を売却する方法のなかに、「自分の持分を共有名義人に買い取ってもらう」という方法があります。

しかし、親族間の確執やいさかいなどによって、こういった売買でさえスムーズに運ばれないケースは多々あります。

そういった際は、関係の仲裁も含めた対応ができる不動産会社を探して、根気強く取り組む姿勢が重要です。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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