離婚でのマンション売却|ローンや財産分与と住み続ける判断基準

離婚する際、夫婦で購入したマンションの取り扱いは大きな課題となります。特に住宅ローンが残っている場合、売却して清算するのか、どちらかが住み続けるのかを決めなければなりません。
この決定は、財産分与の公平性や離婚後の生活設計に大きく影響するため、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、冷静に判断することが重要です。ローンの状況や夫婦の意向を踏まえた最適な方法を見つけましょう。
この記事でわかること
- 離婚時のマンションは売却すべきか住み続けるべきかの判断基準
- 住宅ローンの残債状況によって全く異なる財産分与の方法
- 売却をトラブルなく成功させるための具体的な手順
もくじ
離婚時にマンションは売るべき?住み続けるべき?
マンションを売るべきか、どちらかが住み続けるべきかの判断は、離婚後の生活を具体的に見据えて行う必要があります。子どもの学区や転校の問題、片方の収入でローンを支払い続けられるかといった経済的な側面、そして新しい住居を探す手間や費用など、多角的な視点からの検討が求められます。
感情的に決めるのではなく、それぞれの選択肢がもたらすメリット・デメリットを比較し、長期的な視点で判断することが大切です。
マンションを売却するメリット
マンションを売る最大のメリットは、資産を現金化できる点にあります。現金に換えることで、住宅ローンの返済額や売却費用を差し引いた手取り額を基準に、金額を明確にできます。このため、金銭に関する不満や将来的なトラブルのリスクを大幅に軽減できるのです。
また、売却代金などで住宅ローンを完済し、抵当権の抹消や連帯保証関係の解消まで完了できれば、共有名義やローンに関する関係を清算しやすくなります。
マンションを売却するデメリット
マンションを売る場合、夫婦それぞれが新たな住まいを見つける必要があります。新居の契約にかかる敷金・礼金などの初期費用や、引越し代といったまとまった出費が発生します。
また、不動産の売却活動には、査定依頼から買主探し、契約、引き渡しまで、一般的に3~6カ月の期間を要します。その間、内覧対応などの手間もかかるため、時間的・精神的な負担が生じる可能性があるでしょう。
どちらかが住み続ける場合のメリット
夫婦のどちらかがマンションをもらい住み続けることを選択した場合、最大のメリットはいまの生活環境を維持できる点です。特に子どもがいる家庭では、転校を避けられるため、学校や友人関係を変えずに済みます。
引越しの手間や費用がかからず、住み慣れた家での生活を続けられることは、離婚に伴う精神的な負担を軽減する一助となるでしょう。新しく家を探す必要がないため、すぐに生活を安定させられます。
どちらかが住み続ける場合のデメリット
マンションにどちらか一方が住み続ける場合、住み続ける側がマンションを取得する代わりに、退去する側へ代償金を支払わなければならないことがあります。代償金の金額は、マンションの時価から住宅ローン残高を差し引いた価値を基準に、預貯金などのほかの共有財産も含めて調整します。そのため、住み続ける側にまとまった資金が必要になるケースがあります。
住宅ローンの契約内容によっては、借入をしている人がマンションから退去し、元配偶者だけが住み続けると契約上の問題が生じることがあります。住み続ける側や退去する側が連帯債務者・連帯保証人になっている場合は、もう一方が返済を滞納すると、金融機関から返済を求められるおそれもあります。
離婚時のマンションの財産分与はどうなる?
マンションを売却して財産分与を行う際は、まず現在の不動産の評価額を正確に調べることが不可欠です。購入時の価格ではなく、財産分与を行う時点の時価を確認する必要があります。
なお、財産分与の対象となる財産を確定する基準は、一般的に夫婦の経済的な協力関係が終了した別居時とされますが、具体的な事情によって異なります。
マンションが財産分与の対象になるか確認する
前提として、婚姻中に夫婦が協力して購入・維持していたマンションは、夫婦のどちらか一方の単独名義であっても、原則として財産分与の対象になります。一方、婚姻前から所有していたマンションや、相続・贈与によって取得した財産は、原則として特有財産となり、財産分与の対象にはなりません。
購入時の頭金に婚姻前の預貯金や親からの援助が使われている場合は、その金額や割合を考慮して分与額を調整することがあります。
財産分与の請求期限は2年または5年
2026年4月1日以降に離婚した場合、財産分与の調停・審判は、離婚した日の翌日から5年以内に申し立てる必要があります。2026年3月31日以前に離婚した場合は、従来どおり2年以内です。マンション売却には時間がかかることがあるため、売却する場合は期限にかかわらず早めに話し合いを始めましょう。
また、マンション売却によって得た利益を相手に分ける際、それが財産分与や離婚後の生活保障を目的とした給付であれば、原則として贈与税は発生しません。ただし、分与された金額が婚姻中の諸事情を考慮してもあまりに多すぎると税務署に判断された場合や、贈与税を免れるための手段だとみなされた場合には、例外的に贈与税が課されことがあるため注意が必要です。
財産分与では税金がかかる場合がある
前述したように、離婚に伴う財産分与として金銭やマンションを受け取っても、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障として妥当な範囲であれば、受け取った側に贈与税は原則としてかかりません。一方で、分与額が婚姻中の事情を考慮しても過大な場合や、贈与税・相続税を免れる目的の離婚と判断された場合は、過大な部分などに贈与税が課されることがあります。
また、マンションそのものを財産分与した場合は、渡した側が分与時の時価で譲渡したものとして扱われます。そのため、物件の取得費や譲渡費用を差し引いて利益が生じれば、渡した側に所得税・復興特別所得税・住民税がかかる可能性があるため注意しましょう。
マンションの評価額で財産分与の金額は変わる
マンションの評価額を正確に算出することは、公平な財産分与を行うために必要となります。不動産の価値は市場動向によって常に変動するため、購入時の価格ではなく、現在の適正な売買価格を把握しなければなりません。
マンションの評価を調べる主な方法には、不動産会社へ無料査定を依頼する方法と、不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法の2種類があります。不動産会社に依頼する場合、多くの会社が無料で査定を実施しており、インターネットを通じて申し込めるサービスが主流となっています。
一方で、不動産鑑定士に依頼すると、不動産鑑定評価基準に基づいて鑑定評価書が作成されます。主に、夫婦間で査定額に大きな差がある場合や、調停・訴訟で客観性の高い評価資料が必要な場合に利用されます。ただし、鑑定には数十万円単位のまとまった費用が必要になる点がデメリットです。
住宅ローンが残っているマンションの売却方法
離婚時に住宅ローンが残っているマンションの扱いは、最も慎重な対応が求められる問題といえます。
婚姻前の資金や相続・贈与による資金が含まれている場合は、その部分が財産分与の対象外となることがあるためです。まずは金融機関から残高証明書を取り寄せ、正確なローン残債を把握することが大切です。
アンダーローンかオーバーローンかで対処法が異なる
最初に確認すべきは、マンションの売却価格が住宅ローンの残債を上回る「アンダーローン」か、下回る「オーバーローン」のどちらに該当するかです。
アンダーローンであれば、売却代金でローンを完済し、残ったお金を財産分与できます。一方、オーバーローンの場合は売却してもローンが残ってしまうため、自己資金で不足分を補うか、任意売却などの特別な手続きが必要となり、対処法が全く異なります。
【オーバーローンの場合】売却してもローンが残る場合の解決策
オーバーローンで売却しても住宅ローンが残ってしまう場合、解決策は主に3つ考えられます。
1つ目は、ローン残債と売却価格の差額を自己資金で用意し、完済して売却する方法です。2つ目は、金融機関の承諾を得て抵当権を抹消し、マンションを任意売却します。ただし、売却代金で返しきれなかった住宅ローンの返済は原則として残るため、売却後の返済方法についても金融機関と協議する必要があります。
3つ目は、売却を断念し、離婚後もどちらかが住み続けながらローンを返済し続けるという選択肢です。
【アンダーローンの場合】売却益でローンを完済し残った現金を財産分与する
マンションがアンダーローンの状態であれば、財産分与は比較的スムーズに進められます。
物件を売却し、その代金で住宅ローンを一括返済できるためです。売却代金から住宅ローン残高や仲介手数料などの売却費用を差し引いた手取り額を確認し、そのうち財産分与の対象となる部分を夫婦で分けます。譲渡所得に対する税金は、所有者ごとに別途計算する必要があります。
この現金を、夫婦で合意した割合(通常は2分の1ずつ)で分けることで、公平かつ円満な清算が完了します。
ペアローンや連帯債務は離婚しても解消されない
離婚したからといって、マンションの共有名義や住宅ローンの連帯保証人の関係が自動的に解消されることはありません。共有名義のままでは、マンション全体を売却する際に元配偶者の同意が必要になります。
また、自分が連帯債務者や連帯保証人になっている場合、元配偶者が返済を滞納すると金融機関から返済を求められるおそれがあります。
たとえば、株式会社三菱UFJ銀行の住宅ローンの商品説明書には、下記の記載があります。
ご自身がお住まいになる住宅の建築・購入・増改築資金、住宅ローンの借換資金・借り換えに伴う諸費用
つまり、住宅ローンを返済している状態で「他人」である元配偶者だけが住むことは契約違反となることがあるということです。
可能であれば、売却や借り換えによって離婚時に共有関係やローン関係を解消するのが望ましいでしょう。解消できない場合は、将来の売却方法や滞納時の対応などを書面で明確にしておく必要があります。
離婚時のマンション売却で失敗しないためのポイント
離婚という特殊な状況下でマンションを売る場合、通常の不動産売却とは異なる配慮が求められます。夫婦間の円滑なコミュニケーションや、法的な手続きの正確性が、トラブルなく売却を終えるための鍵となります。
感情的な対立を避け、お互いの利益を最大化するためには、いくつかの重要なポイントを押さえて計画的に進めることが不可欠です。
マンションを売却するタイミングを見極める
売却のタイミングは、離婚前と離婚後で一長一短があります。まず離婚前に売却する場合は、夫婦間で連絡がとりやすく売却手続きを比較的スムーズに進められるでしょう。一方、売却代金の分配方法や税務上の扱いを決めないまま売却すると、後からトラブルになるおそれがあります。
離婚後は、財産分与の取り決めが済んでいれば手続きは明確ですが、相手の協力が得にくくなることも考えられます。離婚前にマンションの売却活動を進めることは可能ですが、売却代金の分配方法や実行時期は、離婚協議書などで明確にしておくことか大切です。
マンションの名義人を確認する
マンションが単独名義であれば原則として名義人が売主になりますが、共有名義のマンション全体を売るには共有者全員の合意が必要です。そのため、法務局の窓口やインターネットで登記事項証明書を取得し、マンションの所有者と持分割合、抵当権の内容を確認します。
所有名義と住宅ローンの債務者が異なる場合もあるため、ローン契約書もあわせて確認しておきましょう。
売却に関する取り決めは必ず書面にする
離婚後のトラブルを防ぐため、売出価格の決め方、値下げを認める範囲、住宅ローンや売却費用の負担、売却代金の分配割合、引き渡しまでの管理費・修繕積立金の負担などを書面に残しておきます。
共有名義の場合は、マンション全体の売却に共有者全員の同意が必要です。合意内容は離婚協議書にまとめ、金銭の支払いを確実にしたい場合は、公正証書の作成も検討します。
売却後に手元に残る金額を試算する
マンションの売却価格がそのまま手元に入るわけではありません。売却価格からは、仲介手数料、登記費用、印紙税といった諸費用が差し引かれます。さらに、売却によって利益が出た場合は譲渡所得税・住民税も課されます。
そのため実際の手取り額は、売却価格から住宅ローンの返済額や仲介手数料などを差し引いて試算するのが一般的です。
離婚の事情は不動産会社に必要な範囲で伝える
売却理由が離婚であることは、不動産会社の担当者に正直に伝えましょう。売却手続きには夫婦双方の署名・捺印が必要な場面が多く、二人の関係性を理解してもらっていたほうが、連絡の取り方などに配慮してもらえるため、スムーズに進行します。
離婚案件に慣れている担当者であれば、夫婦間の調整や法的な注意点について的なアドバイスをくれることも期待できます。
離婚時にマンションを売却する際は慎重に判断しよう
離婚時のマンション売却は、感情的な対立を避け、財産を公平に清算するための重要な手続きです。まず、住宅ローンの残債とマンションの査定額を正確に把握し、アンダーローンかオーバーローンかを確認しましょう。
査定結果によっては、住み続けるという選択をすることも可能です。不動産の一括査定サイトである「リビンマッチ」を利用すれば、最大6社の不動産会社に査定を依頼できるため、査定内容を比較することで高く売れる可能性が高くなります。「今、売ったらいくらか?」を常に把握しておきましょう。
離婚時のマンション売却でよくある質問
離婚に際して、初めてマンションを売るという方も多く、様々な疑問や不安が浮かぶことでしょう。ここでは、特に多くの方が抱く質問について、簡潔にお答えします。
相手に内緒でマンションの売却査定を依頼することはできますか?
机上査定は物件情報を基に行うため、相手に知られずに依頼できる場合があります。訪問査定では室内への立ち入りが必要になるため、相手が居住している場合は、無断で実施することは難しいでしょう。実際に共有名義のマンション全体を売却する際は、共有者全員の同意が必要です。
オーバーローンでマンションが売れない場合、どうすればいいですか?
自己資金でローン残債を返済できない場合、「任意売却」という手段がありますが、これは金融機関の合意を得て売却を進める方法です。
また、不動産会社の「買取」による売却も可能ですが、買取価格で住宅ローンを完済できない場合は、不足額を自己資金で補うか、金融機関から抵当権抹消の承諾を得なければ売却できません。
財産分与で揉めないために、マンション売却前に準備しておくべきことは何ですか?
まず、住宅ローンの正確な残高と、複数の不動産会社による客観的な査定額を把握することが不可欠です。その上で、売却にかかる諸費用や税金を算出し、手元に残る金額を試算しましょう。

2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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