マンションをリースバック!戸建てとの違いは?後悔しないための注意点

マンションに住み続けながら、まとまった資金を確保できる方法として注目されている「リースバック」。住宅ローンの返済が苦しい、老後資金が不安、相続対策を考えたい。そんな事情から利用を検討する人が増えています。
ただし、リースバックは戸建てとマンションで仕組みや注意点に違いがあり、「思っていたのと違った…」と後悔するケースも多くあります。
特にマンション特有のルールや管理体制が、思わぬ落とし穴になることも。
マンションをリースバックする際の特徴や、戸建てとの違い、後悔を防ぐための重要なポイントをわかりやすく解説します。「知らなかった…」を防ぐためのリスク対策として、ぜひ参考にしてください。
リースバックはマンションと戸建てで何が違う?
「まとまったお金が欲しいけれど、今の家には住み続けたい」そんな希望を叶える選択肢のひとつが、「リースバック」です。
リースバックは、自宅を売却後も賃貸契約を結ぶことで、引っ越しをせずにそのまま住み続けられる仕組みです。近年注目を集めていますが、マンションと戸建てでは特徴や注意すべき点が異なります。
この章では、リースバックの基本的な仕組みを解説するとともに、マンションと戸建てにおけるリースバックの違いについて解説します。
リースバックの基礎知識
リースバックは持ち家を売却後も、賃貸契約を結ぶことで引き続きその家に住み続けられるサービスです。
売却によって所有権はリースバック会社に移りますが、住んでいる人は変わらず生活できます。この仕組みは、まとまった資金を得る手段としてだけでなく、将来の相続対策や、固定資産税などの維持費の負担を減らす目的で利用されることもあります。
ただし、契約期間や家賃、将来的な再購入の条件などは、契約するリースバック会社によって異なります。
マンションと戸建てにおけるリースバックの違い
マンションと戸建てでリースバックを検討する際、いくつかの重要な違いを考慮する必要があります。
管理費・修繕積立金
マンションの場合、通常は区分所有者が毎月、共用部分の維持管理に必要な管理費や、将来の大規模修繕に備えるための修繕積立金を支払う義務を負っています。
しかし、マンションをリースバックによって売却し、所有権がリースバック会社に移転すると、これらの費用を支払う義務はリースバック会社に移ります。
そのため、リースバック後は、管理費や修繕積立金を自分で支払わなくてよいケースもあります。一方、賃貸借契約によっては「管理費などは入居者負担とする」という特約が記載されている場合もあるため、事前にきちんと確認しておくことが大切です。
同様に、固定資産税についても所有者が変わるため、原則として入居者に支払い義務はありません。
売却価格
マンションの売却価格は市場の需給バランスに加えて、築年数、駅からの距離や周辺環境といった立地条件、さらには日々の管理状況や過去の修繕履歴などが総合的に影響します。
一般的に、適切な管理が行き届いているマンションは、建物の寿命が長く維持されやすいため、比較的安定した価格で取引される傾向があります。
一方、戸建ては木造の場合、マンションに比べて建物の劣化が早く進む傾向があり、土地の価値が売却価格に大きく影響します。
建物の老朽化が進んでいると、建物自体の評価が低くなり、売却価格が大幅に下落する可能性があります。このような理由から、リースバックにおける買取価格は、戸建てよりもマンションのほうが高くなる傾向が見られます。
流動性・再販性
リースバック会社は、買い取った不動産を将来的に再販することを視野に入れて事業を行っています。
一般的に、駅に近い場所や都心部に立地するマンションは、戸建てに比べて購入希望者が多いため、再販しやすいと考えられています。
また、マンションは共用部分の管理が行き届いていることが多く、個別の修繕やリフォームにかかる費用が比較的少額で済む場合があります。
これは、リースバック会社にとって将来的な修繕リスクを軽減することにつながるため、立地条件の良いマンションはリースバックの契約条件が有利になる可能性があります。
契約の柔軟性
戸建てのリースバックを検討する場合、物件の立地条件(交通の便の悪さなど)や、土地の広さ、建物の状態など、物件ごとの個別性が高いことから、リースバック会社によっては契約できないケースや条件が厳しくなることがあります。
一方、マンションの場合、一般的に管理会社が適切に建物の維持管理を行っているため、戸建て住宅に比べて、物件の状態が原因で契約や条件が難しくなるケースは少ない傾向があります。
そのため、一般的に契約の柔軟性という点においては、マンションのほうが有利といえるでしょう。
このように、マンションと戸建てでは、リースバックを検討する際に考慮すべき点が多岐にわたります。
マンションでリースバックを行うメリット
「まとまった資金をすぐに手に入れたいけれど、長年住み慣れたマンションを離れたくない」そんな方に適した選択肢のひとつが、マンションのリースバックです。
ここでは、マンションのリースバックによって得られる具体的なメリットについて詳しく解説します。
- 戸建てより有利な条件で契約できる可能性がある
- 維持管理の負担から解放される
- まとまった資金を柔軟に活用できる
戸建てより有利な条件で契約できる可能性がある
マンションは戸建てに比べて建物の耐用年数が長いことが多く、一般的に管理体制が整っているため、共有部分の修繕計画も明確になっていることが多いです。
リースバック会社にとって、管理状態の良いマンションは将来の資産価値が維持されやすく、再販価格も予測しやすいと考えられます。
特に、都心部や駅近のマンションは購入者の需要が高く、再販もしやすい傾向にあります。このような物件は、リースバック会社としてはリスクが低いため、売却価格や賃料などの条件交渉において、リースバックの契約で有利な条件を得やすいでしょう。
維持管理の負担から解放される
マンションを所有していると、毎月の住宅ローン返済に加えて、固定資産税・都市計画税、そして管理費や修繕積立金といった維持費がかかります。
特に管理費や修繕積立金は、築年数がたつにつれて値上がりする可能性もあります。リースバックを利用してマンションを売却すると、これらの維持費の支払いは基本的にリースバック会社の負担となります。
築年数が古く、修繕積立金が高額になっているマンションの場合、リースバックによって毎月の経済的な負担を大きく減らせる可能性があるのです。
まとまった資金を柔軟に活用できる
マンションをリースバックして得た売却代金は、用途が限定されず、自由に使えます。
老後の生活費、医療費、趣味や旅行の資金、あるいは事業資金など、ご自身の状況や必要に応じて活用可能です。
また、住宅ローンが残っている場合でも、売却代金で完済できれば、毎月の返済負担から解放されます。
マンションでリースバックを行うデメリット
魅力的なメリットがある一方で、マンションのリースバックには注意すべきデメリットも存在します。
ここでは、マンションのリースバックを検討する際に、しっかりと把握しておくべき主なデメリットについて解説します。
- 相場より低く売却することになる
- 住宅ローン残債が多い場合はリースバックできない
- 再購入の条件が不利になる可能性がある
相場より低く売却することになる
リースバックは通常の不動産売却とは異なり、売却後も住み続けることを前提とした取引です。
リースバック会社は、将来的な賃料収入や再販時の利益などを考慮して買取価格を決定するため、一般的に市場相場よりも低い価格で売却します。
売却価格がどの程度下がるかは、マンションの状態や立地、契約するリースバック会社によって異なります。
まとまった資金を得たいと考えている方は、この点を十分に理解しておく必要があります。リースバックを選ぶ際は通常の不動産売却で得られる価格と、リースバックの条件をしっかりと比較・検討することが大切です。
住宅ローン残債が多い場合はリースバックできない
マンションに住宅ローンが残っていても、リースバックの利用は可能です。
しかし、住宅ローンの残債がマンションの売却見込み価格よりも大きい「オーバーローン」の状態では、原則としてリースバックの利用は難しくなります。
その理由として、売却価格が住宅ローンの残債を下回ると金融機関がマンションの抵当権を解除できず、所有権の移転ができないためです。リースバックではマンションの所有権をリースバック会社に移転する必要があるため、売買が成立しないのです。
オーバーローンの状態でリースバックを利用したい方は、不足分を自己資金や別途融資で補填して抵当権を解除できる状態にする必要があります。
再購入の条件が不利になる可能性がある
将来的に、リースバックで売却したマンションを買い戻したいと考える方もいるかもしれません。
しかし、リースバック契約には、再購入に関する条項がそもそも含まれていないケースや、再購入価格が売却価格にリースバック会社の利益が上乗せされて高額になっている場合があります。
また、買い戻しができる期間が限定されていることもあり、その期間を過ぎると買い戻しができなくなる、あるいは再度、賃貸借契約の結び直しが必要という可能性もあります。
将来的にマンションを買い戻したいと考えている方は、契約を結ぶ前に再購入の条件(価格、期間など)をしっかりと確認し、不利な条件がないか慎重に判断することが非常に重要です。
マンションのリースバックで後悔しないための注意点
マンションのリースバックは、賢く利用すれば住み慣れた家を維持しながらまとまった資金を得られる有効な手段です。
しかし、事前の知識や準備が不足していると、後悔につながる可能性も否定できません。ここでは、マンションのリースバックで後悔しないために、特に注意すべき重要なポイントを解説します。
いつまで住みたいか年数を決めておく
リースバック契約には多くの場合、契約期間が設定されています。契約期間が満了すると、再度契約を結び直す(再契約)か、リースバック会社から退去を求められる可能性があります。
そのため、マンションのリースバックを検討する際には、「将来的にいつまでそのマンションに住み続けたいのか」という具体的な期間を、ある程度明確にしておくことが重要です。
契約を結ぶ前に契約期間の長さ、更新の条件、そして更新時に家賃が変動する可能性などをしっかりと確認し、自身のライフプランに合った契約内容を選ぶようにしましょう。
もし、長期間にわたって住み続けたいと考えているのであれば、将来的な買戻しを前提としない(契約期間に縛られない)リースバック会社を選ぶことも視野に入れると良いでしょう。
業者選定は複数社を比較して慎重に判断する
マンションのリースバックを提供する専門業者はまだ少なく、契約条件における明確な相場が確立されているとはいえません。
そのため、1社だけの話を聞いてすぐに契約を決めてしまうのではなく、複数の業者から必ず見積もりを取り寄せましょう。買取価格、毎月の賃料、契約期間、将来的な再購入の条件、契約更新時の取り決めなど、細部にわたって比較・検討することが重要です。
また、各業者の信頼性や過去の実績も確認するようにしましょう。インターネットでの評判や口コミ、過去の取引事例などを参考に、安心して任せられる業者かどうかを見極める必要があります。
マンションのリースバックは、専門的な知識が求められる複雑な取引です。そのため、実績があり信頼できる不動産仲介会社に依頼して、リースバック会社の選定や、より有利な条件での交渉をしてもらうのも、後悔しないための賢い選択肢といえるでしょう。
売却相場よりどのくらい下がるか、自分でも調べてみる
リースバックでの売却価格は、通常の市場価格よりも低くなる傾向がありますが、その価格差はリースバック会社によって異なります。
そのため、リースバックの見積もりを依頼する前に、ご自身で所有しているマンションが一般市場でどのくらいの価格で売却できるのか、相場を把握しておくことが大切です。
より正確な売却相場を知るためには、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる「不動産一括査定サイト」の利用が便利です。
これらのサイトを利用することで、手間をかけずに複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、自身のマンションの適正な市場価格を確認できます。
相場を把握しておくことで、リースバック会社との交渉も有利に進めやすいでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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