賃貸住宅は何歳まで借りられる?持ち家から賃貸住宅への住み替えガイド

高齢になると、一戸建てを維持しながら暮らし続けることは大変です。
建物が老朽化してくると、壁紙やフローリングなどの修繕、屋根や外壁の塗装が必要になります。さらに、エアコンや給湯器などの設備が故障すれば、修理費や買い替え費用も必要です。
修繕などをきっかけに、持ち家を手放して賃貸物件への住み替えを検討する方は少なくありません。しかし、賃貸住宅は高齢になっても、借りられるのでしょうか。賃貸住宅は何歳まで借りられるのか解説します。
リビンマッチのポイント
高齢者が賃貸住宅を借りる際、法的な年齢制限はありません。しかし、家賃滞納や健康リスク(孤独死など)を懸念して、多くの賃貸オーナーが拒否感を持っているのが現状です。賃貸住宅は何歳まで借りられるのか、事前に確認しておきましょう。
もくじ
賃貸住宅を借りられるのは何歳まで?
高齢者は賃貸住宅を借りにくいといわれていますが、年齢だけで入居できるかどうかが決まるわけではありません。では、実際に何歳まで賃貸住宅を借りられるのか、確認されやすい条件や審査のポイントなども併せて説明します。
賃貸住宅は単身なら50代から検討がおすすめ
出典:国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について」(PDF)
国土交通省の調査によると、オーナーの11.4%が高齢者のみの世帯は入居を制限しています。単身者で賃貸住宅への住み替えを検討している場合、選択肢が比較的多い50代のうちから準備を進めておくと安心です。年齢が上がるにつれて、家賃を継続的に支払う能力や健康面のリスクがあるためです。
特に60代以降になると、収入の安定性や孤独死のリスクなどから厳しく審査され、希望する物件を選びにくくなる可能性があります。持ち家から賃貸へ住み替える場合は、選択肢が多い50代のうちに検討を進めておくと、条件面でも納得のいく住まいを見つけやすくなるでしょう。
夫婦なら70代前半までは借りられる
夫婦世帯であれば、単身高齢者よりも入居審査にとおりやすい傾向があります。これは、見守りや緊急時対応へのリスクが低いと見なされるためです。
夫婦どちらかの年金に加えて、もう一方の遺族年金や合算した預貯金による「支払い能力」の安定性も評価されることがあります。ただし、75歳を超えて「後期高齢者」の枠組みに入ると、認知症による近隣トラブルや火災リスクが懸念され、民間賃貸では健康状態や保証人の有無をよりシビアに問われることになるでしょう。
単身高齢者への拒否感が「約8割」という厳しい実態
賃貸市場において、高齢者はもっとも審査の厳しい属性のひとつです。国土交通省の調査では、約8割のオーナーが高齢者の入居に「拒否感」を抱いているというデータがあります。
出典:国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について」(PDF)
特に単身で「60歳以上」の高齢者を境に、入居の制限を設けているところが10%ほどあります。この背景には、家賃の支払い継続への不安や、孤独死への懸念などが挙げられます。
賃貸物件へ住み替えを検討している高齢者の方は、できるだけ50代のうちに住まいを確保しておくと、後々のリスクを考えると現実的かもしれません。
年齢を理由に解約されることはある?
賃貸借契約では、年齢を理由に一方的に解約されたり、更新を断られたりするケースは基本的にありません。たとえ、オーナーが老朽化による建て替えなどを理由に賃貸契約の更新を拒んだ場合でも、正当事由が必要になります。
賃貸借契約は借主の権利が保護されており、「高齢者だから」という理由だけで契約を終了させるのは難しいためです。そのため、高齢を理由に、過度に不安になる必要はないでしょう。
ただし、年齢以外の事情で退去の相談を受けることはあるため、契約更新の案内や不動産会社からの説明があった際は、内容をよく確認して慎重に対応することが大切です。
高齢者が賃貸住宅を借りられない理由
それでは、賃貸物件のオーナーはなぜ高齢者の入居を避けるのでしょうか?
国土交通省が調査した、高齢者が入居制限される理由は以下のようになっています。このデータによると、オーナーは家賃滞納、健康状態の変化や居室内での死亡事故、入居者同士のトラブルなどについて不安を感じていることがわかります。
出典:国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について」(PDF)
家賃滞納のリスク
高齢者になると、収入が年金中心になるケースが増えます。年金だけで家賃を支払うのは簡単ではないことを、オーナーは十分承知しています。そのため年金以外に収入があるのか、貯蓄が十分にあるのかが入居審査の大事なポイントです。
高齢者の収入が増えることは通常では難しいため、滞納は一時的なものではなく継続される恐れがあります。滞納があった場合、家賃の回収はそう簡単にはできません。したがって家賃の支払いに不安がある場合、オーナーは入居を断る可能性があるのです。
建物への被害
高齢になると、体力や判断力の低下から、思わぬ事故が起きるのではないかと心配されることがあります。たとえば、ガスコンロをつけっぱなしにして火災を起こした、風呂の水を出しっぱなしにして階下の部屋に被害が出た、という話を聞いたことのある人もいるでしょう。
入居者の過失による修繕は、原則として入居者が費用を負担します。ただし、建物が全焼したなど被害が大きくなると、オーナーの負担が大きくなる場合があります。
健康面の不安
入居したときには元気でも、何年か経つと体調が急激に悪くなる高齢者もいます。そのため家賃の支払いが難しくなり、最悪の場合には亡くなることもあるかもしれません。
夫婦で入居した場合には、家の中で倒れても配偶者が病院へと運べます。しかし高齢者が一人暮らしの場合、オーナーは孤独死のリスクを想定するでしょう。
高齢者が室内で亡くなった場合、自然死であっても、発見までに時間がかかると特殊清掃や大規模な原状回復が必要になります。そのため、通常の家賃では借主が見つからず、家賃を大幅に下げて対応せざるを得なくなるでしょう。
そのようなリスクを避けるために、オーナーは高齢者に住宅を貸すことを避けるようになります。
保証人を立てられない
賃貸物件を借りるときには、連帯保証人を必要とする場合が少なくありません。若いときには親が保証人になれますが、高齢者になると親や配偶者、親族が他界し、連帯保証人を立てられないこともあります。
親族がいない場合には、入居審査で不利に働くことがあり、物件の選択肢が狭くなることがあるでしょう。
高齢者が賃貸住宅を借りやすくなるポイント
ここまで解説してきたように、高齢者が賃貸住宅を借りるのは簡単ではありません。ただし、次のような場合は、賃貸住宅を借りられる可能性はあります。
- 家族が近くに住んでいる
- 保証人がいる
- 十分な資産がある
- 高齢者向けの賃貸住宅を選ぶ
- UR賃貸住宅を選ぶ
- 家賃債務保証制度を利用する
家族が近くに住んでいる
子どもや兄弟などの家族が近くに住んでいる高齢者は、賃貸を借りやすくなります。家族が近くに住んでいれば、本人と連絡がつかなくなった場合でも、すぐに部屋に駆けつけて様子を確認してもらえるためです。
また、何かトラブルが発生したときも、家族のサポートを受けやすいことも理由に挙げられます。オーナーや管理会社の不安を和らげやすく、入居審査でもプラスに働くことがあるでしょう。
保証人がいる
賃貸住宅を借りる際は、連帯保証人ではなく家賃債務保証会社の利用を求められることも多いですが、物件によっては保証人や緊急連絡先の確保が重視されるケースがあります
連帯保証人は、借主が家賃の滞納や設備を破損させたとき、本人に代わって責任を負う人をいいます。本人に支払い能力がなくても、連帯保証人に請求ができるため、オーナーや管理会社から見れば安心です。
連帯保証人がいれば、高齢者でも賃貸住宅を借りられる可能性が高くなるでしょう。ただし、連帯保証人は、だれでもなれるというわけではありません。
保証人として認められる条件は物件ごとに異なるため、親族以外でも認められるかどうかを含め、不動産会社に確認してみましょう。
家賃債務保証制度を利用する
家賃債務保証制度は、入居者が保証会社に保証料を支払うことで、会社が連帯保証人となる制度です。保証人を見つけられない場合でも、制度を利用することで賃貸物件を借りられるケースがあります。
高齢者の入居可否は、オーナーが抱く「心理的・金銭的リスク」をどうヘッジするかで決まります。そのため、高齢者が賃貸住宅に住み替えるときは、オーナーや管理会社が不安に感じやすい点を事前に補うことが大切です。
家賃債務保証制度の利用や見守りサービスの導入など、「この人なら貸しても大丈夫」とオーナーが安心できる根拠を提示できれば、安心材料になることがあります。
十分な資産がある
高齢になると、主な収入源が年金となるケースが多く、現役時代より収入が限られやすくなります。令和7年度の国民年金の受給月額は6万9,308円で、厚生年金の夫婦2人分の標準的な受給月額は23万2,784円です。
入居審査では毎月の収入だけでなく、預貯金などの資産状況も確認されることがあります。十分な資産を保有していれば、万が一家賃の支払いが年金でまかなえなくても、預貯金を使えるため滞納を防げるでしょう。
入居審査の際、十分な預貯金があると判断されると、審査に通過する可能性が高くなります。
参考:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
高齢者向けの賃貸住宅を選ぶ
「サービス付き高齢者向け住宅」は、高齢者が安心して暮らせるように考えて作られた賃貸住宅です。この住宅を利用すれば、自宅と同様に自由に生活できるでしょう。
また、賃貸住宅のため一時金の心配もなく、比較的リーズナブルな家賃で入居できるのもメリットです。安否確認サービスと生活相談サービスも義務付けられているため、高齢者は安心して暮らせるでしょう。
UR賃貸住宅を選ぶ
UR賃貸住宅には、高齢者向けに配慮された住宅や制度があります。そのなかの「高齢者向け優良賃貸住宅」では、高齢者が住みやすいように設備や入居条件が整えられています。
この住宅では床の段差をなるべくなくし、室内には手すりが設置されているなど、高齢者の方が住みやすいように配慮されています。募集条件や入居資格は物件ごとに異なるため、最新情報を確認しながら検討することが大切です。
事故や急病などの場合に利用できる緊急対応サービスもあるため、高齢者は安心して暮らせるでしょう。UR賃貸住宅は、礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要な物件が多く、高齢者にとっても検討しやすい選択肢です。
- 高齢者等向け特別設備改善住宅
- 健康寿命サポート住宅
- シルバー住宅
- URシニア賃貸住宅
世帯全員の所得月額の合計が15.8万円以下であれば、家賃負担の軽減措置を受けられる可能性があるため、家賃滞納の不安がある方にもおすすめです。
参考:UR賃貸住宅「賃貸マンション・大規模マンションの物件情報」
賃貸住宅以外の選択肢も検討する
賃貸の審査にとおるか不安な方は、持ち家という「資産」の流動化を検討するとよいでしょう。自宅を売却して現金化することで、分譲マンションへの買い替えや、二世帯住宅の建築、手厚い老人ホームへの入居など、選択肢は一気に広がります。
いまの自分に最適な環境を「探す」視点を持つことが、老後の住まいを安定させます。
家を売却して住み替える
長年住んだ戸建てを手放し、利便性の高い分譲マンションへ「ダウンサイジング」することもひとつの方法です。
不動産におけるダウンサイジングとは、現在の住まいよりもコンパクトな住まいに住み替えることを指します。光熱費や固定資産税などの負担を軽減できるだけでなく、掃除や維持管理の手間が軽くなります。
特に、子どもが独立して部屋数に余裕のある場合は、いまの暮らしに合った広さの住まいへ移ることで、住まいの最適化につながるでしょう。郊外の自宅を売却して、都市部のコンパクトな中古マンションを購入することも可能です。
住み替えの最大の利点は、生活動線の効率化とバリアフリー化です。段差がなく防犯性の高いマンションへ移ることで、転倒や防犯の不安を解消できます。さらに、駅や商業施設に近い物件を選べば、車を使わなくなっても「買い物難民」リスクを回避できるでしょう。
思い出の詰まった家を手放す心理的ハードルは高いですが、「快適に生きるためのツール」として住まいを見直すことで、資金的な余裕と安全な暮らしを手に入れられます。
子ども世帯と同居する
自宅の売却代金を二世帯住宅の資金に充てることは、経済合理性に適っているように見えます。しかし、二世帯住宅の建築には慎重な判断が必要です。そもそも物件の需要が少なく、いざ売却しようとしても「買い手」が見つかりにくいためです。
将来、施設への入居や家族構成の変化で家を売りたくなっても、思うような価格で売れず、売却損になるおそれがあります。親世帯としては、安易に「同居=安心」と考えるのではなく、将来の資産価値をシビアに見極めることが求められます。
高齢者住宅へ入居する
サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどの高齢者住宅は、バリアフリーや見守りサービスが整っており、安心して暮らしやすい住まいといえます。
ただし、高齢者住宅は一般的な賃貸住宅に比べて費用が高くなる傾向があります。入居一時金に加え、高額な月額利用料、さらには介護サービスの費用が発生し、年金だけでは賄いきれないケースもあるでしょう。
また、高齢者住宅でも必ず最期まで住み続けられるとは限りません。施設によっては「自立」や「軽度の介護」を前提としており、認知症の悪化や手厚い医療ケアが必要になった場合、別の施設へ移動を迫られるリスクがあります。
費用面だけでなく、将来的にどこまで対応してもらえるのかも含めて確認したうえで、自分に合った住まいを選ぶことが重要です。
「住みながら売る」リバースモーゲージとリースバック
賃貸物件へ住み替える以外に、自宅を担保に融資を受ける「リバースモーゲージ」や、自宅を売却後に家賃を払って住み続ける「リースバック」が注目されています。
これらの方法は、「環境を変えたくない」という高齢者の切実な願いを叶えてくれますが、決して万能ではありません。
リバースモーゲージは、金利上昇や不動産価格の下落により、生存中に融資限度額に達してしまうリスクを孕んでいます。一方、リースバックは売却価格が市場相場より安くなりやすく、支払う家賃が周辺相場より高めに設定される傾向があります。
どちらも将来的に家を相続させられないため、事前に家族や親族に相談しておくとよいでしょう。
持ち家の売却は相談しやすい不動産会社へ
持ち家を売却するときは、不動産会社への相談が必要です。持ち家の査定、買い手との交渉、売買契約のやり取りなど、専門家でなければ対応できないものがたくさんあります。
また、住まいのダウンサイジング、高齢者住宅への入居などを考えているのであれば、売却してから家を引き渡すタイミングの調整なども相談が必要です。
自分の事情まで話して持ち家の売却を依頼するのですから、相談しやすい不動産会社を見つける必要があります。このときに便利なのが、一括査定サイトの「リビンマッチ」です。持ち家の情報と連絡先を入力するだけで、売却に対応できる不動産会社を紹介します。
売却の検討を始めたら、まずはリビンマッチで相談できる不動産会社探しをしてみましょう。
参照記事・文献
国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について」(PDF)

2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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