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相続した不動産の売却で使える3,000万円控除についてわかりやすく説明

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相続した不動産の売却で使える3,000万円控除についてわかりやすく説明

相続した不動産を売却したとき、3,000万円控除を利用できれば納税額を少なくでき、非課税となる可能性もあります。ただし利用するには、不動産の利用方法や売却価格などさまざまな条件があります。

相続した不動産の売却で使える3,000万円控除についてわかりやすく説明します。

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相続した不動産の売却で使える3,000万円控除とは?

相続した不動産の売却で使える3,000万円控除の概要と、3,000万円控除について理解するために必要な譲渡所得の考え方などを紹介します。

不動産売却の譲渡所得とは

不動産を売却すると、売却によって得た利益に対して税金が課せられます。これを「譲渡所得税」といいます。

譲渡所得税は売却した年の1月1日時点で不動産を所有していた年数が5年を境に税率が変わり、以下の表のとおりです。

譲渡所得税の税率
5年以下の所有(短期譲渡) 39%(所得税30%+住民税9%)
5年を超える所有(長期譲渡) 20%(所得税15%+住民税5%)

参考:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

参考:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算

たとえば5年を超える年数所有していた不動産を売却して利益が1,000万円出た場合は、譲渡所得税が200万円課せられます。

なお、2013年〜2037年までは復興特別所得税として2.1%を併せて納付する必要がありますが、今回は考慮していません。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は課税対象額に税率を掛けた金額を納税します。

譲渡所得税の金額=課税対象額 × 税率

課税対象額は、売却できた金額ではなく、以下の計算式で算出したものです。

課税対象額=売却価格-(取得費+売却に関する費用)-特別控除

つまり、取得費や売却に関する費用、特別控除の金額が多ければ納税する金額を抑えられます

取得費

取得費とは、不動産を取得するのにかかった費用のことです。

ただし、建物に関しては年々資産価値が低下していくと考えられるため、以下の計算式で算出します。

建物の取得費=購入時の建物代金-(購入時の建物代金 × 償却費 × 築年数)

償却費は、構造別によって国が定めた固定資産を使える期間である法定耐用年数によって償却率が定められています。

構造別の法定耐用年数(住居用の場合)
建物の構造 法定耐用年数(年)
木造 22
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47
金属造 骨格材肉厚が3mm以下の場合 19
骨格材肉厚が4mmを超える場合 34

参考:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)

木造住宅の場合、法定耐用年数が22年ですが、事業用として使われていなかった場合の譲渡所得税の計算では1.5倍にして償却率を考えます。つまり、耐用年数を33年として考えます。

国税庁「減価償却資産の償却率等表」を見ると、法定耐用年数が33年の場合の償却率は0.031です。

つまり、たとえば築20年の本体価格が5,000万円で取得した木造住宅であれば、以下の計算式で課税対象額を算出できます。

取得費=5,000万円-(5,000万円 × 0.031 × 20年)=1,900万円

とはいえ上記の計算は概算であり、実際は住宅設備や給排水工事費用、外構工事費用などそれぞれの法定耐用年数が異なります。そのため、税理士などの専門家に算出してもらうことをおすすめします。

なお取得費が不明の場合は、売却価格の5%と仮定して計算します

売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなど、取得費が分からない場合には、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。

国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」

売却に関する費用

売却に関する費用には、仲介手数料印紙代金が含まれます。

仲介手数料とは、買主と売主を仲介する不動産会社に支払う成功報酬です。売却価格によって決められ、400万円を超える場合は以下の計算式で金額を求められます。

仲介手数料(売却価格が400万円を超える場合)=売却価格 × 3%+ 6万円(+消費税)

特別控除

特別控除とは、各条件を満たした場合に控除できる項目です。

譲渡所得税の特別控除
控除内容 控除額(万円)
マイホーム(居住用財産)を売却した場合 3,000
土地建物を公共事業などのために売却した場合 5,000
特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合 2,000
特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合 1,500
平成21年~平成22年に取得した土地を譲渡した場合 1,000
農地保有の合理化などのために土地を売却した場合 800
低未利用土地等を売却した場合 100

参考:国税庁「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類

相続した不動産の売却で使える3,000万円控除も、この特別控除に該当します。

3,000万円控除の概要

被相続人(亡くなった人)が生前に居住していた家屋と敷地を2027年(令和9年)12月31日までに売却した場合は、最高3,000万円までを課税対象額から控除できます

これを、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。詳しい条件などは後ほど解説しますが、居住していた不動産を対象としているため、賃貸に出していた場合などは使えません。

また、2024年(令和6年)1月1日以後、3人以上で相続した対象の不動産売却に関しては、控除額は2,000万円が条件となります。

【計算例】控除前と控除後の税金を比較

相続した不動産の売却で3,000万円特別控除が適用された場合、税額をいくらくらい抑えられるのでしょうか。

以下の条件で計算して比較してみます。

  • 居住用不動産:築20年の木造住宅
  • 売却価格:4,500万円
  • 仲介手数料:141万円
  • 印紙代:2万円
  • 取得時にかかった費用:7,000万円
  • 取得時の建物価格:5,000万円(建物以外は2,000万円)

なお、建物の取得費と課税対象額はそれぞれ前述した以下の計算式で求めます。

建物の取得費=購入時の建物代金-(購入時の建物代金 × 償却費 × 築年数)

課税対象額=売却価格-(取得費+売却に関する費用)-特別控除

計算例:控除前と控除後の税金
控除前 控除後
取得費
  • 建物の取得費:5,000万円-(5,000万円 × 0.031 × 20年)=1,900万円
  • その他の取得費:7,000万円-5,000万円=2,000万円
課税対象額 4,500万円-(2,000万円+1,900万円+143万円)=457万円 4,500万円-(2,000万円+1,900万円+143万円)-3,000万円=0円
税率 20%
譲渡所得税 91.4万円 0円

このように3,000万円控除が適用されれば、約90万円の譲渡所得税を支払う必要がなくなります。

相続した不動産の売却で3,000万円控除が適用される条件

3,000万円控除が適用される条件は、主に以下の4点です。

  • 相続開始直前まで被相続人が居住していた
  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 売却価格が1億円以下
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと

細かい条件はほかにもあるため、詳しくは国税庁の「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で確認しましょう。

相続開始直前まで被相続人が居住していた

対象の不動産に、相続発生時点まで被相続人が居住していたことが条件です。被相続人が賃貸物件として貸し出していた場合、本控除は利用できません。

なお、相続後に売却までの期間に貸し出していた場合も利用できないため、注意が必要です。

ただし、被相続人が老人ホームなどに入居していた場合は、一定の要件を満たすときは特例の対象になります。細かい規定が定められているため、国税庁の「被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」で確認しておきましょう。

昭和56年5月31日以前に建築されたこと

昭和56年5月31日以前の建物は旧耐震基準の建物であり、本制度は対象外です。

旧耐震基準の建物は震度5前後までの地震に耐えられる耐震性能があるとされています。対して、昭和56年6月1日以降は新耐震基準が適用されており、6強、7程度が基準です。

旧耐震基準の建物は倒壊リスクが高く、非常に危険な建物であるため、3,000万円控除は適用されません。

売却価格が1億円以下

売却価格が1億円以下であることが条件です。

複数人が共有で相続した場合でも、物件全体の価格で計算されます。

区分所有建物登記がされている建物でないこと

3,000万円控除は、戸建て住宅などが対象です。そのため、マンションなどの区分所有建物の場合は適用されません

3,000万円控除を受けるために注意するポイント

相続した不動産の売却で3,000万円控除を受けるには、以下の3つのポイントを意識しましょう。

必ず確定申告をする

相続した不動産を売却した翌年には、確定申告をする必要があります。控除によって譲渡所得税が課せられないとわかっている場合でも、確定申告をしなければ3,000万円控除は適用されません

確定申告では、以下などの書類が必要です。

  • 譲渡所得の内訳書
  • 登記事項証明書
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
  • 売買契約書の写し

取得する手続きに時間がかかるものもあるため、早めに集めておきましょう。

税金計算を行ってから売却する

3,000万円控除を利用しても必ず譲渡所得税が課せられないわけではありません。そのため、事前に税金計算などを行ってから売却価格を決めましょう。

不動産を売却するうえで、最も重要なのは手残り金額です。税金や仲介手数料などを事前に計算し、手残りが生まれるのかをチェックしておく必要があります。

また、ローンが残っている不動産であれば、基本的に売却時に完済しなければ売れないため、専門家に相談してから売却価格を決めましょう。

ほかの特例と併用できる?どっちが得?

相続した不動産の売却で使える3,000万円控除は、基本的にほかの特別控除とは併用できません

しかし、3,000万円控除よりも「取得費加算の特例」のほうがお得になるケースがあります

取得費加算の特例とは、相続税を支払って取得した不動産を売却した場合の利益に対し、相続税分だけは控除できる特例です。

相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。

国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

つまり、相続税額が3,000万円以上であれば、取得費加算の特例のほうがお得になります。

とはいえ、細かな計算は専門家である不動産会社に相談するのがよいでしょう。また、1社だけでなく、複数の不動産会社に相談して、幅広い視点からアドバイスをもらうのがおすすめです。

相続した不動産はいくらで売れる?

相続した不動産がいくらで売れるかを確認するには、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう

リビンマッチは、最短45秒で完了する物件情報などの入力を行うだけで、複数の査定結果を無料で受け取れるサービスです。

不動産会社に直接問い合わせて不動産のおおまかな価格を確認する方法もありますが、1社だけの判断では不安が残ります。複数社の意見をもらえれば、安心して売却を進めるきっかけにもなるでしょう。

また、事前に不動産の価格を把握しておくことで、「3,000万円控除を適用したときに税金はいくらになるのか」「ほかの特例の方がお得なのか」などを検討できます。

万全な準備をして大切な資産である不動産を売却するためにも、リビンマッチは欠かせないツールです。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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