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不動産を相続放棄するとどうなる?全員がいらない場合の解決策

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不動産を相続放棄するとどうなる?全員がいらない場合の解決策

不動産を相続放棄すると、その不動産に関する権利や義務がなくなりますが、それだけではありません。 相続放棄は一度したら取り消せないので、後悔しないためには事前に以下の点を確認しておく必要があります。

  • 相続放棄の基礎知識
  • 相続放棄したらどうなるか
  • 相続放棄したほうがよい人と、しないほうがよい人
  • 相続放棄で失敗しないためのポイント

以下でわかりやすく解説しますので、不動産の相続放棄を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

不動産は相続放棄できるが、不動産だけの放棄はできない

相続放棄では、特定の不動産だけを選んで放棄することは法律上認められていません。相続放棄をすると、預貯金や現金などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産を含め、被相続人の権利や義務は原則として承継しないことになります。

また、家庭裁判所に相続放棄の申述が受理されると、後から多額の資産が見つかったとしても撤回できません。そのため、対象となる不動産の価値だけでなく、そのほかの財産や債務の状況も把握したうえで、慎重に判断することが大切です。

不動産を相続放棄するとどうなる?

不動産を相続放棄すると、固定資産税の納税義務や住宅ローンの返済義務からも解放されます。しかし、相続放棄によってただちにすべての責任が消えるわけではありません。

まずは、不動産の相続放棄した場合に起こることについて詳しく解説します。

他の相続人がいる場合

相続放棄の手続きは単独でおこなえますが、次の相続順位の人にしわ寄せがくるおそれがあるため注意が必要です。相続順位は次のとおりです。

相続順位
順位配偶者は常に相続人
1位子ども
2位親(祖父母)
3位兄弟姉妹

たとえば、80代の父親・50代のひとり息子において、父が亡くなったときに息子が相続放棄したとします。この場合、第2順位の被相続人の親に相続権が移ります。祖父母がすでに亡くなっていたときは、兄弟姉妹に相続権が移ります。

そのため、このケースで息子が相続放棄した場合、亡くなった父親の兄弟姉妹が相続の手続きをする必要があるのです。自分たちが相続人であると知らなかった、といったことでトラブルに発展することもあるため、次の順位の相続人へは必ず連絡しましょう。

相続人全員が相続放棄した場合

相続人全員が相続放棄を行い、結果として相続する人がいなくなった場合は、利害関係人や検察官からの申し立てにより、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任することがあります。相続財産清算人は、亡くなった方の財産を管理し、債権者や受遺者への支払いなどを行って相続財産を清算する役割を担います。

申立てができる利害関係人には、被相続人の債権者や特定遺贈(個別に遺産を指定して遺贈すること)を受けた人、特別縁故者(内縁の配偶者や献身的に介護した人)などが該当します。清算人に特別な資格は必要ありません。家庭裁判所が相続財産の内容や利害関係などを考慮して適任者を選びますが、弁護士や司法書士などの専門職が選任されることもあります。

相続財産清算人は、必要に応じて家庭裁判所の許可を得たうえで不動産や有価証券などを売却して換価し、債権者や受遺者への支払いなどを進めます。また、家庭裁判所の審判によって特別縁故者への財産分与が認められることもあります。

不動産は最終的に国のものになる

相続財産清算人によって、有価証券や不動産を売却して債権者への清算を済ませたあと、残った財産は国のものになります。売却しきれなかった不動産はもちろん、残った現金なども国へ帰属させる手続きを取ります。

一方、相続放棄した不動産は必ずしも国のものにならないこともあります。相続人全員が相続放棄しても、費用がかかるわりに債権(借金)が回収できない可能性もあるため、相続財産清算人の申し立てを債権者がおこなわないことも多いのです。

相続財産清算人が選定されない場合、不動産は相続登記されることなく、所有者不明となってしまう危険性があります。

相続放棄後も不動産の管理義務は残る

相続放棄しても、民法の規定により不動産の管理義務が残るケースがあります。ここでは、法改正による新しいルールや固定資産税の扱いのほか、管理責任から解放されるための具体的な考え方について詳しく解説します。

令和5年の法改正による管理義務のルール

2023年4月の民法改正により、相続放棄をした時点で不動産を「現に占有している」場合は、次の相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで、その不動産を適切に保存する義務があることが明確になりました。

「現に占有している」状態には、相続する家に住んでいる場合などが該当します。一方、遠方に住んでいて相続する不動産にほとんど出入りしていない場合などは、原則として管理義務(保存義務)は負いません。

参考:e-Gov 法令検索「民法 第九百四十条

次に管理する人へ不動産を引き渡すことで完了する

相続放棄後の管理義務は、次の相続人へ不動産を引き渡すことで終了します。相続人全員が相続放棄した場合は、家庭裁判所により選任された相続財産清算人へ引き渡す必要があります。

相続放棄後に不動産から退去したり、単に管理をやめたりするだけで管理義務からは解放されません。

固定資産税や管理費などの支払い義務はどうなる?

相続放棄をすれば、被相続人が滞納していた管理費や修繕積立金、固定資産税などの支払義務は原則として引き継ぎません。ただし、「相続放棄後の管理義務」と「管理費などの支払義務」はまったく別の問題です。

相続放棄時にマンションを占有している場合は、管理費などの債務を相続していなくても、次の相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務を負う場合があります。

【状況別】相続放棄すべき人とすべきではない人

相続放棄すると自宅などを含めた、すべての財産の相続権を失ってしまいます。しかし、明らかに負債が多い場合でも、「自宅だけは引き継ぎたい」と考える人もいるでしょう。

ここでは、相続放棄すべき人とすべきではない人を状況別に紹介します。

相続放棄すべき人

相続放棄は、預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金といったマイナスの財産もすべて引き継がないための手続きです。そのため、被相続人が多額の負債を抱えていた場合や、複雑な遺産分割協議に巻き込まれたくない場合に有効な選択肢となります。

どのような状況にある人が相続放棄を検討すべきか、主なケースをもとに見ていきましょう。

明らかに負債が資産を上回るとわかっている人

相続財産を調査した結果、明らかに負債が資産よりも多いときは相続放棄することで損失を回避できます。

また、被相続人には負債がない、資産でまかなえる程度の負債しかない場合でも、被相続人が第3者の連帯保証人になっている場合には相続放棄を検討しましょう。万が一、連帯保証人になっている相手が負債を支払えなくなった場合、相続人に支払いの義務が発生してしまうため注意が必要です。

相続問題に巻き込まれたくない人

相続では資産額の大小にかかわらず、トラブルが起こってしまいがちです。相続問題に巻き込まれたくない場合は、最初から相続放棄をして相続に関わらない方法もあります。

相続問題が起こりやすいケースには次のようなものがあります。

  • 兄弟姉妹の仲がよくない、疎遠な関係
  • 親の介護の負担が誰かに偏っている
  • 生前贈与が特定の家族だけにおこなわれていた
  • 遺言書の内容が不公平だった
  • 前配偶者の子どもなど立場や考えが違う相続人がいる

上記のようなケースに当てはまる場合は相続でもめやすいため、相続放棄することで相続の問題から遠ざかることができます。

将来的に相続する財産管理ができない人

現在の住まいから離れた自宅などの建物や土地、山林や農地など、管理にお金や手間がかかる不動産は相続放棄を検討したほうがよいでしょう。

2023年4月より「相続土地国庫帰属制度」が施行されました。この制度では、相続した土地でも一定の要件を満たしていれば手放すことができます

しかし、実際にはいくつも厳しい要件があり、負担金を支払うことになります。たとえば、次のような土地は対象外です。

  • 建物や処分に困る工作物などがある土地
  • 土壌汚染や埋設物がある土地
  • 危険な崖がある土地
  • 通路など他人によって使用される土地

筆者の知人に、管理や税金の負担が大きく国に帰属させたい土地があるが、埋設物があり撤去に1,000万円近くかかるため、埋設物除去に踏み切れずにいるという人がいました。

さらに10年分の土地管理費相当額の負担金を納付する必要があるため、実際には相続後に国庫帰属の手続きを取るよりも、最初から相続放棄を選択する人が多いでしょう。

相続放棄すべきではない人

相続放棄は、状況によっては慎重に判断すべきケースもあります。借金があるからといって安易に放棄を選択すると、大切な資産や将来的な利益を失う可能性があるためです。

以下では、相続放棄を避けるべき具体的な状況について詳しく解説します。

負債を上回るほどプラスの相続財産がある人

遺産が負債を上回っているのを確認できたときは、相続放棄ではなく限定承認が有効な場合があります。単純承認するとマイナス分を相続人が負担しなければならないおそれがありますが、限定承認であればプラスの資産以上にマイナスの資産を引き継ぐことはありません

ただし、限定承認は相続人全員で家庭裁判所に申し立てる必要があります。1人でも反対する人がいれば手続きができないことを覚えておきましょう。また、限定承認の申述期限も相続放棄と同様に、相続があったことを知ってから3カ月以内です。

不動産に売却価値がある可能性がある人

相続した不動産に売却価値がある場合、安易な相続放棄は避けるべきです。地方の実家や古い空き家であっても、近隣の再開発計画や公的な活用、あるいは特定のニーズを持つ層への需要によって、予想外の価格で売却できるケースがあるためです。

不動産に資産価値が残っている場合、売却益で被相続人の負債をすべて清算しても、手元に現金が残る可能性もあります。この場合、相続放棄をしてしまうと、本来得られるはずだったプラスの財産をすべて手放すことになり、経済的に失を被ることになります。

まずは不動産会社に査定を依頼し、市場での客観的な取引価格を把握することが重要です。早めに不動産の市場価値を確認しておくことが、後悔しない決断につながります。

負債を負っても不動産を相続したいと考えている人

同居していた自宅に親が亡くなったあとも住み続けたい」「代々の土地を手放したくない」など、負債を負っても相続したい資産がある場合には相続放棄しないほうがよいでしょう。このようなケースでは、限定承認が有効な選択肢となります。

限定承認を活用すれば、相続人に認められた「先買権(さきがいけん)」を行使できる可能性があるためです。 先買権とは、競売などの手続きにかけられる前に、特定の財産を優先的に買い取ることができる権利です。この制度を利用すれば、借金などの負債を精算しつつ、自宅などの大切な不動産を適正な価格で手元に残すことが可能になります。

まずは早めに他の親族と不動産について話し合い、方針を一致させておくことが大切です。

不動産の相続放棄で失敗しないためにすること

相続放棄は家庭裁判所で受理されると原則として撤回できませんが、詐欺に該当するなどの特定なケースでは取り消しが認められることがあります。とはいえ、慎重に判断することが大切です。相続放棄で後悔しないために、事前に確認しておくべきことについて解説します。

相続財産について調査する

相続放棄を選択すると、あとから多額の資産が見つかっても相続できません。また、相続放棄をしたものの、実は負債がそれほど大きくなかったなど後悔しないよう、相続財産についてしっかり調査したうえで申述することが大切です。

また、現金や有価証券などの換金できる資産だけでなく、自宅などの不動産についても一切の相続権を失ってしまいます。本当に不動産は有効利用できないのか、資産価値がないのかなどよく調べてみることをおすすめします。

相続放棄の期限内に手続きをする

相続放棄は慎重におこなう必要があるものの、相続があったことを知ってから3カ月以内の申述・申し立てをおこなわなければいけません。相当の理由がない限りは、3カ月を過ぎての申述は受け付けられないためです。

弁護士に相談すると相続財産の調査だけでなく、調査途中で相続放棄から限定承認の手続きに変更することも可能です。自身の判断だけで不安な場合は、弁護士や司法書士に相談することも検討しましょう。

遺品整理や家の修繕は絶対におこなわない

相続放棄を検討している期間中に、被相続人の遺品を整理して処分したり、不動産の修繕をおこなったりしてはいけません。このような行為をおこなうと、遺産を処分したとみなされ「単純承認」に該当してしまうおそれがあるためです。

単純承認とは、すべての財産を相続する意思があるとみなされる制度です。そのため一度成立してしまうと、たとえ相続放棄の期限内であっても手続きができなくなってしまいます。

検討している間は不動産の維持は最低限にとどめ、遺産や遺品はそのままの状態で残しておくことが重要です。

不動産一括査定サイトならすぐに不動産の価値を確かめられる

相続放棄を検討する際、重要になるのが、対象となる不動産の客観的な市場価値を把握することです。不動産は、場合によって「資産」ではなく「負債」となるリスクを秘めています。

たとえば、市場価値が極めて低く売却が困難な物件を相続した場合、活用予定がなくても毎年の固定資産税や都市計画税の納税義務が生じます。さらに、建物の老朽化が進んでいれば、近隣トラブルを防ぐための維持費や解体するため高額な費用負担が発生する可能性も否定できません。

後悔のない決断をするためには、相続放棄の期限である「相続開始を知った日から3カ月以内」に不動産の価値を確認しておくことが大切です。一括査定サイト「リビンマッチ」では、最大6社の不動産会社に査定してもらえます。相続放棄を検討中の方は、ぜひ一度ご利用ください。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部アイコン リビンマッチ編集部

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