アパート経営の利益率の目安|平均や最低ライン、改善案を紹介

アパート経営で最も気になることといえば、もちろん家賃収入ではないでしょうか。
ですが家賃収入が入ったとしても、手元に残る利益が想定と大きく違うことが続いたら、今後の人生設計も変わってきてしまうかもしれません。そのため、今回はアパート経営の利益率について、目安や最低ライン、改善案をご紹介します。
- アパート経営における利回り・利益率の目安
- 「表面利回り」と「実質利回り」の違い
- 現実的な収益性を把握するための実質利回りの計算方法
- 家賃下落や修繕費など利益率を左右する主なリスク
もくじ
アパート経営の利益率はどのくらい?
賃貸経営における利益率とは、年間の家賃収入に対して、どれだけの利益が残るかを示す割合です。そのため、管理費や修繕費、固定資産税などの運営経費を差し引いて計算します。
たとえば、年間家賃収入が1,000万円、運営経費が250万円の場合であれば、利益率は75%となります。ただし、これは運営経費を差し引いた段階の利益率であり、ローン返済や税金などを反映した手残りの割合ではありません。
アパート経営の目安となる「表面利回り」
不動産ポータルサイトでアパートなどの収益物件を調べてみると、大抵は価格や住所のほかに「利回り」が表示されています。利回りは利益率とは異なり、投資額に対する収益の割合を示す指標です。
どちらもアパート経営の収益性を判断する指標ですが、計算の基準が異なるため混同しないようにしましょう。ポータルサイトに掲載されている利回りは、表面利回り(単純利回り)のことを指す場合が多く、以下の計算式で算出されています。
仮に1億円の物件で年間1,000万円の家賃収入の場合は、1,000万円÷1億円×100=10%です。しかし、この数値だけで購入を決意するのはおすすめできません。
では、アパート経営における平均的な利回りと最低ラインを確認していきましょう。
表面利回りの目安は約8%
そもそも表面利回りは、満室を前提として算出されている数値です。
全国の平均表面利回りは約8%といわれていますが、表面利回りには管理費や修繕費、空室による収入減少などが反映されていないため、実際の利益とは異なります。
まず経費は、一般的に年間家賃収入の20~25%になるといわれているため、経費を家賃収入からマイナスする必要があります。
次に空室ですが、どれくらい期間空室が続いたのかによって収益が異なります。たとえば、同じ家賃の10部屋のうち5部屋が1年間空室だった場合、実際の家賃収入は満室時の半分になります。
つまり、利回り10%の物件でも5%の利回りと同じことになるのです。そのためアパート経営では、空室の可能性や経費を数値にして織り込む必要があります。
利回りの最低ラインは実質利回り3%が一つの目安
アパート経営では、実質利回りで3%が最低ラインとされ、5%前後が理想的な水準と紹介されることがあります。
実質利回りについてはこのあと詳しく解説しますが、年間家賃収入から管理費や修繕費などを差し引き、物件の取得費用に対する収益の割合を示す指標のことです。
ただし、アパート経営における利益率の最低ラインは、物件の立地や築年数、ローンの返済条件などによって異なります。実質利回りが3%以上でも、ローン返済で手元の資金が不足する可能性があるため、利回りだけでなく実際の収支を踏まえて判断することが大切です。
現実的な利益に近い実質利回りの計算方法と活用のポイント
では、より現実的な利益を算出するにはどのように計算すればよいのでしょうか。実質利回りを参考にすることで、表面利回りよりも実際の収益に近い数値を把握できるため、アパートの購入判断や収支計画を立てる際に役立ちます。
実質利回りの計算方法とシミュレーション
実質利回りの計算式は以下のとおりですが、先に述べたとおり経費と空室の可能性を確認する必要があります。
年間運営経費には、管理委託料や修繕費、固定資産税、火災保険料などが含まれます。また、家賃収入は空室による減収も考慮して計算することが重要です。空室については、過去の数値や周囲の環境で想定が変わりますが、ここでは空室が埋まるまでの月数を想定して空室率を出しています。
物件価格が1億円、満室時の年間家賃収入が1,000万円のアパートで、全10部屋のうち4部屋がそれぞれ3カ月間空室になる場合の空室率は以下のように計算できます。
満室時の年間家賃収入1,000万円に空室率10%を反映すると、年間家賃収入は900万円となります。さらに、家賃収入の25%にあたる225万円を必要経費として差し引きます。
表面利回りの10%と比較すると、空室率と経費を考慮した実質利回りは約6.75%という結果になりました。このように、実質利回りを算出することで、経費や空室による収入減少を反映した収益性を確認することが可能です。
魅力を感じる物件が発生したら、そのような具体的な数値も出して見て、さまざまな視点から検討をするとよいでしょう。
実質利回りをアパート経営に活用する方法
これからアパート経営を始める方は、実質利回りを活用して購入候補の物件を比較しましょう。同じ表面利回りだったとしても、管理費や修繕費、空室率によって実質利回りは異なります。
また、すでにアパートを経営している方の場合は、実際の家賃収入と経費から実質利回りを算出することで、収益状況を把握できます。想定より低い場合は、家賃設定や管理費、空室対策などを見直すきっかけになります。
ただし、実質利回りの計算には通常ローン返済額は含まれないため、実際に手元に残る金額とは異なります。 購入を判断する際は、借入金の返済額や将来の修繕費も考慮し、無理のない収支計画を立てることが重要です。
アパート経営の利益率を下げる主な要因
アパート経営では、購入時に想定した利回りが将来にわたって維持されるとは限りません。長期間にわたる運用で、家賃収入の減少や運営コストの増加などで利益率が低下するおそれがあるため、あらかじめリスクを想定しておくことが大切です。
代表的な要因として、築年数の経過や周辺の賃貸需要の変化による空室の増加、家賃の下落が挙げられます。また、外壁や屋根、給排水設備などの大規模修繕や設備更新が必要になると、支出が増えて手元に残る利益が減少する可能性があります。
さらに、変動金利型でローンを利用している場合は、将来的に金利上昇すると利息負担が増え、手元に残る資金が減少するリスクにも注意が必要です。こうした変化を見込んで、空室率や家賃下落、修繕費などを織り込んだ収支シミュレーションを行い、余裕を持った経営計画を立てておきましょう。
アパートの空室対策については「やってはいけない空室対策【アパート経営の基本】」で詳しく紹介しています。
アパート経営の利益率を改善する3つの方法
アパート経営の利益率を改善するには、家賃収入を増やすだけでなく、管理費や修繕費などの支出を見直し、空室による収入減を抑えることも重要です。利益率が想定より低い場合は、次の3つの方法を検討しましょう。
適正な家賃を設定する
まずは、周辺の類似物件と比較し、現在の家賃が地域の相場に合っているか確認します。家賃が相場より低く設定されている場合は、入居者の退去後や新規募集のタイミングで賃料を見直すことで、家賃収入を増やせる可能性があります。
ただし、家賃を高く設定しすぎると入居希望者が減り、空室期間が長くなるおそれがあります。アパート経営では中長期的な入居率や家賃の変動も収益性に影響するため、単純に賃料を上げるのではなく、周辺の需要や競合物件とのバランスを考えて設定することが大切です。
管理費や修繕費を見直す
管理委託料や共用部分の維持管理費、定期的な修繕費など、継続的に発生する支出も利益率を左右します。管理会社との契約内容や業務範囲を確認し、費用に見合ったサービスを受けられているか見直してみましょう。
一方で、費用を抑えることを優先し、必要な管理や修繕まで削減しないように注意が必要です。外壁や屋根、給排水設備などは将来的な修繕が必要になるため、過去の修繕履歴や今後の修繕計画も確認しながら、品質を維持したうえで無駄な支出を減らすようにします。
空室期間を短縮するよう工夫する
空室が長期化すると家賃収入が減少するため、利益率を改善するには空室期間をできるだけ短くすることが重要です。まずは、家賃が周辺相場と合っているか、設備や間取りが入居希望者のニーズに対応しているか、募集方法に問題がないかを確認しましょう。
また、退去後の原状回復や入居募集を速やかに進めることで、次の入居者が決まるまでの期間を短縮しやすくなります。アパートの空室対策では、物件の競争力や募集条件を総合的に見直し、中長期的に安定した入居率を維持することが大切です。
アパート経営の利益率は経費や空室率も考慮して判断しよう
物件は人と同じでそれぞれ個性があります。そのため、アパート経営の利回りや利益率は、物件の立地や築年数、周辺環境、空室率などによって異なります。また、投資可能な金額やローンの返済条件によっても、求められる収益水準は変わるため、適正な利益率の目安は一つではありません。
アパート経営を検討している方は、まず購入希望エリアの平均的な表面利回りを確認し、物件の収益性を比較しましょう。そのうえで、管理費や修繕費、想定空室率などを考慮した実質利回りを算出することで、より現実的な収益を把握できます。
また、すでにアパートを経営している方は、現在の家賃収入や経費を確認し、利益率の改善余地がないか検討することも大切です。必要に応じて賃料設定や管理方法を見直し、安定した収益を確保できる経営を目指しましょう。

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