農地売却の税金はいくら?譲渡所得税・特別控除・確定申告を解説

農地を売却して利益が出ると、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税などがかかります。また、それ以外にも農地転用や測量代などの費用がかかるケースもあります。
この記事では、農地売却でかかる税金の種類や税額の計算方法、確定申告のポイントを解説します。要件を満たせば、確定申告をして特別控除を利用することも可能ですので、上手に活用して支出を抑えましょう。
リビンマッチのポイント
農地の売却では、譲渡所得税や印紙税などの税金に加え、測量費や仲介手数料、農地転用に関する費用がかかる場合があります。一方で、農業委員会のあっせんなどにより売却した場合は、特別控除を受けられることがあります。特別控除の適用を受けるには、確定申告が必要です。
もくじ
農地売却で税金がかかるケース・かからないケース
農地を売却しても、必ず税金がかかるわけではありません。あくまで一例ですが、税金がかかるケースとかからないケースをまとめました。
なお、ここでの「税金がかかる・かからない」は、主に譲渡所得税・住民税・復興特別所得税についてです。売買契約書に貼付する印紙税など、譲渡所得の有無にかかわらず発生する場合があります。
| ケース | 税金の有無 | 主な理由・注意点 |
|---|---|---|
| 農地売却で売却益が出た場合 | かかる | 売却価格から取得費・譲渡費用を差し引いて譲渡所得が出るため、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税の対象になる |
| 取得費や譲渡費用を差し引くと利益が出ない場合 | 原則かからない | 譲渡所得が発生しないため、譲渡所得に関する税金はかからない |
| 相続した農地のため、取得費がわからない場合 | かかる可能性がある | 取得費が不明な場合は概算取得費として計算するため、譲渡所得が大きくなりやすい |
| 農地の売却で特別控除を利用する場合 | 軽減される可能性がある | 農業委員会のあっせんや農地中間管理機構への譲渡など、一定の要件を満たすと特別控除を受けられる場合がある |
| 農地売却で赤字になった場合 | 原則かからない | 譲渡所得が出ていないため税金はかからない。ただし、申告が必要か迷う場合は税理士や税務署に確認すると安心 |
農地売却でかかる税金まとめ
農地を売却した場合に課税される税金の種類と目安を表にまとめました。
| 税金・費用 | かかる場面 | 目安 |
|---|---|---|
| 譲渡所得税 | 農地を売って利益が出たとき | 長期譲渡所得:20.315% 短期譲渡所得:39.63% ※所得税・住民税・復興特別所得税を含む |
| 印紙税 | 売買契約書を作成するとき | 契約金額によって異なる |
| 登録免許税 | 住所変更登記・抵当権抹消登記が必要なとき | 土地1筆につき1,000円 |
以下では、農地を売却したときにかかる譲渡所得税・印紙税・登録免許税についてわかりやすく解説していきます。
譲渡所得税
農地であっても宅地であっても、不動産の売却により課税される譲渡所得税の仕組みや計算方法は同じです。利益である譲渡所得に対してかかります。
譲渡所得は次の計算式により求めます。
取得費とは、売却する農地を取得したときの代金や取得のために支出した費用の合計です。相続した農地の場合は、被相続人が取得した時の取得費を引き継ぎます。いくらで購入したのか分からない場合は、概算取得費として売却価格の5%で計算します。
たとえば、相続した農地を1,000万円で売却し、取得費は不明なため売却価格の5%、譲渡費用を50万円とする場合、譲渡所得は次のように計算します。
農地を売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得に該当します。この場合の税率は20.315%ですので、900万円×20.315%で約182万8,350円が税額の目安です。
譲渡所得税は以下の3つで構成されています。
- 所得税
- 復興特別所得税
- 住民税
それぞれ分けて詳しく紹介します。
所得税
所有期間によって、それぞれ以下のように税率が定められています。
- 短期譲渡所得
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合、譲渡所得に対して30%の税率
- 長期譲渡所得
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超の場合、譲渡所得に対して短期の2分の1である15%の税率
復興特別所得税
東日本大震災からの復興に必要な財源確保が目的の、特別な所得税です。2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間継続される制度であり、所得税率に2.1%を加算します。
所得税に復興特別所得税を加算すると、次の税率になります。
- 短期譲渡所得
- 所有期間が5年以下の場合、所得税の30%に2.1%が加算されるため、復興特別所得税は0.63%
- 長期譲渡所得
- 所有期間が5年超の場合、所得税の15%に2.1%が加算されるため、復興特別所得税は0.315%
所得税と合計して、短期譲渡の場合は30.63%、長期譲渡の場合は15.315%が所得税になります。
住民税
譲渡所得に対して住民税が課税されます。住民税も短期譲渡と長期譲渡で税率が異なり、それぞれ次のようになります。
- 短期譲渡所得
- 所有期間が5年以下の場合、譲渡所得に対して9%の税率
- 長期譲渡所得
- 所有期間が5年超の場合、譲渡所得に対して5%の税率
所得税は国税なので税務署、住民税は都道府県および市区町村の管轄です。
印紙税
農地の売買契約を書面で契約する場合は、印紙税が課税されます。
契約書1通に対してかかるため、売主と買主それぞれが1通ずつ契約書を作成する場合は2通分です。契約書を1通作成する場合であっても、売主と買主がそれぞれ折半して負担するのが一般的です。
不動産の譲渡に関する印紙税は、譲渡金額により印紙税が定められています。現在軽減措置がなされており、たとえば1,000万円超〜5,000万円の売買金額であれば印紙税は、契約書1通に対して1万円です。
詳しくは国税庁の「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」で確認してみましょう。
住所変更登記・抵当権抹消登記の登録免許税
農地を売却する際、登記上の住所と現在の住所が異なる場合は、住所変更登記が必要です。また、売却する農地に抵当権が設定されている場合は、引き渡し前に抵当権抹消登記を行います。
住所変更登記や抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1筆につき1,000円です。司法書士に依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬がかかります。
参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
農地売却にかかる税金以外の費用
税金以外にも、農地の売却に必要となる費用があります。事前に不動産会社から見積もりをもらい、資金計画を立てたうえで進めることが重要です。
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼した場合は、成功報酬として仲介手数料を支払います。計算方法は以下のとおりです。
| 農地の売買代金 | 計算方法(消費税別) |
|---|---|
| 200万円以下 | 売買金額の5% |
| 200万円超~400万円以下 | 売買金額の4%+2万円 |
| 400万円超 | 売買金額の3%+6万円 |
農地のまま売却する場合と、宅地に転用して売却する場合では、報酬の計算方法が異なるケースがあるため、契約する前に不動産会社へ確認しておきましょう。
測量代
農地は、土地の境界が不明確であり正確な面積が分からないというケースが多いです。
買主によっては、測量により正確な面積や境界を明確にしてほしいとの要望をされる場合もあります。また、1筆の農地を分筆して売却する場合は、境界を確定するための測量が必要です。
測量代はケースバイケースですので、必要な場合はまず測量士や土地家屋調査士に相談し、事前に費用の目安を把握しておくことが大切です。
農地転用やその他の手続き
農地を農地以外の目的で使用するためには、農地転用の手続きが必要です。
手続きに関する費用は買主が負担するケースがありますが、売主が宅地化してから売り出す場合など売主が負担するケースもあるため、契約前に確認しておきましょう。
手続きには多くの書類が必要なため、行政書士に依頼するほうが時間もかからず確実です。ただし、費用は3万~10万円程度かかります。
また、前述したように売主の住所変更登記や抵当権抹消登記が必要な場合、司法書士に依頼すると司法書士の業務報酬としてそれぞれ約1万~2万円の費用がかかるでしょう。
農地売却後に確定申告が必要なケース
農地を売却して譲渡所得が発生した場合は、原則として確定申告が必要です。また、800万円控除や1,500万円控除などの特別控除を利用する場合も、確定申告をしなければ適用を受けられません。
確定申告は、原則として売却した翌年の2月16日から3月15日までに行いますが、期限日が土日祝日の場合は翌平日になることがあります。
農地売却でも活用できる特別控除
農地を売却して利益が発生した場合は、原則として譲渡所得に対し所得税・住民税がかかります。ただし、農地を一定の方法で譲渡した場合など、要件を満たせば国の特別控除を受けられるケースもあります。
800万円控除
農業委員会のあっせんや農地中間管理機構への譲渡など、一定の要件を満たす場合は、800万円・1,500万円・2,000万円の特別控除を受けられることがあります。土地収用法などにより買い取られる場合は、5,000万円控除が適用されるため、費用を大きく抑えることが可能です。
- 農地保有の合理化などを目的として農地を譲渡する場合
- 農業委員会のあっせんなどにより、農業振興地域内の農地を意欲ある農業者へ譲渡する場合
- 規模を縮小する農家が、農地中間管理事業に基づく農用地利用集積等促進計画により譲渡する場合
参考:国税庁「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」
参考:国税庁|確定申告書等作成コーナー「措置法34条の3」
1,500万円控除
規模を縮小する農家が、農地中間管理機構との買入協議に基づいて農地を譲渡した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大1,500万円を控除できます。
- 規模を縮小する農家が、農業委員会に対して農地のあっせんを申し出る
- 農家から申出を受けた農業委員会が、市町村長に対して買入協議を要請する
- 市町村長が、農地中間管理機構(農地バンク)と売主に対して買入協議の通知を行う
- 売主が市町村長からの通知を受けたあと、農地中間管理機構と協議して農地を譲渡する
参考:国税庁「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」
参考:農林水産省「農地の譲渡に係る特例措置について知りたい」(PDF)
2,000万円控除
特例農用地利用規程が作成された区域内の農地を、一定の要件に基づき農地中間管理機構へ譲渡した場合などは、2,000万円控除が適用されることがあります。
5,000万円控除
土地収用法などにより、公共事業のために農地が買い取られる場合は、5,000万円控除が適用されることがあります。国の特別控除を受けるには確定申告が必要です。
農地売却は不動産会社に相談しよう
農地の売却は個人間で行うケースもありますが、農地法に基づき、農業委員会や都道府県知事等の許可が必要になる場合があります。
さらに、市街化区域内にある農地は農業委員会への届出、市街化区域外の農地は原則として許可が必要になるなど、一般的な不動産に比べて売却の手順が複雑です。
農地を売却する際、農地売買に詳しい不動産会社に相談することでスムーズに売却を進められます。農地に詳しい不動産会社を探すには、不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」が便利です。リビンマッチでは、農地に絞って物件情報を入力することで、農地売却の実績がある会社から最適な提案を受けることができます。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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