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不動産の二重譲渡とは?対抗要件と権利関係、防ぐ方法を解説

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不動産の二重譲渡とは?対抗要件と権利関係、防ぐ方法を解説

二重譲渡は、同じ不動産を複数の買主に譲渡するため、不動産売買においてトラブルに発展しやすくなります。

故意に発生するケースだけでなく、売主が知らずに発生するケースもあります。本記事では、不動産の二重譲渡について具体例を用いてわかりやすく解説しています。不動産の権利を主張するための対抗要件と所有権の関係についても理解しておきましょう。

この記事でわかること

  • 二重譲渡の仕組みと主なリスク
  • 二重譲渡が起こる主なケース
  • 所有権を主張するために重要な登記
  • 二重譲渡を防ぐための対策

二重譲渡とは

不動産の二重譲渡について説明した図

不動産売買における二重譲渡とは、ひとつの不動産を複数の買主に譲渡することです。

しかし、民法176条には、以下のような規定があります。

物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

e-Gov法令検索「民法」第百七十六条

まず、複数の買主に不動産を譲渡する意思表示や意思確認は可能です。ただし、売買契約書の締結を行う人と登記の名義人が異なる二重譲渡は、トラブルに発展する可能性が高くなります。

以下では二重譲渡における売主と買主の責任、また発生しやすいケースについて具体的に紹介します。

二重譲渡で売主・買主に生じる責任と影響

二重譲渡の所有権について説明した図

不動産の二重譲渡が起きると、売主は契約どおりに不動産を引き渡せなくなり、契約解除や損害賠償などの責任を問われるおそれがあります。

一方、買主は所有権移転登記を得られないことで、不動産の所有権をほかの買主に主張できない場合があります。また、二重譲渡の事情を知りながら関与した買主は、状況によって責任問題になることもあります。

ここでは、二重譲渡によって売主と買主にそれぞれどのような責任や影響が生じるのかを解説します。

売主の責任

二重譲渡をした売主が責任を負うのは当然のことです。故意に二重譲渡した場合はもちろん、売主側の確認不足などによって契約どおりの履行ができなくなった場合も、債務不履行責任を問われる可能性があります。

また、刑法の視点からは、横領罪や詐欺罪に該当するおそれもあります。たとえば、売主が買主Aに売却したあと、同じ不動産を買主Bにも売却したとします。本来は買主Bに引渡しすべきものを買主Aに引渡した場合、買主Bが所有するはずであった不動産を売主が横領した、と解釈されるケースもあるでしょう。

さらに、買主Bに引渡すつもりはなかったのに、「買主Bに引渡す」とだまして契約手付金を受領し、買主Aに引渡すと詐欺に該当することがあります。売主が二重譲渡を行った場合、損害賠償責任を問われるだけでなく、刑法犯となるおそれがあることを理解しておきましょう。

買主に生じる影響と責任

二重譲渡が行われた場合、先に売買契約を結んだ買主であっても、所有権移転登記をしていなければ、あとから登記した買主に対して所有権を主張できない場合があります。

たとえば、買主Aが先に売買契約を締結したものの登記をしておらず、その後に同じ不動産を購入した買主Bが先に所有権移転登記をした場合、原則として買主Bが所有権を主張できます。

不動産を取得できなかった買主Aは、契約内容や二重譲渡に至った経緯によっては、売主に対して契約解除や損害賠償を求めることが可能です。

一方、買主Bが先に売買契約が行われていたことを知っていたとしても、その事実だけ買主Bが買主Aに対する責任を負うわけではありません。ただし、買主Aの権利を不当に妨げるなど「背信的悪意者」に該当する場合は、登記をしていても所有権を主張できないことがあります。

不動産売却で二重譲渡が発生するケース

不動産の二重譲渡は、売主が意図的に同じ物件を複数の買主へ売却する場合だけでなく、過去の売買契約を把握していないなど、知らないうちに発生することもあります。

ここでは、二重譲渡がどのような状況で発生するのか、具体例をもとに解説します。

売主が故意に行うケース

売主が二重譲渡であることを認識して行うケースがあります。

たとえば、買主Aと売買契約を締結した後に、買主Bがさらに高値で買いたい意向を示したとします。すると、売主はより高い売却代金を得るために、買主Aとの間で売買契約解除をせずに、買主Bとも契約して引渡しをしてしまうことが考えられます。

本来は買主Bと契約する前に、買主Aとは契約を解除する必要があります。しかし、本当に買主Bが契約をするかどうか不安なため、契約解除前に買主Bと契約し引渡しまで進めてしまうというものです。

この場合の所有権は、移転登記した買主Bが権利を主張できます。所有権移転登記できなかった買主Aは、売主に対して契約解除と損害賠償請求を行うことが可能です。

売主が知らずに行うケース

売主が知らずに二重譲渡をしてしまうこともあり得ます。たとえば、親が不動産の売買契約を締結して、引渡す前に亡くなったとします。その売買契約を知らない相続人が、別の買主に譲渡してしまうケースが考えられます。

売買契約から引渡しまでの期間が長いと、このような事態が発生するおそれがあるのです。さらに、不動産会社を仲介せず個人間取引をした場合などにも起こり得るでしょう。

相続人は、被相続人が締結した契約や義務も承継します。そのため、先行している売買契約を知らずに別の買主へ売却すると、契約どおりの履行ができなくなり、契約解除や損害賠償をめぐるトラブルに発展するおそれがあります。

買主が悪意を持って行うケース

昭和30年5月31日の判例では、ある買主が悪意を持って売主に二重譲渡を行わせ、先に売買契約を締結していた買主に損害を与えました。

この事案も相続が関係したもので、概要は以下のとおりです。

関係者売主A、売主相続人B、第1買主X、第2買主Y
原告第1買主X
被告第2買主Y

参考:裁判所「最高裁判所判例集 昭和27(オ)1078

売主Aと第1買主Xとの間で売買契約が締結され、買主Xは売主Aに手付金を支払い、後日残金支払いと同時に引渡しを受ける約束となっていました。

しかし、引渡し前に売主Aが亡くなりました。第2買主Yは、買主Xがすでに売買契約を締結していたことを知っていました。それにも関わらず、売主相続人Bに売買を持ちかけ、契約し引渡しを受けたのです。

第1買主Xは買主Yに対して、買主Xの権利を不法に侵害したとして物件の時価から手付金を差し引いた金額を損害賠償として請求しました。1審と2審で、買主Xの訴えが認められています。しかし、第2買主Yは上告し、最高裁での審理の結果、買主Yには悪意があったとしても不法行為の責任を認めるには足らないとして、原判決を破棄し高等裁判所に差し戻しとなりました。

この判例は、二重譲渡に関して第2買主に悪意があったとしても、不法行為とまではいえないとしたものです。二重譲渡に関する買主責任を判断する重要な判例です。

ただし、先行する売買を知っているだけでなく、信義に反するような事情がある場合は「背信的悪意者」として扱われることがあります。背信的悪意者については、後ほど詳しく解説します。

不動産の二重譲渡では対抗要件が重要

不動産の権利を第三者に主張するためには、対抗要件を備えておく必要があります。対抗要件は、登記によって得ることができます。

二重譲渡の場合は、登記により対抗要件を得た買主が所有権を主張できます。

対抗要件とは

対抗要件とは、第三者に対して不動産の所有者であることを主張するために必要な要件のことです。

民法第177条では、次のように規定されています。

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

e-Gov法令検索「民法」第百七十七条

契約の順番は権利の優劣に関係がなく、登記の有無によって判断されます。二重譲渡では、原則として売買契約を締結した順番ではなく、どちらが先に所有権移転登記を備えたかによって、買主同士の優劣が決まるためです

二重譲渡と対抗要件の関係

二重譲渡における例外的な事例

不動産が二重譲渡された場合、原則として先に所有権移転登記をした買主が、もう一方の買主に所有権を主張できます。ただし、先に契約した買主の権利を不当に妨げるなど、後から登記した買主が「背信的悪意者」に該当する場合は、登記をしていても所有権を主張できないことがあります。

登記できなかった買主は、状況に応じて売主に契約解除や損害賠償を求めることができます。そのため、売主は二重譲渡のおそれがある場合、別の買主との契約を進める前に、すでに結んでいる契約の内容や解除できるかどうかを確認することが大切です。

背信的悪意者に該当すれば対抗できる

不動産の二重譲渡では、あとから購入した買主が先に売買されていたことを知っていたとしても、それだけで所有権を主張できなくなるわけではありません。

法律上の「悪意」とは、すでに別の買主への譲渡があったことを知っている状態を指します。しかし、先の売買を知っているだけでは「背信的悪意者」には該当しません。

たとえば、先に購入した買主がまだ登記していないことを利用して、その買主の権利を不当に奪う目的で不動産を取得するなど、一般的な不動産取引とはいえない事情があると判断された場合は、「背信的悪意者」に該当することがあります。

背信的悪意者に該当すると、民法177条で保護される第三者とは認められず、先に登記をしていても、先の買主に対して所有権を主張できない場合があるのです。

先に登記した買主が原則として所有権を主張できる

二重譲渡では、原則として先に所有権移転登記を済ませた買主が、もう一方の買主に対して所有権を主張できます。そのため、「自分のほうが先に売買契約を締結したから大丈夫」とは限りません。

また、あとから購入した買主が、すでに別の買主へ売却されていたことを知っていたというだけで、直ちに登記の効力が否定されるわけではありません。

登記を取得できず所有権を主張できなくなった買主は、契約内容や経緯によっては、売主に対して契約の解除や損害賠償を求めることが考えられます。二重譲渡は買主同士の権利争いだけでなく、売主が契約上の責任を問われる原因にもなり得るのです。

不動産売却で二重譲渡を防ぐための対策

二重譲渡が起きると、買主同士で不動産の所有権をめぐる争いになるだけでなく、売主側にも契約解除や損害賠償などのトラブルに発展するおそれがあります。

二重譲渡を防ぐために、売主が特に注意すべきポイントを確認しておきましょう。

売買契約を結んだ物件を別の買主に売却しない

一度買主と売買契約を締結したら、同じ不動産を別の買主へ売却しないことが二重譲渡を防ぐための基本です。

売買契約後に、別の購入希望者から「もっと高い価格で購入したい」と申し出があったとしても、先に締結した買主との契約を無視して新たな売買契約を結ぶべきではありません。

契約後に条件のよい買主が現れたことを理由に別の契約を締結すると、二重譲渡のトラブルにつながります。

最初の売買契約を解除してから次の売却を進める

すでに売買契約を結んでいるものの、事情が変わって別の買主へ売却したい場合は、売買契約を適切に解除する必要があります。

不動産売買で手付金が交付されている場合、一定の条件を満たせば売主が手付金の倍額を現実に提供して契約を解除できることがあります。ただし、相手方が契約の履行に着手したあとは、原則として手付による解除はできません。

また、解除できるかどうかは契約内容や状況によって異なります。「違約金を払えば自由に別の人へ売れる」わけではないため、最初の契約が確実に終了したことを確認してから次の売却を進めましょう。

相続した不動産は権利関係や過去の契約を確認する

相続した土地や建物を売却するときも注意が必要です。たとえば、亡くなった所有者が生前に不動産の売買契約を締結していたものの、所有権移転登記が済んでいない場合、相続人がその事実を知らずに別の買主へ売却すると二重譲渡になる可能性があります。

そのため、相続不動産を売却する前には登記上の名義だけで判断せず、被相続人が保管していた売買契約書や不動産会社とのやり取りなども確認しましょう。

過去の契約関係が不明確な場合や、第三者が所有権を主張している場合は、そのまま売却を進めず、権利関係を整理してから売買契約を締結することが大切です。

仮登記で不動産の権利の順位を保全する

すぐに所有権移転の本登記ができない場合は、「仮登記」によって将来の登記順位を保全することが可能です。

仮登記そのものには、第三者に対して所有権を主張できる対抗力はありません。しかし、不動産登記法では、仮登記に基づいて本登記をすることで、本登記の順位は仮登記をした時点の順位によると定められています。

仮登記後に同じ不動産で別の買主の登記がされた場合でも、要件を満たしていれば、仮登記によって保全されていた順位が基準になります。ただし、仮登記をすれば必ず二重譲渡を防げるわけではないため、本登記をすぐに行えない事情がある場合は司法書士などに相談するとよいでしょう。

不動産の売却は不動産会社などの専門家に相談する

不動産売却では、売買契約から代金の決済、所有権移転登記まで多くの手続きが発生します。二重譲渡などのトラブルを防ぐためにも、自己判断だけで進めず、不動産会社などの専門家に相談しながら売却を進めましょう。

通常の不動産売却であれば、不動産会社が売却条件の調整や売買契約、決済までしっかりサポートしてくれます。これから不動産を売却する方は、売買契約を結ぶ前に複数の不動産会社へ査定を依頼し、査定額だけでなく担当者の対応や売却方針も比較することが大切です。

信頼できる不動産会社を選んだうえで、契約内容を確認してから売却を進めましょう。複数社を比較するときは、不動産一括査定サイトの「リビンマッチ」の利用が便利です。

不動産の二重譲渡に関するよくある質問

不動産の二重譲渡ってなに?
同じ不動産を複数の買主に譲渡することです。複数の買主がそれぞれ同じ不動産の所有権を主張することになるため、二重譲渡では誰が優先されるのかが問題になります。
二重譲渡ではだれが不動産を取得できる?
登記により対抗要件を得た買主が、不動産の所有権を主張できます。契約の順番は権利の優劣に関係がなく、登記の有無が重要です。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部アイコン リビンマッチ編集部

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