公示価格と実勢価格の違いは?エリア別の乖離率と計算方法

2026年3月18日に公表された令和8年地価公示では、全国平均の全用途平均・住宅地・商業地がいずれも5年連続で上昇しました。全用途平均と商業地は上昇幅が拡大し、住宅地は前年と同じ上昇幅となっています。
ただし、公示価格は国が公表する土地取引の目安となる価格であり、実際に売買が成立した実勢価格と一致するわけではありません。地域や土地の条件、市場動向などによって、両者には差が生じることがあります。
この記事では、公示価格と実勢価格の違いをはじめ、エリア別の乖離率や計算方法、公示価格から実際の土地価格をどこまで把握できるのかをわかりやすく解説します。
リビンマッチのポイント
公示価格はひとつの目安に過ぎず、実際の取引価格(実勢価格)は公示価格を上回る傾向にあります。現実的な価値を知るには、近隣の成約事例を確認したうえで、不動産会社に査定を依頼しましょう。
もくじ
公示価格と実勢価格の違い
土地の価格には、公示価格と実勢価格がありますが、不動産取引における2つの価格の違いや意味について解説します。
公示価格と実勢価格の意味
公示価格と実勢価格の意味や用途、価格の決まり方などをわかりやすく表にまとめました。
| 公示価格 | 実勢価格 | |
|---|---|---|
| 意味 | 国が公表する標準地の価格 | 実際に売買が成立した価格 |
| 価格時点(基準日) | 毎年1月1日 | 取引した時点 |
| 対象 | 全国の標準地 | 実際に売買された土地 |
| 価格の決まり方 | 不動産鑑定士による鑑定評価などをもとに判定 | 売主・買主の合意 |
| 主な用途 | 土地取引や公的評価の指標 | 売買相場の把握 |
| 自分で売値が分かる? | 売値の予想は難しい | 類似する条件なら参考になる |
土地の価格を示す公的な指標には、公示価格のほかにも、都道府県が公表する「基準地価」や、相続税・贈与税の計算に用いられる「路線価」などがあります。それぞれ目的や基準時点が異なるため、同じ土地でも価格は一致しません。それぞれの意味や違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
公示価格とは
公示価格は、国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示にもとづいて公表する、標準地の価格のことです。標準地は土地鑑定委員会が選定した代表となる土地のことで、この土地の1㎡あたりの価格が公示価格となります。
毎年1月1日時点の土地価格として判定され、その年の3月ごろに公表されます。公示地価とも呼ばれ、一般の土地取引や公共事業用地の取得価格を判断する際の指標として活用されています。ただし、全国すべての土地に価格が付けられているわけではなく、あくまで標準地の価格である点には注意が必要です。
実勢価格とは
実際に不動産市場で売買が成立した価格が実勢価格です。公示価格や固定資産税評価額のように公的機関が決める価格ではなく、買主と売主の合意によって金額を決定します。
そのため、過去の取引事例、土地の形状、駅からの距離、売却時期などによって大きく変動します。つまり、最終的な不動産の成約価格と考えてよいでしょう。不動産を売却する際は、公示価格だけでなく、周辺の成約事例や不動産会社の査定をもとに実勢価格を把握することが大切です。
公示価格から実際の売却価格はわからない
不動産の売り出し価格(広告やポータルサイトに掲載されている価格)は、不動産査定にもとづいて検討されるのが一般的です。公示価格は標準地の価格のため、個々の土地については、路線価と固定資産税評価額から逆算して、公示価格に相当する価格を導き出します。
具体的には、以下2パターンの計算方法で求められます。
- 公示価格相当額=路線価 ÷ 0.8
- 公示価格相当額=固定資産評価額 ÷ 0.7
ただし、固定資産税評価額は原則として3年に一度、路線価は毎年見直しが行われます。そのため、上記2つの結果は必ずしも一致はしません。
さらに、公示価格はその年の1月1日時点の価格ですが、それ以降も不動産取引は続くため、実勢価格は毎日変化しています。そのため、不動産売却において公示価格はひとつの目安でしかありません。
公示価格と実勢価格はどれくらいの違いがある?
実勢価格は公示価格の1.1~1.2倍程度が目安として紹介されることもありますが、具体的にどれくらいの差が生じるのでしょうか。
土地は立地や面積、形状、接道状況、取引時期などの条件によって売却価格は大きく異なります。目安として、東京都と政令指定都市における公示価格と実勢価格の差を見ていきましょう。
【データ出典】
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」土地取引価格の概況 2025年第1四半期~第4四半期
- 国土交通省「国土数値情報ダウンロードサイト」調査年は令和7年(2025年)
【条件】
- 都心部・南西部・北東部・八王子市の土地単価(円/㎡)の平均値と標本数を抽出
- 2025年の地価公示から、それぞれ同じ地域かつ住宅地の標準地を抽出
- 乖離率は(実勢価格÷公示価格−1)×100でそれぞれ算出
- 公示価格は平均㎡単価で計算
東京都内の主要エリアの乖離率
東京都内でも、地域によって土地価格や需要には大きな違いがあります。そこで、都心部から郊外まで性格の異なる4エリアについて、公示価格と実勢価格の乖離率を比較します。
東京都内の公示価格と実勢価格を比較(2025年)
乖離率 -9.0%
乖離率 +17.9%
乖離率 +21.4%
乖離率 +16.8%
単位:万円/㎡
公示価格と実勢価格の乖離率は、以下の計算式で算出しています。
乖離率=(実勢価格 ÷ 公示価格 − 1)×100
東京都内の主要エリアでは、実勢価格は公示価格の約0.91~1.21倍となっています。ちなみに、公示価格と実勢価格は各エリアにおける住宅地の平均価格を比較しているため、個々の土地における乖離率とは異なる場合があります。
| エリア | 平均公示価格 | 平均実勢価格 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| 都心部 | 約160.3万円/㎡ | 約145.8万円/㎡ | -9.0% |
| 南西部 | 約70.1万円/㎡ | 約82.7万円/㎡ | +17.9% |
| 北東部 | 約46.9万円/㎡ | 約56.9万円/㎡ | +21.4% |
| 八王子市 | 約12.6万円/㎡ | 約14.7万円/㎡ | +16.8% |
2025年のデータにおいては都心部以外の実勢価格は公示価格を上回っています。とはいえ、都心部では公示価格より不動産が安く売れているということではなく、あくまで平均価格の比較であるため、参考にする際は注意が必要です。
政令指定都市の乖離率
政令指定都市の主要エリアとして、以下3つの都市におけるデータを見てみましょう。
- 横浜市
- 大阪市
- 福岡市
なお、東京都のデータと同様に、都市における住宅地の平均価格を比較しています。グラフ内の乖離率は個々の土地における価格差を示すものではありません。
政令指定都市の公示価格と実勢価格を比較(2025年)
乖離率 +27.7%
乖離率 +6.9%
乖離率 +2.3%
単位:万円/㎡
大阪市・横浜市・福岡市の場合、実勢価格は公示価格の約1.02~1.28倍となりました。東京都内の主要エリアは公示価格の約0.91~1.21倍ですので、エリアによって大きな差はないといえるでしょう。
| 都市 | 2025年平均公示価格 | 2025年平均実勢価格 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 約28.3万円/㎡ | 約36.1万円/㎡ | +27.7% |
| 横浜市 | 約25.7万円/㎡ | 約27.5万円/㎡ | +6.9% |
| 福岡市 | 約24.0万円/㎡ | 約24.5万円/㎡ | +2.3% |
一概には言えませんが、大阪市がほかの都市よりも乖離率が大きい理由として、実勢価格の「平均値」が高いことが考えられます。つまり、一部の高額な土地取引によって実勢価格が高くなり、乖離率が大きく見えているということです。
また、公示価格は2025年1月1日時点の価格なのに対し、今回の実勢価格は2025年第1~第4四半期の取引平均を参照しているため、乖離率が広がっている可能性があります。
最近の地価変動も乖離率に影響する
日本はバブル経済崩壊により地価は下がり続けましたが、近年は回復傾向が見られるようになりました。
「令和8年地価公示」では、全国の全用途平均、住宅地、商業地が5年連続の上昇となっています。とくに東京と大阪では、住宅地・商業地ともに上昇幅が拡大しており、全体として好調な状態が続いているという状況です。
| エリア | 平均変動率 |
|---|---|
| 東京圏 | 6.6% |
| 大阪圏 | 2.8% |
| 名古屋圏 | 2.5% |
公示地価は不動産の実勢価格にも一定の影響を与えますが、実際の売買価格はエリア、駅距離、接道状況などによって差が出るため注意が必要です。
参考:国土交通省「令和8年地価公示」
実勢価格は物件の特性が反映される
地価公示は、標準地の評価を定点観測するような方法で毎年行われています。標準地そのものが売買取引された結果ではありません。
対して実勢価格は、実際の取引に基づいた結果が反映されており、一つひとつの売買価格は個別の条件や特性に左右されます。
また、公示価格と実勢価格の両方、平均価格に基づいた比較評価であり、個別の特性を把握できるものではありません。
そのため、公示価格と実勢価格の乖離について、一定の規則性を見いだすことは難しいでしょう。
できるだけ実勢価格に近い価格を算出する方法
不動産売却では、実際に取引が成立したときの価格となる、実勢価格を知ることが重要です。
ここでは、実勢価格に近い土地の価格を算出する方法を解説します。
公的価格から実勢価格の目安を計算する
不動産を売却する際、公的な指標から実勢価格の目安を計算することが可能です。一般的に、土地の取引価格である実勢価格は、国が公表する公示価格の約1.1倍から1.2倍程度が目安になるとされています。
具体的には、固定資産税の計算基準となる固定資産税評価額を用いる場合、この評価額は公示価格の約7割に設定されているため、「固定資産税評価額÷0.7×1.1」という計算式で実勢価格を推測できます。また、相続税や贈与税の算出に用いられる路線価を活用する場合は、路線価が公示価格の約8割に設定されていることを踏まえ、「路線価÷0.8×1.1」で算出が可能です。
ただし、これらの計算結果はあくまで目安であり、実際の取引価格は土地の形状や接道状況、周辺の需要などによって変動します。特に都市部や再開発が進むエリアでは、公的価格と実勢価格の乖離が大きくなる傾向があるため、より精度の高い価格を知るには不動産会社による査定を受けることが重要です。
不動産ポータルサイトの活用する
不動産ポータルサイトには、たくさんの売り物件が掲載されています。売地や中古戸建、中古マンションなど、種別ごとに物件を検索できます。
また、エリア別に検索した結果を価格や広さ順に並べ替えたり、戸建やマンションは築年代別順に価格の差を把握できたりします。
ただし、売り物件に表示される販売価格(売り出し価格)は、売主の希望金額が反映されています。あくまでも希望のため、必ず表示された価格で取引されるわけではありません。売買価格は、買主との価格交渉で決定します。
しかし、不動産の売却を考えている方にとって、不動産ポータルサイトの売り出し価格は、実勢価格の目安を知るには役立つ情報です。
リビンマッチ「土地の査定シミュレーション」を使う
不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」では「土地の査定シミュレーション」を用意しています。売却したい土地の情報を入力するだけで、簡単におおよその売却価格を調べることが可能です。

想定価格はやや低めに表示されますので、より現実的な価格を知りたいときは、不動産会社の査定が必要になります。それでも、おおよその価格を知りたいときには、強い味方になるでしょう。
不動産情報ライブラリの活用
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際の売買価格を物件の特定をせずに公表しています。
所在地は「字名」までが表示され、住宅地か商業地かの区分と用途地域もわかります。さらに、前面道路や建物に関する情報もあり、売却を予定している物件周辺における実際の売買価格を知ることができます。
実勢価格に近い価格を把握する参考になるでしょう。
実勢価格に近い査定の目安を知るには不動産査定
不動産会社は、特定の地域における個別の売買事例情報を収集できます。具体的には、以下のような土地の価格に直接関係するデータに合わせ、売り出し価格と最終的な売買価格を確認します。
- 所在地
- 土地面積
- 前面道路
- 間口・奥行
- 高低差
- 用途地域
不動産会社は、実勢価格に基づいた不動産市場の状況をリアルタイムでキャッチしているのです。そのため、不動産会社に不動産査定を依頼すると、不動産ポータルサイトや公的な不動産価格情報サイトでは得られない、現実的な「売れるであろう価格」を算出できます。
ただし、不動産会社によって、査定価格にある程度の差があります。それは、現在の不動産市場の状況認識の差が価格に反映されるためです。
いまの相場を知るには、複数の会社に査定を依頼して比較するのがおすすめです。一括査定サイトの「リビンマッチ」は、たった一度の手間で複数の不動産会社から査定結果を受け取れる無料のインターネットサービスです。
公示価格と実勢価格に関するよくある質問
- 公示価格と実勢価格の違いは何?
- 公示価格とは、国土交通省が実施する地価公示で発表される、毎年1月1日時点における標準地ごとの土地価格のことです。対して、実勢価格は、実際の取引で売主と買主が合意した価格を意味します。つまり、売買契約書に記載する価格をいいます。
- 公示価格と実勢価格は何倍くらい違う?
- 2025年のデータでは、東京都内の主要エリアにおける実勢価格は公示価格の約0.91~1.21倍、大阪市・横浜市・福岡市では約1.02~1.28倍となりました。ただし、いずれも平均価格を比較したものであり、同一地点の公示価格と実勢価格を比較したものではありません。
- 公示価格から実勢価格を計算できる?
- 実勢価格は土地の立地や面積、形状、接道状況、市場の需要などによって変わるため、正確な数字を計算することは難しいです。公示価格は売却価格を考える際の目安として利用し、近隣の取引事例や不動産会社の査定とあわせて確認しましょう。
- 実勢価格が公示価格より低くなることはある?
- 実勢価格が公示価格を下回ることはあります。実勢価格は実際の取引時点の需要や土地の条件、売主・買主の事情などによって決まるため、公示価格より必ず高くなるわけではありません。
参照記事・文献
国土交通省「全国の地価動向は全用途平均で5年連続上昇~令和8年地価公示~」
国土交通省「令和8年地価公示」
不動産情報ライブラリ「土地取引価格の概況 2025年第1四半期~第4四半期」
国土交通省「国土数値情報ダウンロードサイト
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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