任意売却にかかる期間は1年以上?競売にかけられるまでの期限や手順を解説
「任意売却」とは、住宅ローンの返済ができなくなったときに、不動産を自主的に売却して残債を減らす方法です。
住宅ローンが返済できない状態が続くと、最終的には不動産が差し押さえられ、競売によって強制的に売られてしまいます。競売では、売却価格が市場価値を下回ることが多く、多額の残債が残ることも少なくありません。
一方、任意売却であれば市場価格に近い金額で売却できるため、競売よりも将来的な残債を減らせる可能性があります。
任意売却には時間的制約があり、一般的には住宅ローンの延滞開始から競売手続き開始までになります。時間の猶予はあまりないので、必要な手続きを効率よく進めていくことが大切です。
任意売却ができる期間、条件や手続きの流れ、必要書類などを理解して成功につなげましょう。
任意売却は悩んでないで即行動!まだ間に合います!
もくじ
任意売却の期限はいつまで?
期限までに任意売却ができなかった場合、自宅が競売にかけられてしまいます。競売にかけられるリスクがある方は、期限をしっかりと把握しておきましょう。
住宅ローンの滞納が必須
大前提として、任意売却は住宅ローンを滞納している状態かつ、自宅を売却してもローンを完済できないケースでしか利用できません。
通常通り返済が行われている状態で、ローンが残るかたちの物件売却を認めるメリットが金融機関側にないためです。
しかし、住宅ローンを滞納してしまい、期限の利益を喪失したとみなされると話が変わってきます。期限の利益とは、債務の返済期限までは、支払いを待ってもらえる権利があるという債務者側のメリットのことです。
(期限の利益の喪失)
第百三十七条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
- 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
- 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
- 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
金融機関側も、不良債権を残したくはありません。そのため、少しでも融資した資金を回収しようと、任意売却に応じてくれる金融機関が多数です。
つまり、任意売却を利用するには、住宅ローンの滞納が条件です。だからといって任意売却を利用したいからと住宅ローンを滞納する、ということは信用情報にも関わるためおすすめできません。
あくまで滞納してしまい競売にかけられそうになったときの、苦渋の選択肢だと理解しましょう。
期限は販売開始から約1年
金融機関や保証会社などの債権者と交渉して任意売却の同意を得られると、通常の不動産売却と同様に買主を探します。
その際、物件の販売期間決定権は債権者にあるため、明確な期間は決まっていません。しかし、売却開始から最大1年間を期限として設定しているケースが多いようです。
一般的に債権者も、売却価格が安価になる可能性が高い競売はしたくありません。そのため、通常の不動産売却でかかる3〜6カ月よりも長めの期間を設定してくれる傾向にあります。
ただし、長い期間をかけても買い手がつかないと、不良債権を抱え続けるリスクを負います。そのため、債権者が任意売却では売却できないと判断した物件については、短い期間で競売の手続きに着手するケースも少なくありません。
競売の開札日前日まで可能
任意売却で物件が売却できる見込みがないと、債権者は競売の手続きを開始します。
では、競売の手続きが始まると任意売却ができなくなってしまうのでしょうか?
競売の手続きが開始されても、競売の開札日前日までに買主が見つかり、すべての手続きが完了できれば問題ありません。
そのため、債権者が競売の手続きを開始したからといって、あきらめる必要はありません。
ただし、任意売却は債権者や連帯保証人と連絡を取る必要があり、通常の不動産売却よりも手続きに時間がかかるおそれがあります。できるだけ手続きはなるべく早めに開始しましょう
なお、債権者が競売の申立てから開札するまでの期間は、約3〜6カ月が一般的です。
任意売却にかかる期間は?
必要な手続きが多く、約1年かかるケースがあります。また、具体的な手順がわからずに不安を感じている方も多いでしょう。
各工程にかかる期間の目安は以下のとおりです。
滞納から期限の利益喪失までの期間 | 6カ月 |
---|---|
債権者との交渉 | 数週間〜約1カ月 |
債権者の同意後、売却活動開始 | 約3~6カ月 |
ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
滞納から期限の利益喪失までの期間(6カ月)
住宅ローンを滞納して期限の利益を喪失すると、任意売却の対象です。
滞納から期限の利益喪失までのステップと期間は、以下のとおりです。
1カ月目 | 住宅ローンを滞納すると金融機関から電話やはがきなどで支払いの依頼通知が届く |
---|---|
2カ月目 | 金融機関から来店の依頼や督促状が届く |
3〜5カ月目 | そのまま滞納が続く場合、催告状が送付されて期日までに一括返済するように求められる |
6カ月目 | 滞納が合計で6カ月間になると、金融機関から期限の利益の喪失に関する書類が送付される |
6カ月を超える滞納をしてしまうと、期限の利益が喪失して、債権者である金融機関と任意売却についての交渉がはじまります。
ちなみに、住宅ローンの借入に保証会社を利用している場合、期限の利益が喪失した段階で代位弁済が行われます。代位弁済とは、保証会社が金融機関に対して住宅ローンの残債を一括返済することです。債権者が保証会社に変わり、金融機関は債権者ではなくなります。
また、期限の利益の喪失は、6カ月間続けての滞納ではなく、合計で6カ月間の滞納が条件です。ここを勘違いしていると、予期せず期限の利益を喪失するおそれがあるので注意しましょう。
債権者との交渉(数週間~約1カ月)
債権者と話し合いをした結果、返済条件の変更などでは返済が難しく、自宅を売却しても残債が残る可能性が高い場合は、債権者に任意売却の同意を得られる可能性があります。
その際の具体的な手順は以下のとおりです。
- 専門家や不動産会社、弁護士などに相談する
- 一括査定サイトなどを利用して複数の不動産会社に物件を査定してもらう
- 債権者と交渉して同意を得る
上記の手続きには数週間〜約1カ月かかります。
なお、債権者との交渉では、以下の内容を話し合います。
- 物件の売却価格
- 競売手続きの取り下げ
- 残債の返済計画
- 引っ越し費用控除
上記は一例ですが、債権者に納得してもらえるように資料作成するなどして交渉する必要があります。そのため、弁護士や不動産会社などに、ローンの滞納が決まった段階で相談しておくことをおすすめします。
債権者の同意後、売却活動を行う(約3〜6カ月)
債権者の同意が得られたら、任意売却をするために売却活動を行います。具体的な手順は以下のとおりです。
- 査定結果などから不動産会社を選び媒介契約を締結する
- 家に住みながら売却活動を行う
- 購入希望者が内見に訪れる
- 買主が見つかれば売買条件を交渉する
- 買主の合意が得られたら債権者に契約内容を伝えて同意を得る
- 買主と売買契約を締結する
なお、売却期間は約3〜6カ月かかるケースが多いです。
任意売却で早く売るための3つのポイント
任意売却には期限が決まっているため、できるだけ早く自宅を売却する必要があります。ここでは、自宅を早期で売却するためのポイントを3つ紹介します。
返済が困難と感じたらまずは専門家に相談する
任意売却で自宅を早く売却するには、住宅ローンの返済が苦しくなりローンの滞納が確定した段階で、弁護士や不動産会社に相談しましょう。
事前に媒介契約を行う不動産会社の候補を絞れるため、素早く売却できます。
万が一にでも競売にかかることを避けたい場合は、早い段階から行動することが重要です。
不動産会社による買取に変更する
時間をかけずに自宅を売却する方法のひとつが、不動産会社による買取です。
不動産会社が直接物件を買い取るため買主を探す必要がなく、短期間で売却できます。
ただし、通常の売却方法と比較して物件の売却価格が安くなってしまうため、債権者が同意してくれないケースも少なくありません。
不動産会社による買取を選ぶ場合は、債権者に納得してもらえるように任意売却に詳しい不動産会社に交渉してもらいましょう。
任意売却を扱う一括査定サイトを利用する
売却を短期間で行うには、実績が豊富で信頼性が高い不動産会社に依頼する必要があります。
しかし、不動産会社は多数あるため、どの会社が信頼できるのかわからないという方も多いです。また、そもそも任意売却を扱っていない不動産会社も多数存在します。
そのため、信頼性の高い不動産会社を素早く見つけるには、任意売却に対応する一括査定サイトを利用しましょう。
一括査定サイトを利用すると、売却価格の相場感を把握できるうえに、担当者の対応の比較も容易です。
不動産会社選びに悩んでいると、期限に間に合わず自宅が競売にかけられてしまうおそれがあります。そのリスクを避けるために、必ず一括査定サイトを利用しましょう。
悩んでないでまずは行動しましょう。手続きで時間をとられて、あっという間に期限が迫ってしまいます。
任意売却の期間に関するよくある質問
- 任意売却はどれくらいの期間かかる?
- 合計で1年以上かかるケースがあります。内訳としては、滞納から任意売却ができるまでに6カ月、債権者との交渉に数週間〜約1カ月、売却活動に約3〜6カ月が目安です。
- 任意売却はいつまでできるの?
- 競売の手続きが開始されても、競売の開札日前日までに買主が見つかり、すべての手続きが完了できれば任意売却は可能です。そのため、債権者が競売の手続きを開始したからといって、すぐにあきらめる必要はありません。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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