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事業用不動産の売却にかかる税金は?居住用不動産と違う取得費や減価償却

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事業用不動産の売却にかかる税金は?居住用不動産と違う取得費や減価償却

事業用不動産とは、収益を目的として運用する不動産のことです。アパートや賃貸マンション、オフィスや店舗、そして倉庫や工場を所有して、家賃収益を得ます。

これらの不動産から生まれる収益は不動産所得に該当します。個人事業であれば不動産所得税が、法人であれば法人税が課税されます。

さらに不動産を売却した場合は、個人であれば譲渡所得税が、法人の場合は法人税が課税されます。

個人と法人とでは税金の名称が異なり、税金の計算方法も違うため、注意が必要です。

本記事では、事業用不動産の売却でかかる税金や費用を解説します。さらに紹介する制度を利用すれば、それらを抑えることもできます。

事業用不動産の売却にかかる税金

事業用不動産の売却にかかる税金で特に注意が必要なのが、譲渡所得税と消費税についてです。

譲渡所得税(個人の場合)

個人が事業用の不動産を売却した場合、所得が発生していると譲渡所得税が課税されます。売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をして、納税する義務があります。

譲渡所得は不動産の所有期間により、以下の2つに区分します。

短期譲渡所得
所有期間が5年以下での売却
長期譲渡所得
所有期間が5年を超えての売却

5年以下か5年超えかは売った年の1月1日現在の所有期間で判断します。取得した時から売った時までの期間ではないことに注意が必要です。

計算方法

譲渡所得税を計算するにはまず譲渡所得を次の式で求めます。

譲渡所得=譲渡価額-(不動産の取得費+譲渡費用)-特別控除

譲渡所得が計算できたら税率をかけ、税金を算出します。

税率は以下のとおりです。

短期譲渡
所得税が30%、住民税が9%
長期譲渡
所得税が15%、住民税が5%

なお、令和19年までは復興特別所得税として、所得税額の2.1%を所得税に加算するので忘れないようにしましょう。

譲渡所得を計算するためには、それぞれの項目に該当する金額を確定させます。

譲渡価額は売買代金と固定資産税の清算金受領分の合計です。

取得費と譲渡費用については後段で詳しく説明しますが、事業用不動産は居住用不動産の売却と異なる点があります。

居住用不動産とは異なる取得費の計算方法

取得費とは、後ほど詳しく紹介しますが、売却する不動産を取得するためにかかった費用のことです。

その中でも、建物の購入代金は、減価償却費相当額を建物代金から差し引いた金額です。減価償却とは、経年劣化に伴って建物の価値は減少すると考え、毎年に分けて計上することです。そのため、その分を売却時にも考える必要があるということです。

減価償却費相当額は、以下の計算式により求めます。

減価償却費相当額=建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

ここで注意するのが、居住用建物と事業用建物とでは減価償却費相当額が異なることです。居住用建物は非業務用建物と規定されており、事業用建物の1.5倍の法定耐用年数に対応する償却率になります。

償却率は事業用建物と居住用建物(非事業用建物)でそれぞれ次のように決まっています。

建物の償却率
建物の構造 事業用建物 非事業用建物
木造 0.046 0.031
木骨モルタル 0.050 0.034
軽量鉄骨造(肉厚3mm以下) 0.053 0.036
軽量鉄骨造(肉厚3mm超4mm以下) 0.038 0.025
重量鉄骨・軽量鉄骨造(肉厚4mm超) 0.030 0.020
(鉄骨)鉄筋コンクリート 0.022 0.015

たとえば、2,000万円の木造建物を取得し、10年経過した場合の取得費は次の結果となります。

事業用建物の場合
2,000万円-(2,000万円 × 0.9 × 0.046 × 10)=1,172万円
居住用建物の場合
2,000万円-(2,000万円 × 0.9 × 0.031 × 10)=1,442万円

事業用建物は居住用建物に比べて取得費が270万円低いため、その分譲渡所得が270万円高いということです。

譲渡所得税(法人の場合)

法人が不動産を譲渡した場合には、不動産の譲渡以外の事業による所得と合わせて法人税が課税されます。

つまり、法人の場合は個人の譲渡と異なり短期や長期の区別はなく、譲渡所得とほかの事業所得を区別する必要がありません。

法人には譲渡所得という概念はなくすべて法人所得になります。法人所得の計算は1年ごとの事業年度で計算するのがルールです。

売却価額が取得費より高くなった場合は利益が発生し、売却価額が低くなると損失が発生します。

また売却益や損失は、譲渡した価額から貸借対照表に記載された毎年の固定資産の簿価と、譲渡に要した譲渡費用を差し引いた計算結果から求めます。これは、特別利益や特別損失となります。

そして、経常利益と合算し、トータルの利益に対して課税するのが法人税の仕組みです。そのため、特別損失があった場合は、経常利益が減少し節税できます。

消費税

事業用の建物を譲渡した場合、消費税が課税されます。

課税されるのは個人事業者と法人であり、事業者に該当しない個人は課税されません。

しかし、事業用の建物を譲渡する人は事業者に該当します。個人であっても事業用の建物を譲渡すると消費税が課税されることを理解しておく必要があります。事業用の建物とは、貸家やアパート、倉庫、店舗、事務所などです。

ただし、課税事業者が生活用の資産を譲渡した場合は、消費税の課税はありません。


事業用不動産の売却にかかる税金以外の費用

事業用不動産の売却では税金以外にも必要な費用があります。これらの費用は税金を計算する際に、収入から控除できる費用です。

譲渡費用と取得費にそれぞれ含まれるものに分けて確認しておきましょう。

譲渡費用に含まれる費用

譲渡時にかかる費用は、基本的に譲渡費用として譲渡所得から控除できます。

  • 不動産会社に支払った仲介手数料
  • 賃貸物件だった場合の賃借人への立退料
  • 土地として売るために建物を取り壊した費用
  • 高く売るためにすでに締結していた契約を解除した場合の違約金
  • 借地権を売るために地主に支払った名義書換料

これらの費用は、譲渡時に必要があり支払ったものです。そのため、所有期間に支払った修繕費や固定資産税は該当しません。

取得費に含まれる費用

売却した不動産を取得した時点で支払った費用については、取得費として譲渡所得から控除する費用と控除しない費用があります。

法人の場合は、貸借対照表に固定資産として記載する時点で、取得費用を加えた金額で計上します。建物については、減価償却により毎年減価し最新の価額を記載します。

個人の場合で、複式帳簿を使用していない場合には、固定資産台帳に記載する時点で、取得費用は取得費として処理しているのが一般的です。

また建物分の取得費は減価償却をするため、法人も個人も取得費用は土地分と建物分に分けておく必要があります。

取得費に該当する費用は以下のとおりです。

  • 不動産仲介手数料
  • 賃貸物件の場合は賃借人に支払った立退料
  • 土地の造成費
  • 土地の測量費
  • 所有権確保のための訴訟費
  • 建物付きの土地だった場合の建物取壊し費(おおむね取得後1年以内)と建物分の購入代金
  • 購入のために借りた資金の利子のうち、事業に供するまでの期間に支払った分
  • 対象物件を購入するため、すでに締結した契約を解除するために支払った違約金

居住用不動産と異なる取得費に注意する

取得時に支払った以下の費用は、居住用不動産の場合は取得費に含まれます。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 登記費用(司法書士報酬)

しかし、事業用不動産の場合は必要経費となり、支出した年の損金として処理するので注意が必要です。

また、すでに述べましたが建物の減価償却を計算する場合の償却率は、居住用と事業用とでは異なるため、注意しましょう。

税金や費用を抑える方法

税金の特別控除や制度を利用することで、費用を抑えることができます。また、売却を依頼する不動産会社も重要です。

譲渡所得の特別控除を利用する

不動産を売却する際には、譲渡所得の特別控除を受けられます。

居住用不動産とは異なる特別控除

譲渡所得の特別控除には次の特例があります。事業用不動産で利用できるものとできないものがあるため、注意しましょう。

譲渡所得の特別控除
特別控除 概要 事業用不動産
での利用
5,000万円特別控除 公共事業のために土地建物を売った場合
3,000万円特別控除 居住用財産(マイホーム)を売った場合
2,000万円特別控除 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合
1,500万円特別控除 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合
1,000万円特別控除 平成21年と平成22年に取得した国内の土地を譲渡した場合
800万円特別控除 農地保有の合理化などのために土地を売った場合
100万円特別控除 低未利用土地などを売った場合

個人が売却した場合に適用される特別控除と同様に、法人にも適用されます。

なお、居住用財産を売った場合の3,000万円控除は、文字どおり居住用の場合に限ります。そのため、事業用の土地や建物を売った場合には適用されません

1,000万円の特例控除

紹介した特別控除の中でも、1,000万円の特例控除はほかの控除制度と違い取得時期を限定した特殊な制度です。

平成21年の前年、平成20年(2008年)はリーマンショックがあった年です。不動産取引の縮小が懸念されたため、不動産流通の促進を意図した政策によるものでした。

平成21年と平成22年の間に取得した土地を5年以上所有していると、譲渡所得から1,000万円が控除できます。

固定資産として計上した土地が対象であり、販売目的の棚卸資産は対象になりません。

消費税の免除を受ける

個人事業者と法人に課される消費税の納税には、次の条件に該当すると免除される制度があります。

  • 基準期間(個人の場合は前々年の1月1日~12月31日、法人の場合は前々事業年度)の課税売上が1,000万円以下
  • 特定期間(個人の場合は前年の1月1日~6月30日、法人の場合は前事業年度開始から6カ月間)の課税売上が1,000万円以下

事業用資産の買換え特例制度を利用する

特定の地域において事業用資産を売却し別の事業用資産を取得した時は、売却して得た利益に課税される一部を、将来に繰延できます

この制度を、事業用資産の買換えの特例といいます。

この特例が適用できるのは所有期間が10年超の土地建物の買換えの場合です。

原則的に譲渡所得の20%または、譲渡所得から買換え資産額の80%を引いた残りにだけ課税されます。課税割合は地域によって違います。

適用期限は令和5年3月31日までとなっています。なお、個人に対しては12月31日のケースもあります。

詳しくは「事業用の資産を買換えたときの特例」を確認してみましょう。

事業用不動産に強い不動産会社に相談する

事業用不動産の売却では、居住用不動産に適用できた特例が適用できないケースがあり、売却前には税金面での検討や確認が必要です。

そのほかの特例も適用要件が決まっているため、申告の時点で適用できずに納税計画に狂いが生じる場合があります。また、逆に適用できるのに申告し忘れるといったこともありえます。

事業用の不動産売却は、検討段階から事業用不動産に強い不動産会社に相談することが重要です。税金以外の費用を抑える方法についてもアドバイスを受けられるでしょう。

相談できる不動産会社に悩んだ場合は、不動産売却の一括査定サイト「リビンマッチ」を活用しましょう。大手不動産会社から地元で信頼の厚い不動産会社まで、幅広い選択肢の中から要望に合った会社を探すことができます。

事業用不動産の売却にかかる税金に関するよくある質問

事業用不動産と居住用不動産は何が違う?
事業用不動産と居住用不動産では、建物の購入代金を求める際に必要な、減価償却費相当額が違います。そのため、譲渡所得税が変わるため注意しましょう。また、個人事業主でなく法人の場合は、譲渡所得という概念はありません。
事業用不動産の売却にかかる税金は減らせる?
譲渡所得の特別控除を利用できる場合があります。ただし、居住用不動産を売った場合に利用できる3,000万円控除は適用されません。
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税金控除

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