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- 不動産売買における中抜き行為とは?不法行為とみなされるリスク
不動産の売買において、売主と買主の間を取り持つのが不動産仲介会社です。
成約時の仲介手数料が主な収入源である彼らにとって、業界のタブーとされているのが、本来仲介していた会社を飛ばして売主と買主が契約する、中抜きと呼ばれる行為です。中には、契約締結間近の売主と買主に声をかけ、安い仲介手数料を提示して奪い取ってしまう不動産会社も存在します。
仲介手数料をケチろうと中抜き行為に手を染めてしまうと、最悪の場合、損害賠償をすることになるリスクもあります。
本記事では、中抜き行為について具体的なケースも併せて解説します。
もくじ
不動産の売買において、売主や買主は依頼者として不動産仲介会社との間で媒介もしくは代理契約を締結します。
中抜きとは、それにも関わらずほかの不動産仲介会社がその依頼者を誘って契約締結を行い、仲介手数料をかすめ取ってしまうことを指します。いわゆる顧客の横取り行為です。
間を取り持つ業者を抜くことから、「中抜き」「抜き」などと呼ばれます。
そもそも不動産の売買を行うためには、不動産仲介会社と媒介契約を締結する必要があります。
媒介契約には、以下の3種類があります。
一般媒介契約は複数社への依頼や、売主が自分で買主を見つける自己発見取引が認められています。しかし、専任媒介契約では複数社への依頼が、専属専任媒介契約では複数社への依頼と自己発見取引が法律で禁止されています。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社への依頼 | 〇 | × | × |
自己発見取引 (売主が自分で相手を見つけること) |
〇 | 〇 | × |
依頼主への活動報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
指定流通機構(REINS)への登録義務 | なし | あり | あり |
専任媒介や専属専任媒介契約を締結しているのにも関わらず、ほかの不動産会社に媒介契約を発注すると、中抜き行為とみなされるでしょう。
不動産仲介会社は仲介手数料が入ることを期待して、手間と時間、費用をかけています。それらの手間がむだになってしまうため、違法かどうかに関わらず、業界ではタブーとされています。
不動産仲介会社は、仲介において以下の2つに分かれます。
売主から売却の仲介を依頼され、不動産流通情報システムREINSへの登録などを行い、売主から仲介手数料を受け取る不動産会社を元付け業者といいます。
一方、REINSに登録された情報をもとに募集活動を行い、買主から仲介手数料を受け取る不動産会社を客付け業者といいます。
元付け業者が客付けも行う場合もあるものの、売主側と買主側で2社の不動産仲介会社がいるのが一般的です。
中抜きについては、以下のようにさまざまなパターンがあります。
不動産の売主と買主も、中抜きに加担することで、場合によっては民法の不法行為とみなされるリスクがあります。
民法130条(条件の成就の妨害等)には、以下のとおり定められています。
- 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
- 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
この条文を不動産売買に当てはめてみます。不動産売買においては、「条件が成就する」とは「売買契約が成立する」ことです。
仲介業務の委託を受けた不動産会社は、売買契約が成立することではじめて仲介手数料を得ることができます。
その状況下で売主と買主が結託し、もしくはどちらかがほかの不動産会社に唆されて中抜きされた場合、それは「故意にその条件の成就を妨げた」こととみなされます。
この場合、仲介を依頼した売主と買主は売買契約が成立したものとみなして、仲介手数料を支払わなければなりません。
また、媒介契約書に定めのある場合は、違約金や仲介業務にかかった費用も支払う必要があります。
不動産売却は実績が豊富な不動産会社に依頼しましょう!複数の不動産会社に相談して提案を比較することが重要です。
具体的にどういったケースが、中抜きとみなされるのでしょうか。不法行為となった実際の判例とともに解説します。
売主の立場でよくあるのが、すでに依頼している不動産会社以外から、より安い仲介手数料での仲介を申し出られる場合です。
不動産の売却募集をはじめてしばらく経ったある日、売主のもとにこのような手紙が届きます。
売主の名前や住所は、不動産の物件情報が分かっていれば、管轄の法務局で不動産登記情報から調べられます。
手紙には不動産会社を変更するメリットや理由などが書いてあり、連絡をすると媒介契約の締結に誘われます。
これが、客付け業者が元付け業者を飛ばして、中抜き行為を行う手口です。
専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結している状態で不動産会社を乗り換えることは、契約違反にあたります。くれぐれもやめておきましょう。
買主の場合でも、中抜きの不法行為とみなされる可能性があります。もちろん、少し物件を内覧した程度であれば、抜き行為には当たりません。しかし、媒介契約の締結を行っていない場合でも、抜き行為に当てはまるケースがあります。
それは、実質的に媒介の業務を行わせた後、その不動産会社を外して売買契約が成立した場合です。
具体的には以下のとおりです。
これらは実質的には媒介業務をある程度行わせたとみなされます。そのため、その後その不動産会社を外して同じ売主と売買契約を成立させると、抜き行為とされるでしょう。
実際のケースを、昭和45年10月22日の最高裁判所の判例( 昭和45(オ)637)の判例で見てみましょう。
不動産仲介会社に土地の購入の仲介を依頼していたにも関わらず、売買契約が成立する直前になって、買主が不動産仲介会社を排除して売主と直接売買契約を締結したケースが審議されています。
最高裁判所は、買主はまもなく売買契約が成立することを熟知しており、故意に仲介契約の成立を妨げたとみなしました。そのため判決としては、仲介委託契約が成就したものとみなして、仲介手数料の支払いを買主に対して命じました。
ではどんなにひどい不動産会社だったとしても、売主は不動産会社との関係を見直すことができないのでしょうか。
不動産会社を変更することすべてが中抜きといわれるかというと、そうではありません。きちんとした手続きを踏めば、依頼先を変更しても中抜きにはなりません。
不動産会社の働きぶりに不信感がある場合など、不動産会社を変えたくなることはよくあることです。媒介契約の定めに従って、委託できなくなることを告げましょう。
まず、一般媒介契約では、複数の不動産会社に依頼することが前提であるため、依頼する不動産会社を変更することは何の問題もありません。
また、専任媒介契約や専属専任媒介契約についても、宅地建物取引業法において契約期間の上限は3カ月と定められています。契約書の記載に従って解約を完了した後であれば、ほかの会社に仲介を依頼しても何の問題もありません。
きちんとした手続きを踏めば、不動産会社を変更することには何の問題もありません。
しかし、ある程度媒介行為をしてもらった後で、売買契約が成立する直前にほかの不動産会社に乗り換えるなどの行為をすると、中抜きとして不法行為とみなされる可能性があります。
不動産の売買ともなると、仲介手数料は高額なため、それが惜しい気持ちがあるでしょう。しかし、売主や買主を見つけてきてくれた正当な働きに見合うものとして、きちんと支払うようにしましょう。
不動産の売却では、仲介を安心して最後まで依頼できる不動産会社選びが大切です。
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不動産売却は実績が豊富な不動産会社に依頼しましょう!複数の不動産会社に相談して提案を比較することが重要です。
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