不動産売却の仲介手数料の値引きテクニック5選!でも、本当に値切っていいの?

不動産会社というプロのサポートなしに、不動産を売ることは簡単ではありません。しかも、不動産の売却が成功しなければ、支払われない成功報酬です。そういった事情があるため、仲介手数料は意外と高額です。
でも、少しくらい、仲介手数料を安くできたらいいな、と思いませんか?
そんなあなたに、仲介手数料の値引き事情を、不動産業界に精通するリビンマッチがばっちり解説します。
もくじ
結論!仲介手数料は値引きできる!
不動産を売却するときは、不動産会社に仲介手数料が発生します。この仲介手数料は、法律で上限が定められています。そう、定められているのは「上限」です。上限を超えない限り、仲介手数料はいくらでもよいのです。
つまり、仲介手数料は値引きできます!
ちなみに、5,000万円で不動産を売却すると仲介手数料は最大で171万6,000円です。意外と高額ですから、10万円、20万円くらい値引きできそうな気がしませんか?
ほんのひと手間で10万円は、相当なメリットといえるでしょう。値引く、値引かないはともかく、言われるがままに仲介手数料を支払う、世間知らずの売主からは卒業しませんか?
そもそも不動産売却の仲介手数料とは?
値引き、割引を不動産会社に要求する前に、そもそも仲介手数料とはどんなものなのかを知っていなくてはなりません。仲介手数料がどういうものなのかもわかってないのに、ただ値引きだけを要求されたら、不動産会社も困ってしまいます。
仲介手数料とはそもそもどんなものなのか、どうして支払わなければいけないのか、どれくらい支払わなくてはならないのかを解説します。
仲介手数料は不動産の売買を成立させた成功報酬(経費込み)
仲介手数料の正体は、不動産会社へ支払う成功報酬です。つまり、不動産を売り出したときに、売買を成立させたときだけに支払えばよいのです。売買を成立させられなかったら、不動産会社へは1円も支払う必要はありません(例外アリ※)。不動産売買はシビアな世界なのです。
ちなみに、仲介手数料は成功報酬だけでなく、売却にかかった経費も含んでいます。たとえば、次の業務に関連する経費も、仲介手数料に含まれます。
- 物件情報の収集と広告掲載
- 購入希望者への対応
- 内覧(内見)の手配と立ち会い
- 契約条件の交渉と調整
- 重要事項の説明と契約書の作成
- 決済・引渡しの立ち会いと手続きの支援
不動産会社が売却にあたって行う業務は多岐にわたりますが、それらをひっくるめて仲介手数料で報酬を支払う仕組みになっているのです。SUUMOなどの不動産ポータルサイトへの掲載、チラシの配布などの経費も全部込みです。それにもかかわらず、売買を成立されなかったら売主からは1円も支払われません。不動産売買はかなりシビアな世界です。かかった経費を無駄にしないため、不動産会社は任された不動産を一生懸命に売り出してくれるでしょう。
ちなみに、不動産売却を依頼する媒介契約は、1社だけでなく複数社と結ぶことが可能です。ところが、何社と契約しようとも、仲介手数料を支払うのは売買を成立させた1社だけで済むのですから、売主は負担する費用を気にすることなく不動産を売り出せます。
仲介手数料には上限が決まっている(例外アリ※)
不動産会社が売買契約を成立させたら、仲介手数料を支払います。この仲介手数料は、法律で上限が定められています(宅地建物取引業法 第四十六条)。つまり、売却活動に1年以上かかろうが、何度も広告を出していようが、売主は上限を超えた仲介手数料を支払う必要がないのです。売主が安心して、不動産を売却できる仕組みなのです。
仲介手数料は売買が成立した価格をもとに計算します。計算式は次のとおりです。
| 不動産の売買価格 | 上限の計算式 |
|---|---|
| 200万円までの部分 | 対象金額の5%+消費税 |
| 200万円超~400万円までの部分 | 対象金額の4%+消費税 |
| 400万円超えの部分 | 対象金額の3%+消費税 |
かなりわかりにくい計算式です。もし、不動産が1,000万円で売れたら、そのうちの200万円までの部分と200万円超~400万円までの部分と400万円超えの部分でそれぞれ計算して、それぞれの金額を合計したものが仲介手数料の上限となります。
あまりにもわかりにくいので、400万円超で売れた不動産に限って適用できる、速算式というものがあります。速算式は次のとおりです。
たとえば、1,000万円で売れた不動産の場合は、次のように計算します。
つまり、39万6千円が仲介手数料の上限となります。多くの不動産は400万円超で売れるため、速算式を覚えておけば大丈夫でしょう。
仲介手数料は2回に分けて支払う(ことが多い)
不動産会社へ仲介手数料を支払うタイミングは、①売買契約が成立したとき、②不動産の引き渡しを終えたときの2回といわれています。実のところ仲介手数料を支払うタイミングは法律で決められているわけではないため「不動産会社がそう言っているだけ」です。
つまり、交渉の余地がある部分です。
売却する不動産によっては、仲介手数料が数百万円にもなってしまうことも珍しくありません。いきなりそんな金額を支払える人は、そうそういないでしょう。そのため、売却代金が支払われたら、そのお金から仲介手数料を支払うという交渉も可能です。
ちなみに、2回に分けて仲介手数料を支払うルールは、大手不動産会社で採用されてることが多いようです。中小の地域密着型の不動産会社であれば、仲介手数料の支払いのタイミングを交渉しやすいかもしれません。
ただし、不動産会社に譲歩してもらうことになるため、やや仲介手数料の値引きがしにくくなるおそれがあります。
仲介手数料の値引きを成功させる交渉テクニック5選
さて、仲介手数料の基本がわかったら、ようやく値引き交渉のスタートラインに立てます。当然ですが、不動産会社は仲介手数料を値引きされたくはありません。どのように値引きの交渉をすればよいのか、成功率を高める交渉テクニックを紹介します。
交渉のタイミングは媒介契約の締結前
不動産会社の仲介手数料は、媒介契約を結ぶときに決められます。つまり、仲介手数料の値引き交渉は、媒介契約を結ぶ前に行わなければならないのです。媒介契約を結んだあとでは契約書がありますから、値引き交渉はできないと思ってください。
媒介契約を結ぶ前は、仲介手数料の値引き交渉がしやすいタイミングです。不動産会社は媒介契約を獲得したいと考えていますから、よほど不利な条件でない限り、受け入れてくれる可能性があります。ただし、不動産会社にとって、魅力のある不動産でなければなりません。
不動産会社にとって魅力的な不動産とは、次のようなものを指します。
- 人気エリアで駅近など条件がよく、すぐに買主があらわれる
- 売り出す不動産を購入してくれる顧客をすでに抱えている
つまり、あまり労力をかけなくても売却できる不動産です。こういった不動産であれば、強気に値引き交渉ができます。
そうではない不動産の売却を依頼する場合は、「ダメでもともと」くらいの弱気の交渉がよいでしょう。「少しでも値引きできたらラッキー」という気持ちで臨んでください。魅力的でない物件で強気の交渉をしたら、面倒な売主だと思われて媒介契約を断られてしまうかもしれません。
中小の地域密着型の不動産会社と交渉する
不動産会社はテレビCMで見るような大手の不動産会社と、そうではない中小の地域密着型の不動産会社に分けられます。大手の不動産会社のほうが集客力があり、多くの人が売却を依頼します。
でも、ちょっと待ってください。大手だからといって、必ずしもよい不動産会社とは限らないのですよ。
基本的に不動産は、市場の相場価格で売買が成立します。つまり、大手の不動産会社に依頼したからといって、高く売れるわけではないのです。大手の不動産会社へ依頼するメリットといえば、大手ならではの安心感です。大手と中小の不動産会社のメリットとデメリットを比較してみましょう。
| 大手不動産会社 | 中小の不動産会社 | |
|---|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
|
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大手の不動産会社は大企業であるがゆえに、多くの利益を出すために両手仲介※を積極的に狙います。売主、買主それぞれから仲介手数料を得ようとしているのです。そんなシビアに利益を出そうとしている会社に、値引き交渉は通じにくいでしょう。
つまり、狙い目は中小の不動産会社です。大手のように黙っていても媒介契約を獲得できるわけではないため、仲介手数料の値引き交渉をする余地があるのです。
どれくらいの価格で不動産が売れるのかを調べておく
仲介手数料の値引き交渉は、不動産会社からすると自社の利益が減ってしまうのですから、できるだけ避けたいと考えます。しかし、媒介契約を結んで売却しなければ、そもそもの売上が立てられません。非常に悩ましいところです。
売主としては、そこの悩ましいところを突いて、値引き交渉をすることになります。
それにはまず、売却する不動産がいくらで売れるのかを知らなくれはなりません。不動産会社に査定を依頼して、どれくらいの価格で売れるのかを調べておきましょう。査定を依頼しただけれあれば、必ずしも媒介契約を結ぶ必要はありません。思ったよりも高額で売却できそうなら、需要の高い不動産ということですから、値引き交渉を有利に進められます。
査定を依頼する前に、自分でもおおよその価格を知ることが大切です。まずは、値引き交渉のできる不動産かどうか、リビンマッチの「家の査定シミュレーション」で調べてみましょう。
専任媒介契約を値引き交渉の条件にする
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれの違いを表にまとめると、次のとおりです。
| 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| 契約できる会社の数 | 1社 | 1社 | 制限なし |
| 契約期間 | 最長3カ月 (延長時は再契約) | 最長3カ月 (延長時は再契約) | 規定なし ※実際には3カ月契約が一般的 |
| 自己発見取引 | 不可 | 可 | 可 |
| 依頼者への報告義務 | 1週間に1回以上 ※文書またはメールで報告 | 2週間に1回以上 ※文書またはメールで報告 | 任意 |
なかでも専属専任媒介契約は、不動産会社にとって都合のよい条件がそろっています。契約している不動産会社は自社だけですし、自己発見取引※もできません。つまり、不動産を売却するときは、必ず自社をとおす必要があるのです。そのため、不動産会社は基本的に、専属専任媒介契約をしたいと考えています。
つまり、専属専任媒介契約を結ぶ代わりに、仲介手数料を値引きしてもらうという交渉が可能なのです。
専属専任媒介契約の契約期間は最長3カ月間で、そのあいだ契約解除ができません。信頼できると判断できる不動産会社を見つけたときに、交渉してみることをおすすめします。
複数の不動産会社に査定を依頼して競争させる
不動産を売り出すときは、どれくらいの価格で売れるのかを調べるため、不動産会社に査定を依頼します。基本的に不動産会社の査定は無料です。なぜ無料なのかというと、査定は不動産会社の営業活動のひとつだからです。不動産会社は査定をすることで、売主と媒介契約を結ぶきっかけになると考えています。
不動産の査定を依頼するときは、1社だけでなく、複数社へ依頼することをおすすめします。1社だけだと査定価格が正確がわからないですし、複数社に依頼することで競争が生じるためです。
媒介契約を結びたい不動産会社同士で競争が生じれば、仲介手数料を値引きできる可能性があります。
複数社へ査定を依頼するときは、リビンマッチの一括査定が便利です。不動産の情報を一度入力するだけで、最大6社の不動産会社へ査定を依頼できます。
【要注意】仲介手数料を値引きしたときのリスク
仲介手数料の値引き交渉には、ちょっとリスクがあります。不動産会社にとって1円にもならないリスクのある不動産売却で、値引き交渉をされるのですから、いい気はしないものなのです。
値引き交渉をすると、どのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
売却活動の優先順位を下げられてしまうことも
仲介手数料は不動産会社にとって、貴重な収入減です。過度の値引き交渉を行ってしまった場合、不動産会社の売却活動の優先順位が下げられてしまうかもしれません。なにしろ、広告費などの経費も仲介手数料に含まれているため、あまり費用がかけられなくなってしまうのです。それでも必要最低限の売却活動はしてくるため、十分に売れる可能性はあります。
大幅な値引きを引き受けてしまった不動産会社もよくありませんが、必要以上に強気の交渉をした売主にも責任はあります。よほど強気に交渉できるような、魅力的な物件でなければ値引き交渉はほどほどにするとよいでしょう。
広告費削減などのサービス低下のおそれ
仲介手数料を値引きしたからといって、不動産会社は利益を下げたくはありません。そうなると行われるのが、経費の削減です。値引きしただけ経費を節約すれば、不動産会社の得られる利益は変わらないのです。そして、削られるのは、広告宣伝費です。
広告宣伝費を削ってしまうと、それだけひとの目に触れる機会が減ってしまいます。つまり、売れにくくなってしまうのです。しかし、不動産会社は経費を節約しているので、もし売れ残ったとしても、ダメージを最小限に抑えられます。
もし、内覧の希望者が少ないなど売り出しでも反響が少ない場合は、不動産会社に細かく進捗状況を確認し、積極的に売却活動をしてもらうように促しましょう。
営業担当者のモチベーション低下につながる
不動産業界は平均給与の高さで知られています。これは実績が給与に反映される、実力主義の世界だからです。そうなると、値引き交渉をされた不動産の売却には、ちょっとやる気が出ないひともいるでしょう。
営業担当者の努力と工夫が成果に結びつくのが、不動産の売却です。仲介手数料の値引き交渉は、営業担当者のモチベーションを下げるリスクがあることは知っておきましょう。ちなみに、すぐに高く売れる築浅マンションは別です。多少の値引き交渉も気にならないほど、高いモチベーションでがんばってくれるはずです。
仲介手数料を値切るより高く売るほうがよいかも
仲介手数料はどれくらい値切れるでしょうか? 2,000万円で土地と建物が売れた場合、仲介手数料の上限は66万円(税抜)です。6万円値切って60万円、よほど好条件がそろわない限り50万円にするのは難しいかもしれません。
そこでおすすめの方法が「高く売る」です。
売り出す不動産にもよりますが、10万円値切るより、10万円高く売るほうがずっと現実的なのです。少なくとも、不動産会社にいやな顔されて10万円安くしてもらうより、ずっとよい方法でしょう?
不動産を高く売るために、どんなことをすればよいのか見ていきましょう。
市場価格より少しだけ高い価格で売り出す
不動産を売り出すとき、実際に売れてほしい価格より、少しだけ高く売り出すのは基本中の基本です。なぜなら、不動産売買では、値引きが前提になっているためです。値引きに備えて、売り出し価格は売れてほしい価格より少しだけ高くします。
もし、購入希望者の希望購入価格が、実際に売れてほしい価格を上回れば、それだけ売主の利益が増えるわけです。
もちろん、購入希望者の希望購入価格が、実際に売れてほしい価格を下回ることもあります。そんなときに頼りになるのが、仲介をしている不動産会社です。希望購入価格を受け入れるべきか、拒否するべきかをアドバイスしてくれるでしょう。
ちなみに「どうせ値切られるなら、とことん高価格で売り出そう」と思うかもしれませんが、市場価格よりも大幅に高価な物件は購入希望者があらわれません。そして、売り出し価格から大幅に値引きをすると「何か問題のある物件では?」と思われてしまいます。
ちょっと高いけど、値引けば希望する価格になりそう、そんな絶妙な価格設定が重要です。
高く売却できる時期に売り出す
不動産の売買が活発な時期に売り出せば、購入希望者が多いため、条件のよいひとを選んで売却することが可能です。購入希望者もほかのひとと競合になっていることがわかっているため、大幅な値引きを要求しにくい時期でもあります。
不動産売買が活発になるのは、新年度を控えた2~3月、人事異動を控えた9~10月です。このタイミングにあわせて、売り出しましょう。
ただし、不動産会社の査定を受けてから売り出すまで、約1カ月ほどかかります。つまり、12~1月、7~8月に不動産会社へ査定を依頼して、売り出す準備を進めていきましょう。
ちなみにこれは、一戸建てやマンションの場合です。土地だけならすぐに家は建てられないので、時期を気にせず売り出しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
複数の不動産会社に査定を依頼して、不動産の相場価格、不動産会社の提案などの比較を行いましょう。「リビンマッチは一括査定サイトだから、自社に都合のよいことをいうのでしょ?」と思うかもしれません。それもありますが、それよりも重要なのは、不動産会社が不動産のプロなのに対して、多くの売主はプロではないためです。
不動産のプロが素人の売主をだますことは、非常に簡単なことです。
つまり、査定を依頼した最初の1社が、誠実でまじめな不動産会社であれば問題ありませんが、そうではない場合、売主が損をしてしまうおそれがあります。売買が成立すれば仲介手数料が生じるため、相場よりも安く売っても不動産会社は困らないのです。
そんな不動産会社と媒介契約を結ばないよう、複数の不動産会社へ査定を依頼して、各社を比較してください。リビンマッチを利用すれば、一度の入力で最大6社の不動産会社へ査定を依頼できます。チャット形式で入力は簡単です。ぜひご利用ください。
仲介手数料の値引きに関するよくある質問
- 仲介手数料の値引きはできる?
- 仲介手数料の上限はありますが、下限はありません。そのため、不動産の売主と買主のどちらでも値引き交渉ができます。
- 仲介手数料が安すぎるとどんなリスクがある?
- 仲介手数料を安く設定しないと売主から仲介を依頼されない事情があるおそれがあります。また、仲介手数料を値下げしすぎると、自分が所有する不動産の売却活動を後回しにされるリスクがあります。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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