不動産売買で権利書はいつ渡す?必要書類とトラブルの対処法

権利書は、不動産の所有権を証明するためのとても大切な書類です。所有権を証明できない人は、その不動産の権利を主張できません。
そのため、「いつまでに用意すればいいのか」「紛失したら売却できないのか」など、不安に思うことが多々あるでしょう。この記事では、権利書を準備するタイミングをや決済当日の扱い、紛失した場合の対処法までわかりやすく解説します。
- 不動産売買で権利書を渡すタイミング
- 不動産売買で権利書が必要になる理由
- 権利書の紛失や悪用といったトラブルの防止策
不動産売買で権利書はいつ渡す?
不動産売買で権利書が必要になるタイミングを解説します。
渡すタイミングは決済・引き渡し時
不動産売買で権利書が必要になる主なタイミングは、決済・引き渡し時です。売買契約の前後に、不動産会社から権利書の有無や保管場所を確認されることがありますが、この時点で買主へ権利書を渡すわけではありません。
決済の事前準備として権利書が手元にあるか確認しておき、決済当日に持参します。決済では、最初に登記を担当する司法書士が、売主・買主が持参した権利証や印鑑証明書などを確認するのが一般的です。
権利書を準備するタイミングをより具体的に理解するため、続いて不動産売却の全体的な流れを確認していきましょう。
不動産売却の流れ
不動産売却を検討してから物件を引き渡すまでは、大きく分けて8つのステップがあります。
| 順序 | 項目 | 概要 |
|---|---|---|
| 1 | 情報収集 | 周辺相場などを調べて売却価格をイメージする |
| 2 | 売却相談 | 一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社へ売却の相談をする |
| 3 | 物件の査定 | 不動産会社が実際に不動産の査定をする |
| 4 | 媒介契約 | 納得できる査定価格を提示した不動産会社と、買主を募集してもらうために契約を結ぶ |
| 5 | 売却活動 | 広告掲載や内覧を行い、買主の募集をスタート |
| 6 | 売買契約 | 買主と売買契約を結ぶ |
| 7 | 決済 | 手付金を差し引いた売買代金の残代金を受領し、引き渡し日を基準として固定資産税や管理費などの清算(マンションの場合)を行う |
| 8 | 引き渡し | 決済が無事完了したら、物件を買主に引き渡す |
この6番と7番目のタイミングで権利書が必要になります。権利書が必要になるのは、基本的に不動産売却の終盤のみです。それより前は使用する場面がないため、大切に保管しておきましょう。
権利書の具体的な使用シーン
売買契約時と決済時の具体的な使用シーンをチェックしてみましょう。
売買契約時では不動産仲介業者の立ち会いのもと、買主に権利書を確認してもらいます。決済時の場合は、権利書を司法書士に預けることになります。
どちらも正式な権利書であることを確認する必要があるため、原本を持参しましょう。スムーズに取引を行うためにも、前日までには他の必要書類と合わせて準備をしておきます。
権利書を渡す理由
不動産売買では、なぜ売買契約時と決済時の2場面で権利書を渡す必要があるのでしょうか。実は、それぞれに明確な理由があります。
所有権があるか確認するため
一般的に物を売るには、所有者であることが必要です。不動産も同様で、売主が本当の所有者であるのかを確認する必要があります。
そのため、売買契約時には、売主が売却する物件に所有権があるかを確認するために権利書が必要です。
権利書には、現在の所有権を持っているのは誰かが記載されています。
売買や相続などで所有権が移ったにも関わらず、所有権移転登記を行わないもしくは忘れたなどが理由で、権利書と情報が食い違うことがあります。
たとえ実際にその建物を使用していても、権利書に記載がない人は所有者としてみなされず売却ができません。
契約後に売主が本当の所有者でないことが判明すると、トラブルが発生します。トラブルを防止するために、不動産会社は契約時点で権利書の確認をします。
所有権移転登記に使用するため
決済時には、権利書を用いて不動産の所有権移転登記を行います。所有権移転登記が行われないと、買主は所有権を主張できません。
たとえば同時に売買契約が行われ、買主が2人存在していたとします。所有権を主張できるのは所有権移転登記を済ましている人だけです。
また所有権者は、固定資産税や都市計画税を支払う義務を負います。所有権が移転されないと、売主が払い続けることになります。
このようなトラブルを防ぐために、金銭の支払いと同時に所有権移転登記を済ますことが不動産業界の常識です。
トラブルに巻き込まれないために、事前に権利書を用意して、スムーズに取引を完了させましょう。
融資を受ける際に必要になるケースも
不動産売却と直接的な関わりはありませんが、住宅ローンなどの融資を受ける際に権利書が必要になることがあります。
それは、所有物件を担保として抵当権を設定するケースです。抵当権とは、借金の返済が滞った場合に、担保として設定した不動産を差し押さえることができる権利です。
もし勝手に人の土地を担保として設定し、差し押さえになってしまったら本当の所有者は困ってしまいます。
そのため、抵当権を設定するためには、不動産の所有者が本人かどうか確認する必要があります。
【補足】権利書と登記識別情報は別物?
権利書と同じく所有権移転登記を行う際に使用される、登記識別情報という書類があります。権利書と登記識別情報は、基本的に同じ書類と考えて問題ありません。
では、なぜ別々の名前で呼ばれているのでしょうか。
さまざまな行政手続きがオンライン化されている昨今、不動産登記法も2005年3月に施行された改正法によりインターネット申請が可能となりました。
法改正に合わせて、これまで使用されてきた登記済証、いわゆる権利書の発行を終了しました。登記識別情報は、この権利書の代わりに発行されるようになった書類です。
今まで使用されていた権利書から登記識別情報への切り替えは行われず、そのまま売買取引に使用できます。
権利書トラブルを防ぐ5つのポイント
権利書は不動産の所有権を証明するための書類です。その書類の特性から、トラブルが発生することがあります。
ここでは、権利書をめぐるトラブルを防ぐための具体的な方法を紹介します。
決して他人に預けない
権利書はとても大切な書類なため、決して他人に預けてはいけません。他人に渡すことで紛失してしまうとおそれがあります。
ドラマや映画で、家の権利書を盗まれて悪用されるシーンがしばしばありますが、現実的には不可能です。所有権移転を行うためには権利書と印鑑証明、実印が必要になるためです。しかし逆にいえば、この3点がそろうと悪用される可能性が考えられます。保管時は個別にするなど、取り扱いに注意しましょう。
必要な時以外は持ち出さない
権利書を使用するタイミングは、売買契約時と決済時のタイミングのみです。この2場面以外で権利書を持ち出さないように注意しましょう。
売却相談から引き渡しまでの間に、不動産会社などさまざまな業者と打ち合わせをします。打ち合わせの中では、手続きを進めるために書類のやりとりを行います。
たとえば以下のような書類が必要です。
| 書類名 | 概要 |
|---|---|
| 身分証明書 | 本人確認をするための書類 |
| 実印 | 契約時と所有権移転登記時に使用 |
| 印鑑証明書 |
|
| 住民票 |
|
| 権利書または登記識別情報 | 売却物件の所有権確認と所有権移転登記時に使用 |
| 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書 | 固定資産税や都市計画税の税額を確認するために使用 |
| ローン残高証明書またはローン返済予定表 |
|
| 銀行の通帳 | 売却代金の振り込みに使用 |
| 土地測量図・境界確認書 | 売却物件の範囲を確認するために使用 |
| 建築確認済証および検査済証 | 売却物件が建築基準法に適合しているかを確認するために使用 |
| 設計図書・工事記録書 | 戸建ての場合に建物の設計や工事記録を確認するために使用 |
| 購入時の契約書・重要事項説明書 | 当時の契約状況の確認書類 |
ここで挙げた書類は、あくまで一例です。必要に応じて、そのほかの書類も必要になるケースがあります。これだけ書類が多いと、ひとつにまとめて保管しておきたいと考える方も多いでしょう。
しかし、権利書はこれらの書類の中でも特に重要な書類です。悪用リスクを避けるためにも別で保管しておくことをおすすめします。
紛失した場合の対処法を覚えておく
万が一権利書を紛失してしまった場合は、どう対処すればよいのでしょうか。
そもそも権利書が紛失してしまっても、所有権自体は残ります。ただし、権利書自体は再発行ができないため、権利書を用いずに所有権を証明する必要があります。
具体的には以下3つの方法があります。
- 事前通知制度の使用
- 土地家屋調査士、司法書士など専門家による本人確認
- 公証役場による証明
どのパターンでの手続きでも証明が可能ですが、それぞれ以下のメリットとデメリットがあります。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 事前通知制度 | 費用がかからない |
|
| 専門家による本人確認 | 3つの中で一番簡単な方法 | 費用が高い(約10万円) |
| 公証役場による証明 | 費用が安い(一律3,500円) |
|
それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選びましょう。
売買契約時は原本の確認だけにとどめる
売買契約時に権利書の有無や内容を確認することはありますが、この段階で買主へ原本を渡す必要はありません。権利書は、決済・引き渡し日に売主が持参し、所有権移転登記を担当する司法書士が確認します。資料でも、売買契約後に権利書の所在を確認し、決済当日の売主の持参物として「権利証(登記識別情報)」が挙げられています。
決済前に原本を手放すと、紛失などのトラブルにつながるおそれがあります。必要な確認を終えたら、決済日までは手元で大切に保管しておきましょう。
信頼できる不動産会社を見つける
権利書に関わるトラブルもしっかりサポートしてくれる会社であれば、安心して不動産売却を進められます。
まだ売却を依頼する不動産会社が決まっていない場合は、権利書の確認と並行して、不動産会社を探し始めるとよいでしょう。
不動産会社によって査定価格や売却方法の提案は異なるため、複数社の査定を比較することで、自分に合った会社を検討できます。「リビンマッチ」では、一度の入力で最大6社の不動産会社へ無料で査定を依頼できます。
権利書を紛失していても不動産は売却できる
権利書を紛失していても、不動産を売却できなくなるわけではありません。ただし、権利書は再発行できないため、所有権移転登記を行う際には権利書に代わる手続きが必要になります。
主な方法には、「事前通知制度を利用する」「司法書士などに本人確認情報を作成してもらう」「公証人による本人確認を受ける」といった方法があります。このうち、司法書士に本人確認情報の作成を依頼する場合は、5~10万円程度の費用がかかります。
決済直前になってから権利書の紛失に気づくと、本人確認情報の作成など追加の手続きが必要になります。不動産の売却を進める際は早めに権利書の所在を確認し、見つからない場合は不動産会社や決済を担当する司法書士へ事前に相談しておきましょう。
不動産売買の権利書に関するよくある質問
- 不動産売買で権利書はいつ渡す?
- 決済時のタイミングで権利書を渡します。売買契約時は契約当日に、不動産仲介業者の立ち会いのもと、買主に権利書を確認してもらいます。
- そもそも不動産売買でなぜ権利書を渡すの?
- 所有権があるかの確認と、所有権移転登記に使用するためです。契約後に売主が本当の所有者でないことが判明すると、無用なトラブルが発生します。また、所有権移転登記が行われないと、買主は所有権を主張できません。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
老後の住まい (21) 離婚で家を財産分与 (18) 売れないマンション (12) 一括査定サイト (11) 海外移住 (11) マンション価格推移 (11) 実家売却 (10) 家の売却 (10) 離婚と住宅ローン (9) 家の後悔 (8) 移住 (7) 訳あり物件 (6) 家を売りたい (6) 家の価値 (6) 離婚と家 (6) 売れない家 (5) 不動産高く売る (5) 離婚準備 (5) 不動産会社の選び方 (4) 農地売却 (4) サブリース (3) お金がない (3) イエウール (3) マンション売却の内覧 (3) 近隣トラブル (3) マンションの相続 (3) 空き家売却 (3) 不動産価格推移 (3) 離婚と家売却 (3) マンション買取 (3) 売れない土地 (2) マンションか戸建てか (2) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2) 家の解体費用 (2) アパート売却 (1)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて











