所有権移転登記の費用は誰が払う?主なケースと安く済ませる方法

不動産の売却など所有者に変更が生じた場合、所有権移転登記が行われます。変更が生じる原因はさまざまですが、誰がどれくらいの金額を支払うものなのでしょうか。
この記事では、所有者から別の所有者に権利が移転する「所有権移転登記」について、費用の相場と費用をできるだけ安く済ませる方法をご紹介します。
- 不動産売買における所有権移転登記の費用の内訳
- 売買・相続・贈与などケースごとに異なる費用の目安
- 所有権移転登記は売主と買主のどちらが負担するのか
もくじ
所有権移転登記でかかる費用の早見表
所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わった際に、土地や建物の登記簿(登記記録)に記載されている所有者の名義を変更する手続きです。不動産を売買したときだけでなく、相続や贈与、離婚に伴う財産分与などによって所有者が変わる場合にも行われます。
所有権移転登記にかかる費用は、主に登録免許税と司法書士報酬で構成されます。登録免許税は不動産の固定資産税評価額をもとに計算され、登記の原因によって税率が異なります。
登記の原因 | 登録免許税 | 司法書士報酬の目安 | 費用総額の概算 |
|---|---|---|---|
売買 | 10万2,000円 (軽減措置の適用あり) | 5万~10万円 | 約15万~20万円 |
相続 | 4万円 | 5万~10万円 | 約9万~19万円 |
贈与 | 20万円 | 5万~10万円 | 約25万~30万円 |
財産分与 | 20万円 | 5万~10万円 | 約25万~30万円 |
※費用の総額は、固定資産税評価額が1,000万円(土地600万円・建物400万円)と仮定して算出しています
司法書士に手続きを依頼する場合は、別途報酬が発生します。費用総額は不動産の評価額や依頼内容によって変わるため、上記の金額はあくまで目安として確認してください。
司法書士への依頼費用については「司法書士の業務と依頼費用の相場」で詳しく紹介しています。
【ケース別】売買・相続・贈与の所有権移転登記の費用目安

所有権移転登記の費用目安は、売買・相続・贈与など移転の原因によって計算式に用いられる税率が異なります。
そもそも所有権移転登記をする場合、登録免許税という費用がかかります。登録免許税は課税標準に法で定められた税率をかけて計算します。たとえば売買の税率は、土地が評価額の1.5%、建物は2.0%が原則です。
さらに、司法書士に依頼した場合は別途報酬が必要です。報酬は、事務所ごとに設定されているため決まった価格はありませんが、ある程度の相場は存在します。
ケース別の所有権移転登記とそれにもとづく費用の目安について詳しく見ていきましょう。
不動産売買を行うときの所有権移転登記
売買による所有権移転登記とは、不動産を第三者に売却した結果、不動産の所有権を買主名義に移すことです。売買による所有権移転登記は、原則として売主と買主が共同で申請します。このような申請形式を「共同申請」といいます。
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
また、登記をすることで登記記録上不利益となる当事者を「義務者」、登記記録上利益を受ける当事者を「権利者」といいます。売買による所有権移転登記の申請では、売主が登記記録上は名義を失うことになるため義務者となり、新たに権利を受ける買主が権利者です。
このように両当事者が形式上は対立した形になりますが、実際には必要な書類をそろえるだけで何か特別な手続きをするものではありません。ただ、不動産取引は一般的には高額になるため、当事者が書類を自分で作成して法務局に申請するケースは稀です。
また、買主側が売買代金を用意するために、銀行からローンの融資を受けて不動産を購入するケースもあるでしょう。この場合、所有権移転登記とともに抵当権設定登記を申請します。その際も、不動産登記の専門家である司法書士が書類を作成し、間違いのないよう細心の注意を払って申請するのが一般的です。
所有権移転登記に限定すると、当事者がそろえる書類や必需品は以下のとおりです。
| 義務者(売主) | 権利者(買主) |
|---|---|
|
|
費用の相場
不動産売買による所有権移転登記の登録免許税は、原則として土地・建物それぞれの固定資産税評価額に税率をかけて計算します。
土地の税率は、本来2.0%ですが、2029年3月31日までは軽減措置により1.5%が適用されます。一方、建物の税率は原則2.0%ですが、個人が自宅として購入する住宅については、一定の条件を満たすことで登録免許税が0.3%に軽減されます。
- 個人が自己の居住用として取得すること
- 登記上の床面積が50㎡以上であること
- 取得後1年以内に所有権移転登記を行うこと
- 1982年1月1日以降に建築された住宅、または一定の耐震基準に適合する住宅などであること
- 適用期限内に取得し、登記すること
- 住宅用家屋証明書などの必要書類を提出すること
土地が1,000万円、建物が500万円の場合、登録免許税は土地につき15万円、建物につき10万円で合計25万円です。一方、上記で挙げた条件を満たす建物で価格が500万円の場合、15,000円まで軽減されます。また、司法書士の報酬としては約4〜5万円に設定されることが多いようです。この報酬以外にも取引の立会日当などで数万円必要となります。
| 費用項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 登録免許税 | 建物:固定資産税評価額の1,000分の3(0.3%) 土地:固定資産税評価額の1,000分の15(1.5%) |
| 司法書士への報酬 | 約4〜5万円 |
| 立会日当 | 数万円 |
所有権移転登記の費用は売主と買主のどちらが負担する?
不動産売買における所有権移転登記の費用は、一般的に買主が負担します。これは、所有権移転登記によって不動産の所有者として登記される買主が、登録免許税や司法書士報酬を支払う慣習があるためです。
ただし、法律上、所有権移転登記の費用を売主と買主のどちらが全額負担するかは、一律に定められているわけではありません。実際の費用負担は売買契約の内容によって決まるため、契約前に確認しておくことが大切です。
また、所有権移転登記の費用を買主が負担する場合でも、売主には別の登記費用が発生することがあります。 たとえば、住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、ローンを完済して抵当権抹消登記を行う必要があります。さらに、登記簿上の住所や氏名が現在と異なる場合は、住所変更登記や氏名変更登記が必要になることもあります。
これらの登記費用は売主が負担します。 そのため、不動産を売却する際は所有権移転登記の費用だけでなく、売主が行う登記手続きと費用についても確認しておきましょう。
不動産を相続したときの所有権移転登記
相続による所有権移転登記は、登記記録上の名義人が死亡した際、名義を相続人に変更するための登記申請です。
2024年4月1日から相続登記が義務化されており、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料が科されるおそれがあるため注意しましょう。
不動産は預貯金のように分配できません。分配の代わりに共有という形で登記をするのもひとつの方法です。しかし、不動産を共有すると1人の判断では売却できないなど、場合によっては後悔することになりかねません。
民法では遺産分割協議といって、相続人全員の話し合いによって民法で定められた相続分割合とは異なる方法で遺産を分配することが認められています。たとえば、妻が不動産を、長男と次男が預貯金を半分ずつ分けると、不動産の名義を妻単独にできます。
相続で所有権移転登記を行う場合、売買のように義務者や権利者の対立構造は存在しません。名義人は亡くなっていますから、権利を取得する相続人のみが申請人となって申請します。
ただし、戸籍などは集めるのに時間がかかるため、ほかの申請と比べると手間がかかるでしょう。相続人が複数いる場合や遺産分割協議が必要な場合は、書類の作成が複雑になることも考えられます。申請内容に不備があると補正や再申請が必要になる可能性があるため、不安がある場合は司法書士に相談したほうが確実です。
費用の相場
相続を原因とする所有権移転登記をする場合の登録免許税は、土地建物にかかわらず不動産価格の1,000分の4(0.4%)です。つまり、仮に不動産価格が1,000万円であれば4万円の収入印紙代が必要となります。
司法書士への報酬については、約8〜10万円としている事務所が多いです。
| 費用項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 登録免許税 | 不動産価格の1,000分の4(0.4%) |
| 司法書士への報酬 | 約8〜10万円 |
不動産を贈与されたときの所有権移転登記
贈与は、無償で不動産をあげた場合に発生する登記手続きです。申請形式は、売買と同じく登記名義人が義務者、不動産をもらう人が権利者として所有権移転登記をします。
売買と同じく必要となる書類は、義務者が権利証(または登記識別情報)、印鑑証明書、権利者が住民票です。
費用の相場
贈与を原因とする所有権移転登記の登録免許税は、土地建物にかかわらず不動産価格の1,000分の20(2%)となります。1,000万円であれば20万円です。
司法書士への報酬は、贈与契約書の作成をプラスした総額で平均約8〜10万円です。
| 費用項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 登録免許税 | 不動産価格の1,000分の20(2%) |
| 司法書士への報酬 | 約8〜10万円 |
財産分与を原因とする所有権移転登記
財産分与を原因とする所有権移転登記は、離婚に伴って他方の配偶者に不動産を渡すときに申請する登記です。登記名義人が義務者、財産分与として不動産を受ける人が権利者として登記を申請します。
申請に必要な書類は売買と同様です。
費用の相場
財産分与の場合、所有権移転登記の費用と登録免許税の税率が同じであるため、先述した贈与と同じ費用になります。
| 費用項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 登録免許税 | 不動産価格の1,000分の20(2%) |
| 司法書士への報酬 | 約8〜10万円 |
所有権移転登記の費用を安く抑える方法
所有権移転登記をできるだけ安く済ませるには、自分で必要書類を作成して申請することです。自分で所有権移転登記を申請すれば、司法書士への報酬を節約できます。ただし、登録免許税に加えて、住民票や戸籍謄本などの必要書類を取得する費用は発生します。
また、司法書士へ依頼せずに売買の所有権移転登記を自分で行うことは難しいでしょう。手続きに必要な知識や経験がある場合は問題ないですが、初めて不動産を売却する方が対応するのは非常に難易度が高いといえます。
相続による所有権移転登記で、対応を特に急いでいない場合や間違えてもやり直しできる時間があるのであれば、自分で準備して申請するのもよいでしょう。法務局のホームページには所有権移転登記の見本が掲載されていますし、法務局では登記相談を受け付けています。
窓口で申請方法や必要書類などについて確認するとよいでしょう。一方で、スピーディーに手続きしたい場合は、登記手続きの専門家である司法書士に依頼して進めたほうが確実です。

大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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