古民家を売りたい。売却方法や手順、注意点、相場の調べ方を解説

親などから相続した古民家の売却を考えたとき、「建物が古すぎるけど売れるのか」「田舎で駅からも離れた古民家だけど売却できる?」と疑問や不安を感じる人も少なくありません。
古民家は基本的に築年数が古く、買い手がつきにくい傾向にあります。しかし、建物の状態や立地条件に合った売却方法を選ぶことで、買い手が見つかる可能性があります。本記事では古民家を売る方法と手順、そして注意点と売却相場を調べる方法を解説します。
- 古民家の売却が難しいといわれる理由
- 建物の状態に合わせて選べる5つの売却方法
- 売却時に発生する費用と利用可能な節税制度
- 古民家の売却をスムーズに進めるためのポイント
もくじ
古民家の売却が難しいといわれる理由
総務省が5年に一度実施する「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は900万2,000戸にのぼり、そのうち賃貸・売却用や二次的住宅(別荘やセカンドハウスなど)を除く空き家は385万6,000戸となっています。
このように、空き家の数が増加する一方で、売却を検討する際にはさまざまな課題があります。国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」では、今後5年程度で空き家を賃貸または売却を検討している世帯のうち、43.3%が「住宅の傷み」、40.3%が「借り手・買い手の少なさ」を課題として挙げています。
こうした課題は、築年数が古く、建物の老朽化が進んだ古民家の売却でも生じる可能性があるのです。まずは、古民家の売却が難しいとされる理由について具体的に解説します。
建物の資産価値が低いとみなされやすい
古民家は築年数が古いため、建物の資産価値が低く評価されることがあります。なお、木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、これは税務上の減価償却に用いる年数であり、22年を過ぎると建物の価値がなくなるわけではありません。
築年数の経過によって建物部分に価格がつきにくくなり、土地の価値を中心に査定されるケースがある、ということです。伝統的な柱や梁、建具などに魅力を感じる買い手もいるため、建物の特徴を生かした売却方法を検討することが大切です。
現行の耐震基準を満たしていないことが多い
1981年6月1日より前に建てられた古民家は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。その場合、購入希望者が耐震性に不安を感じることが考えられます。
耐震性を確認するには専門家による耐震診断が有効ですが、診断には10万~20万円程度かかるため悩む方もいるでしょう。また、耐震補強が必要と判断された場合は、工事に多額の費用がかかるケースもあります。
ただし、古民家を売却するために売主が必ず耐震補強工事を行う必要はありません。建物の状態や買主の利用目的に応じて、現状のまま売却することも可能です。
買主が住宅ローンを利用しにくい
買主は物件を購入する際、多くの場合は金融機関の住宅ローンを利用します。古民家の場合は建物の担保評価が低くなりやすいため、ローンの審査に通りにくいというケースがあるのです。
購入希望者が物件を欲しいと思っても、希望額の融資が受けられずに資金調達が難航し、結果として売買契約に至らない場合もあります。ただし、一部の金融機関では古民家の購入や改修に対応したローン商品を用意していることもあるため、そうした情報を買主に提供することが有効な対策となります。
【方法1】古民家をそのまま売る
建物の状態が比較的よく、大きな修繕を必要としない場合は、リフォームや解体をせずにそのまま売却する方法があります。特に、昔ながらの柱や梁、建具などが残っている古民家は、その風合いを魅力に感じる買い手が見つかるかもしれません。
そのまま売却するメリットは、リフォームや解体にかかる費用と手間を抑えられることです。一方、建物の老朽化が進んでいる場合は、購入希望者から修繕費用を考慮した値下げを求められたり、買い手が見つかるまで時間がかかったりするケースもあります。
古民家をそのまま売りたい場合は、まず現状のままで査定を受け、売却価格の目安や需要を確認することが大切です。
売却する手順
古民家をそのままの状態で売る場合の手順は以下のとおりです。
- 複数の不動産会社へ物件の査定を依頼
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行い、買主と売買契約を結ぶ
- 残代金の決済・引き渡しを行う
なお、現状のまま売却する場合でも、雨漏りやシロアリ被害、設備の故障など、把握している不具合は事前に買主へ伝えておくことが大切です。売買契約の内容によっては、引き渡し後に契約不適合責任を問われるおそれがあります。
【方法2】古民家を部分的にリフォームしてから売る
古民家の価値を高めるため、部分的にリフォームして売るという方法もあります。
購入希望者が家を購入する際に気にすることが多い、お風呂やトイレといった水回り部分をリフォームするだけで、評価が変わることも少なくありません。ただし、建物の現状や規模によって想定以上にリフォーム費用がかさむと、自己負担が大きくなってしまうため、慎重な判断が必要です。
古民家を自分好みに改修したい買主もいるため、売却前にリフォームすることが必ずしも評価されるとは限りません。不動産会社に相談し、現状のまま売る場合とリフォーム後に売る場合の価格を比較して判断しましょう。
売却する手順
部分的にリフォームして売る場合の手順は以下のとおりです。
- 不動産会社に査定を依頼し、リフォームの必要性を検討する
- 必要な箇所をリフォームする
- 売却活動を行い、買主と売買契約を結ぶ
- 残代金の決済・引き渡しを行う
【方法3】古民家を更地にして土地を売る
古民家を解体して更地にしたうえで、土地として売却する方法があります。特に、建物の傷みが激しく、そのまま住むことが難しい場合に検討したい方法です。
更地にして売却するメリットは、購入希望者が建物の解体費用を負担する必要がなく、土地を自由に活用しやすくなることです。新築住宅を建てたい人なども購入対象となるため、土地の需要があるエリアでは買い手が見つかりやすくなる可能性があります。
一方で、建物の解体にはまとまった費用がかかるうえ、住宅用地に対する固定資産税などの軽減措置が適用されなくなり、税負担が増える場合があります。 また、建築基準法上の制限に該当する場合、解体後に新しい建物を建てられない土地もあるため注意が必要です。
売却する手順
更地にして土地を売る場合の手順は以下のとおりです。
- 解体の必要性や再建築の可否を確認する
- 解体費用と売却価格を比較し、解体時期を決める
- 建物を解体して更地として売り出す
- 買主と売買契約を結ぶ
- 残代金の決済・引き渡しを行う
一度解体した建物は元に戻せないため、事前に再建築の可否や接道義務、売却価格への影響などを確認しておきましょう。
【方法4】 古民家を古家付き土地として売る
古家付き土地とは、古い建物を残したまま、主に土地の価値をメインに売り出している物件のことです。
この方法のメリットは、売主が解体費用を負担せずに売却できる可能性があることです。また、建物をリフォームして活用したい人だけでなく、解体して新築住宅を建てたい人も購入対象となるため、幅広いターゲット層が期待できます。
ただし、購入希望者が解体や大規模なリフォームを予定している場合は、その費用を考慮して値下げを求められることがあります。また、土地の条件によっては再建築ができないこともあるため、事前に確認しておくことが大切です。
売却する手順
古家付き土地として売る場合の手順は次のとおりです。
- 複数の不動産会社へ物件の査定を依頼
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行い、買主と売買契約を結ぶ
- 残代金の決済・引き渡しを行う
土地の売却をメインにすることで、建物の解体や建て替えを検討している人も購入対象となります。
【方法5】古民家を不動産会社に買い取ってもらう
不動産買取は一般的な仲介による売却とは異なり、不動産会社が買主となるため、購入希望者を探す必要がありません。
この方法のメリットは、売却活動や内覧対応の手間を省き、比較的短期間で売却できることです。また、建物の状態によっては、古民家でもリフォームや解体をせずに買い取ってもらえるケースもあります。
一方で、買取価格は仲介による売却価格よりも安くなる傾向があります。これは、不動産会社が購入後のリフォームや解体、再販売にかかる費用などを考慮して価格を決めるためです。また、立地や建物の状態によっては、買取の対象外になることもあります。
売却する手順
古民家を不動産会社に買い取ってもらう場合の手順は、以下のとおりです。
- 複数の不動産会社に買取査定を依頼する
- 買取価格や売却条件を比較し、不動産会社を決める
- 不動産会社と売買契約を結ぶ
- 残代金の決済・引き渡しを行う
古民家の買取相場は物件の条件によって大きく異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼し、買取価格や売却条件を比較してから検討しましょう。
【その他】空き家バンクを活用して古民家を売る
古民家の買い手を探す方法として、自治体などが運営する「空き家バンク」を活用するのも一つの方法です。空き家バンクとは、空き家を売りたい人と購入したい人をつなぐ仕組みのことで、主に自治体が運営しています。
利用するメリットとしては、一般的な不動産市場では買い手が見つかりにくい古民家でも、地域の暮らしや築年数が古い建物に関心がある人へアプローチできる点です。
一方、自治体によって登録条件や利用方法が異なり、登録しても必ず売却できるわけではありません。さらに、売買交渉や契約手続きを当事者間で進める制度もあれば、提携する不動産会社が仲介する制度もあります。
不動産会社による仲介を利用する場合は、仲介手数料が発生するため、事前に仕組みや費用を確認しておきましょう。
古民家の売却で発生する費用と税金

築年数が古く、駅から離れた場所にある古民家でも、売却できる可能性はあります。しかし、売れても売却代金がそのまま手元に残るわけではなく、さまざまな費用や税金の支払いが発生します。
資金計画を立てるために、あらかじめどのような支出があるのか、主な費用と税金について把握しておきましょう。
売却にかかる主な費用
不動産会社の仲介を利用して古民家を売却する場合、売却価格に応じて仲介手数料が発生します。また、古民家に抵当権が設定されている場合は、その登記の抹消にかかる費用も必要です。
相続した古民家の場合は相続登記の登録免許税が発生するほか、司法書士に手続きを依頼する場合は報酬もかかります。さらに、更地にして売却する場合は建物の解体費用が必要となり、家財道具などが残っていれば、その処分費用も別途発生します。
売却にかかる主な税金
古民家の売却によって利益(譲渡所得)が生じた場合は、その利益に対して所得税や住民税が課されます。譲渡所得は、売却価格から購入代金などの取得費と、仲介手数料などの譲渡費用を差し引いて計算します。
税率は売却した年の1月1日時点の所有期間によって異なり、5年を超える長期譲渡所得の場合は20.315%、5年以下の短期譲渡所得の場合は39.63%です。
なお、相続した古民家の場合は、原則として亡くなった方の取得費や取得時期を引き継いで計算します。
古民家の売却で活用できる税制優遇・補助制度
古民家を売却する際は、一定の要件を満たすことで控除や補助金制度を利用できる場合があります。費用をできるだけ抑えたい方など一度検討してみるとよいでしょう。
利用できる補助制度は大きく分けて次の4つです。
- 相続した古民家に対する税制優遇
- 除去(解体、撤去)に対する補助制度
- 改修に対する補助制度
- 取得に対する補助制度
相続した古民家に対する補助制度
相続した古民家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる、「空き家の3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。 対象となるのは、原則として1981年5月31日以前に建築され、亡くなった方が居住していた家屋などです。
ただし、売却期限や耐震性、売却価格など多くの要件があるため、すべての古民家に適用されるわけではありません。また、2024年1月1日以後の売却では、対象となる不動産を相続した相続人が3人以上いる場合、控除額の上限は2,000万円となります。
適用されるには確定申告が必要となるため、売却前に税務署や税理士へ確認しておきましょう。
除去(解体)に対する補助制度
補助制度を使うと古民家を除去(解体、撤去)するときに、補助金を受け取れます。
たとえば、兵庫県神戸市では一定の条件を満たすと、空き家の解体費用を補助する制度が利用できます。2026年度は、建物の床面積に応じて補助金額が決まり、一般的な空き家の場合は最大60万円(一部の共同住宅などには別の上限があります)です。
申請には解体の理由や物件の状態などの細かな条件がありますので、詳しくは各地方公共団体のホームページを確認しましょう。「お住まいの地域名 解体費用 補助金」などと検索すると、該当する補助制度が出てくる場合があります。
耐震改修に対する補助制度
一定の条件を満たす住宅で耐震改修などを行う際に、工事費用の一部を補助してもらえる制度です。
例を挙げると大阪府河内長野市では、1981年5月31日以前に建築確認を受けた一定の木造住宅を対象に、耐震改修工事費の80%、最大50万円(所得により上限が異なる)を補助しています。
ただし、耐震診断の結果や所有者の所得などに条件があり、工事の契約前に必要な申請手続きを行う必要があります。
取得に対する補助制度
取得に対する補助制度とは、住宅を購入する際に、購入費用の一部を補助してもらえる制度です。購入希望者が利用できれば、費用負担を軽減できる可能性があります。
たとえば福井県勝山市では、一定の条件を満たす中古住宅の購入者を対象とした「定住化促進事業」を実施しています。2026年度は、対象となる購入者に建物の購入金額の10%、最大50万円を補助しています。
さらに、空き家情報バンクに登録された中古住宅を購入する県外からの転入者や一定の子育て世帯などには、購入金額の20%、最大100万円が補助されます。
古民家をスムーズに売るための注意点
古民家の売却を成功させるには、物件の状態を正しく把握し、買主が抱く不安を事前に解消しておく準備が欠かせません。築年数が経過している古民家特有のリスクを管理することで、取引後のトラブルを防ぎ、スムーズな引き渡しが可能になります。
家の中をからっぽにしておく
古民家を売却する際、室内に残っている家具や家電などの不用品はできるだけ整理しておくことが重要です。
家財を撤去しておかないと不動産会社が買取を受け付けてくれなかったり、解体業者に残置物の撤去費用を支払う必要があったりします。残置物とは家の中に置きっぱなしの家具や私物のことです。家の中に不用品が残ったまま解体を依頼するときは、解体業者が提示する見積書の内訳に「残置物撤去費用」が追加されます。
残置物の撤去費用は、家財道具の量や種類、搬出経路などによって異なりますが、費用の相場は4~20トンあたり15〜25万円です。なお、骨とう品や再利用できる家具などは買い取ってもらえる場合もあり、処分費用の負担を軽減できる可能性があります。
古民家の売却相場を調べる
古民家を売るときは、事前に売却相場を把握しておくことが大切です。事前に売却相場を把握しておけば「そのまま売るのか、部分的にリフォームして売るのかなど、どのような状態で売るのがベストか」考える際の判断材料にできます。
売却相場を調べる方法として、不動産会社はレインズで過去の不動産取引事例を確認することがあります。レインズとは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営している、不動産会社向けの情報交換システムです。
レインズは一般の方が直接利用することはできませんが、「レインズマーケットインフォメーション」や国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などで、過去の取引価格や成約価格を調べられます。
相続した場合は相続登記を済ませておく
相続した古民家を売る場合は、原則として、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変更する「相続登記」を行う必要があります。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく義務を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議で意見が対立することもあるため、早めに権利関係を整理し、必要な登記手続きを済ませておきましょう。
不動産の一括査定サイトで古民家の売却価格を確認しよう
古民家の売却相場を把握する方法として、複数の不動産会社に査定を依頼する方法もおすすめです。複数社から査定を受けることで、おおよその売却相場を把握できるだけでなく、査定価格の算出根拠や売却方法についても比較できます。
ただし、査定価格は実際に売れる価格を保証するものではなく、価格の根拠を営業担当者に確認することが大切です。
また、不動産一括査定サイト「リビンマッチ」を利用することで、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できます。物件に合った売却方法を教えてもらい、スムーズに古民家を売却しましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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