土地売却でかかる税金はいつ支払う?納税の方法や相談先も紹介
土地の売却には、登録免許税や譲渡所得税などのさまざまな税金がかかります。これらは、いつ、どのタイミングで支払うのが正解なのでしょうか。
本記事では、土地の売却にかかる税金の支払い時期や納税方法を解説します。また、税金に関して悩んだ際の相談先も確認して、ミスがないようにしましょう。
もくじ
土地売却にかかる税金はいつ支払う?
土地を売却するとかかる税金は数種類あり、それぞれ以下のように支払時期が違います。
税金の種類 | 支払時期 |
---|---|
売買契約印紙税 | 契約時 |
登記申請登録免許税 | 引渡し時 |
固定資産税と都市計画税 | 引渡し後または前 |
譲渡所得税 | 引渡し後 |
支払時期ごとに税金の概要を解説します。
契約時
契約時に支払う税金は、売買契約書に貼付する印紙税です。
印紙は契約書面に貼るよう定められています。しかし、2022年5月からは電子契約が本格的に運用されるようになり、印紙の貼付は必要なくなります。
印紙税額は売買契約の金額により、次の表のとおりに決まっています。なお、現在(2023年1月)は軽減措置が適用されています。
売買契約の金額 | 軽減措置(円) | 本則税(円) |
---|---|---|
10万円以下 | – | 200 |
10万円超~50万円以下 | 200 | 400 |
50万円超~100万円以下 | 500 | 1,000 |
100万円超~500万円以下 | 1,000 | 2,000 |
500万円超~1千万円以下 | 5,000 | 1万 |
1千万円超~5千万円以下 | 1万 | 2万 |
5千万円超~1億円以下 | 3万 | 6万 |
1億円超~5億円以下 | 6万 | 10万 |
5億円超~10億円以下 | 16万 | 20万 |
10億円超~50億円以下 | 32万 | 40万 |
50億円超 | 48万 | 60万 |
契約金額の記載のないもの | – | 200 |
参考:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
印紙税は契約書1通ずつにかかります。そのため、2通作成する場合は、それぞれに印紙税がかかるため、2通分の金額になります。
土地の引渡し時
引渡し時に売主が支払う税金は、住所変更や抵当権抹消登記が必要な場合に課税される登録免許税です。
売主の現住所が登記上の住所と異なる場合には、住所変更登記が必要です。ひとつの登記に対し1,000円の登録免許税がかかります。
また、売買対象の土地に抵当権が設定されている場合、抵当権抹消登記が必要です。この登記申請には、1筆につき1,000円の登録免許税がかかります。
土地の引渡し後
引渡し後に支払う税金には2種類あります。
固定資産税と都市計画税
固定資産税と都市計画税はその年の1月1日現在の所有者に納税義務があります。12月31日までの間に所有者が変わった場合も、納税は1月1日現在の所有者である売主がする必要があります。
納める方(納税義務者)
1月1日現在、土地、家屋及び償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方
納税通知書は年度初めの4月〜5月に送付されます。4期に分けて納税しますが、第1期目の納付期限までに1年間分の税金を全額支払うこともできます。
売買取引により年の途中で所有者が変わると、引渡し日前日までの固定資産税は売主が負担し、引渡し日以降の分を買主負担とすることが多いです。土地の引渡し日に日割り計算した固定資産税を売主は買主から受領します。
売主が4期ごとに分けた支払期限にしたがって固定資産税を納税している場合は、買主から受領した固定資産税清算金を含めて、未払い税金は売主が支払います。
また、下記どちらの場合でも、買主から受領した固定資産税清算金は、譲渡価額(売買金額)として扱い収入になります。
- すでに売主が固定資産税をすべて納税済の場合
- 未払い税があった場合
譲渡所得税
土地の売却で得た利益である譲渡所得に対して、譲渡所得税が課税されます。
課税される時期は、売却した翌年の2月16日〜3月15日の確定申告時期です。納税も、この3月15日までにする必要があります。
また、3月15日が最終納付期限ですが、万が一間に合わない場合は延納申請ができます。4月21日までに2分の1を、5月31日までに残りを納付します。
譲渡所得には、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つに分けられます。
長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 | |
---|---|---|
所有期間 | 売った年の1月1日現在で5年超 | 売った年の1月1日現在で5年以下 |
所得税(%) | 15 | 30 |
住民税(%) | 5 | 9 |
短期譲渡の場合は、長期譲渡よりも税金が高くなります。
なお、譲渡所得を求める計算式は以下のとおりです。
- 譲渡価額
- 売買金額
- 取得費
- 土地を購入した時の代金と仲介手数料など
- 売却費用(譲渡費用)
- 売った時の仲介手数料、測量費など
古い土地を売却した場合は、時間が経っていて当時の契約書や領収書がなかったり、相続した土地で取得費が不明なケースがあります。この時は、売買金額の5%を取得費として計算します。
売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなど、取得費が分からない場合には、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。
税金の支払先や必要な準備は?
税金を支払う時期が分かったところで、具体的な納税方法を確認しておきましょう。
印紙税の支払い方法
印紙税は、印紙を購入し書類に貼付することで納税します。
売買契約書の印紙は一般的に売買契約書を作成する不動産会社が準備するので、売主は不動産会社に現金で支払うことが多いです。
登録免許税も印紙を購入し申請書類に貼付して納税しますが、一般的に司法書士が書類を準備し印紙を購入して申請するので、売主は現金で司法書士に支払います。
なお印紙は、郵便局または法務局で販売しています。
固定資産税の支払い方法
固定資産税は、市区町村から送られてくる納付書にもとづき金融機関で支払いますが、コンビニエンスストアでも支払いが可能です。
さらに、金融機関の窓口ではなく、以下の方法が可能な市区町村もあります。
- 口座振替手続きによる支払い
- インターネットからクレジットカードによる支払い
固定資産税は売却した場合であっても支払方法に違いはありません。売却により所有権が移転されると翌年からは課税されなくなり、納付書が届くこともありません。
譲渡所得税の支払い方法
譲渡所得税の納付方法は、次の5つです。
- 金融機関の口座からの振替
- インターネットによる電子納税
- インターネットによるクレジットカード納付
- QRコードを作成しコンビニエンスストアでの納付
- 所定の納付書により金融機関か税務署で現金納付
不明な点は国税庁のページ「【税金の納付】」で確認してみましょう。
なお、譲渡所得の住民税は、市区町村に納めるものですが、税務署で確定申告すると市区町村に申告する必要はありません。5月頃に住民税の納付書が届き、4期に分けて納付できます。
譲渡所得税の申告方法
土地の売却でかかる税金で最も重要なのは、譲渡所得税の自己申告です。
不動産の譲渡所得税は分離課税のため、ほかの所得とは分離して計算する必要があります。
確定申告書を作成する手順は以下のとおりです。
- 給与などの総合課税分の収入・所得・控除金額などを「確定申告書B第一表」に記入します。ほとんどは源泉徴収票からの転記をするだけでよいでしょう。
- 医療費控除や生命保険控除など、年末調整に反映していない控除分があれば「確定申告書B第二表」に記入します。
- 「譲渡所得の内訳書」に必要事項を記入し、譲渡所得金額を算出します。
- 「申告書B第三表」で給与などの総合課税分の所得と分離課税分の譲渡所得に関する税金を計算し合計税額を算出します。
- 「確定申告書B第一表」で、復興特別所得税額を加算し、合計額から源泉徴収税額を差引いた金額が納付する税額です。
なお確定申告時に国税庁の「確定申告書作成コーナー」を使うと、作成途中でのガイダンスもあり、スムーズに申告書を作成できます。
さらにe-Taxのシステムを使うと、インターネットで申告までできます。
土地売却の税金に関する相談先は?
だれでも見られる案内ページなどがあるものの、申告方法に不安がある場合があるでしょう。
税金に関して悩んだ場合は、ここで紹介する相談先を活用してみましょう。
税務署
譲渡所得税の申告で不明な点などがある場合は、国税庁のホームページの「タックスアンサー(よくある税の質問)」が便利です。
ホームページでも不明な点があれば所轄税務署の電話相談センターか、電話予約をして面接相談を利用します。
税務署は税金を管理する公的機関のため、税金に関する相談先としては間違いないでしょう。
なお混雑する確定申告時期の2月16日~3月15日は避けて、売買契約や引渡しが終わったら年内中に税務署にて相談するのが賢い方法です。
不動産会社
譲渡所得税は申告納税制度のため、税務署が自動的に課税するものではありません。自己申告なので「税金を少なく計算した」や「多く計算してしまった」場合でも、そのまま申請が完了してしまいます。
後日になって計算にミスがあったとわかった場合、修正申告や更正の請求を行うことになります。そのため、どうしても慎重になり心配にもなるでしょう。
土地を売却するなら税金面も含めて、まず仲介を依頼する不動産会社に相談すれば、そのような不安や心配を解消してくれます。
不動産会社は、不動産全般に詳しい専門家です。また、不動産会社が普段からやり取りのある、信頼できる司法書士なども紹介してくれます。
そのため土地売却で重要なのは、信頼できる不動産会社探しです。
不動産会社を探すには、一括査定サイトの「リビンマッチ」を活用しましょう。リビンマッチでは、一度の手間で複数の不動産会社に査定依頼ができる無料のインターネットサービスです。土地のおおよその売却価格がわかるだけでなく、担当者の対応などを比較できるため必ず役立ちます。
土地売却でかかる税金に関するよくある質問
- 土地売却でかかる税金はいつ支払う?
- 売買契約印紙税は契約時、登記申請登録免許税は土地の引渡し時、固定資産税と都市計画税は引渡し後または前、譲渡所得税は引渡し後に支払います。
- 土地売却でかかる税金はどうやって支払うの?
- 印紙税は、印紙を購入し書類に貼付することで納税します。固定資産税や譲渡所得税はクレジットカードなどでも支払うことができますが、譲渡所得税は自己申告のため注意が必要です。
関連記事
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
老後の住まい (24) 離婚と財産分与 (21) 離婚と住宅ローン (17) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 離婚と家 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚準備 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) マンションか戸建てか (2) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて