マンションの相続税評価額はどうやって調べる?計算方法を解説

相続したマンションが課税対象になるかどうかを判断するには、「相続税評価額」の算出が必要です。マンションは相続財産において金額的な割合が大きくなりやすいため、適正な評価が重要となります。
評価額を誤って申告すると、不足分に対して加算税や延滞税などのペナルティが課せられるおそれがあるため注意しましょう。後のトラブルを防ぐためにも、最新のルールに基づいた計算方法をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- マンションの相続税評価額の仕組み
- 控除や特例を活用して相続税を抑えるためのポイント
- 相続手続きの流れと相続税評価額の計算方法
もくじ
相続税評価額とは
相続税評価額とは、亡くなった方から受け継いだ財産に対して、相続税がいくらかかるかを計算する際に用いられる基準のことです。通常、現金を相続するのであればその金額がそのまま評価額となりますが、マンションなどの不動産は時価が変動しやすいため、国が定めたルールに基づいて価値を算定します。
一般的にマンションの相続税評価額は、市場で売買される価格の7~8割程度に収まる傾向があります。そのため、現金を相続するよりもマンションとして所有しているほうが、税金の対象となる金額を抑えられる可能性があるのです。
また、マンションは建物と土地で計算方法が分かれており、算出するのに手間がかかることもあるため、早めに評価額を把握しておくことが大切です。
マンションの相続税評価額を計算する方法
マンションの相続税評価額は、次の計算式で算出します。建物部分と土地部分では、相続税評価額の算出方法が異なるため、れぞれの計算方法を確認しておきましょう。

マンションの相続税評価額を算出する方法
建物部分の評価額を確認する方法
マンションの建物部分の評価額は、固定資産税評価額をもとに算出されます。相続税や贈与税の評価においては、固定資産税評価額に区分所有補正率を乗じて算出されるため、固定資産税評価額と必ずしも同額になるわけではありません。
固定資産税評価額は、市町村から毎年4~6月頃に送られてくる「固定資産税の課税明細書」に記載されています。見つからない場合は、役所の税務に関する窓口で「固定資産税評価証明書※」を発行してもらいましょう。
土地部分の評価額を確認する方法
マンションが建っている土地の権利は、マンションに住む所有者全員で共有しています。
そのため、土地はすべての評価額から被相続人の共有持分だけを差し引くことで求められます。評価額の計算方法は、「路線価式」「倍率方式」の2種類です。
路線価式は、国税庁が公表している路線価※を用いて評価する方法です。マンション全体の面積に路線価をかけ、さらに被相続人の共有持分をかけて計算します。
一方、倍率方式は、固定資産税評価額に定められた倍率を乗じて評価する方式です。倍率方式は、路線価が設定されていない土地の評価に使用し、計算方法は次のとおりです。
路線価と評価倍率は、国税庁「路線価図・評価倍率表」のWebページから確認できます。
一部の土地では価格補正がある
マンションの土地は、まず路線価や土地の形状などをもとに敷地全体の相続税評価額を算出します。その際、土地の形状や道路との位置関係などによっては、「価格補正」が行われる場合があります。
- 標準的な土地よりも奥行きが長い、もしくは短い
- 間口に対して奥行きが長い
- 道路に接する間口が狭い
- 土地の形がいびつな不整形地である
価格補正とは、土地の形状や利用のしにくさなどを相続税評価額に反映させる仕組みです。たとえば、奥行きの形に応じて「奥行価格補正率」が、間口が狭い場合には「間口狭小補正率」などを用いて評価額を調整します。
土地の状況によって計算方法が異なるため、判断が難しい場合は税理士などの専門家への相談を検討するとよいでしょう。
2024年(令和6年)から適用された区分所有補正率
2024年(令和6年)1月1日以降に、相続・遺贈・贈与で取得した一定の分譲マンションには、新たな評価方法が適用されます。これは、分譲マンションの相続税評価額と市場価格との差を埋めるために導入されたもので、従来より評価額が引き上げられるケースがあります。
ただし、すべての分譲マンションが対象になるわけではなく、一定の低層住宅などは対象外です。
新しい評価方法では、算出した建物部分(区分所有権)と土地部分(敷地利用権)の評価額を反映して、最終的な相続税評価額を計算します。こちらも計算が複雑なため、国税庁が公開している区分所有補正率の計算ツールを利用するか、税理士などの専門家に確認するとよいでしょう。
参考:国税庁「「居住用の区分所有財産」の評価が変わりました」(PDF)
賃貸に出しているマンションの評価額
相続の開始時点で第三者に賃貸されているマンションは、自分が居住しているマンションよりも評価額が低くなるのが一般的です。賃貸中のマンションには入居者の権利があるため、その分を考慮して評価額を減額します。
建物部分は借家権割合と賃貸割合を反映して評価され、土地部分は借地権割合・借家権割合・賃貸割合をもとに評価されます。2024年以降の新しいマンション評価方法の対象となる場合は、区分所有補正率を反映したうえで、賃貸による減額を行います。
ただし、賃貸用としてマンションを所有しているだけで必ず評価額が下がるわけではありません。原則として、相続開始時点で実際に第三者へ貸し出している必要があります。
マンションの相続税を節税する方法
マンションを相続する際は、税負担を軽減するために各種控除や特例を正しく活用することが重要です。マンションは現金に比べて相続税評価額が低くなる傾向にありますが、評価額が高額になると納税額も大きくなります。
主な節税対策としては、配偶者控除や小規模宅地等の特例の適用が挙げられます。個別の状況によって最適な方法は異なるため、それぞれの制度の概要を把握し、適切に選択しましょう。
相続税の控除や特例を活用する
マンションの評価額は高額になりやすく、相続すると相続税の課税対象になる場合がほとんどです。そのため、下記の控除を活用できないか確認してみましよう。
| 控除の種類 | 概要 | 申告の要不要 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)控除される | 不要 |
| 配偶者控除 | 配偶者の相続財産が1億6,000万円まで控除される | 必要 |
| 未成年者控除 | 相続者が満18歳になるまでの年数×10万円が相続税額から控除される | 必要 |
| 障害者控除 | 障害者の相続人が満85歳になるまで1年につき10万円が相続税額から控除される (特別障害者は1年につき20万円) | 必要 |
| 相次相続控除 | 最初の相続から10年以内に相続が発生した場合、一定の金額が相続税額から控除される | 必要 |
現物のまま相続したほうが相続税が節税しやすい
マンションを相続するときは、現金化せず現物のままにしたほうが相続税を抑えられます。
マンションを売却してから現金で相続すると、売却代金がそのまま相続税評価額になります。一方で、マンションのまま相続をすれば、評価額が時価の70~80%ほどになるため、相続税評価額をそれだけ減らせるためです。
主な相続財産がマンションの場合や、相続人が複数人いる場合は、換価分割を検討するとよいでしょう。換価分割は、相続する財産を売却して現金化し、相続人で分割する方法です。マンションのように現物のままでは相続しにくい財産も、換価分割であれば平等に相続できるため、トラブルが起こりにくくなります。
相続する財産の分割方法については関連記事をご確認ください。
小規模宅地等の特例を利用する
被相続人が居住用や事業用として使っていたマンションの土地部分については、国の「小規模宅地等の特例」を利用できる場合があります。居住用マンションの場合、一定の要件を満たせば、敷地利用権に対応する面積のうち330㎡まで相続税評価額を80%減額できます。
賃貸用マンションでも貸付事業用宅地等に該当すれば、200㎡まで50%の減額が可能です。ただし、取得する人やマンションの利用状況によって適用要件が異なり、賃貸用の場合は相続税の申告期限まで貸付事業を続けることなどが求められます。
マンションを相続したときの手続きの流れ
マンションの相続が発生したときは、単に相続税の計算をするだけでなく、法務局での名義変更など一連の手続きを期限内に進める必要があります。トラブルを防ぎ、スムーズに完了させるための重要なステップを解説します。
遺産分割協議でマンションの相続人を決める
マンションの相続が発生した場合、まずは遺言書の有無を確認し、法定相続人(相続する権利がある人)を確定します。遺言書がない場合は、マンションを含めたすべての遺産をどのように分けるか、相続人全員で遺産分割協議を行います。
不動産は現物のまま分けることが難しいため、誰がどの財産をどれくらい引き継ぐのかを慎重に話し合うことが大切です。協議がまとまらないと国の特例制度が受けられない場合もあるため、早めに話し合いを始めましょう。
法務局で相続登記(名義変更)を行う
マンションを誰が相続するか決まったら、法務局で相続登記(名義変更)の手続きを行います。2024年(令和6年)4月からは相続登記は義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請しなければいけません。
申請には、登録免許税の納付や戸籍謄本などの必要書類の用意を行います。相続登記を放置すると、将来売却する際に担保設定ができなくなるリスクがあるため、早めに手続きを済ませることが大切です。
相続税の納付後に還付を受ける方法
相続税は納税者が財産を評価して税額を計算し、申告・納税する仕組みです。そのため、財産評価や税額計算の誤りなどによって、本来より多く相続税を納めてしまうことは珍しくありません。このような場合、税務署に対して「更正の請求」を行い、請求が認められれば納めすぎた税金の還付を受けることができます。
更正の請求ができる期間は、原則として相続税の申告期限から5年以内です。相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内なので、一般的なケースでは死亡から約5年10カ月が更正の請求期限の目安となります。
マンションは、土地の形状による補正や評価方法などによって評価額が変わることがあります。申告後に評価方法の誤りなどに気づいた場合は、更正の請求ができるか税理士などの専門家に確認するとよいでしょう。
マンションの相続税評価額を把握して納税に備えよう
マンションを相続する際、資金の確保に不安を感じて相続放棄を検討する方も少なくありません。しかし、マンションは現金に比べて相続税評価額が低く抑えられる傾向にあり、適切な評価と対策を行うことで、資産として有効に活用できる可能性があります。
手元に納税資金が不足している場合でも、期限内にマンションを売却できれば、その売却代金を相続税の納税に充てることが可能です。相続を放棄せず現物で引き継ぐことで、他の財産をあわせて相続できるだけでなく、売却代金から税金を差し引いた残額を将来の生活資金として活用できます。
少しでも有利な条件で早く売却するには、複数の不動産会社による査定を比較することが不可欠です。リビンマッチは、最大6社の不動産会社に一括査定を依頼できるため、マンション売却を効率よく進められます。
参照記事・文献
国税庁「No.4155 相続税の税率」
国税庁「No.4667 居住用の区分所有財産の評価」

2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
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