実家を売却するには?タイミングや後悔しない売り方、注意点

相続や空き家化を機に、実家の売却を検討する方は少なくありません。しかし、思い入れのある家を売るには、親の意向や必要な関係者との合意、相続手続き、税金などを確認する必要があります。
売却のタイミングによっては、税金の特例を利用できず負担が増えたり、家族間のトラブルにつながったりすることもあります。売却を始める前に、必要な手続きと注意点を整理しておきましょう。
本記事では、実家を売却するタイミング、準備から引き渡しまでの手順、利用できる税金の特例、不動産会社の選び方を解説します。
リビンマッチのポイント
実家の売却では、親が元気なうちに売るか、相続後に売るかで必要な手続きや使える税制が異なります。まず名義と売却権限を確認し、家族で方針を共有しましょう。複数社の査定を比較し、片付けや解体を先走らず、費用・税金・売却方法を整理して進めることが重要です
もくじ
使わない実家、どうする?売却を検討すべき4つのケース

親の転居や逝去によって実家を使わなくなった場合は、今後の活用方法を早めに検討する必要があります。空き家でも固定資産税や火災保険料、修繕費、庭の管理費用などが発生するためです。
また、適切に管理されず、自治体から管理不全空家等や特定空家等に指定され、勧告を受けると、敷地に適用されていた固定資産税などの住宅用地特例が外れる可能性があります。
相続した実家を売却して現金化すれば、売却代金から費用を差し引いた金額を、相続人間で合意した割合に応じて分けやすくなります。実家を所有し続ける負担、今後の活用の可能性、売却価格や税金などを比較して判断しましょう。
ケース1:すでに空き家で今後も住む予定がない
親が施設へ入居したり、亡くなったりして実家が空き家になり、今後も家族が住む予定がない場合は、売却を含めた活用方法や処分方法を早めに検討した方がよい状況です。
誰も住んでいない建物は、換気や清掃が行われにくく、湿気や設備の不具合に気づかないまま劣化が進むことがあります。電気や水道などの契約を維持する場合は基本料金がかかり、庭木の剪定費用や火災保険料なども必要です。
将来的に利用する見込みがないのであれば、管理の手間や維持費、建物の状態を確認したうえで、資産価値が大きく低下する前に売却を検討しましょう。
ケース2:実家が遠方で定期的な管理が難しい
実家が現在の居住地から遠方にある場合、移動に時間や交通費がかかり、定期的な清掃や換気、建物の点検が難しくなります。
管理が不十分な状態が続くと、庭木が隣地や道路へ越境したり、害虫が発生したり、不法投棄を招いたりするなど、近隣へ影響を及ぼすことがあります。たまに帰省して手入れするだけでは、建物や庭の変化をすべて把握できるとは限りません。
管理を続けることが現実的に難しい場合は、管理サービスの利用、賃貸、売却などを比較し、早めに方針を決めることが大切です。
ケース3:建物の老朽化が進み維持費がかさんでいる
実家を所有していると固定資産税がかかり、地域によっては都市計画税も課されます。さらに、定期的に清掃や換気をしていても、屋根や外壁、給排水設備などの経年劣化を完全に止めることはできません。
築年数の古い建物では、雨漏りや外壁のひび割れ、給湯器の故障などが発生し、誰も住んでいない家の修繕にまとまった費用が必要になることがあります。
修繕して維持する費用と売却した場合の価格を比較し、維持費が家計の大きな負担になる前に、今後の扱いを判断しましょう。
ケース4:相続人が複数おり、公平に遺産分割したい
相続財産の大部分が実家などの不動産で、現金が少ないケースでは、遺産を相続人間で分けることが難しくなります。実家を共有名義にすると、誰が利用するのか、維持費を誰が負担するのか、将来売却するときにどう判断するのかをめぐって対立することがあります。
このような場合は、実家を売却して現金で分ける「換価分割」が有力な選択肢のひとつです。売却代金から仲介手数料や片付け費用などを差し引き、遺産分割協議で合意した割合に応じて分配します。
相続が発生してから慌てないよう、親が存命のうちから家族で実家の扱いを話し合っておくことが大切です。
実家を売却する最適なタイミングは?生前・相続後を徹底比較
実家を売却する時期は、親が存命中に売る「生前売却」と、親が亡くなってから売る「相続後売却」に分けられます。
生前売却では、所有者である親の意思を確認しながら進められます。一方、相続後売却では、遺言書や遺産分割の内容を確認し、相続登記を行わなければなりません。
利用できる税金の特例も異なるため、一律にどちらが有利とはいえません。親の住まいや介護費用、家族構成、実家の状態、相続税の有無などを踏まえて判断しましょう。
親が元気なうちに売却する「生前売却」のメリットと注意点

生前売却のメリット・注意点
生前売却の大きなメリットは、所有者である親本人の意思を反映できることです。売却時期や価格、売却後の住まいを親と相談でき、売却代金を老人ホームの入居費用や介護費用などに充てることもできます。
また、実家を現金化しておけば、相続時に不動産の取得者や維持費をめぐって争うリスクを抑えやすくなります。
税制面では、親が住んでいる実家を売却し、一定の要件を満たすと、居住用財産を売却したときの3,000万円特別控除を利用できる場合があります。
ただし、親の判断能力が不十分になると、本人が売買契約を結べなくなることがあります。実家を今後どうするのか、親に十分な判断能力があるうちに話し合っておくことが重要です。
親が亡くなってから売却する「相続後売却」のメリットと注意点

相続後売却のメリット・注意点
相続後に実家を売却すると、売却代金を相続人で分けたり、相続税の納税資金に充てたりできます。また、一定の要件を満たす実家では、相続した空き家に対する3,000万円特別控除を利用できる場合があります。
相続税を納めた人が、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに実家を売却すると、相続税額の一部を取得費に加算できることもあります。
一方、相続後に売却するには、遺言書の確認や遺産分割協議、相続登記が必要です。相続人間で売却方針が一致しなければ手続きが進まないため、売却価格や費用の負担、代金の分配方法を事前に話し合っておきましょう。
【8ステップで解説】実家売却の準備から引き渡しまでの全手順

実家の売却では、名義や相続関係を確認したうえで、不動産会社への査定、片付け、売買契約へと進みます。生前売却と相続後売却では必要な手続きが異なるため、最初に誰が売却できるのかを整理することが重要です。ここでは、準備から引き渡しまでの流れを8つのステップに分けて解説します。
ステップ1:実家の名義人と売却権限を確認する
最初に登記事項証明書を取得し、実家の現在の名義人を確認します。不動産を売却できるのは、原則として所有者本人です。
親が存命の場合は、本人に売却の意思と十分な判断能力があるか確認します。相続後の場合は、遺言書の有無、法定相続人、遺産分割の状況も整理し、誰が売買契約を締結できるのかを明確にしましょう。
共有名義の実家全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。名義や権利関係が曖昧なまま進めると、買主が見つかっても契約や引き渡しができないことがあります。
ステップ2:家族や相続人と売却方針を話し合う
名義や売却権限を確認したら、家族や相続人と売却方針を話し合います。売却時期、希望価格、売却代金の使い道、片付けや測量などの費用負担、思い出の品や仏壇の扱いまで確認しておくと、その後の手続きが進めやすくなります。
法的に同意が必要なのは所有者や共有者ですが、関係する家族にも事情を説明し、認識をそろえておくことで、売却途中の反対や感情的な対立を防ぎやすくなります。話し合った内容は、後から確認できるよう書面やメールに残しておきましょう。特に売却代金の配分や諸費用の負担は、具体的に決めておくことが大切です。
ステップ3:相続後の場合は相続登記を行う
実家の名義が亡くなった親のままであれば、所有権移転の手続きに向けて相続登記を行います。遺言書や遺産分割協議の内容に基づき、実家を取得する相続人の名義へ変更します。
手続きには、戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書などが必要です。必要書類は相続の状況によって異なるため、相続人が多い場合や過去の相続が未処理の場合は、早めに司法書士へ相談しましょう。
相続登記は、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
ステップ4:複数の不動産会社へ査定を依頼する
名義や売却方針を整理したら、複数の不動産会社へ査定を依頼します。家財や遺品が残っていても査定はできるので、片付けや解体を先に済ませる必要はありません。
査定を受けたら査定価格だけでなく、価格の根拠、地域での売却実績、販売方法、古家を残して売るか解体するかといった提案も比較しましょう。実家が遠方にある場合は、現地対応の範囲や連絡方法、鍵の管理も確認します。
査定価格の高さだけで決めず、売却までの進め方を具体的に説明できる会社を選ぶことが大切です。机上査定だけでなく訪問査定も受けると、建物の状態や周辺環境を踏まえた、より具体的な価格を確認できます。
ステップ5:必要な片付けと遺品整理を進める
不動産会社の意見を確認したうえで、売却に必要な範囲の片付けと遺品整理を進めます。権利証や登記識別情報、購入時の売買契約書、固定資産税の納税通知書、境界に関する資料などが見つかることもあるため、書類は内容を確認してから処分しましょう。
仏壇、神棚、写真、貴重品などは、家族や相続人の意向を確認して扱います。価値や所有者がわからないものを、独断で処分しないよう注意してください。
不動産会社による買取などでは、残置物を残したまま売却できる場合もあります。高額な処分費を支払う前に、不動産会社へ対応可能か確認しましょう。
ステップ6:媒介契約を結び売却活動を始める
依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結び、売り出し価格や販売方針を決定します。実家が遠方にある場合は、鍵を不動産会社へ預ける方法や、売主が毎回立ち会わずに内覧できる方法を相談します。
売却活動が始まると、広告掲載、購入希望者からの問い合わせ、内覧対応などが行われます。不動産会社から反響数や内覧後の意見を確認し、必要に応じて価格や広告内容を見直しましょう。媒介契約の種類や販売状況の報告方法も確認しておくことが大切です。内覧前には換気や清掃を行い、購入希望者が建物の状態を確認しやすいよう、室内を整えておきます。
ステップ7:買主と条件を調整して売買契約を結ぶ
購入希望者から申し込みが入ったら、購入希望価格、手付金、引き渡し日、住宅ローン利用の有無、残置物や設備の扱いなどを確認し、条件を調整します。条件がまとまったら、売買契約書、物件状況報告書、付帯設備表の内容を確認して契約を締結します。解除条件や違約金の定めも確認してください。不明点を残したまま署名せず、特約を含む契約条件について、担当者から十分な説明を受けましょう。共有名義の場合は、原則として共有者全員の契約手続きが必要です。
雨漏り、設備の故障、境界や近隣との取り決めなど、把握している事実は不動産会社と買主へ正確に伝えましょう。
ステップ8:残代金の決済と実家の引き渡しを行う
引き渡し日には、買主から売買代金の残額を受け取り、固定資産税などを精算します。同時に司法書士が所有権移転登記を申請し、売主は鍵や関係書類を買主へ渡します。
住宅ローンや抵当権が残っている場合は、売却代金などでローンを完済し、抵当権抹消の手続きを行います。家財や残置物を撤去する契約であれば、引き渡し前に処分を完了させてください。
相続人の間で売却代金を分ける場合は、仲介手数料や片付け費用などを精算し、遺産分割協議の内容に従って配分します。譲渡所得にかかる税金は、各相続人の取得割合や特例の適用状況によって異なるため、別途確認しましょう。
全国の不動産会社を比較できる「リビンマッチ」の仕組み
実家を高く、スムーズに売却するには、物件の所在地や状態に合った不動産会社を選ぶことが重要です。しかし、地元の不動産会社から大手まで1社ずつ問い合わせ、査定を依頼するには時間と手間がかかります。
「リビンマッチ」は、東証グロース市場に上場するリビン・テクノロジーズ株式会社が運営する不動産一括査定サイトです。物件情報などを一度入力すると、全国2,100社以上の不動産会社の中から、条件に合う最大6社へ査定を依頼できます。
実家の売却では、その地域の相場や購入需要、古い住宅の取り扱いに詳しい会社を選ぶことが大切です。複数社の査定価格や販売方針を比較すれば、実家のおおよその市場価値を把握し、売却を任せる会社を検討しやすくなります。リビンマッチはプライバシーマークを取得しており、個人情報の管理にも取り組んでいます。
実家の売却にかかる主な費用と税金

実家を売却すると、仲介手数料や印紙税、登記費用などが発生します。家財の処分、土地の測量、建物の解体が必要な場合は、その費用も見込んでおかなければなりません。また、売却によって利益が出た場合は、所得税、復興特別所得税、住民税が課されます。
売却代金がそのまま手元に残るわけではないため、費用と税金を差し引いた手取り額を事前に確認しましょう。
売却時に発生する仲介手数料などの諸費用一覧
実家の売却で発生する主な費用は、仲介手数料、印紙税、登記費用、片付け費用などです。
仲介手数料は、売買が成立した際に不動産会社へ支払う成功報酬です。売却価格が400万円を超える場合、原則として「売却価格×3%+6万円+消費税」が上限となります。ただし、売却価格が800万円以下の宅地や建物では、「低廉な空家等」に関する特例により、依頼者一方から受け取れる仲介手数料の上限が税込33万円となる場合があります。この特例を適用する場合は、媒介契約時に不動産会社から金額の説明を受け、事前に合意します。
紙の売買契約書を作成する場合は、契約金額に応じた印紙税がかかります。電子契約のみで契約書を作成する場合、電磁的記録には印紙税が課されません。
住宅ローンが残っていれば、抵当権抹消登記の登録免許税や司法書士報酬も必要です。相続登記や登記上の住所変更が済んでいない場合は、その費用も発生します。そのほか、家財の処分費、測量費、解体費などを見積もり、売却後の手取り額を計算しておきましょう。
売却で利益が出た場合に課される税金の計算方法
実家の売却で利益が出た場合は、譲渡所得に対して所得税、復興特別所得税、住民税が課されます。課税対象となる譲渡所得は、次の式で計算します。
取得費には、購入代金や購入時の仲介手数料などが含まれます。ただし、建物部分の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。取得費がわからない場合や、実際の取得費が売却価格の5%を下回る場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算できます。
譲渡費用には、売却時の仲介手数料、印紙税、売却のために行った測量費や建物の解体費などが含まれます。相続した実家では、原則として親が購入したときの取得費と取得時期を引き継ぎます。相続した日から所有期間を数えるわけではありません。
税率は、売却した年の1月1日時点の所有期間で決まります。5年を超える長期譲渡所得は20.315%、5年以下の短期譲渡所得は39.63%です。特別控除を利用できる場合は税額が変わるため、売却前に適用要件も確認しましょう。
知らないと損!実家売却で使える税金の特例と控除
実家を売却して利益が出た場合は、所得税、復興特別所得税、住民税が課されます。ただし、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除する特例や、相続税額の一部を取得費に加算する特例を利用できます。
適用できる制度は、親が存命中に売るのか、相続後に売るのかによって異なります。また、売却期限や建築時期、居住状況などの要件があり、特例同士を併用できない場合もあります。
特例を利用するには、売却した翌年に確定申告が必要です。売却後に要件を満たしていないことが判明しないよう、売り出す前に税務署や税理士へ確認しましょう。
【相続後】被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除
相続した実家を売却した場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。ただし、2024年1月1日以後の売却で、対象となる家屋や敷地を取得した相続人が三人以上いる場合は、一人あたりの控除上限が2,000万円になります。
主な要件は、1981年5月31日以前に建築された区分所有建物以外の家屋で、相続開始の直前まで被相続人が原則として一人で暮らしていたことです。被相続人が一定の要件を満たして老人ホームなどへ入居していた場合も、対象になることがあります。
さらに、相続開始から売却まで事業、賃貸、他人の居住に使用されていないこと、売却代金が1億円以下であること、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが必要です。
建物を残して売る場合は一定の耐震基準を満たす必要があります。2024年以後の売却では、売却日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または解体を行う方法も認められています。申告時には、市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などが必要です。
【生前】居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
親が所有し、実際に住んでいる実家を売却する場合は、一定の要件を満たすと、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
老人ホームへの入居などで親が実家を離れた場合でも、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば、対象になることがあります。ただし、親子や夫婦など特別な関係にある人への売却や、ほかの一定の特例を利用している場合は適用できません。
この特例を利用できるのは、実家を所有している親本人です。子どもが代わりに居住していても、子どもの特例として利用できるわけではありません。適用を受けるには、売却した翌年に必要書類を添えて確定申告を行います。
相続した実家の取得費に相続税額を加算できる特例
相続や遺贈によって実家を取得し、相続税を納めた人は、一定の期間内に売却すると、相続税額のうち一定額を取得費へ加算できます。取得費が増えることで譲渡所得が小さくなり、所得税や住民税を抑えられる仕組みです。
対象となるのは、実家を取得した人に相続税が課されている場合です。売却期限は、相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。一般的には相続開始から約3年10カ月以内ですが、正確な期限を確認してください。
取得費に加算できるのは、納めた相続税の全額ではなく、売却した実家に対応する一定額です。また、同じ実家について、被相続人の居住用財産に係る3,000万円特別控除と取得費加算の特例は併用できません。どちらが有利かを比較したうえで選択しましょう。
実家売却で後悔しないための重要な6つの注意点
実家の売却では、所有者や相続人の確認、遺品の整理、境界や建物の状態の確認など、通常の不動産売却とは異なる準備が必要です。手続きを急ぐと、家族間の対立や予定外の費用につながることがあります。
必要な同意の範囲は、親が存命なのか、遺産分割前なのか、すでに単独名義または共有名義になっているのかによって異なります。すべての親族の法的な同意が常に必要なわけではありません。
また、建物を先に解体する、査定額だけで不動産会社を選ぶといった判断にも注意が必要です。権利関係と売却条件を整理し、必要に応じて司法書士や税理士などの専門家にも相談しながら進めましょう。
注意点1:共有名義や遺産分割前は関係者の合意を得る
実家が共有名義の場合、実家全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。また、遺産分割が終わっていない場合は、遺言書の内容を確認したうえで、誰が実家を取得するのかを相続人間で協議します。
一方、遺産分割が完了し、実家が一人の相続人の単独名義になっている場合は、ほかの相続人全員の同意が売却の法的要件になるわけではありません。ただし、売却代金の配分や思い出の品の扱いをめぐる対立を防ぐため、関係する家族へ説明しておくことが大切です。
共有名義や換価分割で売却する場合は、売却価格、諸費用の負担、代金の配分方法を事前に決め、書面に残しましょう。
注意点2:仏壇や神棚の扱いは親族と相談して決める
仏壇や神棚の処分方法に、法律で定められた一律の手順はありません。家族の考え方や宗派、地域の慣習に応じて、寺院や神社、仏具店などへ相談して扱いを決めます。
閉眼供養や魂抜きなどを行う場合は、日程や費用を事前に確認しましょう。親族の誰かが引き継ぐ場合は、移動先や運搬方法も決めておく必要があります。
仏壇や神棚は、通常は不動産とともに買主へ引き渡す設備ではありません。売買契約で残すことに合意していない限り、売主側で撤去します。内部に重要書類、現金、貴金属などが保管されていないか確認したうえで整理しましょう。
注意点3:相続登記の手続きを行う
親が亡くなり、実家の登記名義が親のままになっている場合は、売却に必要な相続登記を行います。遺言書がなく、誰が実家を取得するか決まっていない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容に基づいて登記します。
換価分割では、代表となる相続人の名義へ登記して売却する方法もあります。ただし、遺産分割協議書に換価分割であることや売却代金の配分方法を明記しないと、代金の分配をめぐる問題が生じるおそれがあります。司法書士や税理士へ事前に確認しましょう。
相続登記は2024年4月から義務化されています。相続によって不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があるため、売却予定がなくても放置しないことが大切です。
注意点4:境界資料を確認し、必要に応じて測量する
土地付きの実家を売却する場合は、境界標、確定測量図、地積測量図、隣地との覚書などが残っていないか確認します。境界が不明確だと、売却条件の調整や買主への説明に時間がかかることがあります。
ただし、すべての売却で確定測量が必須となるわけではありません。公簿面積で売買するのか、売主が境界を明示するのか、確定測量後に引き渡すのかは、物件の状況や売買契約によって異なります。
境界標が見つからない、登記面積と現況に差がある、隣地との認識が異なるといった場合は、不動産会社と相談し、必要に応じて土地家屋調査士へ測量を依頼しましょう。
注意点5:老朽化が激しくても解体は慎重に判断する
建物が古いという理由だけで、査定前に解体するのは避けましょう。古家付き土地として売却できる場合や、買主が建物の利用を希望する場合もあります。また、解体費を売却価格で回収できるとは限りません。
建物を解体すると、土地に適用されていた住宅用地の特例が外れ、翌年度以降の固定資産税が増えることがあります。小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されていますが、解体後の税額が一律に6倍になるわけではありません。
相続した空き家の3,000万円特別控除では、耐震基準を満たす建物を売る方法のほか、建物を解体して土地を売る方法があります。2024年以後の売却では、一定の条件を満たせば、売却後に翌年2月15日までに解体する方法も認められています。税金、解体費、売りやすさを比較してから判断しましょう。
注意点6:査定額の高さだけで不動産会社を選ばない
不動産会社の査定額は、その金額で売却できることを保証するものではありません。査定額が高くても、相場とかけ離れた価格で売り出せば問い合わせが集まらず、売却期間が長引くことがあります。
不動産会社を比較するときは、周辺の成約事例、現在売り出されている競合物件、建物の状態など、査定価格の根拠を確認しましょう。古い実家や遠方の物件では、家財が残った状態での売却、解体の要否、現地での内覧対応について具体的な提案があるかも重要です。
査定価格だけでなく、実家のある地域での売却実績、販売方針、担当者の説明、連絡体制を比較し、納得できる不動産会社を選びましょう。
実家の売却に関するよくある質問
実家の売却では、親の判断能力や相続関係、税金、物件の状態によって必要な対応が異なります。税金は税務署や税理士、相続登記は司法書士、売却方法や査定は不動産会社へ相談し、それぞれの専門分野に応じて確認することが大切です。
ここでは、実家の売却を検討する際によくある疑問について解説します。
親が認知症になる前に、実家の売却を進めるべきですか?
認知症と診断されたからといって、直ちに実家を売却できなくなるわけではありません。重要なのは、親本人が売却の内容や結果を理解し、自分の意思で契約できるだけの判断能力があるかどうかです。
判断能力が不十分な状態では、子どもが本人に代わって自由に売却することはできません。成年後見制度を利用し、成年後見人などが本人の居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可も必要になります。
必ず生前売却を選ぶ必要はありませんが、親に十分な判断能力があるうちに、実家を売るのか、住み続けるのか、介護施設への入居費用に充てるのかを家族で話し合っておきましょう。売却する場合も、所有者である親本人の意向を尊重することが前提です。
実家を売却した際にかかる税金を抑える方法はありますか?
実家を売却して利益が出た場合は、所得税、復興特別所得税、住民税が課されます。ただし、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例などを利用できます。
親が住んでいる実家を売る場合は、居住用財産を売却したときの3,000万円特別控除を利用できることがあります。相続した空き家を売る場合も、建築時期や売却期限などの要件を満たせば、被相続人の居住用財産に係る特別控除の対象になります。
相続税を納めた人が一定期間内に実家を売却する場合は、相続税額の一部を取得費へ加算できる特例もあります。ただし、空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例は、同じ実家について併用できません。適用要件や有利な制度は状況によって異なるため、売却前に税務署や税理士へ確認しましょう。
兄弟で相続した実家を売却したいのですが、注意点は何ですか?
兄弟で相続した実家を売る場合は、まず遺言書の有無を確認し、誰が実家を相続するのか、売却代金をどのように分けるのかを決めます。共有名義で相続した実家全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。
売却方法には、一人が実家を相続して売却代金を分ける方法と、兄弟が共有名義で相続し、全員が売主となって売却する方法があります。単に手続きを簡単にする目的で代表者一人の名義にすると、後の代金分配や税金をめぐる問題につながることがあるため注意が必要です。
遺産分割協議書には、売却代金の配分、仲介手数料や片付け費用などの負担方法を明記しておきましょう。換価分割を行う場合は、登記や税務上の扱いについて司法書士や税理士へ確認してから進めると安全です。
田舎にある古い実家でも売却することは可能でしょうか?
田舎にある古い実家でも売却できる可能性はあります。ただし、購入需要は地域によって大きく異なり、交通の利便性、建物の状態、接道状況、境界、上下水道などの条件によっては、売却までに時間がかかることもあります。
売却方法には、建物を残したまま古家付き土地として売る方法、現状のまま不動産会社へ買い取ってもらう方法、買主が決まってから解体して更地で引き渡す方法などがあります。解体費を回収できるとは限らないため、査定前に建物を取り壊すのは避けましょう。
一般の不動産会社で買主が見つかりにくい場合は、古い住宅の買取実績がある会社や、自治体の空き家バンクへ相談する方法もあります。国土交通省も、全国版の空き家・空き地バンクに関する情報を案内しています。
まとめ
実家を売却する際は、最初に名義人と売却権限を確認し、家族や相続人と売却方針を話し合います。相続後に売却する場合は相続登記も必要です。査定や片付けを進める前に権利関係を整理しておくことで、契約段階で手続きが止まるリスクを抑えられます。
税金は、生前売却と相続後売却で利用できる特例が異なります。売却時期や建物の状態によって適用の可否が変わるため、売り出す前に要件と期限を確認しましょう。特例を適切に利用すれば、売却後の税負担を抑えられる場合があります。
不動産会社を選ぶときは、査定価格だけでなく、実家のある地域での売却実績、販売方針、遠方からの手続きへの対応なども比較することが大切です。
リビンマッチでは、全国2,100社以上の不動産会社の中から、物件の条件に合う最大6社へ査定を依頼できます。実家を売るか迷っている段階でも、まずは現在の価値と売却方法を確認し、家族で判断するための材料を集めましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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