デュアルライフ(二拠点生活)に失敗?理想と現実|仕事、家、費用は?

「デュアルライフ(二拠点生活)に憧れがあるけど、どうすればよいかわからない」同様の悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。
以前は特殊な生活で一般の人には無理な認識もあったデュアルライフ。リモートワークが中心となった業種が増え、一般の社会人でも二拠点生活をされる方が増えてきました。
「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」が2021年に調査した結果によると、首都圏在住の方の309万人が地方移住を考えているとの調査結果も発表されています。
そこで本記事では、近年関心が集まるデュアルライフ生活の実態を、実際の経験談をもとに解説します。
もくじ
デュアルライフ(二拠点生活)とは?理想と現実
以下では、デュアルライフを行った際の理想と現実を解説します。
理想
デュアルライフと聞いて多くの人は、地方のおいしいものを食べて、温泉に入り休暇を過ごし、都会で仕事をするのをイメージするのではないでしょうか。
しかし、理想的なデュアルライフは仕事をしながら休暇を取るのがよいでしょう。午前中は仕事をして、午後は休暇を楽しむライフスタイルは収入も心の余裕も生まれます。
現実
拠点とする場所として、時間と費用のバランスがよく効率的に移動できる場所を選ぶのが肝心です。
二拠点生活では移動費も必要ですので、往復で数万円かかるような場所ではデュアルライフに向いていません。距離のある場所でデュアルライフを送るには、ある程度の貯金に金銭的余裕も必要です。
無理のないデュアルライフが大切
拠点生活と聞くと、仕事終わりの週末は海外でバカンス。そういうイメージを持つ人もいますが、海外は移動時間が長く現実的ではありません。
たとえば、関東からなら新幹線を利用すると長野県の軽井沢や新潟県の越後湯沢温泉、静岡の熱海に約1時間で行けます。
会社へ出社する場合もドアtoドア(ドア・ツー・ドア)で2時間かからずに移動することも可能です。
混雑している満員電車で通勤しているときより家を出る時間が遅く、会社に早く着くことも可能かもしれません。
また、都会は駅前の駐車場代が高い傾向にありますが、地方ではワンコインで24時間駐車できたり、鉄道の利用者は無料で駐車できたりと、パークアンドライドも充実しているので、車生活に快適な印象を持つ人も多くいます。
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仕事はどうする?デュアルライフができる仕事
一般的にデュアルライフしやすい仕事は、自由に動けるフリーランスです。しかし、フリーランス以外でも、デュアルライフが可能な仕事はあります。比較的デュアルライフをしやすい仕事を見ていきましょう。
インターネット系の仕事をするのがキーポイント
インターネット系の仕事を選ぶことで、デュアルライフが可能です。
主な作業は自宅のパソコンで行い、1カ月に数回の出社といった仕事スタイルを選べる会社が増えてきているためです。職業でいうと、システムエンジニアやプログラマー、Webデザイナーなどが比較的デュアルライフに適しているでしょう。
本業を主体にデュアルライフを続ける
デュアルライフを考えて転職をするなら、副業ができる会社へ就職するのがよいでしょう。なぜなら、知らない土地へ移住する場合、人間関係をそこで築く必要があるからです。
たとえば、地方だからできる農業や漁業など第一次産業の仕事を移住先でしてみるのもおすすめです。地方では農業や漁業をしている方は、その土地の中の有名人だったり、キーパーソンだったりします。
移住先で本業をしつつ、副業として第一次産業の仕事をすると、その土地の人と人間関係を構築しやすいでしょう。また、「新たな趣味」として第一次産業の仕事は60歳以上にも人気があるため、貯蓄できるだけでなく、定年後の生活の充実度にもよい影響が出るかもしれません。
サービス業でのデュアルライフは難しい
デュアルライフが難しい職種もあります。
特にサービス業など毎日営業している店舗で仕事をするような職種は、デュアルライフには向いていません。しかし、サービス業で勤務していてもスキルを磨き、転職や将来的に別の地へ移住するための準備ができれば、デュアルライフに近づけるでしょう。
家はどうする?考えられる選択肢
デュアルライフを行う際にどこへ住むのがよいか悩んでいる方へ、考えられる選択肢を紹介します。
まずはシェアハウスやホテルで暮らしてみる
最初から賃貸アパートなどを借りるのは、やめたほうがよいでしょう。1番のおすすめはシェアハウスかゲストハウスです。
家具や家電などを購入する必要がなく、初めてのデュアルライフへの不安を解消できるためです。シェアハウスやゲストハウスにはデュアルライフを以前から行っている先輩などが住んでいる可能性が高く、人の繋がりを利用して情報収集もできます。
また、シェアハウスやゲストハウスに住む場合は、荷物が海外旅行用の大型キャリーバッグひとつで住むことが多いのも、メリットです。
ただし、プライバシーや物音などに敏感な人は、苦痛に感じるかもしれません。
賃貸アパートは地方で安く借りられる
地方は都会に比べ、家賃が安くて部屋が広いことが多いです。東京なら10万円以上は当たり前の賃貸の一軒家も、地方では5万円程度で住める場合がほとんどです。
そのため、もし一度滞在をして長期的に滞在するときは賃貸アパートを借りるのがよいでしょう。
別荘感覚で2つの家を持つのも手
その地域に慣れてきたり、今後も住み続けたりする場合は、家を購入するのも手です。長く住み続けると決めるまでは購入しないほうがよいですが、賃貸の場合、毎月の家賃が必要なためです。
購入の際は購入費用がかかりますので、貯金を切り崩したり、いままで住んでいた家を売却したりして、家を購入するのがおすすめです。
デュアルライフに必要な初期費用と家賃
経験をもとに、シェアハウス、ゲストハウス、賃貸マンション、一軒家(購入)にかかる初期費用と家賃を下記表にまとめました。
物件の種類 | 初期費用(万円) | 家賃(万円) |
---|---|---|
シェアハウス・ゲストハウス | 5 | 5 |
賃貸マンション | 50~100 | |
一軒家(購入) | 数百 | なし |
家賃や初期費用
初期費用と家賃を見ると、シェアハウスやゲストハウスが少ないです。
最初から賃貸マンションを契約する場合、引越し代や家具家電を購入する費用などを考えると約50~100万円かかってしまいます。
また、賃貸マンションや一軒家購入でも家具や家電を自宅から持っていくのではなく、移住先で購入をすると引越し費用を削減できます。
デュアルライフ先で知り合いを作ることで、引越しの初期費用を抑えられることがあります。たとえば、シェアハウスから賃貸の一軒家へ引越しをする際、デュアルライフ先で出会った知り合いから家具や家電を引越し祝いでもらい、引越しの際も知り合いにトラックを出してもらえば、初期費用は0円で済みます(現デュアルライフをしている執筆者に基づく)。
移動時間と交通費
デュアルライフは、移動距離が長ければ長いほど移動の回数を減らさないと負担となってしまいます。そのため、移動の回数はなるべく抑えましょう。
実際に人気の熱海・軽井沢・越後湯沢は移動時間と交通費を比べてみました。これらの地域は新幹線で東京から行けますが、移動時間が長くなるにつれて交通費も多くかかることがわかります。
滞在先 | 東京駅からの片道時間(分) | 東京からの片道費用(円) |
---|---|---|
熱海 | 約45 | 3,740 |
軽井沢 | 約60 | 5,490 |
越後湯沢 | 約80 | 6,260 |
上記の表は東京駅から新幹線で各駅に行く場合の片道時間と交通費(自由席)です。なお、車やネット予約などで、これより安く行くことも可能です。
海外でのデュアルライフ
海外でのデュアルライフを考えている人もいるでしょう。海外の場合は日本との時差、治安、物価にビザの取得も関係してきます。
欧米は日本からも距離が遠く、時差の関係から日本との連絡は深夜になりがちです。東南アジアやオーストラリアは比較的時差が少ないため、日本との連絡も取りやすくなります。
海外でのデュアルライフを行う際は、試しに短期間で滞在してから本格的に拠点生活をすることをおすすめします。
デュアルライフの費用は持ち家の売却で貯めよう!
快適なデュアルライフを送るには、移動費や家賃、初期費用として、預貯金を蓄えておく必要があります。
また、持ち家を所有しており、住宅ローンを支払い続けている方などは、2つの家に住むための居住費として、支払いの負担が2倍になります。
そのため、持ち家を所有している方はデュアルライフの実現に向け、家を売却するのも手です。デュアルライフを行うわけですから、もとの家にいる時間は以前より少なくなるでしょう。デュアルライフによって、生活の本拠地を別の場所に移したくなることもあるはずです。
持ち家を売却して得た資金で、実際の滞在時間を考慮した賃貸物件や借家に住むのもよいですし、デュアルライフを行うなかで本格的に居住地を移したくなったら、新居を購入するのもよいでしょう。また、最終的には、別荘感覚で2つの家を持つのもよいでしょう。
持ち家をどうするかは、デュアルライフを行ううえで大切な選択です。まずは、いまの持ち家の価値を査定して、いくらで売れるのか確認しましょう。確認の際は、相見積もりで複数社に査定依頼を出して、売却価格をもとに複数の不動産会社を比較、検討するのがおすすめです。
多数の不動産会社を比較し、信頼のおける会社へ持ち家の売却について相談してみてください。アドバイスをもとに、持ち家を売却するかしないか検討してみましょう。