不動産市況はやばい?もうピークアウトしている?将来に備えた対策とは

不動産市況(市場での取引状況)は、日々刻々と変化しています。そのため今後の動向をいち早く予想し、先手を取って行動することは不動産投資で利益を得るうえで必要不可欠です。
不動産市況は今後どうなるのかさまざまな見解がありますが、国土交通省などの最新データと大手不動産会社の意見を中心に、日本の不動産市況の予想と、起こりうるリスクや対策をわかりやすく解説します。
不動産市況のピークアウトが懸念される理由
国土交通省が毎月公表している「不動産価格指数」を確認すると、2013年以降、特にマンション価格は一貫して上昇を続けています。
一方で、戸建て住宅や住宅地の価格も2019年頃と比較すると上昇していますが、2026年現在ではその勢いが鈍化しつつあります。

画像引用:国土交通省「不動産価格指数(令和8年2月27日公表) 」
不動産価格指数は、年間30万件以上に及ぶ不動産の取引データをもとに、国土交通省が不動産市場の動向を数値化したものです。戸建て住宅に関しては、2020年以降は堅調な上昇を続けていましたが、近年の金利上昇や経済状況などの変化を背景に、価格の上昇に陰りが見え始めています。
地方によっては価格の下落が目立つ地域もあるため、一部では「不動産市況はピークを過ぎたのではないか」との声が上がり始めています。
まずは、不動産市況のピークアウトが懸念される背景について、詳しく見ていきましょう。
売り出し物件の在庫が減少傾向にある
2013年の東京オリンピック開催決定後、不動産投資への関心が高まり、都心部を中心にマンション市場が活況になりました。ただし、2026年の中古マンション市場は一律に供給過多といえる状況ではありません。
首都圏にある中古マンション市場では、成約件数や成約価格が上昇しており、全体として値崩れはしていない状態です。一方で、立地・築年数・管理状態などの条件が競合物件に劣る場合、売却までに時間がかかったり、価格の見直しが必要になったりするケースもあります。
つまり、現在は「市場全体が在庫過多で売れない」という状況ではなく、売れやすい物件と売れにくい物件の差が広がっている状況といえます。東日本不動産流通機構が公表しているデータによると、2026年2月時点で中古マンションの在庫件数は7カ月連続で減少しています。
参考:東日本不動産流通機構「月例速報Market Watch・サマリレポート(2026年度2月度)」(PDF)
銀行の融資が厳しくなった
これまでの不動産価格の上昇は、超低金利と金融緩和を背景とした積極的な銀行融資によって支えられてきました。しかし、2024年に日銀がマイナス金利政策を解除したことで、状況は変わりつつあります。
2025年12月には追加の利上げを行い、政策金利を0.75%程度に引き上げました。こうした短期金利の引き上げに加え、金融機関側も今後の金利上昇リスクを見越して、不動産投資や住宅ローンに対する審査を慎重に進めるようになったのです。
特に地方や築古物件への融資は厳格化されたため、購入希望者の中には以前よりも、「借りにくい」「借りても金利が高い」と感じている方もいます。このような融資環境の変化は、実需や投資意欲の鈍化を引き起こすことがあり、不動産市況のピークアウトを印象づける要因となっています。
それでも日本の金利は世界的に見れば低水準
国際的に見れば、日本の住宅ローン金利は依然として低水準といえるでしょう。
たとえば、ユーロ圏の欧州中央銀行では2026年3月に行われた会合で、金利を2%台で安定させると発表しました。アメリカは30年固定住宅ローンの金利が6.57%に上昇したこともあり、住宅ローンの申請件数が減少しています。
日本の「フラット35」は、2026年4月時点で1.49%〜2.49%(融資額が9割以下の場合)、変動型では0.6〜1.0%台と、先進国の中では圧倒的に低い金利が維持されています。このため、「融資は厳しくなったが、借り手の金利負担はまだ軽い」とする見方も根強くあります。
しかし、金利の絶対水準が低いからといって、不動産市場の上昇が引き続き堅調とは限りません。むしろ、これまでの上昇相場は「異常なまでの金融緩和」が支えていた側面もあり、その下支えが弱まりつつあるいま、金利の調整局面に入るのは自然な流れともいえます。
参考:フラット35「最新の金利情報:長期固定住宅ローン」
円安の進行やリスク回避のため、海外への不動産投資が増えた
外国資本から見ると、円安の進行により国内不動産が割安に映ることがあります。2026年4月現在、1ドル=159円台まで円安が進んでおり、外国資本による国内不動産への投資は減少が予測されています。
近年、国内投資家のなかには、分散投資の観点から海外不動産に注目している方もいます。
ただし、政治や軍事的リスク、各国の金利動向によって投資マネーの流れは変わるため、円安だけを理由に国内不動産投資の増減を判断するのは避けたほうがよいでしょう。
長期的に見るとインフレが不動産価格の下落要因に?
インフレによりモノの価値が上がり通貨の価値が下がると、建築コストが上昇し不動産価格の下落要因になります。
住宅業界は、建築資材や設備機器の値上がりから利益確保が難しくなり、販売価格の値上げを余儀なくされました。その結果、戸建て住宅や新築マンションの売れ行きは鈍化し、売れ残り在庫が急増しています。
また、消費者の購買力を超えた新築住宅に代えて、中古マンションの需要が急速に高まり、都心一等地の中古マンションのなかには、新築を超える価格設定の物件も多く見られるようになりました。
一方で、食料品などの値上がりや企業の賃金カットなどから家計は急速に圧迫され、住宅ローンの返済に窮する人も散見されています。日本全体の物価が上がっているにもかかわらず、給与が増えなければ、不動産を購入する余裕のある人は少なくなります。
その結果として最終的には建物の価格だけでなく、「消費」という概念がないために価値が下がりにくいとされる「土地」の価格までもを下げるという、最悪のシナリオになることも懸念されます。
以上のことから、長期的に見ると物価上昇は不動産市況の動きを沈め、不動産価格の下落要因になると予測されています。
今後の不動産市況はどうなる?
不動産市況が「やばい」といわれる一方で、実際の市場動向は一様ではなく、エリアや物件タイプによって異なる様相を見せています。直近の企業業績や需給状況を踏まえると、今後は「二極化」がさらに進むと考えられるでしょう。
国土交通省が発表した2026年の公示地価では、全国的に上昇傾向にある一方で、三大都市圏と地方圏、さらに地方圏の中でもエリアごとの差が広がっています。
都心・首都圏では実需と企業の好調さが支えに
東京都心やその周辺では「実際に住むための購入」や、富裕層による不動産ニーズが引き続き強く、市場の下支えとなっています。
たとえば、「2025年全国分譲マンション売主グループ別供給戸数ランキング」で1位を獲得したオープンハウスは、2026年第1四半期の決算説明で業績予想を上方修正するなど、安定した業績を維持しています。
企業ごとの好不調は商品戦略やエリア特性の影響も大きく、市況全体を一社の事例だけで判断することはできません。
しかし、都心の不動産は日本国内だけでなく海外の投資家からも注目されており、価格が大きく下がることなく、安定した動きを見せているといえます。
郊外や地方、築古物件は値下がり傾向に
郊外や地方の物件、また築年数が古い住宅のなかには、人口減少や買い手の減少により価格を下げなければ売却しにくいケースもあります。
特に、最寄り駅から遠い、周辺に商業施設や医療機関が少ないといった「利便性に乏しい物件」は、希望価格のままではすぐに買い手がつきにくいでしょう。このような立地の物件は資産価値が下がるリスクを抱えており、希望する価格で売却できなかったり、売却までに時間がかかったりするおそれがあります。
ただし、以下のような条件下では、逆に価格が上昇するケースが見られます。
- リゾート地や移住先として人気の高い地域(軽井沢、鎌倉、熱海など)
- 再開発が盛んなエリア
- リノベーション前提で価値を見い出せる築古物件
物件の価値は一律ではなく、立地やニーズ、再活用の可能性などを踏まえて個別に判断することが大切です。
不動産市況の今後は二極化
今後の不動産市況は「どこでも同じ」ではなく、立地や物件の条件によって大きく差が開いていくと見られています。
たとえば、都心や利便性の高いエリアでは、需要が安定しており、価格も高水準を維持しやすい状況が続いています。一方で地方や郊外、築年数の古い物件では、買い手がつかず価格が下がる傾向が強まっています。
つまり、以下のように、今後は「資産として強い物件」と「売れにくい物件」がはっきり分かれていくと予想できるでしょう。
| エリア・物件の特徴 | 今後の傾向 |
|---|---|
| 都心・主要駅近・利便性が高い物件 | 価格は維持、場合によっては上昇 |
| 地方・郊外・築古・利便性が低い物件 | 売れにくく、値下がりリスクが高い |
そのため、「市況が悪化している」と感じたときは、自分の所有・検討している物件がどちらの傾向にあるのかを見極めたうえで、適切な行動をとることが重要です。
- 購入を検討しているなら:今後も価値が維持されやすい立地か?
- 売却を検討しているなら:市況が堅調な今のうちに売る価値があるか?
不動産は「どこでも同じ」ではありません。全体の流れと自分の状況を照らし合わせながら判断していきましょう。
今後の不動産市況に備えて、いますべき対策
不動産市況がピークアウトを迎えて不動産価格が大きく下落した際は、購入価格よりも売却価格が大幅に減少し、最終的な収支が赤字に転じるリスクが増大します。
不動産価格が下落する要因は、在庫数の増加や銀行融資の冷え込み、建築コストの高騰、人口減少や少子高齢化などさまざまです。
ピークアウト後の不動産市況を乗り切るためには、事前に十分な対策を施し、出口戦略を考えておくことが大切です。ここでは、今後の不動産市況に備えた対策を紹介します。
固定金利で金利が安いうちに購入する
政府の利上げ方針もあり、今後の住宅ローン金利はさらなる上昇傾向にあると予測されます。
固定金利であれば、経済情勢によって金利が上昇した場合でも、返済総額が増加するリスクがありません。固定金利の場合は変動金利と違って将来金利が変わらず、返済総額が未確定になるリスクがないためです。
仮に、5,000万円を35年で返済する場合、金利が1%違うだけでも、条件によっては返済総額が1,000万円程度の差が生じるケースもあります。
以上を踏まえると、不動産価格が下がってから購入するのではなく、固定金利で少しでも金利が安いうちに購入しておくことが得策といえるでしょう。
値下がりしづらい立地の不動産に投資する
どんな建物でも、年月がたてば老朽化し不動産評価は下がっていきます。しかし、立地に関しては仮に10年たっても評価が変動しなかったり、都市の開発状況によっては反対に値上がりしたりする場合があります。
投資用不動産を購入する際には、居住ニーズが見込まれるエリアや建物を選ぶことが重要です。交通アクセスがよく人口も増加傾向にあるエリアや、街全体の発展が進み商業ビルの建設や都市開発が促進されるエリアは、長期的な不動産需要が期待できます。
また、立地条件のよいエリアでは安定した家賃収入が期待できるため、物件のメンテナンスにもお金がかけやすくなります。
こまめなメンテナンスで資産価値を保つ
賃貸経営では、収益性を安定させて高い賃料を維持するため、こまめなメンテナンスで資産価値を保つ必要があります。
経年により老朽化した賃貸物件でも、定期的な修繕やメンテナンスを実施することで、安定した家賃収入が見込めます。築年数が古く維持費や管理費がかかる物件でも、メンテナンスが的確に行われていれば入居者がつきやすく、資産価値を保つことにつながります。
高値で売却しやすいうちに売る
不動産の価格は、建物の価格と土地の価格の2つを合計した額です。建物の価格は築年数が経過するごとに下がるため、基本的には不動産市況にかかわらず築年数が浅いうちに売却したほうが高値で売れる可能性が高いでしょう。
一方、土地の価格は将来の需要により変わります。近くにニーズの高い商業施設などが建設されれば土地の価値は上がりやすいですが、嫌悪施設と呼ばれる周囲の人が嫌がるような施設が周辺に建つ場合、逆に値下がりしやすくなります。
一般的に、以下のような施設が嫌悪施設とされています。
- 悪臭や健康被害が懸念される施設(ごみ焼却場や下水処理場など)
- 事故などの危険が懸念される施設(ガソリンスタンドや原子力発電所など)
- 周囲に住みたがらない人が多い施設(風俗店や墓地、パチンコ店など)
良好な住環境を保護する必要のある「第一種低層住居専用地域」は、良好な住環境を守ることを目的とした用途地域のため、建てられる建物の種類や高さに一定の制限があります。
具体的な制限内容は自治体によって異なりますが、周辺には活気があり、人の出入りも比較的多いため、土地が高値で売れる確率は高いといえます。
不動産の売却は経済状況だけでなく、建物の築年数や今後の土地の需要も踏まえたうえで、適切な時期に売り出しましょう。不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」では、複数の会社に査定依頼をできるため、適切な売り出し時期を無料でアドバイスしてもらえます。
不動産で利益を出したい人はプロの力を借りて、信頼できる不動産会社のアドバイスをもとに、売り出し時期を決定しましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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