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施設に入った親の家、売却する?代わりに住む?判断方法と売る際の注意点

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施設に入った親の家、売却する?代わりに住む?判断方法と売る際の注意点

親が施設に入ると、空き家になった実家をこのまま残すか、売却するかで迷うことがあります。特に、親が認知症の場合に売却できるのか、子どもが代わりに手続きを進められるのか、住民票や税金をどう扱えばよいのかは判断しにくいところです。

施設に入った親の家を売却できるかどうかは、まず親本人の意思と判断能力によって変わります。判断能力があれば本人による売却や代理人への委任が可能な場合があり、十分な判断能力がない場合は成年後見制度などを検討します。

この記事では、施設に入った親の家を売却するときに確認したい判断能力、売却方法、3,000万円特別控除、家族間の注意点、空き家の維持リスクまで、順を追って解説します。

リビンマッチのポイント

施設に入った親の家は、認知症でも意思能力があれば売却できる場合があります。本人による手続きが難しければ代理人、意思能力が不十分なら成年後見制度を検討します。あわせて、3,000万円特別控除の期限、住民票、売却代金の管理、空き家の維持負担も確認して判断することが重要です。

もくじ

施設に入った親の家を売却する前に確認したい5つのポイント

施設に入った親の家を売却するときは、親の意思や判断能力だけでなく、税金の特例、売却手続き、家族への情報共有、空き家を維持する場合の負担も確認する必要があります。

主な確認ポイントは次の5つです。

  • 親の意思と判断能力を確認する
  • 3,000万円特別控除の適用期限と要件を確認する
  • 親の判断能力に応じた売却方法を選ぶ
  • 家族間のトラブルを避けるために情報を共有する
  • 空き家のまま所有する場合のリスクと維持費を確認する

まずは、売却できるかどうかの前提となる親本人の意思と判断能力から確認します。

親の意思と判断能力を確認する

施設に入った親の家を売却する場合、最初に確認したいのが、所有者である親本人に売却の意思があり、売買契約の内容を理解して判断できる状態かどうかです。

親が認知症と診断されていても、それだけで家を売却できなくなるわけではありません。重要なのは、認知症の診断名や程度ではなく、親本人に売却について判断できる「意思能力」があるかどうかです。

なお、この記事では親が単独で所有している家を中心に解説します。共有名義の家全体を売却する場合は、親の意思だけでなく、ほかの共有者の同意も必要です。

まずは、認知症の親でも家を売却できるケースと、判断能力に不安がある場合の対応を確認しましょう。

認知症の親の家は売却できる?

認知症と診断されていても、親本人に意思能力があれば家を売却できる場合があります。

不動産の売却で重要なのは、親本人が売却する不動産や価格、売買契約の内容、その結果を理解したうえで、自分の意思で判断できるかどうかです。そのため、「認知症だから売れない」「軽度の認知症なら必ず売れる」と一律に判断することはできません。

親の状態による売却の考え方を整理すると、次のようになります。

親の状態と売却の考え方
親の状態売却の考え方
判断能力に問題がない親本人が売主として売却できる
認知症と診断されているが、契約内容や結果を理解して判断できる親本人が売却できる場合がある
契約内容や売却の結果を理解して判断することが難しい親本人による通常の売却は難しく、成年後見制度などを検討する

家は親の財産です。子どもや兄弟姉妹が売却したいと考えていても、親本人に意思能力がある場合は、本人の売却意思を確認したうえで手続きを進めます。

判断能力に不安がある場合は専門家に確認する

親との会話がかみ合わない、日によって判断が変わる、売却価格や契約内容を十分に理解できているかわからないといった場合は、家族だけで判断せず、専門家へ相談しましょう。

不動産取引では本人の意思能力の確認が重要です。判断が安定しない場合には、医師や司法書士、弁護士などに確認したうえで取引を進めることがあります。

親本人の意思能力が十分でない場合の売却方法については、「親の判断能力に応じて売却方法を選ぶ」で詳しく解説します。

3,000万円特別控除の期限と要件を確認する

親が住んでいた家を売却して譲渡所得が生じる場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を利用できる可能性があります。一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。

親が施設へ入って自宅に住まなくなった場合は、特に売却期限を確認する必要があります。また、住民票を移したかどうかだけで、特例の適用可否が決まるわけではありません。

ここでは、施設入所後に家を売却する場合の期限と主な要件、住民票との関係を確認します。

住まなくなった日から3年を経過する日の属する年末までに売却する

親が施設へ入所し、それまで住んでいた家に住まなくなった場合でも、すぐに3,000万円特別控除の対象外になるわけではありません。

以前住んでいた家は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば、ほかの要件を満たすことで特例を利用できる場合があります。

注意したいのは、期限の基準が必ずしも「施設へ入所した日」ではないことです。基準となるのは、その家を生活の本拠として使用しなくなった日です。

そのため、「施設へ入ってから約3年以内に売ればよい」と単純に考えず、親が実際に自宅で生活しなくなった時期を確認しておきましょう。

3,000万円特別控除の主な適用要件を確認する

3,000万円特別控除を利用するには、売却期限以外の要件も満たす必要があります。

主な確認事項は次のとおりです。

  • 親が実際に居住していた家や、その家とともに敷地を売却すること
  • 住まなくなった家の場合は、所定の期限までに売却すること
  • 売却した年の前年・前々年に、3,000万円特別控除など一定の特例を利用していないこと
  • 売却相手が親子や夫婦など一定の特別な関係にある人ではないこと

この特例は、家の所有期間が10年を超えていなくても利用できます。所有期間10年超が要件となる「居住用財産の軽減税率」とは別の制度なので、混同しないようにしましょう。

また、3,000万円特別控除を利用するためだけに一時的に住んだ家や、別荘などは対象になりません。実際に生活の本拠として使用していた家であることが重要です。

なお、家を取り壊して敷地だけを売却する場合でも、取り壊しから売買契約までの期間や敷地の利用状況など、一定の要件を満たせば特例を利用できることがあります。

住民票を移しても直ちに控除対象外になるわけではない

親が施設へ入るとき、「住民票を施設へ移すと3,000万円特別控除を利用できなくなるのでは」と心配になることがあります。

しかし、住民票の所在地だけで、その家が居住用財産に該当するかどうかが決まるわけではありません。

居住用財産に該当するかどうかは、実際にその家を生活の本拠として使用していたかなどを踏まえて判断されます。単に住民票を置いているだけで、居住用財産と認められるわけではありません。

そのため、3,000万円特別控除を受けるために住民票を実家へ残しておく必要がある、とはいえません。反対に、施設へ住民票を移しただけで直ちに対象外になるとも限りません。

判断が難しい場合は、売却前に税務署や税理士へ確認しておきましょう。

親の判断能力に応じて売却方法を選ぶ

親の家を売却する方法は、本人の意思能力や、施設から外出して手続きできるかどうかによって異なります。

主な方法は次の3つです。

親の状態別の主な売却方法
親の状態主な売却方法
意思能力があり、自分で手続きできる親本人が売主として売却する
意思能力はあるが、外出や契約手続きが難しい子どもなどを代理人にする
意思能力が十分でない成年後見制度などを検討する

それぞれの方法を確認していきましょう。

判断能力がある場合は親本人が売主として売却する

親に意思能力があり、家を売ることについて本人の意思を確認できる場合は、親本人が売主となって通常の不動産売却を進められます。

不動産会社との媒介契約や買主との売買契約も、原則として所有者である親本人が行います。認知症と診断されている場合でも、契約内容や売却によって生じる結果を理解して判断できるのであれば、本人による売却が可能な場合があります。

子どもは、不動産会社への問い合わせや査定の手配、必要書類の準備などを手伝えます。ただし、家を売るかどうかや売却条件を最終的に決めるのは親本人です。

判断能力はあるが手続きが難しい場合は代理人を立てる

親に意思能力はあるものの、施設からの外出が難しい場合などは、子どもなどを代理人として売却手続きを任せる方法があります。

代理人を立てる場合は委任状を作成し、たとえば次のような委任する権限の範囲を明確にします。

  • 売買契約書への記名・押印
  • 手付金の受領
  • 領収書の発行
  • 付帯設備表などの書類への記名・押印

どの手続きを代理人へ任せるのか、委任状で具体的に定めておくことが重要です。

ただし、代理人を立てても、代理人が自由に売却条件を決められるわけではありません。親本人が売却内容を理解し、代理人へ手続きを任せる意思があることが前提です。

判断能力が不十分な場合は成年後見制度を検討する

認知症などによって親本人が売買契約の内容を理解し、売却するかどうかを判断することが難しい場合、子どもが親名義の家を勝手に売却することはできません。

このような場合は、成年後見制度の利用を検討します。

法定後見制度には、本人の判断能力に応じて次の3種類があります。

法定後見制度の種類と不動産売却での扱い
種類判断能力の状態不動産売却での主な扱い
後見判断能力を欠く状態成年後見人が本人に代わって契約できる
保佐判断能力が著しく不十分原則として本人が契約し、重要な財産行為には保佐人の同意が必要。代理権が付与される場合もある
補助判断能力が不十分原則として本人が契約する。特定の行為について補助人の同意や代理が必要になる場合がある

どの制度を利用するか、また後見人等がどこまで代理できるかは、本人の状態や家庭裁判所の審判内容によって異なります。

居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要

成年後見人が選任されても、親の不動産を自由に売却できるわけではありません。

売却では、主に次の点が確認されます。

  • 必要性:施設費用や医療費の確保など、売却する必要があるか
  • 相当性:売却価格などの条件が適切か
  • 家庭裁判所の許可:居住用不動産を売却する場合に必要

家庭裁判所の許可を得ずに居住用不動産を処分すると、その行為は無効となります。

親が現在は施設に入所していても、退所後に戻る予定の自宅などは、成年後見制度上の「居住用不動産」に該当することがあります。

成年後見人等の選任には一定の期間がかかるため、施設費用の支払いなどで売却期限がある場合は、早めに司法書士や弁護士などへ相談しましょう。

家族間のトラブルを避けるために準備する

施設に入った親の家を売却すると、売却代金の使い道や家財の処分などをめぐって、兄弟姉妹の間で意見が分かれることがあります。

ただし、親が単独で所有している家であれば、売却するかどうかを決めるのは原則として所有者である親本人です。兄弟姉妹全員の同意が売却の条件になるわけではありません。

一方で、家族に何も知らせずに手続きを進めると、「なぜ売ったのか」「売却代金はどうなったのか」といった疑念につながることがあります。法的な権限と家族間の合意形成を分けて考え、必要な情報を共有しておきましょう。

売却する理由や今後の予定を家族で共有する

売却を進める前に、親本人の意向を確認したうえで、兄弟姉妹にも売却する理由や今後の予定を共有しておくとトラブルを防ぎやすくなります。

次のような点を確認しておきましょう。

  • 親本人が家の売却を希望しているか
  • なぜ今売却するのか
  • 施設費用や介護費用に充てる予定があるか
  • 家財や仏壇などをどのように扱うか
  • 誰が不動産会社との連絡や手続きを担当するか

実家に思い入れのある家族がいる場合もあるため、売却が決まってから知らせるのではなく、早い段階で事情を共有しておくとよいでしょう。

売却代金は親の財産として管理する

親名義の家を売却して得た代金は、原則として親の財産です。そのため、売却代金は親名義の口座で管理するのが基本です。

施設費用や介護費、医療費などに使用する場合も、何にいくら使ったのかがわかるようにしておくと、家族間の認識違いを防ぎやすくなります。

子どもが親の預金を管理する場合は、親のお金と自分のお金を混在させないことも重要です。売却代金を子どもの財産として扱ったり、家族間で自由に分けたりすると、贈与など税務上の問題につながる可能性があります。

親自身で財産を管理することが難しい場合は、成年後見制度なども含め、適切な管理方法を専門家へ相談するとよいでしょう。

手続きや支出の記録を残しておく

家族の一人が売却手続きや施設費用の支払いを担当する場合は、手続きやお金の流れを記録しておきましょう。

保管しておきたい主な資料は次のとおりです。

  • 不動産会社から受け取った査定資料
  • 売買契約書
  • 売却代金の入金記録
  • 施設費用や介護費用の領収書
  • 修繕や家財処分などの支出記録

親が亡くなったあとに相続が発生した場合も、親の財産や生前の支出を確認しやすくなります。

空き家のまま所有するリスクと維持費を確認する

親が施設へ入ったあと、家をすぐに売却せず、空き家のまま所有することもできます。ただし、誰も住んでいなくても固定資産税などの税金や管理費用は発生し、建物の管理も続ける必要があります。

また、管理状態が悪化すると、住宅用地に適用されている固定資産税などの特例を受けられなくなる場合があります。売却するか迷っている場合は、空き家として所有し続ける場合の費用とリスクも確認しておきましょう。

空き家でも固定資産税や管理費用がかかる

親が施設へ入って誰も住まなくなっても、家を所有している限り固定資産税はかかります。地域によっては都市計画税も課税されます。

さらに、空き家を維持するためには、次のような費用がかかることがあります。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 電気・水道などを維持する場合の基本料金
  • 庭木の剪定や草刈りの費用
  • 建物の清掃や点検にかかる費用
  • 雨漏りや設備の故障などの修繕費
  • 遠方にある場合の交通費や管理代行費用

実際にかかる金額は、家の評価額や大きさ、立地、建物の状態、管理方法などによって異なります。現在支払っている税金や保険料に加え、今後必要となる管理費用も確認しておきましょう。

管理状態が悪いと住宅用地の特例を受けられなくなることがある

住宅の敷地には、固定資産税などの負担を軽減する住宅用地の特例があります。小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税の課税標準が3分の1になります。

空き家になっただけで、この特例が直ちになくなるわけではありません。

空き家の状態と住宅用地の特例
空き家の状態住宅用地の特例
通常の空き家原則として引き続き適用される
管理不全空家等・特定空家等として市区町村から勧告を受けた対象から外れることがある

そのため、「空き家になると固定資産税が6倍になる」という説明は正確ではありません。住宅用地の特例が外れることで課税標準は上がりますが、実際の税額には負担調整措置なども影響します。

管理しないまま放置すると建物の劣化や近隣トラブルにつながる

空き家は換気や清掃、設備の点検をする機会が減るため、不具合に気づかないまま建物の状態が悪化することがあります。

特に注意したいのは次のような問題です。

  • 湿気や雨漏りによる建物の劣化
  • 庭木や雑草の繁茂
  • 隣地や道路への枝などの越境
  • 害虫の発生
  • 不法投棄
  • 遠方の実家を定期的に確認する負担

将来的に親が自宅へ戻る予定がある場合は、適切に管理しながら所有を続ける方法もあります。今後も誰も住む予定がない場合は、維持費や管理負担も含めて売却するかどうかを検討しましょう。

施設に入った親の家の売却に関するよくある質問

施設に入った親の家を売却するときは、住民票の扱いや売却代金の管理、生前に売るべきかどうかなどで迷うことがあります。ここでは、よくある疑問をまとめます。

Q. 親が施設に入ったら、住民票は実家に残したほうがよいですか?

3,000万円特別控除を受けるためだけに、住民票を実家へ残す必要があるとはいえません。

居住用財産かどうかは、住民票だけではなく、実際に生活の本拠として使用していたかなどを踏まえて判断されます。

住民票の扱いは市区町村へ、3,000万円特別控除の適用については税務署や税理士へ確認しましょう。

Q. 親の家を売った代金は子どもが受け取ってもよいですか?

代理人として子どもが売却代金の受領手続きを行うことはありますが、売却代金そのものは親の財産です。

原則として親名義の口座で管理し、子どもの財産と混在させないようにしましょう。子どもへの贈与や兄弟姉妹への分配を行う場合は、贈与税などの税務上の問題にも注意が必要です。

Q. 親が生きているうちに家を売るのと、相続後に売るのではどちらがよいですか?

一概にどちらが有利とはいえません。生前と相続後では、利用できる可能性がある税金の特例や、売却する目的が異なります。

生前売却と相続後売却の比較
比較親の生前に売却相続後に売却
売却する人原則として親本人家を相続した相続人
主な特例居住用財産の3,000万円特別控除被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除
主な確認事項住まなくなった日、売却期限、親の意思能力建築時期、建物の種類、相続後の利用状況など
判断材料施設費用などを生前に確保する必要があるか相続まで家を保有する必要があるか

相続後の空き家に対する3,000万円特別控除は、原則として昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有建物ではないこと、相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったことなど、複数の要件があります。

親が亡くなる直前まで老人ホームなどに入所していた場合も、一定の要件を満たせば対象になることがあります。

そのため、「施設に入ったら生前に売ったほうが得」とは一律に判断できません。親の生活資金、家へ戻る可能性、税金の特例、相続後の管理負担を比較して判断しましょう。

まとめ

施設に入った親の家を売却する場合は、まず親本人に売却の意思と判断能力があるかを確認します。認知症と診断されていても、売買契約の内容や結果を理解して判断できる状態であれば、本人が売却できる場合があります。

親本人が手続きに対応しにくい場合は代理人を立てる方法があり、十分な判断能力がない場合は成年後見制度などを検討します。

また、売却前には3,000万円特別控除の期限や要件、売却代金の管理方法、空き家の維持費や管理リスクも確認しておきましょう。

「施設に入ったからすぐ売る」「認知症だから売れない」と一律に判断せず、親の状態と今後の生活、家族の事情を整理したうえで売却方法を選ぶことが大切です。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部アイコン リビンマッチ編集部

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