空き家投資の波に乗れ?注目の理由と失敗リスク、儲けを出すポイント
空き家投資とは、だれも住んでおらず放置されている住宅を安く買い取り、リフォームや再開発などを行って利益を得ることです。
日本では高齢化や過疎化などの影響で空き家数が増え続けているのが問題となっていますが、それを逆手に「少ない初期投資でビジネスを始められる」「手軽に不労所得を得るチャンス」とあって近年ニーズが高まっています。
不労所得を得て生活している投資家はもちろん、一般の会社員からも注目を集めている理由は何でしょうか。注目の理由や空き家投資の失敗事例、リスクを最小限にして儲けを出すポイントを紹介します。
もくじ
【前提】空き家投資とは
空き家投資とは不動産投資のひとつで、築年数の古い戸建ての空き家物件を購入後に何らかの形で運用し、利益を得ることです。
空き家投資には以下の3つの方法があります。
- 他人に賃貸して、賃貸収入を得る
- リフォームして販売し、売却益を得る
- 民泊やシェアハウスなどの事業をおこない、事業所得を得る
マンション投資は数千万円など多額の初期投資が必要ですが、空き家は数百万円で購入できることがほとんどです。初期投資の少なさから、空き家投資に関心を持つ人が増えています。
一方で築数十年経過し、長期間だれも住んでいない家が多いため、リフォームが必要です。
空き家投資にいま注目が集まる理由
空き家投資はここ数年注目が集まっています。その理由は初期投資の少なさや空き家問題の増加など4点あります。
少ない初期投資で始められる
空き家投資に注目が集まる理由のひとつは、初期投資の少なさです。会社員投資家に人気の都心区分マンションの場合、購入には1,000万円以上かかるのが一般的です。多くの方はローンを組むことになるでしょう。
一方、空き家投資では200万円程度で購入できるものが多く、都内でも家の状態によっては500万円以内で売り出されていることもよくあります。200万円で購入した物件に、300万円のリフォーム費用がかかっても初期投資は500万円で済みます。
住み手がおらず管理するのも大変なので、「安くてもいいから買ってほしい売主が多い」のが空き家投資の魅力です。
貯金の範囲内で初期投資できれば、ローンを組まず現金のみで始められるので、借金を背負うリスクもありません。
空き家問題の解決につながる!高い貢献性
空き家は、近年右肩上がりで増え続けています。総務省の「平成 30 年住宅・土地統計調査」によると、2018年10月1日時点における日本の1世帯あたりの住宅数は1.16戸で、1世帯1戸以上です。850万戸もの空き家が、活用されずに眠っています。
一方で、高齢単身者や外国人、家賃滞納者などアパートへの入居を断られるケースも多々起こっています。この問題を解決すべく、空き家を活用する事業が地方公共団体(自治体)からも注目されています。
この事業では、ほかの物件で入居を断られた人に安価で空き家物件を貸し出しています。事業を支援したい投資家から資金を集めてどんどん規模を拡大しており、空き家の活用は注目されています。
また、空き家投資は地域の工務店や不動産会社と協力して進めることで、空き家を減らしながら地元経済を回せる可能性も秘めています。
クローズアップ現代やガイアの夜明けでも放送!空き家投資ツアーなど情報の拡散
空き家投資は2022年9月20日、NHKの「クローズアップ現代」で取り上げられ話題となりました。さらに、2023年6月23日にはテレビ東京の日経スペシャル「ガイアの夜明け」でも放送され、注目の高さが伺えます。
ガイアの夜明けでは、大きく3つの空き家投資の取り組みについて特集されました。
- 東京・港区にある「空き家活用株式会社」の取り組み
- 「全国古家再生推進協議会」が手がける空き家投資ツアーについて
- 生活雑貨店「無印良品」の空き家活用の取り組み
空き家活用株式会社は正確な空き家の数を調査し、不動産会社に公開しています。物件売買がしやすいよう不動産会社にデータを提供し、データを元に不動産会社から物件所有者にアプローチしています。
空き家を処分、活用する際は手続きが煩雑で、所有者もどうしてよいかわからないケースが多く、官民一体となり、空き家活用株式会社が相談窓口を務める取り組みを始めているのです。
全国古民家再生推進協議会が開催する空き家投資ツアーは会社員投資家に大人気で、キャンセル待ちのツアーが数多くあります。全国古民家再生推進協議会が賃貸需要の見込める空き家物件を探し、ツアーの参加者に紹介しています。
投資ツアーで参加者が入札し、売主が了承すれば売買契約が成立します。その後、全国古民家再生推進協議会が地域の工務店などの業者を紹介し、入居までを一貫してサポートするというものです。
お金と違って現物資産だから、賃貸で失敗しても別のビジネスチャンスが
空き家投資は預金や株式投資などと違い、現物資産です。たとえば株式投資では、会社が倒産してしまうと株の価値はなくなり、ただの紙切れになってしまいます。
しかし、不動産投資ではたとえ賃貸経営などに失敗しても、その不動産はまだあなたのものです。そのため、別のビジネスチャンスとして民泊やシェアハウス、店舗に切り替えるなど方向転換ができます。賃貸経営のときでも、たとえばシェアハウスであれば、複数人で部屋を借りるため、入居者がゼロになるリスクは少ないでしょう。
また、インフレーションでモノの価値が上がり、円の価値が下がったとします。日本円の価値が下がるため、円を外国円に両替するときは低価格になってしまうでしょう。しかし、不動産はモノですから、円安時にモノの価値が上がると同時に不動産の価値(家賃や物件の購入価格)も上昇する傾向があります。
さらに、不動産は土地と建物から成るため、土地の価値が上昇すれば投資全体の価値も上昇します。土地の価値はなくならないため、最低でも土地の価格で売却可能なケースもあります。
気になるリスクは?空き家投資の失敗事例
メリットが多い空き家投資ですが、やはり失敗するリスクも気になるでしょう。空き家投資が失敗する主な代表例は以下の4点です。
リフォーム代をかけすぎた
安い価格で手に入れた空き家物件でも、リフォームに資金をかけすぎると利回りが低下してしまいます。リフォームは手をかけようと思えばいくらでもかけられるため、デザインにこだわったり、高級な建材を使ったりしようと思うとキリがありません。
100万円で購入できた物件でも、1,000万円もリフォームにかかってしまっては、初期投資が少ないメリットを活かせません。こだわるとあれもこれもと気になってしまいますが、冷静に「この家に住めるか」を基準にすることが大切です。
ホームインスペクションを実施しなかった結果、想定外の出費に
ホームインスペクションとは、住宅診断士による住宅診断のことです。中立の立場で、主に戸建て中古住宅の建物の劣化や、設備の不具合をチェックします。具体的な検査箇所は、以下のように買主からは見えにくい部分です。
- 柱や梁、床などの構造部分
- 屋根やサッシなどの雨漏りや水漏れにかかわる部分
- 給排水にかかわる管の劣化
目視で設備は現状のままで使えると判断し購入した場合でも、以下のような見えにくい劣化が見つかることがあります。
- 雨漏りがわかり、屋根がすべて葺き替えになった
- 給排水管が劣化していて取り替えが必要になった
屋根の葺き替えや、給排水管の取り替えなど、大掛かりなリフォームが必要になったときは簡単に300万円程度のリフォーム費用が上乗せになってしまいます。初心者が空き家投資をおこなうときは、必ずホームインスペクションを実施しましょう。
入居者が決まらない(空室リスクが高い)
駅からも遠く、スーパーなどの生活利便施設や学校から遠いといった立地に問題がある場合、そのままでは賃貸や売却する需要が見込めません。
戸建て中古住宅は、家族が入居し長く住んでくれるメリットがある一方、入居づけがスムーズにいかない危険性もあります。
その一方で空き家物件は、移住者やセカンドハウスを求める人、ワーケーションをおこないたい人にも需要があります。一般的な不動産サイトだけではなく、自らSNSなどで物件を紹介していくなど露出を増やすことが大切です。
出口が見えない
空き家となっている時点で、すでに築40年から50年以上と、耐用年数を超えている物件がほとんどです。そのためリフォームして賃貸として貸し出しても、その先30年、40年と貸し続けられるかわかりません。
最終的には土地として、取得価格で売れることを考えた土地選びが大切です。特に「再建築不可」の物件を購入したときは取得費が安く済みますが、新たな建築物を建てられないので売却しにくくなります。
リスクを最小限にして儲けを出すポイント
空き家投資には初期費用を少なく始められ、利回り高く運用できるメリットがあります。一方、入居者が決まりにくい、思った以上にリフォーム費用がかかるなどのリスクもあります。
メリットを活かしながら、リスクを最小限にするポイントを4つチェックしてみましょう。
まずは経験者に相談!仲間をつくって最新情報を得る
空き家投資を始めるときは、「どのような条件でどこから物件情報を探せばよいのか」など、何から始めて良いか迷ってしまいます。
「綺麗でリフォームが必要ない好物件と思っても、賃貸需要のない土地だった」など、初心者では判断がつきにくいことが多いのです。
全国古家再生推進協議会が主催する空き家ツアーやセミナーに参加することで、志を同じくする仲間と知り合え、主催者と顔馴染みになって情報を得られます。
SNS上などでも不動産投資家のコミュニティは数多くありますが、中には高額の入会料や月額費用がかかる不審なものもあるので、見極めが必要です。
購入する物件を誤らない!「購入価格<利回り」になる物件のみ購入する
空き家はすでに耐用年数を超えた築古物件がほとんどのため、出口として売却することも視野に入れることが大切です。売却益で大きくすることは難しいですが、土地の価格だけで購入価格と同程度で売れる物件選びをしましょう。
以下のような物件は土地の価格だけで、購入価格と同程度で売れやすいとされています。
- 地価が高い地域や、人気のあるエリアなど需要が高い
- 駅やバス停、高速道路などの交通アクセスが良い
- 公園や商業施設、学校などが近く、周辺環境が良い
- 整形地や角地など、土地の形状が良い
耐震工事など、大きくリフォーム費用のかかる物件の購入はリスクが高めです。建築基準法に沿う安全な物件であること、ホームインスペクションを実施し、柱や屋根、排水管に重大な劣化がない物件を選ぶことが大切です。
また、窪地や崖地は建物が沈下するおそれがあるため避けましょう。擁壁のうえにある物件も、擁壁の補強が必要になりリフォーム費用が高額になるケースがあるため、注意が必要です。
また、賃貸需要を調べる方法としては、対象地域の「生活保護住宅扶助」の額を確認するのがおすすめです。生活保護住宅扶助の額は、対象地域の家賃の最低額の参考になります。
リフォーム費用をかけすぎない
せっかく安く購入できても、リフォーム費用をかけすぎてしまっては本末転倒です。
たとえば100万円で購入した空き家を200万円でリフォームし、家賃5万円で貸し出せば、5万円×12カ月÷(100万円+200万円)×100=20%となり、利回りが20%確保できます。
しかし、100万円で購入した空き家に、1,000万円もリフォーム費用をかけてしまったら、家賃8万円で貸し出せても8万円×12カ月÷(100万円+1,000万円)×100=8.73%となり、利回りが11.27%下がってしまいます。
前者は初期費用が5年で回収できますが、後者は12年ほどかかります。初期費用を抑えることで2軒目3軒目の物件に挑戦できれば、「早めに初期費用が回収できる」「どこかは空室になっても収入がゼロにならない」などリスクを減らすこともできます。
物件状況と売買契約書をよく確認する
空き家物件を購入するときは、以下のように物件状況と売買契約書をしっかり確認しましょう。
- 物件状況と売買契約書の内容にズレがないか
- あとから欠陥が見つかったとき用の、売主が補修する期間と範囲の記載
- 欠陥があったときの修繕負担についての記載
売買契約書によって、補修する箇所のお金を誰が支払うのか、誰に責任があるのかが異なるためです。
たとえば売買契約書に雨漏りの記載があったうえで、合意して購入したときは買主が自分で補修する必要があります。
一方で雨漏りの記載がなく、あとからわかったときは、売主が売買契約書の状態に補修するよう請求できます。ただし、売買契約書に「あとから見つかった欠陥は買主負担」など明記されている危険性もあるため、必ず入念なチェックが必要です。
まずは経験を!将来売却予定の実家や持ち家があれば、不動産査定で専門家から知識を得る
手軽に空き家投資ができるからといって、いきなり始めるのはおすすめしません。まずは、不動産で収益を得るプロの「不動産会社」がどのように査定を行い、「いくらで売り出すのか」「いくらで買い取るのか」確認してみましょう。
確認でもっともおすすめなのが、みずからが不動産会社のお客様になることです。不動産会社もやはり利益が得られるお客様を大切にしますから、タダで知識だけ欲しいお客様を相手に重要な情報を教えてくれる可能性は低いです。
ぜひ将来だれも住む予定のない実家や持ち家を、この機会に査定に出してみてください。その際、査定価格の根拠を聞くのはもちろん、査定方法などは隣で見て確かめてください。
売る・売らないは査定価格を見てから判断されるお客様が多いため、「やっぱり売却はやめておく」となっても恨まれることはありません。
自分がお客様となって得た知識で、空き家投資を成功させましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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