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消費税増税は賛成?反対?メリットとデメリットをわかりやすく解説

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消費税増税は賛成?反対?メリットとデメリットをわかりやすく解説

消費税が導入されたのは1989年で、当時の税率は3%でした。その後、国民から反発を受けつつも1997年に5%、2014年に8%まで増税し、2019年は飲食料品などを除いて10%まで引き上げられました。

最近では、内閣総理大臣の岸田文雄首相がたびたび消費税増税の姿勢を見せていることから、批判の声が多く集まっています。しかし、増税には反対派が多い一方で賛成派がいるのも事実です。

そこで本記事では税理士法人に勤務して5年以上の現役税理士が、増税のメリットとデメリットを解説します。財務省の立場、日本の立場、私たち一般消費者の立場からそれぞれ解説していますので、ぜひ参考にしてください。

財務省が提言する消費税増税の理由

消費税とは物の購入や役務えきむ(法人または個人が事業として行うサービス)の提供などを受けた際に負担する税金です。消費税は幅広い世代へ薄く課税できるため、ほかの税金の増税と比べれば、納税者のインパクトは小さい、と考える人がいます。

ここでは、財務省のホームページを参考に消費税増税の理由をわかりやすく解説します。

負担を分かち合える

日本では、超高齢化社会によって高齢者の人口が増加しています。医療費など、高齢者のために税金を負担する額はこのままだと今後さらに増加しますが、高齢者を支える15~64歳の現役世代の人数は少子高齢化により年々減少しています。

高齢者の場合、医療費や社会保険料の負担は現役世代に比べて少ないです。働いておらず年金生活をしている人や健康面に不安を感じる人が多いためです。そのため、健康に働く現役世代は、高齢者を支えるために税金を支払う必要があります。

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると1950年時点では高齢者1人を現役世代の12.1人で支えていました。しかし、2020年には高齢者1人を支える現役世代の人数は2.1人にまで減少しています。このままいくと、2065年には高齢者1人を現役世代の1.3人が支える計算です。

そこで、いまのうちから現役世代の税負担を少しでも軽減するために「高齢者からも財源を確保できるようにしましょう」という考えが、消費税を増税する理由の1つ目です。

税収が安定する

消費税増税により税収が安定するということは、消費税の特徴である広く薄い課税ができるようになるということです。

法人税や所得税、相続税などの税金は、そもそもお金を多く所有している富裕層から税金を徴収しようという考えのもと、税率アップなどが行われています。そのため、増税の対象者は富裕層など特定の財産を所有している人に限られます。

しかし、消費税増税の場合は課税されるタイミングが物を購入したときや役務の提供を受けたときです。富裕層など一定の人に限定されておらず、高齢者や現役世代の全員に平等に課税されます。

つまり、現役世代など特定の世代に税負担が集中せず、景気などの変化にも左右されにくいのです。さらに、企業の経済活動にも中立的な特徴があることから、社会保障の安定財源として適しているので、税収が安定します。この考え方が消費税を増税する理由2つ目です。

経済活動の影響が小さい

消費税増税は法人税、所得税、相続税や贈与税などと比べると経済活動への影響は小さいと考えられます。それは税率が低く、物を購入したり役務の提供を受けなかったりすれば、税金を支払うことはないからです。

2023年7月時点の消費税率は飲食料品が8%、それ以外のモノが10%です。所得税の最高税率が45%であることと比べれば低い税率といえます。所得税は収入があれば必ず課税されるのに対して、消費税は物を購入したときや役務提供を受けたときに課税されるので、課税を自分自身でコントロールできます。

つまり、消費税増税はほかの税目と比べても、経済活動の影響が最も小さい税目であると考えられます。この考え方が財務省の消費税増税の理由3つ目です

一般消費者にとってメリットは少ない

消費税の増税は一般消費者にとってあまりメリットはありません。しかし、消費税増税はほかの税目と比べて幅広い世代に平等に課税されます。現役世代が働く意欲を阻害されるのを防止できる可能性があることがメリットです。

たとえば、所得税の税率は累進課税制度を採用しています。累進課税制度は所得が高くなるほど税率も上がり、税負担が大きくなる制度です。そのような特徴がある所得税の増税を実施すると、給与が上がっても所得税増税によって手取り額は上がる前と変わらず、働く意欲を阻害してしまうおそれがあります。

これに対し、消費税増税の場合は広く平等に税金を徴収することができるため、現役世代にとってはメリットと考えられます。

日本にとっての増税のメリットとデメリット

日本にとっての増税のメリットとデメリットを解説します。

日本にとっての増税のメリット

法人税や所得税の場合、収入から経費を差し引いた利益や所得に対して税金が課税されます。そのため、経費を不当に大きくし、利益や所得を小さくするなどして、脱税につながるおそれがあります。

しかし、消費税の場合は物を購入した際や役務提供を受けた際に支払った本体価格に対して納税します。経費を支払った際にしか発生しない税金であることから、経費を不当に操作できないため、脱税を防止することが可能です。

つまり、消費税増税がほかの税金と比べて脱税防止にもつながる点が日本にとっての増税のメリットです。

日本にとっての増税のデメリット

消費税増税によって日本にメリットがある反面、デメリットもあります。たとえば、増税に伴い国民が買い控えをした結果、景気が悪化することです。景気が悪化すれば、経済成長の低迷につながるため日本にとってデメリットです。

また、税制には所得に応じて所得が高い人は多くの税を負担し、所得の低い人は少ない税を負担するという租税立法上の原則、応能負担おうのうふたんという考え方があります。しかし、消費税は一律10%なので、応能負担原則の考えでは所得が低い人ほど税負担が重くなる矛盾が生じています。

応能負担の反対に租税には応益負担おうえきふたんという考え方もあります。これは個人が受けたサービスや内容が同じであれば、所得や個人の能力に関係なく誰であれ同じ税負担をする、という考え方です。

応能負担原則と応益負担原則の考え方の賛否や応能負担原則、応益負担原則どちらを重視するかは「何をもって平等というのか」「平等とは何か」国や個人の考え方により意見が分かれる問題です。

一般消費者にとっての増税のデメリット

消費税は1989年に導入され、冒頭で述べた通り、3%、5%、8%、10%と増税されてきました。この増税は一般消費者からの理解を得るのが難しく、8%から10%へ上がる際には2度の延期を経て増税となりました。

そのため、消費税増税は一般消費者にとってはデメリットであると考えられていることが多いと想定されます。消費税増税が一般消費者にとってデメリットとなることを以下に解説します。

モノを購入したり、サービスを受けにくくなったりする

消費税を支払うタイミングは、物の購入したときや役務提供を受けたときです。そのため、高額な物を購入した際や役務提供を受ける際には本体価格の10%を納税する必要があります。

そのため、消費税を増税した場合には一般消費者、つまり私たちの購買意欲は低下します。増税前にモノの買い占めが起き、増税後すぐは購入を控える人が多いのと同じです。

多くの人は少しでも安くよいモノを購入したい、安い値段で高品質のサービスを受けたいと思うものです。増税すればするほど、新しくモノを購入したりサービスを受けたりする負担も大きくなります


高所得者が海外移住し、日本在住者の負担が増える

増税をすると高所得者は税負担を免れようとして海外へ移住することがあります。台湾やカナダの消費税率は5%(2023年7月時点)であり、日本と比べても半分の税率です。(参考:日本貿易復興機構(ジェトロ)「台湾 税法」、「カナダ 税法」)さらに、シンガポールにいたっては、日本のような住民税や相続税、贈与税がありません。

海外移住をする高所得者が増えれば、それだけ日本の税収も減少しますので、国としては税収を上げるために対策を考えます。これにより、日本在住者に税負担のしわ寄せがくるため、消費税増税は一般消費者にとってデメリットであることがわかります。

不動産の売却代金を元手に移住する人が増加

外務省領事局政策課の「海外在留邦人数調査統計」によれば、海外に住む日本人の数は1989年当時58万6,972人でしたが2022年には130万8,515人と、2倍以上に増えています。

日本の総人口は減り続けてるのに反して、海外に住む日本人は増え続けているのです。

「海外移住は高所得者だけ」というイメージを持つ人も少なくありませんが、海外出稼ぎとしてオーストラリアが注目されたように、海外のほうが稼げるからと移住する人も珍しくありません。また、フランスでは小、中、高、大学、大学院までの学費が日本の10分の1以下で、毎月約2~3万円の補助金が支給されるなど、金銭面で日本よりメリットの大きい国もあります。

そのため低所得者であっても、海外移住に踏み切る人は意外と多いのです。その手段として、日本にある持ち家や実家を売却して、その売却資金を元手に移住する人が増えています。高額な不動産を売却することで手に入る資金を、海外でより優遇された税制や生活環境を持つ国への移住資金として活用するのです。

日本人を含む外国人移住者が増加しているマレーシアなど、一部の海外では移住条件を厳しくするなどの対応策も見られるほど、海外移住はメジャーになってきているのです。

不動産売却の仲介手数料、諸経費が高くなる

相続や住み替えにより不動産を売却しても、売却価額全額を受け取れるわけではありません。仲介手数料や登記費用、印紙代、譲渡所得にかかる所得税などの諸経費を売却価額から差し引いた金額が入金されます。

消費税増税により仲介手数料がどのくらい上がるか、シミュレーションしてみましょう。400万円を超える物件の仲介手数料の計算式は以下のとおりです。

仲介手数料=取引価格×3%+ 6万円(消費税別)

仲介手数料は、宅地建物取引業法によって取引価格ごとに手数料の上限が決められています。たとえば、5,000万円で不動産を売却したとすると仲介手数料は以下のとおりです。

仲介手数料=5,000万円×3%+6万円=156万円(消費税別)

これに消費税8%を加えたときの仲介手数料は次のとおりです。

  • 消費税8%分=156万円×8%=12万4,800円
  • 消費税8%のときの仲介手数料=156万円+12万4,800円=168万4,800円

消費税が8%から10%へ増税になった場合の計算式は次のとおりです。

  • 消費税10%分=156万円×10%=15万6,000円
  • 消費税10%のときの仲介手数料=156万円+15万6,000円=171万6,000円

増税8%から2%が増税となるため、具体的な増税額は以下のとおりです。

171万6,000円-168万4,800円=3万1,200円

上記のように2%の増税で3万1,200円納税負担が増えました。このように消費税増税は不動産を売却する際にも影響します。


不動産売却は増税前がおすすめ

増税前には駆け込み需要があります。モノや不動産の価格が上がらないうちに購入しようと、購入希望者が多くなることです。

消費税が増税すると不動産を売却するときの仲介手数料、つまり納税負担額も多くなります。そのため、納税負担額が少なく、不動産が売れやすい増税前が不動産売却におすすめのタイミングです。

仲介手数料を払わずにすむ方法として、不動産会社に売却の協力を頼まずに個人間の取引で売却する方法もあります。しかし、個人で売却すると購入希望者を探すのに時間がかかりますし、買主と売主とのあいだで「言っていることと違った」などのトラブルに発展しやすいです。

そのため、トラブルなくより早く確実に売却したい場合は、不動産会社の力を借りて増税前に不動産を売却しましょう。増税がどのタイミングで行われるのかは日本の首相しかわかりません。不動産の売却には時間がかかるのが一般的なので、増税のときにすぐ売却できるよう、いまのうちから不動産会社に売却活動を進めてもらいましょう。

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この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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