100万円の土地を売却したら税金はいくら?特例の利用で節税も可能
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土地を売却したときには、税金がかかります。では、100万円程度で土地を売却したケースではどうでしょうか。その程度の金額なら、税金はかからないとお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし実際は、必ず税金がかからないというわけではありません。本記事では、100万円で土地を売った場合にかかることがある税金について解説します。土地の売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
100万円の土地を売ったときにかかる税金
所有している100万円の土地を売却すると、主に5種類の税金が課されます。ここでは、100万円の土地を売却した場合に課される税金や計算方法に加えて、それぞれの税金を納めるタイミングについて解説します。
所得税
土地を売った際にかかる税金のうち、多くを占めているのが所得税です。所得税は、土地を売った際の譲渡所得に対して課税され、譲渡所得が大きいほど納税額が上がります。譲渡所得の計算方法は後述します。
納税時期は、売却した翌年の確定申告時です。土地を所有していた期間によって計算の仕方が異なり、土地の所有期間が5年以内の場合には短期譲渡所得となり、5年を超えている場合には長期譲渡所得となります。
住民税
住民税は売却した年の翌年6月以降に納付通知書が届くため、それに従って納税します。納税方法は、「普通徴収」と「特別徴収」の2種類です。
普通徴収は、自分で住民税を納める方法のことをいいます。支払うときは一括払いか、6月・8月・10月・翌1月の4回に分割して納めます。特別徴収は、勤務している会社の給料から天引きして支払う方法です。
復興特別所得税
復興特別所得税は東日本大震災の復興を目的として納める税金で、2037年(令和19年)まで所得税の2.1%を納めることになっています。所得税を納める義務のある人全てが、納税の対象者です。
印紙税
印紙税は、売買契約の契約書を作成することに対して支払う税金です。印紙税の納税額は、契約書に記された金額(成約価格)によって変化します。土地の売却価格が100万円の場合の納税額は1,000円で、令和9年3月31日までに作成された契約書は軽減税率が適用されて500円になります。
収入印紙は売買契約書に貼られるため、土地売却において印紙税を支払うタイミングは売買契約成立時が一般的です。収入印紙を正しく貼らなかった場合には、納税していないと見なされ過怠税が課されることがあるので注意しましょう。
登録免許税
登録免許税は、登記手続き時に国に納める税金です。通常は売主ではなく、買主が所有権移転登記する際に納めます。ただし、売却する土地の抵当権が銀行によって設定されているケースでは、売主が登録免許税を負担することもあります。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、土地1筆につき1,000円です。なお、相続登記において不動産の価額が100万円以下の土地は、2025年(令和7年)3月31日まで登録免許税が課されないことになりました。
譲渡所得にかかる税金を計算する方法
譲渡所得とは、土地を売却した金額から土地を購入したときの金額と売却にかかった経費を引いた額です。前述した税金を計算するには、譲渡所得を正確に計算する必要があります。ここでは譲渡所得の計算方法と、譲渡所得にかかる税金の計算方法を紹介します。
譲渡所得を算出する方法
譲渡所得は、以下の式で導き出せます。
譲渡金額とは土地を売却した際の金額、取得費は土地の購入にかかった金額を指します。譲渡費用とは、土地の売却にかかった経費の合計のことです。仲介手数料や測量費などが、ここに含まれます。
譲渡金額から差し引かれる取得費が大きくなると、その分だけ税金を圧縮可能です。そのため、取得費を適切に把握することは譲渡所得の計算において重要であるといえるでしょう。また、取得費と譲渡費用の合計が譲渡金額を上回った場合は、譲渡所得税の納税義務が発生しません。
取得費用が分からないときは
売った土地建物が先祖から受け継いだものだったり、買い入れた時期が古かったりして、取得費が分からない場合もあるでしょう。その場合は、売却金額の5%を取得費と見なすことが可能です。なお、実際の取得費が売却金額の5%を下回る場合も、売却金額の5%分を取得費にできます。
たとえば、土地建物を5,000万円で売った際に、取得費が不明な場合は売った金額の売却金額の5%分である250万円が取得費です。取得費には、売った土地・建物の購入代金だけではなく建築代金や購入手数料、設備費や改良費なども含みます。
所有期間で税率が異なる
売却する不動産の所有期間が5年を上回る場合は「長期譲渡所得」、対して所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」と呼ばれます。譲渡所得は売却する不動産の所有期間がどちらの区分に分類されるかによって、所得税や住民税などにかかる税率が変化します。
支払う税金の額に大きな差が生じるため、不動産は売却するタイミングをよく考える必要があるといえるでしょう。
短期譲渡所得の計算方法
短期譲渡所得の場合の税率は、以下の通りです。
- 所得税:30%
- 住民税:9%
- 合計税率(復興特別所得税込み):39.63%
例として、次のようなケースで計算してみましょう。
- 譲渡価格:100万円
- 譲渡時にかかった諸経費:20万円
- 購入価格:50万円
- 取得時にかかった諸経費:5万円
=課税譲渡所得 25万円
=9万9,075円
長期譲渡所得の計算方法
長期譲渡所得の場合の税率は、以下の通りです。
- 所得税:15%
- 住民税:5%
- 合計税率(復興特別所得税込み):20.315%
例として、次のケースを計算してみましょう。
- 譲渡価格:100万円
- 譲渡時にかかった諸経費:20万円
- 購入価格:50万円
- 取得時にかかった諸経費:5万円
=課税譲渡所得 25万円
=5万787円(小数点以下切り捨て)
100万円の土地売却で利用できる特例・控除
土地売却の際に利用できる特例や控除には、さまざまなものがあります。それらの制度を利用することで、納税額を抑えて手元に残る売却利益を増やすことが可能です。ここからは、土地売却において利用できる特例や適応条件を解説します。
低未利用土地等を売却した場合の特例
2020年(令和2年)7月1日から2025年(令和7年)12月31日までの間に個人が都市計画区域内の低未利用土地を500万円以下の金額(市街化区域や用途地域設定区域内等の場合は800万円以下)で売る場合、譲渡所得から100万円を控除できます。低未利用土地とは、居住・商業用として利用されていない土地、もしくは周辺の土地に比べて著しく利用程度が低い土地のことです。譲渡所得の金額が100万円未満の場合には、その譲渡所得の金額がそのまま控除できます。
特例を受けるには、所有期間が5年を超えている、売主と買主が親子や夫婦などの特別な関係ではないなど、いくつかの要件を満たしている必要があります。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続で取得した土地や建物を売却して利益が出た場合、譲渡所得に譲渡所得税がかかるため確定申告が必要です。その負担を軽減するために、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が設けられています。これは、相続した土地を3年以内に売却する際、相続時に納めた相続税のうち一定分を売却時の経費(=取得費)として加算できる特例です。
特例を受けるには、相続や遺贈により財産を取得した、 取得した人に相続税が課税されている、その財産を一定の期間以内に譲渡しているなどの要件を満たす必要があります。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続によって取得した空き家を1人暮らしの被相続人が死亡した日から3年を経過した日の属する年までに譲渡すると、譲渡によって得た利益から3,000万円の控除が受けられます。
この控除を受けるには、被相続人が亡くなった時点で1人暮らしである、1981年(昭和56年)5月31日より前に建築された建物である、相続から譲渡までの期間空き家であるという要件を満たさなくてはなりません。被相続人が老人ホームに入居していた場合も適用対象です。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
不動産を売却するとき一定の要件を満たしていれば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円特別控除」を適用できます。控除を受けるには 売却する不動産が、売主が住んでいる自宅である、転居から3年目の年末までに売却している必要があります。
売却した不動産について、固定資産の交換特例や収用等の特別控除など、ほかの特例を適用していると、この控除は受けられません。また、災害によって売却する場合は、住まなくなってから3年後の12月31日までに売る必要があります。
特定のマイホームを買い換えたときの特例
特定のマイホームを2023年(令和5年)12月31日までに売却して代わりの建物に買い換えた際には、一定の要件を満たしていれば譲渡益に対する課税を繰り延べられます。ただし、あくまでも繰り延べになるだけで非課税になるわけではありません。
この特例を受けるには、マイホームに住まなくなってから3年後の12月31日までに売却する必要があります。また、住まなくなった建物を取り壊した場合、取り壊された年における1月1日に建物の所有期間が10年を超えていなくてはなりません。
売れにくい土地を売却する方法
土地を売却したくても、なかなか買主が見つからないこともあるでしょう。土地を売却するには、買主が土地を見つけやすいように工夫することが重要です。ここからは、売れにくい土地を売却するときに覚えておきたいポイントを5つ紹介します。
隣家の人に売却を持ちかける
土地がなかなか売れないときは、隣地に買取を打診してみるとよいでしょう。すでに隣地に打診している場合は、もう少し範囲を広げて周辺の人にも声をかけます。
周辺で商売をしている場合は土地需要が高く、売れる確率を高められるでしょう。特に、診療所や飲食店などは店舗の近くに駐車場にする土地を求めている場合が多いため、買い取ってもらえる可能性は十分にあります。近くに土地を求めている人がいないか、情報を集めておきましょう。
不動産会社へ買取を依頼する
不動産会社に土地を買い取ってもらう方法もあります。不動産会社に買い取ってもらった場合の売却価格は、仲介によって売却した場合の80%ほどになることが一般的です。売却価格は安くなるものの、査定に訪れた不動産会社に直接購入してもらえるため、すぐに売却できるという利点があります。
利益が少なくなっても早く不動産を手放したいと考えている方は、不動産会社への買取依頼も選択肢に入れましょう。
地域に強い不動産会社へ仲介を依頼する
不動産会社による買取を利用せず、仲介で売却したい場合は、不動産会社を見直すことも重要です。売却したい地域に強い不動産会社で対応してもらえそうなところがある場合は、変更を検討してみてもよいでしょう。
地域に強い不動産会社であれば、売却する土地のある地域で長期間営業しており買主に心当たりがある、売却したい土地のニーズを理解しており的確な広告が打てる、地元ならではのネットワークがあるなど大手不動産会社と異なる売却活動を期待できます。
周辺相場を調査する
土地が売れないときは、設定価格が適切ではない可能性があります。土地の売却価格が周辺の土地に比べて高くなっていないかを調査し、必要であれば値下げをしましょう。相場に合わせて価格を下げると、買主が見つかりやすくなります。
ただし、一度値下げすると再び値上げすることは難しくなるため、売れないからといって必要以上に値下げすることは避けましょう。売却価格を変更する際には、周辺の事情に詳しい不動産会社の担当者に相談してください。
売れやすいように土地の状況を改善する
土地の状況が悪いと、立地がよくても買主がつかないことがあります。その場合は、土地の状況を改善することが重要です。たとえば、売却したい土地に土壌汚染のおそれがある場合、土壌汚染調査を行って土壌汚染の心配がないことを証明してから売却しましょう。汚染が見つかったときは、汚染土を除去してから売る必要があります。
地中障害物の有無も調査し、必要であれば除去したり、条件に合った価格に変更したりすることが必要です。
まとめ
不動産売却には、さまざまな税金がかかります。土地を売った際にかかる税金を事前に把握しておくことは、売却を検討する際に重要です。税率の一部は不動産の所有期間によって金額が変わるため、売却時は不動産を何年保有しているのかをよく確認し、適したタイミングで売却するようにしましょう。
売却のタイミングや必要な費用を確認し、不動産の売却を成功させましょう。
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この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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