マンション売却の流れを8つの手順で解説|期間・準備・必要書類

マンション売却は、査定から確定申告まで8つの手順で進みます。査定から引き渡しまでには一般的に3~6カ月程度かかりますが、物件の条件や売り出し価格によっては、さらに長引くことがあります。
この記事では、マンション売却の全体像を3つの段階に分け、売主が行う8つの手順、各工程にかかる期間、必要書類を解説します。
リビンマッチのポイント
マンション売却には「売却準備」「販売・契約」「決済・売却後」の3段階があり、より細かく分けると、査定、不動産会社選び、媒介契約、売却活動、内覧、売買契約、決済・引き渡し、確定申告の8つの手順があります
もくじ
マンション売却の流れは3段階・8つの手順
マンション売却の全体像は、次の3段階・8つの手順で整理できます。
| 段階 | 手順 | 主に対応する人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 売却準備 | 1.査定を依頼する | 売主・不動産会社 | 数日~2週間 |
| 2.不動産会社を選ぶ | 売主 | 数日~1週間 | |
| 3.媒介契約を結ぶ | 売主・不動産会社 | 1日 | |
| 販売・契約 | 4.売り出し価格を決めて売却活動を始める | 売主・不動産会社 | 1~3カ月程度 |
| 5.内覧に対応する | 売主・不動産会社 | 売却活動中 | |
| 6.購入申し込みを受けて売買契約を結ぶ | 売主・買主・不動産会社 | 申し込みから1~2週間程度 | |
| 決済・売却後 | 7.決済・引き渡しを行う | 売主・買主・司法書士など | 契約後1カ月前後 |
| 8.確定申告をする | 売主 | 売却した翌年の確定申告期間 |
査定から引き渡しまでには、一般的に3~6カ月程度かかります。ただし、物件の条件や価格設定によっては半年~1年かかることもあるため、売却希望時期が決まっている場合は、そこから逆算して早めに動き出しましょう。
売却前に確認しておくこと
査定を依頼する前に、次の項目を確認しておくと、その後の手順がスムーズになります。
- 住宅ローンの残高
- 売却代金と自己資金で完済できるか確認する
- マンションの名義人
- 共有名義の場合は、共有者全員の同意を得る
- 売却希望時期
- 転居期限から逆算して売却計画を立てる
- 住み替え先
- 先に売るか、先に新居を買うかを決めて資金計画を立てる
- おおよその売却相場
- 査定価格を比較するための基準にする
- 管理費・修繕積立金の滞納
- 滞納額を確認し、原則として決済までに精算する
- 大規模修繕の予定
- 工事時期や一時金、修繕積立金の改定予定を確認する
住宅ローンが残っていても、売却代金や自己資金で完済し、抵当権を抹消できれば売却できます。売却価格がローン残高を下回る場合は、早めに金融機関へ相談しましょう。詳しくは「住宅ローン返済中のマンション売却の流れ」をご覧ください。
手順1 マンションの査定を依頼する
最初のステップは、不動産会社への査定依頼です。査定とは、立地や築年数、室内の状態などをもとに「いくらで売れそうか」の目安を算出してもらうことです。
査定には2つの方法があります。
| 机上査定 | 訪問査定 | |
|---|---|---|
| 方法 | 物件情報のみで算出 | 担当者が実際に物件を確認 |
| 精度 | 概算 | 高い |
| 結果が出るまで | 数時間~1日 | 訪問日程の調整を含め数日~2週間程度 |
| 向いている場面 | まず相場感を知りたいとき | 本格的に売却を進めるとき |
査定価格や売却方針を比較するため、複数の不動産会社へ査定を依頼することをおすすめします。複数社に依頼することで、査定価格だけでなく、その根拠や販売方法、担当者の対応も比較できます。
ただし、査定価格は、その金額での売却を保証するものではありません。周辺の成約事例や物件の状態、市場動向などから算出した売却できる見込みの金額です。
査定の方法や価格の決まり方について、詳しくは「マンション売却の査定方法」をご覧ください。
手順2 売却を任せる不動産会社を選ぶ
査定結果が出そろったら、売却を任せる不動産会社を選びます。不動産会社の販売力や担当者の対応は、売却価格や売却期間に影響します。
比較するときのポイントは次の5つです。
- 査定価格の根拠を明確に説明できるか
- 近隣の成約事例など、具体的な裏づけを示せるかどうか
- マンション売却の実績が豊富か
- 同じマンションや近隣物件の売却実績があるか確認する
- 販売戦略が具体的か
- どの媒体に、どんな見せ方で掲載するかまで提案があるか
- 担当者の対応が誠実か
- 質問への回答が早く、デメリットも隠さず説明してくれるか
- 地域の市場に詳しいか
- エリアの需要動向や競合物件を把握しているか
注意したいのは、査定価格の高さだけで選ばないことです。相場より高い査定価格を提示して契約を取り、後から値下げを提案する会社もあります。「高い査定価格」より「その価格で売れる根拠」を重視しましょう。
不動産会社の見極め方は「マンション売却の不動産会社の選び方」で解説しています。
手順3 媒介契約を結ぶ
売却を任せる不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、売却活動の条件や仲介手数料などを取り決める契約で、次の3種類があります。
| 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| 複数社との契約 | ○ | ×(1社のみ) | ×(1社のみ) |
| 自分で買主を見つける | ○ | ○ | × |
| レインズ※への登録 | 任意 | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
| 活動報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 契約期間 | 自由(行政指導は3カ月以内) | 3カ月以内 | 3カ月以内 |
どの契約が有利なのかは、物件や状況によって異なります。報告義務があり販売状況を把握しやすい専任媒介系か、複数社に依頼できる一般媒介か、担当者と相談しながら自分に合う形を選びましょう。
媒介契約の契約期間は、通常3カ月以内です。期間内に売れなかった場合は、同じ会社と更新することも、別の会社に切り替えることもできます。
3種類の媒介契約の違いや選び方の詳細は「不動産売却の媒介契約とは」をご覧ください。
手順4 売り出し価格を決めて売却活動を始める
媒介契約を結んだら、売り出し価格を決めて売却活動を開始します。
査定価格と売り出し価格は別物です。売り出し価格は、査定価格を参考にしつつ、売主が最終的に決めるものです。次の点を考慮して、よく考えて売り出し価格を決定しましょう。
売り出し価格を決めるポイント
- 購入希望者からの値下げ交渉を見込んで、若干の余地を持たせる
- 相場より高すぎる価格は問い合わせが減り、売却期間が長引く原因になる
- 売れ残り期間が長いと「問題がある物件では」と敬遠され、結果的に値下げ幅が大きくなりやすい
売却活動そのものは、不動産会社が中心となって進めます。主な活動内容は次の通りです。
不動産会社の主な活動内容
- 不動産ポータルサイトや自社サイトへの物件掲載
- レインズへの登録
- 物件資料・チラシの作成と配布
- 問い合わせ対応と内覧の調整
通常の広告費は、原則として不動産会社が負担します。ただし、売主が特別な広告を依頼した場合は、事前の合意により実費を負担することがあります。売買が成立した際は、仲介手数料のほか、契約書の印紙税や登記関係費用なども必要です。
広告掲載や問い合わせ対応は不動産会社が行いますが、売主も販売状況の確認や内覧準備などの対応をします。問い合わせ数や内覧数が少なければ、価格や掲載写真の見直しを担当者と相談しましょう。
手順5 購入希望者の内覧に対応する
売却活動が始まると、購入希望者から内覧の申し込みが入ります。内覧は、購入を判断する重要な機会です。
内覧の準備と対応のポイント
- 室内を整理整頓し、水回りはきれいに掃除しておく
- カーテンを開け、照明をつけて部屋を明るく見せる
- 窓を開けて室内にこもったにおいを消す
- エアコンを付けて室温を調整する
- 希望の多い土日祝はできるだけ日程を空けておく
- 住み心地や周辺環境の質問には、良い点も悪い点も正直に答える
内覧の所要時間は30分~1時間程度が一般的です。居住中でも売却できますが、対応できる日が限られると販売機会が減るため、可能な範囲で柔軟に日程を調整しましょう。
準備や当日の対応のコツは「マンション売却の内覧を成功させるコツ」で詳しく解説しています。
手順6 購入申し込みを受けて売買契約を結ぶ
購入したい人があらわれると、不動産購入申込書が提出されます。価格や引き渡し時期などの条件を調整し、合意できたら売買契約を結びます。
複数の購入希望者がいる場合の選び方
買主は先着順では決まりません。複数の人から購入の申し込みがあった場合は、次の点を比較して買主を選びます。
買主を選ぶポイント
- 購入希望価格が適切か
- 住宅ローンの事前審査に通っているか
- 手付金の額と支払い能力に問題がないか
- 引き渡し希望時期が自分の予定と合うか
融資利用特約(ローン特約)が設けられている場合、契約で定めた期限までに住宅ローンの承認を得られなければ、契約が解除されることがあります。
高い価格を提示した買主でも、資金計画に無理があると思うように進められず、契約後に解除になるおそれがあります。購入価格だけでなく、住宅ローンの事前審査や自己資金、引き渡し条件も確認しましょう。
売買契約当日
売買契約では、買主に対する重要事項説明の後、売主と買主が売買契約書の内容を確認し、契約を締結します。売主と買主が別々に契約手続きを行う場合もあります。所要時間は契約内容によって異なりますが、1~2時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
契約前に確認しておきたいのは次の2点です。
- ローン特約
- 契約で定めた期限までに住宅ローンの承認を得られなかった場合に、買主が契約を解除できる特約。対象となる金融機関や借入額、期限などを確認する
- 物件の不具合や告知すべき事項
- 雨漏りや設備の故障、騒音、近隣トラブルなど、売買の判断に影響すると考えられる事実は、不動産会社へ正確に伝える。契約内容に適合しない不具合を伝えていなかった場合、契約不適合責任※を問われるおそれがある
契約の流れや確認ポイントの詳細は「不動産売買契約を基本から解説」をご覧ください。
手順7 決済と引き渡しを行う
売買契約から引き渡しまでは、1カ月前後の期間が空くのが一般的です。この間に、売主は次の準備を進めます。
- 引っ越しと不用品の処分
- 付帯設備表で残すと決めたもの以外は室内から撤去する。繁忙期(2~4月ごろ)は早めに引っ越しを手配する
- 住宅ローン完済と抵当権抹消の手続き
- 金融機関に連絡し、一括返済と抵当権抹消書類の準備を依頼する
- 管理会社への連絡
- 組合員資格喪失届の提出や、管理費・修繕積立金の精算方法を確認する
- 公共料金・通信回線の解約・郵便の転送手続き
- 引き渡し日に合わせて手続きをする
決済・引き渡し当日は、買主が住宅ローンを借りる金融機関などに、売主・買主・不動産会社・司法書士が集まって手続きします。当日の流れは次の通りです。
決済・引き渡し当日の流れ
- 司法書士による書類確認・本人確認
- 買主の融資実行と残代金の受け取り
- 固定資産税・管理費などの日割り精算、仲介手数料の支払い
- 鍵と関係書類の引き渡し
決済には通常1~2時間程度かかりますが、着金確認や書類の状況によって長引くこともあるため、時間には余裕を持っておきましょう。書類に不備があると決済が延期になるおそれがあるため、必要書類は事前に不動産会社へ確認しておきましょう。
当日の詳しい流れは「不動産売却の引き渡し・決済の流れ」で解説しています。
手順8 売却した翌年に確定申告を行う
引き渡しが終わっても、確定申告が残っています。次のいずれかに当てはまる場合は、売却した翌年に確定申告を行います。
- 譲渡所得(売却による利益)が出た
- 所得税・住民税・復興特別所得税がかかるため申告が必要
- マイホームの売却で3,000万円特別控除などの特例を利用する
- 税額がゼロになる場合でも、特例の適用には申告が必要
- 売却損に関する特例を利用する
- 一定の要件を満たすマイホームの売却では、損失をほかの所得と損益通算したり、翌年以後に繰り越したりできる場合がある
譲渡所得は「売却価格-購入価格」という単純な差額ではなく、取得費(減価償却を反映した購入代金や購入時諸費用)と譲渡費用(仲介手数料など売却にかかった費用)を差し引いて計算します。建物部分は減価償却により取得費が目減りするため、「購入時より安く売れたから申告不要」とは限りません。
税金の計算方法や特例の詳細は「マンション売却でかかる税金」をご覧ください。
マンション売却の工程別に必要な書類
必要書類は売却の工程ごとに異なります。また、実際に用意する書類や誰が取得するかは、不動産会社や物件、登記の状況によって変わるため、担当の不動産会社や司法書士へ確認してください。
| 主な書類 | |
|---|---|
| 査定 | 間取り図、購入時のパンフレット、管理規約、長期修繕計画書など、手元にある物件資料 |
| 媒介契約 | 本人確認書類、登記識別情報(権利証)、固定資産税納税通知書、住宅ローン残高がわかる書類 |
| 売買契約 | 本人確認書類、付帯設備表、物件状況報告書、管理規約・使用細則など |
| 決済・引き渡し | 登記識別情報、実印、印鑑証明書、抵当権抹消書類、鍵、設備の取扱説明書、司法書士から指定された書類 |
物件や管理状況に関する資料がそろっていると、査定に物件の個別事情を反映しやすくなります。決済時に必要な書類に不備があると延期のおそれがあるため、早めに確認しましょう。
各書類の取得方法や費用、紛失時の対応は「マンション売却に必要な書類」で詳しく解説しています。
マンション売却にかかる期間の目安
全体のスケジュール感は次の通りです。
| 期間の目安 | |
|---|---|
| 査定~媒介契約 | 2週間~1カ月 |
| 売却活動(売り出し~売買契約) | 1~3カ月程度 |
| 売買契約~決済・引き渡し | 1カ月前後 |
| 確定申告 | 売却した翌年の確定申告期間 |
売却希望時期が決まっている場合は、引き渡し希望日から逆算して6カ月前には査定を始めると安心です。
工程別の詳しい日数や、売却が長引く原因と対策は「マンション売却の期間」をご覧ください。
マンション売却をスムーズに進める4つのポイント
トラブルなく、スムーズにマンション売却を進めるには、次の4つのポイントに注意することが大切です。
- 複数社の査定を比較する
- 査定価格と根拠の比較が、適正価格での売却と信頼できる会社選びにつながる
- 売却希望時期から逆算して動く
- 期限直前に売り急ぐと、値下げ交渉で不利になりやすい
- 必要書類を早めに準備する
- 特に登記識別情報や購入時の契約書は、紛失していると手続きに時間がかかりやすい
- 不具合や管理上の問題を隠さない
- 契約後のトラブルは損害賠償につながるおそれがある
失敗事例から学びたい人は「マンション売却の注意点」もあわせてご覧ください。
マンション売却の流れに関するよくある質問
- 住みながらでも売却できますか?
- 可能です。実際、多くの人が住みながら売却しています。内覧時は在宅で対応するか、不動産会社に立ち会いを任せます
- 住宅ローンが残っていても売却できますか?
- 売却代金と自己資金でローンを完済できれば売却できます。まず査定を受けて、残債と売却見込み額を比較しましょう
- 売却には何カ月かかりますか?
- 査定から引き渡しまで3~6カ月程度が目安です。ただし物件や価格設定によっては1年近くかかることもあります
- 売却前にリフォームは必要ですか?
- 原則として不要です。リフォーム費用を売却価格に上乗せできるとは限らず、かえって手取りが減ることもあります。気になる場合は不動産会社に相談しましょう
- 査定を依頼したら、必ず売らなければいけませんか?
- いいえ。不動産会社による売却査定は通常無料で、売却するかどうかは査定結果を見てから決められます
- なかなか売れない場合はどうすればよいですか?
- 価格の見直し、写真や広告の改善、不動産会社の変更などの選択肢があります。詳しくは「マンションが売れない場合の対処法」をご覧ください

大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
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