売れない土地を手放したい!譲渡・寄付・返還など4つの処分方法を解説
いつまでたっても売れない土地…放っておくと管理費や税金が積み上がる一方です。もう売却益はなくてもよいから、なんとかして手放したいと考えている方もいるでしょう。
手放す方法はいくつかありますが、売れない理由によっては少しの工夫で売れるようになるかもしれません。
本記事では売れない土地を手放す4つの方法を紹介します。
もくじ
売れない土地を手放す4つの手段
ここでは、売れない土地を手放す主な方法を4つ紹介します。
個人へ譲渡する
売れない土地を個人へ譲渡する手があります。
売れずにそのまま土地が残っている状態は、近隣住民の心象や保安上、好ましくありません。そのため、近隣住民が「無償なら」と引き取ってくれる可能性は十分考えられます。
譲渡に応じてくれる可能性が高いのは、手放したい土地に隣接した土地の所有者です。隣接した土地であれば住宅の敷地を広げたり、駐車場にしたりと、活用の幅が広がるためです。
ただしトラブルにならないためにも建物の解体を行うかどうか、費用負担はどうするかなど譲渡に関する条件を明確にしておきましょう。
地方公共団体(自治体)へ寄付する
地方公共団体(自治体)によっては、土地の寄付を受け取るケースもあります。
たとえば長崎市では、地域の防災と防犯を目的として「長崎市老朽危険空き家対策事業」を実施中です。
この事業は名前のとおり、周囲へ危険を及ぼす老朽化した空き家を長崎市が無償で引き取り、建物を除去し公共空間として整備するものです。
申請の流れは下記の内容で行われます。
- 申込(所有者または相続人)
- まちづくり推進室受付
- 現地調査
- 地元意向調査
- 申込者申請書提出
- 判定
- 申込者へ通知
- 解体
- 整地
- 地元利用・管理
また、空き地を活用して人口の増加を狙った施策を実施している地方公共団体も存在します。
ただし地方公共団体への寄付は基本的に、有益な使用目的があったり、近隣に危険を及ぼすなどといった明確な理由がない限り、寄付は難しいというのが実情です。
さまざまな施策がありますが、要件や申請方法は地方公共団体によって違います。寄付を検討している方は、各地方公共団体の寄付方法を事前に確認しましょう。
法人へ寄付する
近くに事務所などがある企業は、駐車場や倉庫用地として空き地を探している可能性が十分考えられます。そういった法人に寄付の話を持ちかけてみると、土地を引き取ってもらえるかもしれません。
また法人へ寄付すると、寄付先によっては節税効果が期待できるメリットがあります。
譲渡所得税は土地を売るときに発生した利益に課税されるため、今回のような無償で譲渡した場合は基本的に発生しません。ただし、個人から法人へ寄付する場合、たとえ無償でも寄付時の時価で譲渡されたものとみなされて課税されます。これをみなし譲渡所得と呼びます。
しかし、寄付先がお寺や学校、民間非営利団体(NPO法人)などの公益法人の場合、所定の手続きを踏むと譲渡所得税が非課税になります。
少しでも費用を抑えて土地を手放したい際は、公益法人へ優先的に相談してみるとよいでしょう。
国へ返還する
2021年4月に、国庫帰属制度という土地を国へ返還する制度が公布されました。
相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
しかし公布されたばかりの新制度のため、2023年1月現在はまだ施行されておらず、実際に利用はできません。
施行日は2023年4月27日を予定しているため、そのタイミングで土地を持ち続けるのと手放すのではどちらが得かをシミュレーションする必要があります。
土地が売れない理由と対処方法
土地が売れない理由はさまざまです。しかし、なかには適切な対処をすれば売れる土地に変わる可能性があります。
ここでは、土地が売れない理由と対処方法を紹介します。損をしないためにも、手放す前に再度確認しておきましょう。
境界が不明確
境界が確定していない土地は、実は建物が隣地に侵入しているなど、トラブルを起こすリスクが高いです。
買主からするとトラブルを起こすリスクは当然避けたいでしょう。そのため土地の境界が不明確だと、買主が見つかりにくい傾向にあります。
また、境界が不明確な土地の売却依頼を引き受けない不動産会社も多いです。境界確定に手間と時間が必要で、すぐに売れる状態ではないからです。
このように不動産会社など専門家の協力を得られないと、土地はなかなか売れません。
境界が未確定という理由で売りにくい場合、対処方法は境界確定しかありません。
境界確定は土地家屋調査士に依頼します。土地家屋調査士が境界を判断して、隣地所有者へ立ち会ってもらい境界の同意を得られたら境界が確定します。
物件の状況や隣地所有者との調整などで、境界確定まで半年以上の時間もかかるケースもあります。土地の売却を決めたら、できるだけ早く境界を明確にしておきましょう。
価格が高すぎる
土地の価格は需要と供給によって決まります。どうせ売るならできるだけ高く売りたいものですが、高すぎる価格設定では買主が見つかりません。
需要が少ないエリアは相応の価格まで下げる必要があります。土地の相場を把握するには、一括査定サイトのリビンマッチを利用しましょう。
リビンマッチは複数の不動産会社に土地の査定をしてもらえるので、適切な価格が判断できます。
また、一定期間たっても売れない場合は、値下げも検討しましょう。
下の図は公益財団法人 東日本不動産流通機構による土地の新規登録時と成約時の平均価格を比較したグラフです。新規登録時とは、不動産会社が利用する物件情報を掲載しているレインズというサービスに、新しく土地の情報が公開されたタイミングです。
引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)」
2021年度は土地の新規登録時の平均価格が3,374万円、成約時平均価格は3,035万円でした。つまり土地は、売り出し価格から約1割値下げしないと売れていないことがわかります。
不動産会社が原因
土地が売れない場合、不動産会社の力量や営業スタイルに原因があるかもしれません。
広告が掲載されていないなど、物件情報を公開していない場合は依頼した不動産会社が買主を見つけなければ売れません。
このようなことが起こる原因として、不動産会社が買主からも仲介手数料を受け取ろうして、あえて他社が紹介できないようにしているおそれがあります。
どんな方法でも、すぐに納得できる価格で売れれば問題はありません。しかし不動産会社の力量不足で、なかなか売れないと損をするのは売主です。
一度、買主目線で自分の土地がどのように売りに出されているかを確認してみましょう。
広告が掲載されているか、土地の情報や売りがしっかりアピールされているかなどをチェックします。営業が不十分だと感じた際は、ほかの不動産会社への依頼を検討してみるのもよいでしょう。
売れない土地を所有し続けるリスク
売れないからといって土地を所有し続けるとリスクがあります。
空き家と空き地の増加が問題視されている
現在の日本は人口減少傾向にあり、放置される空き家と空き地が増え続けています。
総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」によると、2018年における空き家の数は848万9,000戸と、2013年と比べて29万3,000戸増えています。
また国土交通省「空き地等の新たな活⽤に関する検討会」では、長期間放置された空き地が国土の荒廃につながるとして問題視されています。
対策として、法律の整備や各地方自治体での取り組みが進んでいます。そのため今後放置された土地に対する制限が大きくなることも考えられます。
管理の手間がかかる
売れない土地でも、土地の状態を維持するための管理をする手間がかかります。
放置された土地は、以下のような問題が発生するおそれがあります。
- ゴミの不法投棄
- 衛生悪化、悪臭の発生(ネズミ、猫などの野生生物のすみ家になる)
- 樹木などの越境
これにより、近隣からの苦情が来てトラブルに発展するおそれもあります。最悪の場合、損害賠償責任を問われることもあります。
そのため雑草の処理など定期的な管理をする必要があります。また、土地が遠方にある場合は、交通費などの費用もかかります。
固定資産税がかかる
土地を放置していても、所有しているだけで毎年固定資産税がかかります。
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます。)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額をその固定資産の所在する市町村が課税する税金です。
固定資産税の金額は、3年に一度見直される固定資産税評価額を基に決められます。
土地活用などで収入を得ていない場合、出費だけがかさんでいくことになるため、早めに対処が必要です。
土地を手放す前にチェックするべきポイント
土地を譲渡や寄付で手放すことは、損失を軽減する効果はありますが、得をするわけではありません。手放す前にもう一度冷静になって、これから紹介するポイントを確認してみましょう。
土地活用の可能性も検討したか
土地は本当に価値のないものなのかを、よく検討してから手放しましょう。
たとえば田舎で一見価値のなさそうな土地でも、太陽光発電などの土地活用で利益を得られる可能性は十分あります。
また近年は、郊外にサービス付き高齢者住宅(サ高住)を建築するために広い土地を探している企業もあります。
下の図は、国土交通省による立地状況に関するデータです。
参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」
サ高住の3分の1は、市街化調整区域や都市計画区域街などの立地が悪い場所に建築されていることがわかります。
売れないからとすぐに手放さずに、土地活用の可能性も検討してみましょう。
お金が発生するケースもある
無償で寄付や譲渡をした場合でも、お金がかかるケースがあります。たとえば法人に寄付する場合、譲渡税という税金が発生します。
2023年から開始予定の国への土地返還については、一定期間の維持管理費を負担しなければなりません。さらに、所有権移転登記費用もかかります。
手続きを進める前に、まずはどれくらいの費用がかかるかを把握して準備をしておきましょう。
複数の不動産会社へ相談したか
土地が売れなかったのは、売却を依頼した不動産会社が原因かもしれません。
営業活動が活発に行われていないなど、土地売却で少しでも不動産会社に不安を感じた場合はほかの不動産会社へ相談しましょう。
さらに不動産会社によって、得意なエリアや物件種別が違います。営業に問題がなくても、そもそも得意でない土地の売却であれば、力が発揮できません。
そのため1社だけに売却を依頼して売れなかったからと諦めるのではなく、必ず複数の不動産会社に相談しましょう。
とはいえ複数の不動産会社へ足を運んで相談するのは大変です。そのため不動産の一括査定サイトである「リビンマッチ」を利用しましょう。
リビンマッチは一度の手間で複数の不動産会社に査定依頼ができるため、さまざまな専門家の意見を聞いて土地をどうするべきかを幅広く検討できます。
手放すのはまだ早いかもしれません。リビンマッチで高く土地を売って今後の生活を豊かにしましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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