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一戸建て売却の流れ

一戸建ての売却は、不動産会社に依頼して買主を探してもらうのが一般的です。この方法を仲介といい、不動産会社と媒介契約を結んで行います。仲介で一戸建てを売却するときは、下記の流れに沿って進められます。

  1. 相場価格を確認する
  2. 不動産会社に査定依頼する
  3. 必要書類を準備する
  4. 訪問査定を実施する
  5. 媒介契約を結ぶ
  6. 販売活動を行う
  7. 内覧の対応をする
  8. 買主と価格交渉をする
  9. 売買契約を結ぶ
  10. 住み替え先に引っ越す
  11. 一戸建てを引き渡す

もっと詳しい売却の流れの解説はこちら

①相場価格を確認する

一戸建ての売却で最初に行うのが、相場価格の確認です。所有する一戸建てを売却するときは、チラシやWebサイトなどに掲載する売出価格を設定して、買主との値引き交渉などを経て売却価格で売買契約を結びます。

それぞれの価格は、仲介を依頼した不動産会社と相談して決めるのですが、あらかじめ相場価格を把握しておかないと、不動産会社から提示された価格が適切なのか判断できません。そのため、不動産会社に依頼する前に売却相場を確認することが重要なのです。

一戸建ての相場価格を調べる方法

一戸建ての売却価格の相場は、下記3つの方法で調べられます。

  • レインズ・マーケット・インフォメーション
  • 土地総合情報システム
  • 不動産ポータルサイト

不動産は、世の中に同じものが存在しない財産です。そのため、相場価格を調べるには、所有している一戸建てと近い条件の物件を探して確認するしかありません。一戸建てを適正価格で売却するために事前に確認しておきましょう。

より詳しい相場価格の調べ方はこちら

②不動産会社に査定依頼する

一戸建ての相場価格が把握できたら、不動産会社に査定を依頼します。

不動産査定の方法は2種類ある

不動産会社の査定には、「机上査定」と「訪問査定」の2種類の方法があります。机上査定は、不動産の住所や築年数、面積などをもとに不動産の相場価格を調べるものです。図面や書類だけでの査定になるため、価格はおおよそのものになります。

一方、訪問査定は不動産会社の担当者が自宅へ来て、不動産の価格を査定します。実際に室内をすみずみまで見てから判断するため、実際の売却価格に近い相場価格を算出してもらえます。

机上査定だけの依頼でもできますが、訪問査定よりも正確性は高くありません。一戸建てを売却するつもりであれば、最初から訪問査定を依頼しましょう。なお、机上査定と訪問査定は、基本的に無料で受けられます。

不動産会社の査定方法のより詳しい解説はこちら

③必要書類を準備する

一戸建ての売却には、提出書類が必要になるため準備しておきましょう。

一戸建ての売却で提出が必要になる書類

不動産会社に査定を依頼した場合、必要な書類を教えてくれます。しかし、書類の紛失などがあると、再取得に時間がかかることがあるため、あらかじめ準備しておくと手続きをスムーズに進められます。

一戸建ての売却に必要な書類
書類の種類 詳細
登記識別情報(登記済権利証)
  • 不動産の登記名義人を識別するために用いられる符号
  • 登記変更をした際、名義人に発行される登記識別情報通知書に記載
登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 法令で定められている不動産に関する事項を証明する書類
  • 不動産の住所を管轄する法務局で取得可能
固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
  • 固定資産税の課税対象になっている不動産の評価額を証明する書類
  • 固定資産税納税通知書は毎年1月1日に名義人に通知される
  • 固定資産税評価証明書は不動産の住所を管轄する役所で取得可能
地積測量図・境界確認書
  • 土地の面積、隣地との境界を明確にする書類
  • 地積測量図は法務局、境界確認書は土地家屋調査士に依頼して取得
建築確認済証・検査済証
  • 建築基準法を満たしていることを証明する書類
  • 新築の引渡し時に取得
実印・印鑑証明
  • 売買契約書と引き渡し時の押印が必要
  • 名義人の居住地を管轄する役所で取得可能

④訪問査定を実施する

訪問査定当日は、不動産会社の担当者が室内をすみずみまで確認します。訪問査定の所要時間は、約1~2時間ですが、家のなかがものであふれていたり、必要な書類が用意できていなかったりすると余計に時間がかかることがあります。

訪問査定当日までに必要な準備

円滑に進めるためにも部屋の片付けや下記の書類を準備しておきましょう。

  • 登記識別情報または権利証
  • 不動産を購入した際の契約書などの書類
  • 固定資産税納税通知書
  • 図面(土地の測量図や建物図面)
  • 境界に関する取り決め資料(所有している場合)
  • 過去のリフォームや修繕に関する資料(該当する場合)

訪問査定の結果が出るまでの期間は約1週間です。不動産会社を選ぶには、複数社の提案を比較して決めるのが一般的です。

ただし、訪問査定を1社ずつ依頼していると売却まで時間がかかるため、複数の不動産会社に依頼して並行して進めましょう。

不動産会社の査定について詳しい解説はこちら

⑤媒介契約を結ぶ

仲介を依頼する不動産会社が決まったら媒介契約を結びます。媒介契約とは不動産会社に不動産の売却を委託するための契約です。

媒介契約の違いと特徴

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれの違いは次のとおりです。

媒介契約の種類と内容の違い
一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社との契約 不可 不可
契約者が買主を探せる 不可
進捗報告 義務なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
レインズの登録義務 義務なし 7日以内 5日以内

契約する媒介契約の種類によって売却までの期間や売却価格が変わる可能性があります。慎重に選びましょう。

媒介契約ついて詳しい解説はこちら

⑥販売活動を行う

不動産会社と媒介契約を結ぶと、いよいよ販売活動が始まります。

不動産会社が行う販売活動の内容

販売活動には「Webサイトへの掲載」「住宅情報誌やフリーペーパーへの掲載」「DM」などがあり、不動産会社によって方法が異なります。

販売活動をしても購入希望者がまったく集まらない場合は、担当者と相談をして方法を変更するか、不動産会社を思い切って変更することも検討しましょう。

⑦内覧の対応をする

販売活動が始まると、物件に興味を持った人から内覧の申し込みが入ります。

内覧時の対応がよければ契約が決まりやすくなる

内覧は、購入希望者に室内を見てもらうためのイベントです。内覧で契約が決まるといってもいいほど、一戸建ての売却にとって大切なものなので、万全の状態で挑みましょう。

内覧の流れと必要な準備について詳しい解説はこちら

⑧買主と価格交渉をする

内覧が終わってから約1週間で、購入希望者から連絡があります。

購入が決まったら価格交渉が始まります。直接の交渉は、不動産会社の担当者と購入希望者で行うため、売主が購入希望者と話をすることはありません。

売却価格は不動産会社とすり合わせておく

不動産会社の担当者は、売主が希望する売却価格に沿って交渉を進めます。そのため、購入希望者から値下げを要求された場合、いくらまで対応するのか事前にしっかりと決めておく必要があります。

売却価格の決まり方について詳しい解説はこちら

⑨売買契約を結ぶ

購入希望者との価格交渉がまとまったら、売買契約を結びます。売買契約に必要な「売買契約書」と「重要事項説明書」は、不動産会社が作成します。売買契約に関して、あいまいな部分が残るとトラブルの原因になるため、記載内容を一つひとつ確認しておき、問題がなければ、売買契約を結びましょう。

契約キャンセルになれば手付金を買主に全額返金する

売買契約を結ぶときは、買主に契約を解除されたときのための保証金として、手付金を支払ってもらいます。売買契約を結んだあとは、買主が住宅ローンを組むために、金融機関の審査を受けます。もし、審査に通らなかった場合は契約がキャンセルになり、手付金は買主に全額返金されます。

売買契約について詳しい解説はこちら

⑩住み替え先に引っ越す

売買契約を結んでから一戸建てを引き渡すまでの期間は、1カ月が一般的です。そのため、引き渡しまでの1カ月で引っ越しを済ませる必要があります。

引き渡し日に間に合わないと違約金が発生する

正当な理由がないのに引き渡し日を過ぎても退去できない場合は、違約金が発生するおそれがあるため注意しましょう。

引っ越しのより詳しい解説はこちら

⑪一戸建てを引き渡す

一般的に一戸建ての引き渡しと決済は同時に行います。これは買主が住宅ローンを組む場合でも、現金一括で購入する場合でも同じです。

決済と引き渡しは金融機関の会議室などで行われる

住宅ローンを組んで一戸建てを購入する場合は、売主が住宅ローンの契約も同時に行うため、金融機関の会議室などで引き渡しを行うことが多いです。

引き渡しの詳しい解説はこちら

一戸建ての売却にかかる期間

一戸建ての売却は、買主が見つかるタイミングによって異なるため、一概には言えません。ただし、販売活動を始める日が早いほど買主が見つかる確率は上がるため、必要書類の準備を早めに進めておき、ベストなタイミングで販売活動ができるように心がけましょう。

一戸建ての売却期間の目安は6カ月~1年

一戸建ての売却にかかる期間は6カ月~1年です。だいたい次のような流れ、期間になります。

一戸建ての売却にかかる期間
期間 内容
1~2カ月目
  1. 売却相場の確認
  2. 不動産会社に査定を依頼する
  3. 書類を準備する
  4. 訪問査定をする
  5. 媒介契約を結ぶ
3~4か月目
  1. 販売活動を行う
  2. 内覧に対応する
5カ月目
  1. 買主と価格交渉をする
  2. 売買契約を結ぶ
6か月目
  1. 引っ越し
  2. 引き渡し

一戸建て売却のなかで、時間がかかるのが販売活動と内覧です。

スムーズに進めば約6カ月で売却できることもありますが、なかなか見つからないことも珍しくありません。買主が見つからない場合はそれだけ時間がかかります。

時機を逃すと見つかりにくい傾向があるため、必要書類の準備を早めに進めておき、ベストなタイミングで販売活動ができるように心がけましょう。

売却に必要な期間のより詳しい解説はこちら

一戸建てが売れない理由についての解説はこちら

一戸建てを売却するときの費用

一戸建てを売却するときは、費用がかかるので注意が必要です。売却価格から費用を差し引いたときに「手元に残るお金が思っていたよりも少なかった…」とならないためにも把握しておきましょう。

一戸建てを売却するときに発生する費用の一覧

一戸建てを売却するときは、売主側に下記の費用がかかります。

一戸建ての売却にかかる費用
費用項目 費用目安
抵当権抹消費用 約1~3万円
仲介手数料 売却価格×3%+6万円 +消費税
印紙税 約1,000~6,000円
ハウスクリーニング 約10万円
ホームインスぺクション 約5万円
引っ越し費用 約5~7万円

ホームインスペクションは、住宅の状態を、専門的な知識を持つ人に診断してもらうことです。ハウスクリーニングやホームインスペクションは必須ではありません。

しかし、ハウスクリーニングを行って、購入希望者が室内を見たときに整理整頓がされて、すみずみまで掃除が行き届いていれば、購入に前向きになる可能性が高くなります。また、ホームインスペクションを実施すれば、購入希望者に安心感を与えられるため、売却できる可能性がさらに高まります。

売却にかかる費用や早期売却のポイントについて詳しい解説はこちら

一戸建てを売るときの注意点

一戸建てを売却するときは下記の点に注意が必要です。

  • 抵当権を抹消しないと買い手がつかない
  • 再建築不可物件はそのままだと販売できない

一戸建ての状態によっては、売却したくても購入希望者が見つからなかったり、そもそも売れない状態になっていたりすることがあります。

売れる家、売れない家の特徴についてより詳しい解説はこちら

一戸建ての売却で損をしない方法こちら

抵当権を抹消しないと買い手がつかない

抵当権とは、住宅ローンを組む際、対象の不動産を担保に入れるために金融機関が設定するものです。返済が滞った場合、担保に入れた不動産を売却して住宅ローンの残債を回収します。

抵当権が残っている一戸建ては、売主が住宅ローンを返済し続けている状態です。抵当権付きの一戸建てを購入したあとに、売主が住宅ローンの返済を滞ると、金融機関に売却されてしまうおそれがあります。抵当権付きの一戸建てを購入するのはリスクが高いため、買い手がつくことはほとんどありません。そのため、一戸建てを売却する場合、抵当権を抹消することが重要です。

抵当権について詳しい解説はこちら

再建築不可物件は売却が難しい

再建築不可物件は、建築基準法で定めた基準を満たしていない土地に建てられた建物をいいます。小規模なリフォームはできますが、建築確認が必要となる大規模なリフォームや建て替えは、役所の許可が下りないためできません。

また、住宅ローンの申請も通りにくいことから買主が見つかる可能性が低いです。再建築不可物件を売却するには、接道義務を満たすことが重要です。

再建築不可物件ついて詳しい解説はこちら

一戸建てを早く高く売るためのポイント

一戸建てを早く高く売却するためのポイントは次の3つです。

  • 築年数が浅いうちに売却する
  • 内覧の準備を整える
  • よい不動産会社に依頼する

築年数が浅いうちに売却する

日本では新築を求める人が多いため、中古の一戸建てには、なかなか買い手がつきません。しかし、築年数が浅ければ、売れる可能性が高くなります。一戸建てを売却するときは、少しでも早く売り出すことで、早く・高く売却できるでしょう。

築年数が古い一戸建ての売却ついて詳しい解説はこちら

購入したばかりの一戸建てを売却する方法について詳しい解説はこちら

築浅の一戸建てを売却する方法の解説はこちら

一戸建ての築年数と相場価格の関係についての解説はこちら

内覧の準備を整える

一戸建てを売却するには、内覧の準備が大切です。購入希望者は内覧で室内の状態を見るだけでなく、どのような人が住んでいてどのように住んでいたかも見られます。そのため、内覧のときに室内がきれいに片付いており、売主の身なりに清潔感があると、購入意欲が高まるため、売却につながる可能性が高くなるからです。

不動産を売却するまでの内覧件数は、平均10件といわれています。しかし、室内の状態が悪ければ、内覧の申し込みが多くても購入に至らないおそれもあるため、万全の体制でいどみましょう。

仲介を依頼する不動産会社選びが大切

一戸建てを高く売るなら、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。一戸建ての売却価格は相場がある程度決まっているものの、最終的には買主との交渉で決まります。同じ物件でも、アピールの仕方や販売活動の方法は不動産会社によって異なり、結果的に売却価格にも影響します。

仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際は、下記のポイントを確認しましょう。

  • 売却予定の物件と同じ地域で売却実績が豊富にある
  • 担当者が有資格者で知識や経験が豊富
  • 査定時に売却に向けた提案をしてくれる
  • 問い合わせをしたときの反応が早い

一戸建ての売却でやってはいけないことについて詳細はこちら

不動産会社の選び方のポイントは?

戸建て物件やご自身の希望に合った不動産会社を見つけることが大切

大手の不動産会社は、抱えている多くの顧客の中から購入希望者を見つけたり積極的に広告を展開したり、大手ならではの販売力の高さがメリットです。地場の不動産会社はその地域の不動産取引や土地の情報などを熟知しており、地域密着のネットワークの活用など効率よく購入希望者を探し出します。

また、急いで戸建てを売りたい、という場合は、自社で買取を行っている不動産会社を選ぶという方法もあります。価格の折り合いがつけば早期売却が可能です。

大切な一戸建てを売るのですから「大手だから」「地元の会社だから」だけの基準で選ばず、どの会社がお手持ちの戸建て物件や自身の希望に合うのかを見極めるため、複数の不動産会社に査定依頼して比較検討することが重要です。

不動産会社のサービス内容の違い
大手不動産会社の特長 地場の不動産会社の特長
  • サービスや制度が充実
  • 広範囲でサポートできる
  • 知名度が高く安心感がある
  • 地元の売却事情に詳しい
  • 地元ならではの売却ノウハウが豊富
  • 相続に強いなど会社によって得意分野が違う
  • 人気エリアなどエリアに特化した会社もある

地場の不動産会社の特長

  • 地元の売却事情に詳しい
  • 地元ならではの売却ノウハウが豊富
  • 相続に強いなど会社によって得意分野が違う
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より重要なポイントは担当者の選び方

営業担当者の能力が戸建て売却の際に大きく関係します。複数の会社に査定依頼をして比較する際、査定価格だけでなく、担当者の力量・対応をしっかりと見極めましょう。それぞれの会社の担当者に同じ質問をして、反応や回答を判断材料のひとつにするのも有効な手段です。

以下は、担当者を見極めるポイントの一例です。

ポイント①

査定価格の根拠が明確

ポイント②

戸建て物件の取り扱い件数が多い

ポイント③

売却プランの提示が明確

ポイント④

戸建て物件周辺の住環境に詳しい

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