中古住宅が売れないのはなぜ?背景やよくある理由・売るための対策など詳しく解説
一般的に、中古住宅は売れない、売れにくいといわれています。中古住宅の売り出しを検討する際に「中古住宅はなぜ売れないのか」という疑問を持つ方もいるでしょう。中古住宅を納得できる価格で売るためには、売れない理由をしっかりと把握し、理由に応じた対策を行う必要があります。
本記事では中古住宅の売り出しを検討している方に向けて、中古住宅が売れないといわれている理由やその背景について解説します。また、中古住宅を売り出す際の注意点や売れないときの対策についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
中古住宅が売れないといわれている背景
中古住宅は売れない、売りにくいといわれることがあります。中古住宅の売り出しが難しいとされる主な背景には、単身世帯の増加と住宅ローンの組みにくさ、木造住宅の多さの3つが挙げられます。詳細についてみていきましょう。
単身世帯の増加
中古住宅が売れない理由のひとつは、少子高齢化の影響で単身世帯が増えたことです。中古住宅の購入希望者は、単身者が少なく子育て世帯が多い傾向にあります。一戸建ての中古住宅は単身者や子どものいない世帯は部屋数を持て余してしまうでしょう。そのため、お金をかけて必要以上に広さのある中古住宅を購入するよりも、一人暮らしや家族構成に合った間取りの賃貸物件を選ぶ人が多いのです。
また子育て世帯においても、中古住宅の需要は減りつつあります。なぜなら、核家族化によって親世帯と別居して暮らす子育て世帯が増加したことで、広い中古住宅を購入する人が減少しているためです。
住宅ローンを組みにくい
中古住宅が売れない背景として、住宅ローンの審査が通りにくいことが挙げられます。住宅ローンでは購入する住宅の価値を担保にして、自己資金で賄えない分の購入資金の融資を受けます。新築住宅に比べて中古住宅は住宅としての担保価値が低いため、実際に借り入れできるのは希望価格よりも少ない価格になる可能性が高いです。なお、担保価値とは、住宅をお金に換算した評価価格のことです。中古住宅の担保価値に見合わない希望価格を設定すると、住宅ローンの審査に通りにくくなるでしょう。中古住宅は住宅ローンを組むハードルが高くなるため、購入を思いとどまる人も一定数いるのです。
木造住宅が多い
木造住宅が多いことも、中古住宅が売れない背景のひとつです。2008年の総務省のデータによると、一戸建て住宅の約6割は木造建築となっており、中古住宅にも木造住宅が多いことが分かります。
近年では、住宅購入を検討する人の中には鉄筋コンクリート造や鉄骨コンクリート造の非木造住宅を希望する人が増えています。マンションやアパートなどの共同住宅では約7割が鉄筋・鉄骨コンクリート造であるため、中古住宅よりも共同住宅を検討する人が多くなっている傾向にあります。(※)
※出典:総務省統計局「日本の住宅・土地」
中古住宅が売れないよくある理由
中古住宅が売れないといわれる理由として、以下のようなものが挙げられます。
- 交通の利便性が悪い
- 生活環境が悪い
- 築年数が古い
- 広さに不満がある
- 売り出し価格が高い
- メンテナンスが行き届いていない
- 周辺トラブルがある
- 内覧会の対応が悪い
- 売り出したタイミングが悪い
- 不動産会社が合っていない
ここからは、それぞれの理由について詳しく解説します。
交通の利便性が悪い
中古住宅が売れない理由のひとつに、駅から遠く、交通の利便性が低い点が挙げられます。新居を探す人が理想とする駅までの所要時間は15分以内とされています。しかし駅周辺はマンションや商業施設が多く、一戸建ての中古住宅は駅から離れた閑静な住宅街にあることがほとんどです。住宅街から駅まで歩いた場合、所要時間は15分以上かかる場合も多いでしょう。したがって、中古住宅は通勤や通学で交通機関を利用したい人にとって利便性が低くなりやすいため、買主を探すのは難しくなります。
交通の利便性が低い地域にある中古住宅を売り出す場合は、アクセス面以外にアピールできるポイントを探すことが大切です。たとえば、以下に挙げる項目と合致する周辺環境が近くにないか確認してみてください。
- 最寄り駅を往復するバスの路線がある
- 付近に大型商業施設がある
- 最寄り駅に自転車置き場がある
- 治安がよい
- 複数の駅が集まっている
- 豊かな自然や広大な敷地の公園がある
- 教育施設が充実している
交通の利便性の低さを解消するのは難しいものの、別の視点で立地のよさを押し出せる周辺環境があれば、駅から距離がある場所でも買主を見つけ出すことが可能です。
生活環境が悪い
中古住宅が売れない理由として、生活環境の悪さが挙げられます。生活環境が悪いエリアにある中古住宅は購入希望者に暮らしにくい印象を与えるため、売れ残る場合があります。以下に挙げる項目と一致する場合は生活環境が悪い可能性があるため、該当するものがないか確認してみてください。
- 最寄り駅まで徒歩で30分以上かかる
- 生活必需品をそろえられる商業施設やお店が少ない
- 工場が多く、騒音が気になる
- 治安が悪く、犯罪が多い
- 教育施設まで距離がある
- 介護施設が少ない
特に治安が悪いと安心して子育てができないため、中古住宅のターゲット層である子育て世帯に興味を持ってもらえなくなります。生活環境が悪い地域にある中古住宅を売り出したい場合は、以下のようにネガティブな要素をカバーできるような内容をアピールするのがおすすめです。
- 幹線道路や高速道路が近くにあり、車通勤に便利
- ネットスーパーを利用しやすい環境が整っている
- 工場で働く人が多く、街に活気がある
- 警察や地域のボランティアによるパトロールが行われている
- スクールバスが家の前まで来てくれる
- 介護施設のスタッフが家まで送迎してくれる
生活環境が悪い地域にある中古住宅を売り出す際はどのような魅力をアピールするのがよいか、不動産会社に相談して決めるようにしましょう。
築年数が古い
築年数が古い中古住宅は売れない場合があります。長く住んだ家を手放し、中古住宅として売り出す場合、築年数が30〜40年と古くなっているケースも多いでしょう。
築年数が古い中古住宅は経年劣化が進み、住宅としての資産価値も下がることから、減価償却においても購入希望者の優先順位が下がりやすくなります。減価償却とは、購入価格を利用可能な年数で割って算出する資産価値のことです。たとえば木造住宅では利用可能な年数は22年であるため、減価償却という考えにおいて築年数が22年を超えている中古住宅の資産価値はゼロに等しくなります。
22年以上の築年数の中古住宅を売り出したい場合は、買主が購入後すぐに生活できる状態にするために、必要に応じて修繕することが大切です。具体例として、以下に挙げる内容に当てはまる場合は修繕を検討しましょう。
- 雨漏りする
- 水回りの設備が古い、壊れている
- 通常の掃除で落とせないほど壁紙が汚れている
- 外壁や外構が汚れている
- 不用品が大量にある
大規模なリフォームをしなくても、ハウスクリーニングや修理で対応できる場合もあるため、売り出し前に改善しておくのがおすすめです。
広さに不満がある
購入希望者からの需要がない広さや間取りの中古住宅は売れない可能性があります。市場で人気が出やすいのは、一般的な広さや間取りの住宅です。しかし、中古住宅は建築した時代や敷地面積によって、広さや間取りがそれぞれ異なります。そのため、需要が少ない広さや間取りの中古住宅は、買主が見つからず売れ残ることも多いです。
ただし、広ければよいというわけではありません。広すぎる住宅は固定資産税や光熱費がかかり、購入後の経済的な負担が増えます。また掃除の手間が増えたり、窓の数が増えて防犯面のリスクが高くなったりする場合もあるでしょう。
反対に狭すぎる中古住宅にも注意が必要です。狭すぎる中古住宅は日当たりが悪い、収納スペースが少ないなどのデメリットが目につきやすくなるため、買主が見つかりにくい場合があります。狭すぎる中古住宅を売り出す際は、隣接する空き地を買い上げて広さを確保する、周辺環境の魅力をアピールするなどをして住宅の付加価値を上げる対策がおすすめです。
売り出し価格が高い
中古住宅が売れない理由のひとつに、売り出し価格が売却相場より高く設定されていることが挙げられます。中古住宅の購入希望者は相場の価格をもとに予算を決めて購入する住宅を検討しているため、売り出し価格が相場より高すぎる場合は購入を断念する人も多いです。多くの中古住宅の購入希望者は予算内に収まる売り出し価格の住宅を探しているため、売り出し価格が高いと購入を検討する選択肢から切り捨てられてしまいます。
中古住宅の売り出し価格が高いという理由で売れない場合は、不動産会社の担当者と相談して地域の売却相場に近い価格に変更しましょう。売り出し価格を一度下げてしまうと値上げすることが難しいため、どこまで値下げするのかは慎重に検討する必要があります。
購入希望者の中には中古住宅の売り出し価格が下がるのを待っている人もいるため、売り出し中の中古住宅を不動産ポータルサイトに登録している場合は閲覧数やお気に入り登録者の数を確認し、購入希望者がどのくらいいるのかを把握してから値下げを決めることが大切です。
メンテナンスが行き届いていない
メンテナンスが行き届いていない中古住宅の場合、売れないリスクが高まります。目視で見て分かる大きな傷や雨漏り、設備の故障がある中古住宅は購入後に修理・修繕が必要になることが予測できるため、購入を見送られる可能性が高いです。たとえ築年数が短くてもメンテナンスが行き届いていない中古住宅は、実際の見た目が古く見えてしまうため売れ残ってしまいます。その一方で、定期的なメンテナンスが行われており、生活に支障が出ない状態が維持されていれば購入希望者を集めやすくなります。
定期的にメンテナンスをしていない場合は業者に依頼して補修が必要な箇所がないか確認し、売り出し前に修理・修繕を済ませておきましょう。また、経年劣化以外の理由で破損している箇所がある場合は、その分値引きすることで買主が見つかる可能性もあります。中古住宅の状態を確認した上で不動産会社の担当者と話し合い、値引き対応するか修繕をするか検討するようにしましょう。
周辺トラブルがある
周辺トラブルがある中古住宅や過去にトラブルがあった住宅の場合も、売れにくくなります。中古住宅は年数が長く、さまざまなトラブルを抱えているケースもあるでしょう。中古住宅によくある周辺トラブルの例は以下のとおりです。
- 騒音がある
- ごみ問題がある
- 近所の住民とのトラブルがある
- 事件・事故の現場が近くにある
- 反社会的勢力の関係事務所が近くにある
周辺トラブルは自分が住んでいた期間だけでなく、前の所有者が住んでいたときに起きたトラブルであっても当てはまります。周辺トラブルに関する情報はインターネットでも調べられるため、情報を隠して後々大きな問題にするよりは、誠心誠意、購入希望者に事情を説明することが大切です。その後、購入するかどうかは購入希望者に判断してもらいましょう。
また、訳あり住宅の場合、売り出し価格を大幅に値下げすることをおすすめします。購入希望者の中には、「安く購入できるのなら訳あり住宅でも構わない」という人もいるからです。売り出したい中古住宅が訳ありだとしても、売り出し価格の値下げを検討しながら諦めずに買主を探しましょう。
内覧会の対応が悪い
複数の購入希望者から内覧の申し込みがあるものの、中古住宅が売れないという場合は内覧での対応に問題があるケースが考えられます。購入希望者が内覧会の対応が悪いと感じる要因として、以下のようなものが挙げられます。
- 準備が十分に行われていない
- 水回りの掃除が行き届いておらず、清潔でない
- 不用品が多く、室内が片付いていない
築年数が経過している中古住宅の場合、経年劣化が原因の汚れを気にする方は少ないでしょう。しかし、掃除をしていない、散らかっているなど誠実性が見えない対応は購入希望者が離れてしまう原因のひとつになり得ます。
内覧会後に購入希望者の反応が悪いと感じた場合は、室内の掃除や整理整頓を行い、購入希望者からの質問にしっかり答えられるように質疑応答の準備をしておきましょう。また、中古住宅に問題がないものの、買主が見つからないという場合は購入希望者への対応が悪い可能性があるため、丁寧な説明と真摯な態度を心がけることをおすすめします。対応が難しい場合は、不動産会社の担当者に任せるのもひとつの手段です。
売り出したタイミングが悪い
中古住宅が売れない理由は、売り出すタイミングが悪い可能性も考えられます。不動産業界には住宅を売りやすい時期と、販売活動をしても売れない時期があります。住宅を売りやすい時期は購入希望者が多くいるため、中古住宅を売りやすくなります。一方で住宅が売れない時期に中古住宅を売り出した場合は購入希望者が少ないことから、住宅が売れ残る可能性が高まるでしょう。
不動産業界の繁忙期は一般的に2〜3月とされています。2〜3月は転勤や転校、入学などの理由で新居を探す人が増えるため、中古住宅が売れやすくなるのです。一方で、住宅が売りにくい時期は1月と8月です。1月と8月は年末年始やお盆に引っ越しするのを避ける人が多いため、中古住宅を売り出しても買主が見つからない可能性が高まります。
このように、中古住宅を売り出すタイミングと売れないタイミングは明確です。不動産業界の繁忙期に合わせて中古住宅を売り出すなら、1月までに売り出しに必要な準備や手続きを済ませておき、2月から売り出しを始められるようにしておきましょう。
不動産会社が合っていない
中古住宅が売れない理由が見つからない場合は、不動産会社との相性が悪いケースが考えられます。前述した中古住宅が売れない理由にすべて当てはまらない場合は、不動産会社の担当者と意思疎通が取れておらず、中古住宅を売り出すための適切な販売活動が行われていない可能性があります。不動産会社が適切な販売活動を行っていない主な原因は、以下のとおりです。
- 中古住宅の販売実績が少ない不動産会社を選んでいる
- 宣伝戦略に問題がある
- 担当者の対応に問題がある
不動産会社にはそれぞれ得意分野があるため、中古住宅の販売実績がない会社を選ぶと適切な販売活動をしてもらえません。また、ターゲットに合った広告を打ち出せていない場合や、営業力のない人が担当者になった場合も、販売活動が不十分になって売れ残りやすくなります。不動産会社を選ぶ際は、中古住宅の販売実績や宣伝活動が得意な会社かどうかを見極めましょう。
また、担当者のレスポンスが遅い、丁寧な対応をしてもらえないという場合は担当者の変更を申し出るとよいでしょう。一社の不動産会社と契約するのが心配な場合は、複数社と契約を交わせる一般媒介契約を結ぶことをおすすめします。
中古住宅が売れないときの注意点
中古住宅を売り出しても買主が見つからない場合は、以下に挙げる項目に注意しましょう。
- 空き家のままにしない
- 大がかりなリフォームをしない
- 安易に解体しない
それぞれの注意点について詳しく解説します。
空き家のままにしない
不動産会社の繁忙期以外のタイミングで中古住宅を売り出す場合は、買主が見つかってから引っ越しするのがおすすめです。中古住宅が空き家になると住宅が劣化するスピードが速くなるといわれています。中古住宅の劣化が進むと、以下に挙げるような被害が増える傾向にあります。
- 雨漏りによって柱が腐食する
- カビが発生する
- 排水管のヘドロ臭が発生する
- ゴキブリやネズミなどが増える
- イタチや野良猫の住処になる
空き家になるとメンテナンスが行き届かなくなり、きづかないうちに人が住めない状態になるおそれがあります。また、害虫が増殖したり害獣の住処になったりするケースもあるでしょう。可能であれば買主が見つかるまで住み続けて、買主が見つかったタイミングで引っ越しすることをおすすめします。
どうしても空き家にしなければならない場合は、定期的に家を訪問して空気の入れ替えをしたり、水を流して排水管に異常がないか確認したりすることが大切です。定期的に空き家を訪れられない場合は、契約を結んだ不動産会社に管理を依頼して異常がないか確認してもらうとよいでしょう。
大がかりなリフォームをしない
中古住宅を売り出す際は、大がかりなリフォームをしないように注意しましょう。目視で分かる汚れや故障箇所はハウスクリーニングの利用や部分的なリフォームでも解決できるため、大がかりなリフォームをしなくても成約率が高まることがあります。
思いつきでリフォームをしても買主にとって魅力的な住宅でなければ売れ残るため、結果的に無駄なコストが増えてしまうでしょう。また中古住宅が売れたとしても、リフォームにかかったコストよりも安い価格で売却が決まった場合は大きな損失が出てしまいます。購入希望者の中には、安い中古住宅を購入して自分でリフォームをしたいと考える人もいるため、必ずしもリフォームが中古住宅を売るための正解になるとは限りません。
築年数が古い中古住宅を売るのであればリフォームを売りにするのではなく、売却相場に見合った適正な価格で売り出すことが重要です。中古住宅が売れないという状態から抜け出したい場合は、生活のために必要な最低限のリフォームのみをするようにしましょう。
安易に解体しない
中古住宅が売れないからといって安易に解体しないように気をつける必要があります。中古住宅が売れない場合に、空き家を放置すると修理・修繕にコストがかかることから、住宅を解体して更地にした上で売り出そうと考える人もいるでしょう。しかし住宅の解体には、一般的に100万円以上のコストがかかるとされています。
また、更地にすると「固定資産税の住宅用地の特例」を利用できなくなります。住宅用地の特例とは、建物ありの土地の所有者を対象にした固定資産税の軽減措置です。住宅用地の特例を利用できなくなると、住宅を解体する前よりも納めるべき固定資産税は数倍に増えてしまいます。更地にしてからすぐに買主が見つかれば多額の固定資産税を負担する必要はなくなりますが、買主が見つからない状態が長引けば固定資産税を多く納め続けなければなりません。住宅を解体すべきか悩む場合は安易に結論を出さず、不動産会社の担当者と相談して解体の必要性があるかどうかを判断するようにしましょう。
中古住宅が売れない場合の対策
不動産会社と連携して販売活動をしても中古住宅が売れない場合は、売却価格や売るタイミングを変えたり賃貸物件として貸し出したりするなどの対策を取ることをおすすめします。ここからは具体的な対策について解説します。
売却価格を売却相場よりも下げてみる
中古住宅が売れない場合は値下げを検討することで、成約につなげられる場合があります。内覧後に成約に至らないケースでも、購入希望者から値下げ交渉の申し出を受けた場合は前向きに値下げ交渉に臨みましょう。購入希望者が値下げ交渉の申し出をしてきた場合は、売り出し価格には納得できないものの、住宅の状態には満足しているケースが考えられます。値下げ交渉に応じて売り出し価格を売却相場より下げれば、成約に持っていきやすくなるでしょう。
ただし、注意しておかなければならないのは住宅ローンの残債です。値下げした売却価格が住宅ローンの残債を下回った場合、不足分を自己資金で補填しなければ売却ができません。また住宅ローンの残債だけでなく、売買契約や登記などの手続きにもコストがかかるため、それらの支払いに必要な費用も考慮しながら、いくらまで値下げするのかを検討することが大切です。中古住宅の売買や登記に必要なコストについては、不動産会社の担当者に確認しておきましょう。
賃貸にすることも検討する
中古住宅が売れない場合、賃貸にすることを検討するのもひとつの手段です。中古住宅を売却して現金化を急ぐ方にはおすすめできませんが、中古住宅を急いで売る必要がない場合は売却することをいったん白紙に戻し、賃貸住宅として一戸建ての貸し出しをするとよいでしょう。中古住宅の貸し出しをして借主が見つかれば家賃収入を得られるため、住宅ローンの残債や固定資産税の支払いに充てられます。
一戸建ての貸し出しは、転勤の多い子育て世帯や車を所有するファミリー層、ガーデニングや大型犬を飼うために広い庭が欲しいと考えている世帯などに需要があります。自己資金がある場合は、貸し出しをする前に水回りの設備や内装を新しくしておくと借主を見つけやすいでしょう。築年数が古く、修理・修繕が必要な箇所が多い場合はリフォームの許可をすることで、自分で住宅のリフォームをしたい人にもアピールできます。
ただし、一戸建ての貸し出しの需要が低ければ賃貸住宅にシフトする意味がありません。賃貸を検討する際は、不動産会社の担当者に中古住宅のある地域で一戸建ての貸し出しの需要があるか確認しておきましょう。
売るタイミングを変える
中古住宅には売りやすいタイミングと売れないタイミングがあります。前述のとおり、中古住宅を効率良く売るなら不動産業界の繁忙期である2~3月の時期に合わせて売り出すことが重要です。入学や入社、転勤を控えているファミリー層が新居を探し出し、引っ越しを終える4月までに売却することを目指しましょう。そうすれば、値下げ交渉もなくスムーズに売却できる可能性が高まります。
また、売り出しから半年以上経っている中古住宅は売れ残っている印象が強まるため、不動産ポータルサイトへの掲載を一度取り消し、2~3月の繁忙期に合わせて新着の売り出し住宅として改めて掲載することをおすすめします。2月まで期間が空いている場合は屋外や屋内の掃除を行う、室内の画像を撮影し直す、アピールポイントを見直すなど、売り出しに向けた準備期間に充てるとよいでしょう。何もせずに買主が現れるのを待ち続けるよりも、お金をかけなくてもできる対策を実施することが中古住宅の売却につながる場合もあります。しっかり準備を進めておきましょう。
ホームインスペクション(建物状況調査)をする
ホームインスペクションとは建物状況調査のことで、中古住宅やマンションを購入する際に実施される住宅診断サービスです。ホームインスペクションは、住宅に劣化した箇所や欠陥がないかを調査することに加えて、調査員から修理が必要な箇所とその時期、修理・修繕にかかる費用などのアドバイスをもらえます。ホームインスペクションは、ホームインスペクターや建築士が実施します。
ホームインスペクションの依頼は買主、売主のどちらでも可能です。ただし、中古住宅の売却後に住宅の不具合や欠陥が見つかると買主とのトラブルに発展するケースも多いため、売却する前に売主がホームインスペクションを行うのが一般的です。
ホームインスペクションの依頼にはコストがかかるものの、実施することで得られるメリットが豊富にあります。たとえば、専門家による客観的な診断結果をもとに売り出せるため、購入希望者は安心して購入を検討してくれるでしょう。
ハウスクリーニングをする
中古住宅が売れないときの対策として、ハウスクリーニングを依頼する方法があります。一般的な掃除で落ちない汚れでも、掃除のプロにハウスクリーニングを依頼すれば見違えるほどきれいな状態になる場合もあるため、住宅の印象を変えることが可能です。
中古住宅が売れない場合に、意識してきれいにしたい箇所はトイレや浴室などの水回りです。特に築年数が古い中古住宅ほど水回りの汚れはひどくなりやすく、市販の洗剤で落ちない汚れも多いです。水回りは購入希望者が気にするポイントのひとつであるため、汚れが目立つ場合はハウスクリーニングを行うことをおすすめします。
またハウスクリーニングを依頼した場合の費用の目安は、業者や住宅の状態によって異なります。そのため、複数の業者の見積もりを確認してから依頼先を決めるようにしましょう。また、ハウスクリーニング後はきれいになった室内の写真を撮り直し、不動産ポータルサイトやチラシなどに掲載している写真を変更しておきましょう。
不動産買取も検討してみる
不動産買取を検討することも中古住宅が売れないときの対策のひとつです。不動産買取とは、不動産会社に中古住宅を売却することです。不動産会社と相談して決めた売却価格や契約内容を売主が承諾すれば、その場で売却が成立します。
不動産買取をするメリットは、仲介手数料がかからないことです。不動産買取は不動産会社と売主の直接契約になり仲介者は存在しないため、仲介手数料を支払う必要がありません。また、十分な資金がある不動産会社であれば、即日または数日のうちに決済を終えられます。
不動産買取は、できるだけ早く中古住宅を売却して現金化したいという方におすすめです。ただし、不動産会社は中古住宅を売却するための対策として大規模な工事によるリノベーションや近隣の土地の買収などにかかるコストを踏まえて、買取価格を提案します。その場合の買取価格は、仲介における売却相場の約7割が一般的です。中古住宅の売却価格を住宅ローンの残債に充てることを検討している方は、最低限必要な価格を不動産会社に提示した上で価格交渉を行いましょう。
不動産会社を選び直してみる
不動産会社が販売活動を怠っていたり囲い込みをしていたりすることで中古住宅が売れない場合もあります。囲い込みとは、不動産会社が自社で成約をとるために、意図的に他社へ中古住宅の情報を紹介しないことです。
不動産会社との契約で、専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結した場合、不動産会社は他社と物件情報を共有できるインターネット上のデータベースに情報を登録することが義務づけられています。しかしその登録を怠ったり、売却先が決まっていないにもかかわらず登録後に掲載を取りやめたりして、自社で住宅情報を独占しているために買主が見つかりません。不動産会社が不適切な対応をしている可能性もあるため、選び直すことも検討しましょう。
また不動産会社には、得意分野と不得意分野があります。売り出したい中古住宅があるエリアで展開している不動産会社や中古住宅の売却が得意な不動産会社と契約を結ぶことが大切です。不動産会社を選び直す場合は、複数社の中から自分の条件に適した不動産会社を見つけられる、一括査定サービスの利用を検討しましょう。
まとめ
中古住宅が売れない理由として、生活環境が購入希望者の希望条件と合わなかったり不動産会社が合っていなかったりすることが挙げられます。特に不動産会社が合っていないと、適切な販売活動が行われず売却のチャンスを逃してしまうかもしれません。住宅そのものに問題がないものの売れない、という場合は、不動産の一括査定サービスを利用して不動産会社を選び直すことをおすすめします。
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